度華年 The Princess Royal 2024年 全39話 原題:度华年
第21話あらすじ
第21集 李蓉は計略に乗じて謝家に反撃する
上官雅は、李蓉が朝から晩まで政務に追われ帰宅しない姿を見て、その苦労を案じていた。李蓉は蘇容華に上官雅を送り届けるよう頼み、二人は道中、李蓉と裴文宣の関係について語り合う。蘇容華は、李蓉が裴文宣に心を寄せながらも、感情に溺れれば災いを招くのではと危惧していた。一方で上官雅は「裴文宣を愛していないなら早く離婚した方がいい」とあえて挑発的に助言し、李蓉が本心を見つめ直すよう促す。李蓉は何も言えず、自らの行動を省みながらも、まだ踏み出せずにいた。
家に戻ると、ちょうど裴文宣が出ていくところだった。すれ違う二人の間には微妙な距離が流れる。李蓉は「彼を避けていたのは自分の過ちだった」と素直に謝罪し、裴文宣も「気にするな。これも自分の選択だ」と穏やかに応じた。かつて「いつまでも君のそばにいる」と誓った裴文宣は、李蓉の「もう少し時間をくれ」という願いに静かに頷く。「君が望むなら、ずっと待つ」と言う裴文宣の言葉に、李蓉は涙を流し、二人の間にあった心の壁がようやく解けていった。
その頃、蘇容卿は柔妃と密会し、「今こそ協力してもらいたい」と切り出す。一方で、裴文宣は書斎に籠もることを選び、李蓉は少し寂しさを覚えたが、寝る前に頬へ軽くキスをされ、その温もりに心を和らげた。
一方、宮中では陛下が李蓉襲撃事件の真相究明を命じ、蘇容卿は師匠に上官家の協力を求める。裴文宣は陛下への謁見で白玉の簪を献上するよう命じられたが、それが柔妃に関係していると話したことで、陛下は激怒。「私の前で小細工を弄するな」と柔妃を叱責する。
夜、裴文宣は再び書斎に籠もった。彼がいない夜を過ごすことに耐えられなかった李蓉は、眠れぬままこっそり書斎へ向かう。衛兵が寝静まる中、忍び込もうとした李蓉は裴文宣に見つかってしまう。彼女は「冷たくしないで」と愚痴をこぼすが、裴文宣は「少し距離を置きたかっただけだ。君が自分の心を見つめ直せるように」と静かに答える。やがて二人は並んで眠りにつき、裴文宣は「やはりここが一番落ち着く」と呟いた。
翌朝、使用人たちは二人が寄り添って眠る姿を見て、そっとその場を離れる。裴文宣は、李蓉が蘇家に強い自信を持つ理由を尋ねる。李蓉は幼少期に初めて蘇容卿と出会った時の話を語り、彼が当時から卓越した洞察力を持っていたことを明かす。「恐ろしいのは人の心。でも私たちには越えてはならない一線がある」と語る李蓉の言葉に、裴文宣は深く頷いた。
その頃、謝家が突然、凶器を携えて陛下のもとに駆け込み、「李蓉が刺客を雇って自分たちを殺そうとした」と訴える。だがそれはすべて李蓉が仕掛けた計略の一部だった。表向きは告発された形を取りながら、実際には謝家の動きを封じるための罠だったのだ。李蓉は陛下に「自分が脅迫状を受け取り、裴文宣が暗殺されたと見せかけたのは、背後に潜む黒幕を炙り出すためだった」と説明する。謝家が動いたのはまさに李蓉の思惑通り。彼女は見事に計略を操り、敵の矛先を逆手に取って反撃を成功させたのだった。
第22話あらすじ
第22集 李蓉文宣が再び花火観賞に誘う
李蓉は法廷の場で玉佩(ぎょくはい)を取り出し、決定的な証拠として突きつけた。それは謝大人の実子の身元を示すものだった。李蓉は「滴血認親(てきけつにんしん)」の儀を提案し、二人に血を滴らせる。結果、血が融合し、父子関係が明白に。追い詰められた謝大人はなお否定するが、陛下は激怒し、殺人と偽証の罪で厳罰を命じる。裴文宣は新たに裴侍郎を推挙して調査を任され、朝廷はようやく一つの決着を迎えた。
その後、蘇容卿は李蓉を呼び出し、監察室を設立した真意を問う。彼女の健康を気遣いながらも、複雑な感情を隠せない。裴文宣は二人の密談に嫉妬を覚え、感情を抑えきれずに李蓉へ鋭い言葉を投げかけてしまう。だが、李蓉はその後も冷静に動き、牢獄にいる藺公子を訪ねた。黙して語らぬ藺公子に李蓉は牌を渡し、「人生にはまだ美しいものがある」と諭す。裴文宣は傍らで問いかける――「君は前世の最期に、何を見た?」と。李蓉が問い返すと、裴文宣は「花火だ」と答えた。あの正月、二人で見上げた夜空の光。李蓉が自ら唇を重ね、毎年その夜を共に過ごすと約束した思い出だった。今、二人は再び指切りを交わし、「口にしなければ、この約束は永遠に守られる」と誓う。
やがて、裴文宣の叔父が謝家の調査を進め、次々と罪状が明らかになる。謝家はついに断罪され、当主は死刑の上、北境へ流刑となった。これにより秦家の冤罪も雪ぎ、李蓉は「これでようやく終わらせられる」と皇帝に進言。皇帝もその働きを認め、正式に許可を与えた。
宮廷を後にする際、蘇容卿は李蓉に声をかけようとするが、裴文宣が先に現れ、「馬車にお乗りください」と促す。二人は蘇容卿の前であえて仲睦まじく振る舞い、彼に一切の隙を与えなかった。馬車の中では、李蓉が静かに裴文宣の肩に寄り添い、ふたりの絆がかつてないほど確かなものとなる。
一方、尋問の場では、謝大人が蔺霞の名を出し、「彼女に会ったことがあるか」と李蓉に問う。李蓉は「蔺霞は二年前に亡くなっています。蔺公子は彼女の子であり、あなたの血を引いています」と告げる。真実を突きつけられた謝大人は愕然とし、蘇容卿も驚きを隠せなかった。李蓉が語る細部は、かつて自分が彼女に話した記憶そのものであり――その瞬間、蘇容卿は気づく。李蓉もまた「前世の記憶」を取り戻しているのだと。
謝大人は李蓉に「今日の行動の真意は何だ。柔妃を野放しにするつもりか」と問うが、裴文宣が代わりに口を開き、「二度とこのような悲劇を繰り返さぬための行動です」と説明する。すべてを悟った謝大人は静かにその場を後にした。
外に出た李蓉の前に、再び蘇容卿が現れる。裴文宣は彼がすでに記憶を取り戻していると察していたが、蘇容卿は否定する。李蓉はふと「どこかで会ったことがあるような気がする」と呟くが、すぐに「きっと気のせいね」と微笑んだ。その言葉に蘇容卿の胸は締めつけられる。前世で愛し合いながらも結ばれなかった二人――彼は再び、李蓉を取り戻す決意を固めるのだった。
第23話あらすじ
第23集 新年宴で舞を披露した李川が標的にされる
上官雅は藺公子に「心配はいらない」と語りかけ、今回の出征で軍功を立てれば将来の道が開けると励ました。藺公子は決意を胸に旅立ち、上官雅が令牌を返してほしいと願うも、「国境では退屈だから」と笑って手放さなかった。その頃、蘇容卿は訪れた屋敷である令嬢から曲の助言を求められる。彼が穏やかに意見を述べると、令嬢は喜び、腕を絡めながら「また教えてくださいね」と微笑んだ。
一方、年越しを迎えた裴文宣と李蓉は家庭で餃子を作り、家族と共に笑顔あふれる団欒のひと時を過ごす。中に仕込まれた銀貨を引き当てたのは李蓉。裴文宣が冗談めかして「お金が欲しいなら、もっと良い言葉を」と言うと、李蓉は耳元で甘く囁き、邸内は笑い声に包まれた。雪が降りしきる中、二人は花火を見上げ、「君に家庭を築いてやる」という裴文宣の言葉に、李蓉はこの光景を一生守ると心に誓う。
一方、蘇容卿は街に出て孤独を紛らわせていた。周囲は恋人たちで賑わい、店主から「恋人を大切に」と提灯を贈られる。そんな中、蘇栄華は賭場で上官雅と遭遇し、意気投合して賑やかな夜を過ごしていた。
三日の朝――新年最初の朝議が開かれ、陛下は宴を催して臣下を労う。やがて柔妃の子である公主と粛王が、陛下のために舞と音楽を披露。公主は蘇容卿に伴奏を依頼し、彼を味方につけようとするが、李蓉が立ち上がり「終奏は私が」と名乗り出る。公主も断れず承諾。李蓉が琴を奏でると、わずか数小節で場の空気を支配した。姉妹の共演に粛王が剣舞を合わせ、さらに裴文宣が嫉妬心を覗かせながら二胡を手に取り演奏に加わる。三者の音色が響き合い、会場は見事な調和と熱気に包まれた。陛下も上機嫌となり、李蓉と裴文宣への称賛が鳴り止まなかった。
一方、陰に隠れた李蓉の妹は姉への嫉妬を募らせ、舞台の裏で拳を握りしめる。陛下が李川に意見を求めるも、李川は「陛下のご負担を軽くしたい」と述べるのみで、父帝の期待には応えられなかった。宴の後、失意に沈む李川を李蓉が励まし、「何があっても私はあなたの味方」と告げる。その言葉に李川は胸を打たれ、かつて太子の座を拒んだ自分を悔やむのだった。
その頃、裴文宣は蘇容卿と対峙する。蘇容卿が李蓉に近づくのを見て、「私の妻に人前で接近するのは控えてほしい」と冷静に告げ、「あなたにふさわしい相手を探す」とも言い放つ。二人の間に緊張が走る中、李蓉が現れ、裴文宣は彼女の手を取ってその場を去った。
蘇容卿の胸中には、前世での悲劇がよみがえる。かつて李蓉と裴文宣が苦しみ抜いた運命――今度こそ彼女を守るため、蘇容卿は密かに動き始める。学識ある者たちを集めて議論を交わし、公正な人材登用を推し進める彼の姿に、蘇父は誇らしげに微笑む。「科挙の公正こそ我が使命」と宣言するその言葉に、集まった学者たちは深く頭を垂れた。
だがその華やかな宴の陰で、次なる火種が静かに燃え始めていた――。
第24話あらすじ
第24集 裴文宣が昇進した途端に失神
裴文宣が立ち去ろうとした矢先、部下から「蘇容卿が人材集めに苦戦している」との報告が入る。彼はすぐに金銭を用いた巧妙な策を打ち出し、読書人たちの心を掴むことに成功。まもなく学者や書生が次々と志願し、都では裴文宣の名が広まっていった。一方、蘇容卿は粛王の家庭教師として仕えていたが、その授業の合間に柔妃が現れ、息子を部屋から下がらせて密談を持ちかける。柔妃は「裴文宣の金銭策は侮れない。こちらも急いで賢者を登用せねば」と迫り、蘇容卿に行動を促した。
同じ頃、上官雅は偶然、父と蘇容卿の父が「科挙制度の新設は世家の権威に対抗するため」と語り合うのを耳にする。二人は陛下の怒りを避けつつも、世家にとって有利な人材を登用しようとしていた。上官雅は急ぎ李蓉のもとに駆け込み、蘇容卿が科挙に強い関心を寄せていると報告。李蓉は「彼が政に関心を持つなど珍しい」と首を傾げつつも、裴文宣の弟子たちが増えれば学堂が盛り立つだろうと安堵していた。だが、その裏で蘇容卿が着々と動いているとは知らなかった。
その頃、劉大人は遊郭で豪遊の真っ最中に監察司の来訪を受け、肝を冷やす。李蓉が金箱を差し出し、「裴文宣が正当な手段で功名を得るため、公平な選抜をお願いしたい」と告げると、劉大人は平伏して承諾。やがて吏部の人事リストに裴文宣の名が追加され、王大人の確認を経て正式な叙任が決まった。
一方、蘇容卿もこの動きを察知。李蓉が劉大人と接触したことを知り、「突破口になる」と静かに笑う。裏では上官雅と蘇容華の奇妙なやり取りが続き、都の噂話も相まって、都中が新しい官職の話題で持ちきりだった。
そして迎えた朝議の日。李蓉は胸を高鳴らせながら裴文宣と共に朝堂へ向かう。新たな叙任が発表される中、裴文宣の叔父が選ばれるはずが、なぜか蘇容卿の名が呼ばれる。動揺が走る中、裴文宣の名も続き、六品のはずがまさかの“四品”という異例の大出世。驚愕と緊張のあまり、裴文宣はその場で気を失ってしまう。
陛下は慌てて太医を呼び、裴文宣を別殿で休ませた。診断は「過労および情の乱れ」。太医の「男女の交わりは控えるように」という言葉に、李蓉は顔を赤らめながらも献身的に看病した。だが、裴文宣が昇進の理由を問うと、李蓉は困惑するばかり。「私はそんな高官を望んだことはない」と訴えるが、全ては上官雅を利用した罠だった。
表向きは裴文宣の栄誉の昇進。しかし裏では柔妃と蘇容卿が仕掛けた離間の策が動いていた。劉大人が李蓉のもとに謝罪に訪れ、全てが柔妃の計画だったことが明らかになる。陛下の怒りは頂点に達し、粛王を試験官に任じた蘇容卿にも厳しい視線が注がれた。李蓉はすぐに陛下に拝謁し、「裴文宣の官位を撤回してほしい」と自ら願い出る。これは自らの立場を危うくする勇気ある行動だった。
その場に居合わせた柔妃は狼狽。言い逃れを試みるが、陛下は怒りを抑えきれず、彼女を平手打ちして「身の程をわきまえよ」と叱責。柔妃は屈辱に震えながら退室し、心の奥底で復讐を誓うのだった――。
第25話あらすじ
第25集 李蓉が花船を楽しみ、裴文宣が狂乱する
裴文宣と李蓉の間に、再びすれ違いの影が落ちる。李蓉は裴文宣に「弘徳を探したのか」と問いかけるが、彼が何もしていないと知ると、ふと蘇容卿の存在が脳裏をよぎる。皇太子・李川の婚礼をめぐる過去の出来事――当時、蘇容卿が婚儀の延期を進言したことを思い出し、彼が弘徳を知っていた事実から、蘇容卿もまた“過去の記憶”を持って転生していると確信する。蘇家の悲劇を覆すために戻ってきた彼の目的が、今ようやく明らかになった。
裴文宣は李蓉を抱きしめ、「最も恐ろしいのは十七年間お前の傍にいた蘇容卿だ」と本音を吐露する。李蓉は静かに微笑み、「もう心は揺れない」と告げるが、その言葉の裏に複雑な感情が滲んでいた。そんな中、蘇容卿は密かに柔妃へ書簡を送り、「弘徳は守れぬ。長期の策を練る時だ」と伝える。柔妃は李蓉の動向を察し、弘徳の一件が裏で裴文宣を陥れる罠だと気づく。
李蓉は弘徳の件を陛下に報告。陛下は「太子の婚期を遅らせるよう弘徳を唆した者がいる」と怒りを露わにし、弘徳を呼び出すよう命じた。李蓉が提示された符紙を手に取ると、その筆跡は裴文宣のものに酷似していた。しかし紙の香から、寺院製の安価な符紙であることを見抜き、裴文宣とは無関係だと判断。さらに弘徳の詐欺を暴き、彼の妻まで呼び出して真実を突きつける。陛下は激怒し、弘徳を捕らえさせた。
だが柔妃はなおも裴文宣と李蓉の仲を裂こうと画策する。「符紙は三世の縁を示す」と吹き込み、李蓉が太子を推せば禍を招くと陛下に進言したのだ。裴文宣が筆跡を確認した結果、それは明らかな偽造だった。李蓉は「もし李川が即位すれば、私たちは終わる」と怯え、裴文宣は「蘇容卿の策に違いない」と悟る。危機が迫る中、李蓉は「追い詰められたら離縁を申し出る」とまで言い出すが、裴文宣は「官位も名誉も要らぬ。ただお前と別れたくない」と必死に訴える。
しかし心がすれ違い、口論の末に李蓉は怒って屋敷を飛び出し、花船の宴を開く。都の噂が立つのを承知で、彼女はあえて遊女たちと舟を浮かべ、裴文宣を挑発しようとしたのだ。花灯が水面を照らす中、李蓉は美男子たちを侍らせ、手際よく宴を仕切る。その光景を見た裴文宣は、怒りと嫉妬に狂い、屋敷の物を叩き壊して荒れ狂う。だが、ふと机の上から李蓉の手紙を見つける。そこには、彼が不在だった間、毎日綴られた想いの言葉があった。涙に滲む文字を前に、裴文宣は胸を締めつけられ、李蓉のもとへ駆け出す。
その頃、花船では奇妙な余興が始まっていた。箱の中から現れたのは、李蓉の旧知・崔玉郎。彼は「友の陳厚照の冤を晴らしたい」と訴え、功名を奪われた怒りをぶつける。だが、酔いに任せて「一夜を共にしたい」と口走った瞬間――裴文宣が現れた。怒りに燃える彼は剣を抜き、李蓉を強引に抱き寄せて舟から連れ去る。
月明かりの下、小舟の上で見つめ合う二人。李蓉は「あなた、狂ったの?」と戸惑い、裴文宣はただ「もう二度と公主府を出るな」と命じる。その瞳に宿るのは、怒りではなく、愛ゆえの恐れだった。李蓉は理解できずに涙をこぼし、裴文宣もまた言葉にできぬ不安を抱えたまま、二人の距離は静かに広がっていった――。
 
  















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