似錦 ~華めく運命~ 2025年 全40話 原題:似锦
第26話あらすじ
第26集 「花見の宴 ― 揺れる心、試される絆」
姜似(きょうじ)の父は、娘と燕王・郁錦(いくきん)との結びつきを断固として拒んだ。理由を問う郁錦に対し、父は「私は王ではない。娘を皇室へ嫁がせるわけにはいかぬ」と言い切る。郁錦は真摯に「必ず姜似を守り、やがて平穏な日々を取り戻してみせる」と約束するが、父は「もしそうならなかったらどうする」と問い返し、その重さは二人の前に立ちはだかる壁となる。一方、姜似は姉に「彼を好きなのか」と問われ、心を奪われていることを静かに認めた。しかし姉は、経験者として慎重になるよう諭す。たとえ最初の難関を越え王府に入れたとしても、その先には数え切れない困難が待っている――姜似もまた、それを痛いほど理解していた。
その頃、姜湛(きょうたん)は盧楚楚(ろそそ)に「なぜ女侠を目指すのか」と尋ねる。楚楚は幼い頃に読んだ話本で、侠義を貫くのはいつも男性ばかりであることに疑問を抱き、「女性にできてはいけない理由などない」と語る。楚楚の強さと純粋な夢が、姜湛の胸に静かに響く。
一方、郁錦は調査した司天監の記録を甄珩(しんこう)に示し、「天狗食日(蝕)の予測は当たっていたのに、翌日には予測ミスと報告していた」と告げる。甄珩はこれらの不審を整理し、翌朝すぐに皇帝へ奏上すると決意した。皇帝は既に夜莺門の潜入者が司天監に紛れ込んでいたことを把握しており、関係者全員の罷免と徹底調査を命じる。姜似は「これほど多くの官職が一度に空くのは問題だ」と心配するが、甄珩は「東平伯を推挙すべき」と後任案を提示、朝廷は新たな転換点を迎えつつあった。
甄珩は福清公主のために凧を作り、笛を取り付けて風を鳴らす工夫を施す。目の見えない公主はその音を聞き、心から喜んだ。侍女がこの様子を皇后に報告すると、皇后も嬉しそうに微笑む。皇后は「公主には苦労してほしくない。彼女を大切にしてくれる人のもとへ嫁がせたい。甄大人は良い方だと聞いています」と語り、福清公主の幸せを案じた。
皇帝は賢妃に花見の宴を催すよう命じ、郁錦はその宴の場で「自分の心にあるのは姜似ただ一人だ」と公然と示す決意を固める。賢妃に「心から満足できる王妃を見つけたい」と訴え、賢妃もその真摯な姿勢に心を動かされ承諾した。
招待状を受け取った姜似の祖母は大喜びし、東平伯府も宮中からの恩恵を受けられると期待を膨らませる。しかし父は宴の本来の目的――皇子の妃候補を集める場であることに気づき、「姜似は絶対に行ってはならない」と断固反対。しかし姜似は「これは宮中からの正式な招待状。行かねば無礼になります」と説得し、覚悟を固める。
一方、肖氏や長房の親族らは激しく反発。「もし姜似が王妃になれば、長房が天まで尾を振るほど増長する」と怒りを露わにした。
その頃、長公主は郁錦に贈り物を届け、自らの娘が彼を気に入っていること、もし縁を結べば栄華と富を約束すると告げる。しかし郁錦は即座に拒絶した。「心はもう決まっている」と。
花見の宴の日。姜似が宮中入りすると、崔明月(さいめいげつ)が彼女の衣装が自分と同じだと気づき、侍女に「その服を脱がせろ」と命じる。姜似が自らデザインし店に作らせたものだったが、崔明月が偶然同じになったのか、あるいは情報が漏れたのかは分からない。長公主は場に現れ、「明月の非よ」と断言。しかしその後、姜似が退席したのを見届けると、明月に小声で忠告した。「何があっても表に出してはなりません。姜似に何かあれば、誰もがあなたを疑うことになるわ。」
そしていよいよ試合が始まる。牡丹を題材に、才色と心意気が試される三つの関門――。花見の宴は、愛と嫉妬、野心が渦巻く新たな舞台の幕開けとなるのであった。
第27話あらすじ
第27集 「花宴に揺れる想い ― 露わになる真心と策謀」
宮中で開かれた妃選びの花宴。賢妃は姜似を呼んだのは荘妃だと思い込み、荘妃は逆に賢妃の仕業と思い込む。七皇子に良家の娘を近づけまいとする賢妃の噂を耳にしていた荘妃は、ついに確信へと変わり、妃選びの場に早くも火種が生まれていた。
最初の試練は絵画。崔明月の絵が皇帝の目に留まり、玉の腕輪を与えられるほどの高評価を得る。勝ち誇った崔明月は姜似に見せつけ、「絶対に私が勝つ」と宣言する。しかし姜似の番になると、掲げられた絵は真っ白。礼邦司の役人は姜似が描かず、のちに筆を取って形だけ整えたと証言した。濡れ衣を着せられた姜似だが、絵に鼻を近づけた瞬間、墨に細工が施されていることに気づく。郁錦が水をかけると、浮かび上がったのは黒牡丹――国喪を象徴する花だった。
長公主は問いただすが、姜似は静かに「青蓉皇后のために描いた」と語る。かつて皇帝が皇后のために植えた牡丹への敬意、そして哀惜を込めたその言葉は皇帝の心を動かし、姜似は一転して高い評価を得る。しかし細工した墨はすでに処分され、皇帝は激怒。礼邦司の役人は拘束され、藍行文が新たな試験官へと任じられる。
第二の試練は生け花。姜似の作品は「病樹の前では万木春」という寓意を込め、しおれた枝と二つの蕾を巧みに配置。さらに姜似は蕾をその場で見事に開花させ、皇帝を驚かせる。
娘たちは花芯に好きな皇子の名前を忍ばせる習わし。花を摘んだ皇子たちは、想い人の籠へ花を入れていく。六皇子は姜似に花を置きに行くが、郁錦は「兄上が何度も往復するのは大変でしょう」とさりげなく助言し、兄は他の娘に花を配ることに。だが郁錦自身は、ただひたすら姜似の籠へ花を運び続けた。
その行動に賢妃が怒りをぶつけると、皇帝は郁錦に真意を問う。郁錦はためらいなく「姜似殿に心惹かれました。妃として娶りとうございます」と告白。賢妃は驚くが、長公主は「花を贈っただけで妃にしなければならぬ決まりはない」と場を収める。
皇帝はその後、賢妃の怒りを宥めるように語る。先代皇后も前夫との子がいたが、皇帝と力を合わせて盛世を築いた――過去は妃選びの障害にはならぬと。さらに皇帝は調べを進め、姜似が花芯に書いた名前もまた「郁錦」であったことを知る。二人が互いを想っていると知った皇帝は「ならば成就させてやろう」と決意する。
しかし喜びの陰で波紋も広がっていた。祖母は最初こそ郁錦からの花を喜んだが、肖氏が「姜似は身分を上げようと野心を持った娘として宮中で噂されている」と告げたことで、祖母は姜似に屋敷での反省を命じる。一方で崔将軍は明月に諦めるよう諭すが、長公主は過去の因縁を持ち出し崔家を揺さぶる。怒り狂った崔明月は庭園の牡丹をすべて焼き払うほどの狂気に染まっていく。
やがて宮中から姜似を郁錦に娶らせる勅令が下る。祖母は涙を流して喜ぶが、姜似の父は最後まで強く反対していた。
――揺れる恋心、燃え上がる嫉妬、静かに芽生える陰謀。その渦中で、姜似の運命は大きく動き始める。
第28話あらすじ
第28集「揺らぐ家門の絆 ― 暴かれる毒と守られる命」
姜似と郁錦の婚姻を定める勅命が下ったものの、姜似の父は強硬に反対し、「親の命と仲人の言葉こそが結婚の本義だ」と譲らない。祖母は「勅命に逆らえる者などいない」と諭すが、父の心は揺るがなかった。その背中には、普段とは違う深い迷いが漂う。次兄は長兄が娘を溺愛するあまり、感情が先走っているのだと見ていた。
一方、崔明月は食事も喉を通らないほど落ち込み、長公主が訪れても心は晴れない。長公主は「勅命など取るに足らぬ。むしろ姜似にとっては死刑宣告のようなもの」と冷ややかに言い放ち、明月の執着心にさらに火をつける。
姜似は父を説得し、自分は心から郁錦を愛していると告げるが、父は「皇室に嫁ぐということは、一生逃れられぬ枷を背負うことだ。もし郁錦が他の女を愛したら? 娘が離縁を望んでも叶わないのだぞ」と苦悩を吐露する。それは亡き妻への後悔を奥底に秘めた、深い父心だった。
その頃、郁錦の屋敷では龍旦が「これほど広い屋敷を一人で掃除などできぬ」と煩悶していた。郁錦は「姜似が来れば自然に整う」と軽く言い、彼女のための品々を買いそろえるよう龍旦に命じる。
しかし姜似の家では異変が起こる。侍女が彼女を呼びに行くと、姜似は意識を失い、口元には血が滲んでいた。侍女は以前、二夫人の侍女が姜似に水を浴びせたり、湯や生姜湯を奇妙に届けたことを思い出し、「毒を盛られたに違いない」と訴える。二夫人は必死に否定し、残った姜湯をその場で飲み干して潔白を主張する。祖母は侍女の軽率な言葉に怒り、物置への閉じ込めを命じるが、姜湛と姜似の父は侍女を庇う。しかし祖母は聞く耳を持たない。
姜似の症状は、父にとって忘れ難い痛みを呼び起こした。亡き妻が死の間際に見せた症状と酷似していたのだ。
そんな中、盧楚楚が姜似を見舞うが、外にいる乳母たちは誰も従おうとしない。盧楚楚は刀を抜き「言うことを聞かねば後悔するよ」と一喝し、乳母たちは慌てて動き出した。
郁錦も駆けつけ、太医を呼ぼうとするが、盧楚楚は「太医は『治らない』と言った」と告げる。しかし姜似がかすかに目を開くと、「蛇隠草なら解毒できる」と囁く。これはかつて大長老から教わった、百毒を解く秘草だった。
郁錦は激しい雨の中、山を駆け上がり、ついに蛇隠草を手に入れる。姜似に飲ませると意識が戻り、郁錦は涙を流して喜ぶ。しかし姜似は「まだ知らせてはだめ。毒を盛った犯人をあぶり出さねば」と冷静だった。
その指示を受け、郁錦は姜湛たちに三種類の薬を渡し、「解毒剤はあるが、これらの薬が鍵だ」とだけ伝える。二夫人は解毒されたことを知り焦燥を覚える。彼女は乳母の姪を利用し、再び毒を仕掛けようと動き出す。
翌日、二夫人は「家伝の腕輪が失くなった」と騒ぎ立て、姜似の部屋まで探させてほしいと要求。その混乱の中で彼女は姜似の薬をわざと壊すが、そこへ姜似本人が現れ、二夫人の顔色が蒼白になる。
祖母はついに真相を悟り激怒。「まさか私にまで毒を盛るとは」と叫び、乳母たちに鞭打ちを命じる。姜似の父は「お前は……昔、私の妻にも同じことをしたのか」と問い詰めるが、二夫人は否定し続けた。
姜似は静かに二夫人へ薬を差し出し、「あなたにも同じ毒を飲んでいただきます」と言う。二夫人は泣き叫び、恐怖で身体を震わせた。その様子を見た姜似は杯を置き、「ただの花びらの水です。毒など入っていません。やましいことがなければ、なぜそれほど怯えるのですか」と告げた。
――ついに暴かれた家門の闇。揺れる家族の絆の中、姜似と郁錦の婚姻は新たな局面へと進んでいく。
第29話あらすじ
第29集「暴かれた闇、揺らぐ真実」――母を奪った影、ついに姿を現す――
二夫人はついに沈黙を破り、姜似の母を死に追いやった一連の出来事について、自身が“悪意を持って殺したのではない”と涙ながらに語り出す。かつて姜似の父と婚約していた彼女は、突然現れた姜似の母に婚約を破棄され、老夫人から次男との再婚を勧められたのだという。老夫人は姜似の母の出自を蔑み、二人の女性を争わせるよう仕向けた。二夫人は嫉妬と劣等感に駆られたが、それでも姜似の母には勝てず、出産後に彼女が床に伏した際、家事を任されたことで複雑な想いが生まれた。ただ「回復が少し遅れればいい」と願っただけだった――そう言い訳する。
だが、彼女が密かに行脚医を探し、毒を手に入れたことは覆しようがない事実だった。姜似の母が亡くなったのは、姜似を出産した直後。二夫人自身も、その結果があまりに早すぎたことに恐れおののき、長年罪悪感に苛まれてきたという。さらに数日前、あの“男”が再び現れ、今度は姜似にも毒を盛るよう命じたのだと震えながら告げた。男の顔は見えなかったが、庶民の服の下に宮廷仕様の下着――明らかに高位の者のものだった。
姜似の父はその告白を退け、「全ては二夫人の単独犯行だ」と断じた。何かを隠しているかのように視線を逸らす父に、姜似は深い疑念を抱く。次男は二夫人に「義姉と姪を毒殺した罪で自害せよ」と迫るが、二夫人は「父上も弱き者を責めているだけ」と嘲った。彼女は遺書を残して自害を図るが、郁錦に救われた。
その頃、長公主の周囲でも不穏な影が動いていた。乳母は姜似の死を報告しようとするが、実は姜似は生きており、郁錦が南烏から持ち帰った解毒剤によって命を取り留めていた。乳母は二夫人へ再び毒を渡し、「次こそは」とそそのかすが、姜似たちはすでに門前で待ち構えており、乳母を捕縛。彼女の弱点である“眠り癖”を突くため、あえて太鼓を鳴らし続け、抵抗力を削った末に、ついに乳母は崩れ落ちる。
「すべては長公主さまのご命令です……」
乳母の告白は、姜似の心を鋭く貫いた。南烏の人物が長公主に薬を渡していたが、常にベールを着けており正体は不明。ただ皇后と親しい存在であることだけは間違いないという。真相を確かめようと詰め寄る姜似に対し、長公主は一歩も退かず「できるなら殺してみなさい」と挑発。姜似は激しい怒りを飲み込みながら撤退する。
一方、長公主と崔将軍の関係は決定的な亀裂を迎える。長年の因縁に終止符を打とうと将軍は“別れの杯”を差し出すが、長公主が飲もうとした瞬間、将軍は杯を払いのけた。二つの杯には毒――つまり、彼は“自分と長公主の死”をもってすべてを終わらせようとしていたのだ。長公主はその絶望的な決意に激しく動揺し、将軍を追放するように公主府から遠ざけた。
母を奪った真犯人は誰なのか。長公主の背後にいる“ベールの人物”とは――。
姜似の復讐と真相探しは、新たな局面へと突入していく。
第30話あらすじ
第30集「真実への誓い、揺れる運命」――封じられた記録と母の仇――
姜似の父は家族全員を集め、母親の位牌に向かって誓いを立てるよう命じた。過去の事件はもはや追及や復讐を許さず、心に留めず生きるよう指示する。しかし姜似は納得せず、真相を明らかにするまでは決して諦めないと固く決意した。姜湛もまた、黒幕の存在が明らかなのに、なぜ調査を行わないのかと父に問う。姜似の父は「長女はいつも最も従順だった」と語り、まず姉の姜依に誓いを立てさせる。子を持つ者として、親が子に抱く心情を理解しているはずだという考えからだ。姜依は渋々誓いを立て、姜湛も父の指示に従って誓約するしかなかった。しかし姜似は断固として拒み、母のために真実を明らかにすると宣言する。
一方、宮中では皇帝が郁錦を呼び出し、明月郡主も彼に心を寄せていることを伝え、彼女を平妻として迎えるよう提案する。しかし郁錦は姜似一人を望むと断固として表明する。徐某は長公主に従って戻り、幼い頃から世話をしてきた経緯を説明。夜泣きの世話で何年もまともに眠れず、それが原因で寝癖がついたこと、そして乳母たちが太鼓を叩き眠らせなかったためについ余計なことを口走ってしまったことを弁明する。長公主は乳母の行動を咎めず、これまでの情を考慮して責めなかったが、「乳母が自ら裏切った」と告げ、毒酒を差し出す。乳母は恐怖で飲み干すが、何事もなかったことに安堵する。
深夜、姜似の父は郁錦を呼び出し、重い口を開く。実は郁錦が生まれた時、大吉の兆しがあったにもかかわらず、崔将軍が南疆で敗北し、賢妃が賢貴妃に昇格しようとしていた状況を利用し、長公主が夫を救うため、賢妃を陥れるために記録を偽造。郁錦が不吉な運命だと偽っていたのだという。郁錦は事態の深刻さに愕然とし、姜似の父は真実の記録を隠していると言い、郁錦に探し出すよう命じる。姜似は墨の特殊性に気づき、司天監の記録を調べれば証明できると確信。郁錦は以前発行された証明書を携えて、司天監へと向かう。
宮中では斉王妃が賢妃に、姜似が花見の宴で目立つ手腕を発揮したことを報告。賢妃は姜似を呼びつけ、訓戒しようとするが、姜似はすでに到着していた。賢妃は処女かどうかの検査を命じるが、姜似は乳母の手に傷をつけ、「毒を盛ったのだろう」と問いかけ、乳母を恐怖させる。姜似は「解毒してやる。従え」と言い、乳母は承諾せざるを得なかった。賢妃は姜似に写経を命じ、姜似の洞察力と真心に内心で喜びを覚える。郁錦は姜似の居場所を突き止め、駆けつけて彼女を連れ去る。姜似はついに真実を明かす決意を固めるが、郁錦は時期尚早と判断する。今公にすれば、長公主が父の関与に気づき、事態がより複雑になると考えたのだ。
母を失った悲しみと怒り、そして隠された真実への探求。姜似と郁錦の絆はさらに深まり、運命を揺るがす新たな戦いが幕を開ける。
似錦 ~華めく運命~ 31話・32話・33話・34話・35話 あらすじ
















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