大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る 2024年 全32話 原題:大唐狄公案
第9話あらすじ
港で発覚したのは、単なる「家賃滞納」などでは済まされない重大事件だった。劉中使は軽く聞き流そうとするが、狄仁杰は王立德の船から禁制兵器である陌刀が八十副も見つかった事実を突きつける。さらに、それらがどこへ流される予定だったのかを厳しく追及する。商人の顧孟彬は関与を否定し証拠を求めるが、狄仁杰は顧家が登録上は十五隻しか船を出していないにもかかわらず、防水材の明灰を二十隻分購入している点に着目する。これは表に出ていない“暗船”の存在、そして官衙との癒着を示唆するものだった。
これを聞いた易司事は激しく反発し、自身への中傷だと抗議する。劉中使ももし事実なら、易司事は贪墨、顧孟彬は通敵という重罪になると指摘し、場は一気に緊張する。劉中使は疲れを理由に引き上げようとするが、狄仁杰は顧孟彬を残して捜査を続行しようとし、その姿勢がかえって劉中使の不信感を招く。
一方、馬栄と喬泰は封鎖された帳篷に忍び込み、多数の財宝を発見するが、うっかり囲いを崩してしまい捕らえられてしまう。財宝が露見したことで、易司事はそれが劉中使への献上品だと暗に示すが、劉中使は取り合わない。彼は密かに皇后の密旨を狄仁杰に渡し、百済金が反乱勢力の資金源になっている疑いを一か月以内に解明せよと命じる。失敗すれば、狄仁杰自身も黄金事件の共犯とされるという厳しい内容だった。
その頃、港には無人の唐船が突如現れ、まるで鬼船のように人々を恐怖に陥れる。船内には安物の毛皮しかなく、争った形跡も生存者もいない。劉中使は二粒の金豆を示し、狄仁杰はそれが百済金と砂金であることを見抜く。船の構造や荷の配置から、狄仁杰はこの船が重い積荷を吊り下げて運んでいたと推理し、船底に隠されていた百済人を発見する。
救出された百済人の証言を得るため、同郷の玉素が通訳を務める。証言の中で語られた「白い小島」と、船員たちの身体に刻まれた黒焔の刺青を見た瞬間、狄仁杰はかつて黒焔討伐に関わり、悲劇的な最期を迎えた父・狄知逊の記憶を思い起こす。しかし易司事は証人を口封じするため、百済人を食物で窒息死させるという非道な手段に出る。
その後、新たな生存者・金桑が現れ、王立德の殺人を告発し、百済金が顧孟彬や易司事と結びついていると証言する。狄仁杰は潔白を保ちながらも、「白い小島」の存在が事件の核心だと確信する。やがて鬼船から航海図と星盤が見つかり、そこに確かにその小島が記されていた。真相解明のため、一行はついに海へ向かうが、その航海は新たな嵐と危険を孕んでいた。
第10話あらすじ
調査船は激しい暴風雨に見舞われ、桅杆が折れ、人が海へ転落するという異常事態に陥る。これは自然災害としては不自然な状況であり、顧孟彬は船内に細工をした内通者がいると直感し、怒りを隠せない。狄仁杰は万が一に備え、ここまでの経緯を詳細に書き残し、もし自分が命を落とした場合は皇后に届けるよう準備する。侯中堂は表向き冷静さを保ち、物資も十分で補給船も来るはずだと皆を安心させるが、船内には不穏な空気が漂い続けていた。
狄仁杰は出航時に連れてきた信鳩を放ち、遭難の可能性を知らせる。一方、玉素は曹安のために水を汲みに行った際、羽林軍に絡まれそうになるが、喬泰が機転を利かせて救い出す。その様子を見た馬栄は、喬泰の玉素への想いを察し、密かに微笑むのだった。
劉中使は突然、金桑を呼び出して再び取り調べを行う。魚を捕るには一瞬の判断が必要だと含みを持たせ、金桑に新たな証言を迫ると、金桑は王立德が岸に百済人の歌伎を囲っていたと語る。しかし本人を見たことはなく、証言は曖昧なものだった。その言葉を聞いた玉素は衝撃で倒れるが、劉中使は容赦なく拷問を命じる。玉素の悲鳴に周囲は心を痛めるが、彼女は意識を失うまで耐え抜く。
狄仁杰は曹安を制し、静かに玉素に真実を語るよう促す。玉素は、王立德が長期航海の後、大金を持ち帰って自分を身請けすると話していたことを明かす。劉中使はなお疑念を強め、狄仁杰に早急な成果を求める。すると狄仁杰は、事件当夜に易司事が密かに小舟で出港していた事実を指摘する。直後、濃霧が船を包み込み、霧が晴れた時には、易司事は桅杆に吊るされた遺体となって発見される。
あまりにも出来過ぎた展開に、狄仁杰は強い違和感を覚える。顧孟彬は恐怖から自室を離れ、護衛を引き連れて行動するようになる。航行不能と思われた船は、皮肉にも洋流に乗って正しい航路を進んでおり、狄仁杰は王立德の星盤に不審点があることを見抜く。
その頃、喬泰は玉素の無実を信じ、密かに看病を続けるが、そこへ白恺が現れる。彼もまた百済人であり、玉素が口を割る前に殺そうと企んでいたのだ。喬泰が阻止し、白恺の正体を暴くと、白恺は百済国の行く末を語り、朝廷内で軍械を流している人物の名を拒んだまま、海へ身を投げる。玉素はその姿に号泣するが、白恺は二度と戻らなかった。
狄仁杰は玉素の身柄を保護し、休ませるよう命じる。曹安は悪夢にうなされる玉素を見て心を痛め、狄仁杰が自分の乗船を止めた理由を改めて考える。一方、顧孟彬は密かに劉中使に賄賂を渡し、狄仁杰こそが疑わしいと告げ口する。疑念と陰謀が錯綜する中、真実はますます深い霧の中へと沈んでいくのだった。
第11話あらすじ
夜の帳が下りた海上、数隻の小舟が灯りを消して進み、やがて海の中央に停泊する官船を包囲する。その先頭に立つのは、黒い法衣と玄甲をまとい、獣の顔を模した仮面を被る謎の男。冷え切った黒い瞳で遠方を見据え、号令の時を待っていた。
その頃、拘束されていた金桑は、食事用の陶碗を噛み砕き、破片で手枷を外して脱走。兵を人質にして玉素の居場所を吐かせ、さらに侯愈を捕らえて人質とし、狄仁杰に玉素との交換を迫る。膠着状態の最中、「船が来るぞ」という声が上がり、金桑は合図の笛を吹く。狄仁杰が異変を察した瞬間、闇を裂くように矢の雨が降り注ぎ、官兵は混乱の中で次々と倒れていく。
侯愈は自らの命を顧みず、狄仁杰に羽林軍への伝令を急がせる。引き返した狄仁杰が見たのは、重傷を負い息も絶え絶えの顧孟彬だった。顧孟彬は最期に、易司事と共に黄金欲しさに王立德へ船を提供したことを悔い、自分が嵌められたと告白して息絶える。船上は依然として激しい戦場であったが、狄仁杰はすぐに気を取り直し、羽林軍を指揮して防戦に転じる。
やがて玉素が連れて来られ、人質は侯愈から玉素へと替わる。一方、仮面の男――黒焰は部下を率いて官船に乗り込み、物陰に怯える曹安を目にする。恐怖に震える彼女を見ても黒焰は刃を向けず、その姿が曹安の記憶の奥底にある過去を呼び覚ます。
狄仁杰は金桑と直接交渉し、人質解放を試みる。追い詰められたと思い込んだ金桑は、ついに正体を明かす。自分は黒焰の一員であり、王立德を欺いて黄金を奪うため、百済人の生存者を装い、航海図をわざと残し、桅杆を壊して官船を孤立させたのだと。そこへ仮面の男が姿を現し、狄仁杰が黄金の存在を明らかにしたことに感謝すると言い放つ。
金桑は玉素に刃を突きつけ黄金の在処を迫るが、次の瞬間、侯愈が放った矢が玉素を射抜く。誰も予想しなかった展開に場は騒然となり、混乱の中で金桑も射殺され、仮面の男は海へと逃走する。曹安は最後まで仮面の男の行方を追い、その無事を確認して初めて安堵する。
だが悲劇は終わらない。侯愈は劉中使が到着すると態度を一変させ、狄仁杰こそ外敵と通じた裏切り者だと糾弾し、その場で処刑を命じる。馬栄と喬泰は拘束され、助けに入ることもできない。数十本の矢が放たれる刹那、狄仁杰は曹安を抱えて荒れ狂う海へ飛び込む。仲間たちの叫びも虚しく、二人の姿は暗い波間に消えていった。
海中で意識が遠のく狄仁杰の脳裏に、かつて父・狄知逊が河に身を投げた光景が蘇る。しかし曹安は泳ぎに長けており、必死に狄仁杰を岸へと導く。二人は命拾いし、焚き火で身を温めながら洪亮の救援を待つ。狄仁杰は、曹安がこの船に乗ったのは「ある人物」に会うためではないかと問いかけ、人生について語り合う。曹安は答えぬまま、闇に沈む海を見つめ、並州の小調を口ずさむ。
数日後、王立德の腐乱した遺体が発見され、洪亮も合流する。狄仁杰は玉素が遺した断片的な情報と琴譜を手がかりに真相を組み立て、三枚存在する航海図のうち一枚を持つ“神秘の客”に辿り着く。さらに『潮汐志』の記述から、百年に一度の大潮が今日起こると推測し、単身で海溝へ向かう。そこに現れたのは、神秘の客に扮した――かつての友、侯愈だった。
第12話あらすじ
侯氏一門は三代にわたり官として、将として大唐に尽くしてきた忠烈の家系であった。しかしその栄光は、武后が朝政を掌握し、侯愈の権勢を奪ったことで音を立てて崩れていく。武后に反発する朝臣たちは水面下で結束し、やがて軍械の密輸という危険な道へと踏み込んだ。侯愈は彼らに選ばれた「仲介役」となり、王立德と手を組んで密輸のための航海ルートを構築していく。
だが、その黄金に目をつけたのが黒焰だった。王立德は、黄金が軍械へと姿を変えれば朝中の大物たちをも巻き込む大事になること、さらに黒焰が冷酷非情な組織であることを理解していた。どちらにも逆らえず、彼は侯愈を頼るが、それが破滅への第一歩だった。侯愈は状況を利用し、王立德が船員全員を殺した後に彼自身をも手にかける。王立德は海へ逃れ小島に潜伏するが、数日後、ついに命を落とす。
侯愈は王立德さえ消せば全てが闇に葬られると考えたが、船には百済からの密航者が一人残っていた。黒焰は大きな損害を被り、行動も露見して朝廷から追われる身となる。そこで金桑を「生存者」に仕立て上げ、蓬莱の有力者たちを陥れる策に出る。さらに航海図をわざと残し、狄仁杰らを海へ誘い出した。
この過程で易司事が疑念を抱かれ始めると、侯愈はためらうことなく彼を絞殺し、自殺に見せかけた。顧孟彬は侯愈の真の計画を知らなかったが、易司事の死に怯え続け、結果として侯愈に射殺されてしまう。狄仁杰は一連の出来事をつなぎ合わせ、侯愈が黄金の秘密を守るため、次々と人命を奪ってきた事実を暴き出す。
怒りを露わにする狄仁杰に対し、侯愈は自らの行いを「天下のため」と言い張る。黄金を握り、朝臣を取り込み、仕途を安定させねば妖后の専横を止められないのだと。確かに侯愈には才があったが、徳が伴わなかった。彼はついに狄仁杰に命乞いをするが、狄仁杰が即答を避けたことで心は完全に冷え切る。追い詰められた侯愈は、友をも討つ覚悟で狄仁杰に襲いかかる。
狄仁杰は終始守勢に徹し、かつての友を傷つけることを拒む。そこへ大波が押し寄せ、馬栄と喬泰が狄仁杰を引き離す。正気を失った侯愈は黄金を抱えたまま海へ沈み、その生涯を閉じる。彼もまた、権力闘争に呑み込まれた哀れな犠牲者であった。
こうして黄金密輸事件は完全に決着し、劉中使は京へ戻って復命する。狄仁杰は武后に対し、今後私貿易による黄金が二度と横行しないことを誓う。数日後、狄仁杰は曹安とともに寺へ参詣し、断崖をよじ登って桜の枝を摘み取り、ようやく彼女の笑顔を引き出す。その夜、洪亮は屋敷で宴を開き二人を引き合わせようとするが、曹安は思案の末、静かに席を辞した。
その後の蓬莱県衙には些細な事件が続く。鐘記質肆が質物を返さないという訴えに、狄仁杰は公正な調査を約束する。だが直後、「僵尸を見た」という新たな通報が舞い込む。目撃者は幼い子供で、芦葦の沼地で遊んでいたところ、湖面に浮かぶ青紫で硬直した死体を見たという。現場に赴いた狄仁杰、馬栄、喬泰は血痕を追い、荒れ果てた譙楼へ辿り着く。そこには民間信仰の雨師像――巨大で干からびた“鳥人”が吊るされ、異様な恐怖を放っていた。
楼内の二階には生活の痕跡があり、そこで正気を失った若い女・鶯児と遭遇する。さらに、兵士が独断で死体を運び去り焼却したと知った狄仁杰は、命令を下した李校尉に会う決意を固める。一方、馬栄と喬泰は兵の天幕で春宮図を発見し、物音に気づいて身を隠す。戻ってきた兵士たちは、激しい鞭打ち刑を受けたにもかかわらず、昨夜の行いを悔いていない様子だった――。
黄金事件の終焉とともに、新たな怪異と闇が、すでに狄仁杰の前に姿を現し始めていた。
大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る 13話・14話・15話・16話 あらすじ
大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る 各話あらすじ キャスト・相関図
















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