子夜帰(しやき) 2025年 全38話 原題:子夜归
第21話あらすじ
斛珠は自らが経営する酒楼に密偵が潜んでいることを見抜くが、追及せず銀銭を与えて静かに立ち去らせた。一方、梅逐雨は書類を確認しながら武祯への想いに浸り、無意識に微笑んでしまう。その変化に部下は密かに違和感を覚えていた。裴季雅が突然姿を消したことで、武祯は周囲にどう説明するか思案していたところ、黄左領と遭遇する。噂では彼女が二人の男を追い出したと言われており、黄左領は善意から宋堯という若く端正な人物を引き合わせた。宋堯は以前から武祯に想いを寄せていると語り、斛珠も彼を好印象に感じる。
そこへ梅逐雨が現れ、同業者を装って宋堯に治水や治安について質問を浴びせるが、宋堯は何一つ答えられず、武祯は思わず笑みを浮かべる。梅逐雨は黄左領に事件記録を手渡し、本道に専念するよう忠告すると、武祯の手を引いて立ち去った。その態度に、黄左領も余計な世話を焼く気を失う。梅四は武祯と梅逐雨が共にいる姿を信じ切れず戸惑うが、柳太真は二人の選択を支持し、真に愛せる相手に出会えたこと自体が奇跡だと語る。
四人で夜市を楽しむ中、突然雪が舞い、武祯は無邪気に喜ぶが、梅逐雨は両親を失った過去を思い出し、胸を痛める。その頃、無字書は暗闇に潜み、武祯を妖市へ連れ去る。彼は術で曲芸師の火を妖火へ変え、それを見た梅逐雨は幼少期の惨事を思い出し、深い恐怖に襲われる。無字書は武祯に梅逐雨への本心を問い、武祯は数ヶ月前から彼を愛し、共に生きる未来まで思い描いていると正直に打ち明ける。無字書は十八年間寄り添ってきた自分が選ばれなかったことへの嫉妬と痛みを露わにし、想いを告白するが拒絶され、怒りと屈辱から武祯を追い払った。
梅逐雨は心を鎮めて妖火を鎮圧し、街は平穏を取り戻す。柳太真は武祯を連れ戻し、夜市の喧騒の中で、武祯は亡き母と、梅逐雨が作ってくれたゆで卵を思い出す。梅逐雨は彼女を強く抱きしめた。やがて宮中から呼び出しがあり、皇后は二人の結びつきを認め、結婚を許可する。梅逐雨は人前で必ず武祯を迎えると誓い、短期間の公務で渠州へ向かい、十日以内の帰還を約束する。常曦宮に戻った彼を待っていたのは師兄と、新たに掌門となった長明であり、彼の前途にはなお緊張が漂っていた。
第22話あらすじ
常曦宮の新たな掌門・長明は、梅逐雨が妖市の異変に気づいた功績を高く評価し、直ちに宮を挙げて妖邪を追うべきだと提案する。しかし梅逐雨は、都に現れた墨虎は自然発生した妖ではなく、人為的に引き起こされた災いだと指摘する。その冷静な分析により出発は延期され、長明は梅逐雨を常曦宮の総管に昇進させようとする。
だが梅逐雨はその栄誉を辞退し、罰を受けてでも師門を去りたいと願い出る。それは、愛する武祯と結ばれるためだった。彼は長明の前に跪き、幼少期を回想する。飢えに苦しんでいた少年時代、森で出会った老人――長明に導かれ、常曦宮の門を叩いた日のこと。修行を重ねる中で、長明は彼に「真の修道とは心を修めることだ」と教え続けてきた。
長明は梅逐雨を思いとどまらせようとするが、決意は揺るがない。やむなく宮の掟を告げる。常曦宮を去る者は、白夜陣に入り「白夜穿身」の試練を受けねばならないという過酷な儀式だった。さらに密かに法陣へ細工が施され、試練は本来以上に危険なものとなっていた。
一方、妖市では武祯が梅逐雨と結婚するという噂が広がり、長老たちは妖と人の婚姻に反発する。しかし武祯は妖の掟を示し、禁じる条文が存在しないことを堂々と指摘。反対派を黙らせる。その頃、梅逐雨が姿を消して十二日も戻らないことに、国公は不安を募らせていた。
白夜陣に立った梅逐雨は、武祯への想いを胸に試練を受ける。無数の白鳥が空を覆い、肉体を容赦なく貫く激痛に晒される。さらに二度目の貫通という異常事態が起こり、命は風前の灯となる。その瞬間、師匠から授かった法器・常曦錘が覚醒し、眩い光で梅逐雨を守り、白鳥を退けた。
奇跡的に生き延びた梅逐雨を長明は案じるが、彼はもはや常曦宮の人間ではないとして滞在を許されない。さらに常曦錘を宮に返すよう告げられる。すべてを失ってもなお、梅逐雨の心にあるのはただ一つ――一刻も早く都へ戻り、武祯のもとへ向かうことだった。
第23話あらすじ
長明は常曦宮の名を盾に、梅逐雨から法器・常曦锏を返還させようとする。常曦锏は師が特別に梅逐雨へ授けた大切な品であり、彼にとっては何よりの形見だったが、大局を思い、断腸の思いで長明に手渡す。長明は法器を受け取ると、常曦宮を出た後は一切宮中のことを口にしてはならぬと厳命し、さらに武祯への誓いを立てさせ、完全な決別を求めた。
本来なら霜降が見送りを望んでいたが、二師兄が自ら志願して梅逐雨を山下まで送る。冷淡な態度を装いながらも、二師兄は愛馬を託し、静かに別れを告げる。梅逐雨は振り返り、常曦宮と師との思い出に胸を締め付けられる。かつて名を授けられなかったことを不満に思った日々も、今となっては師が彼の未来を見据えていた証のように感じられた。
その頃、裴季雅は恩人に会うため密林へ向かうが、現れたのは意外にも長明だった。視力回復を期待する裴季雅に対し、長明は冷酷にも任務失敗を責め、すでに利用価値はないと切り捨てる。逆上した裴季雅は正体を暴こうとするが、長明は容赦なく殺意を向ける。命からがら逃げ延びた裴季雅は、馬車で侍女二人が惨殺されているのを発見し愕然とする。そこへ無字書が現れ、すべてを見届けていたことを告げる。彼は如意楼で武祯を陥れた裴季雅への復讐を果たすため、冷酷にその命を奪った。
京城では、梅逐雨が逃婚して渠州へ去ったという噂が広がるが、当の本人は突如帰還する。武祯は怒って距離を置くが、梅逐雨は人目もはばからず彼女を抱き上げ、真っ直ぐ想いを示す。疑念を抱く武祯に対し、梅逐雨は母の霊前で誓いを立て、心はただ一人にあると打ち明ける。
二人は入宮し皇后に叱責されるが、梅逐雨の誠実な覚悟と無欲な姿勢に、皇后は次第に心を開く。幼い頃、武祯が天火の大難を生き延びた過去と、その後に抱え続けてきた孤独を明かし、梅逐雨は一生守り抜くと誓う。皇后はついに娘を託す決意を固める。
やがて下聘の日が迫る中、無字書は武祯を得るため邪煞・诡婴と手を組み、妖界に新たな陰謀が動き出すのだった。
第24話あらすじ
灰長老は完全に無字書へと寝返り、その命を受けて邪煞・诡婴の元丹を探し始める。都では不可解な怪異が相次いで発生していた。ある男は自分が蝶になったと叫びながら錯乱し、別の女は青い影に惑わされ火を振り回す。さらに、川に金魚を見たという者が、意識を失ったように水中へ歩み出るなど、人々は夢と現実の境を失い始めていた。
翌日は武祯と梅逐雨の大婚の日。しかし世は不穏な兆しに満ち、武祯は夜明け前に妖市へ赴き、異変に関する書を調べる。そこへ無字書が現れ、ある物を差し出すよう迫るが、武祯はきっぱりと拒絶。逆上した無字書は、貴重な孤本を焼き捨て、憎悪を露わにする。武祯は不安を胸に急ぎ帰宅する。
一方、国公府では梅四を中心に、梅逐雨に安易に花嫁を迎えさせまいと密かに画策。迎えに来た梅逐雨の前に棍棒を手に立ちはだかるが、彼は一切動じず受け入れる姿勢を見せ、逆に周囲を気まずくさせる。その時、豪華な婚礼衣装に身を包んだ武祯が姿を現し、誰もが息を呑むほどの美しさで場を圧倒した。
新居では柳太真と斛珠が祝福の花を挿し、二人は無事に夫婦の契りを結ぶ。互いの歩んできた道を思い返しながら、出会いから今日に至るまでの想いを噛みしめる梅逐雨と武祯。梅逐雨は、彼女のために師門を捨てる覚悟を決めた真心を改めて胸に刻む。祝福に包まれ、婚礼は円満に終わった。
しかしその夜、異変は再び起こる。梅四が青い妖光に取り憑かれ、柳太真との婚礼幻影に囚われて暴走。彼女は即座に異変を察知し、梅四を気絶させる。妖光は次に武祯へ移り、彼女は高楼へ登り、空を飛ぶ夢に誘われる。梅逐雨は瞬時に夢中妖の存在を見抜き、間一髪で彼女を救い出し、密かに妖を追い払う。
目覚めた武祯は自らが妖に憑かれていたことを悟り、ただちに妖市へ戻って対策を協議する。一方、梅逐雨もまた、この夢を操る小妖を必ず討つと決意するのだった。
第25話あらすじ
梅逐雨は、夢中妖が再び人に憑くならば如意楼に現れると見抜き、密かに現地へ向かう。一方、武祯も同じ考えに至り、妖市では凌霄が囮となって眠りにつき、夢中妖を誘い出す策が実行される。思惑通り夢中妖は姿を現し、武祯は機を逃さず捕縛する。現れた夢中妖の正体は、どこか愛嬌のある中年の男だった。
夢中妖は、自分は人の夢に入り込み、彼らの願望を叶えることで心の束縛を解いているだけだと主張する。それは害ではなく善行であり、互いに得をする行為だと信じて疑わない。しかし、その行いが現実世界に混乱をもたらしている事実は否定できなかった。武祯は彼を制御しようとするが、逆に術をかけられ、夢中妖の夢境へ引きずり込まれてしまう。
武祯は猫の姿となって如意楼を抜け出すが、足を滑らせ落下しかけたところを斛珠に救われる。その光景を偶然目撃した霜降は、自分の目を疑い、動揺を隠せずにいた。その後、夢中妖は妖市へ連行されるが、自らの正当性を主張し続ける。武祯は彼を妖塾で学ばせようとするものの、夢中妖はそれを嫌がり、むしろ妖獄行きを望むという奇妙な反応を見せる。
一方、梅逐雨と霜降は妖気の痕跡を追い、妖市の入口を探索する中で、妖市が長安全域に重なる“もう一つの長安”であることを突き止める。だがその裏で、無字书は掌門・長明と密かに手を組み、灰長老を使って夢中妖を解き放ち、さらなる混乱を引き起こそうと企んでいた。
霜降は如意楼で斛珠に再会し、命を救われた礼として彼女を「度化」したいと申し出るが、斛珠は強く反発する。霜降は、自分が見てきた彼女像に疑念を抱き始める。
新婚の梅逐雨は深夜に帰宅し、武祯の姿が見えないことに不安を覚える。実は武祯は妖市から戻ったばかりで、咄嗟に浴桶へ身を隠していたのだった。その不自然さに、梅逐雨は小さな違和感を覚える。
その頃、長明は弟子たちと共に長安へ入り、梅逐雨がすでに妖市の存在に気づいていることを知る。彼らは梅逐雨に協力を求め、妖市の門を開く計画を持ちかける。立場は違えど目的は同じと考え、梅逐雨はこれを受け入れる。
後日、梅逐雨と武祯は無字书と遭遇する。無字书は意味深な言葉で、武祯が夜な夜な自分の元を訪れているかのように匂わせ、梅逐雨の心に疑念を植え付ける。その夜、体調不良を理由に武祯がひそかに外出するのを、梅逐雨は眠ったふりをしながら見送っていた――。
子夜帰(しやき) 26話・27話・28話・29話・30話 あらすじ
















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