度華年 The Princess Royal 2024年 全39話 原題:度华年
第26話あらすじ
第26集 李蓉と裴文宣が共にロマンチックな河灯を流す
激情と誤解の果てに、李蓉と裴文宣の愛が試される。
花船の夜の騒動の翌朝、二人の間にはまだ火花が散っていた。李蓉はわざと裴文宣を挑発し、彼の理性を試そうとする。しかし裴文宣は怒りに駆られて彼女を抱きしめ、衝動のままに唇を奪ってしまう。李蓉は必死に抵抗し、ようやく裴文宣は自らの行動を悔い、深く謝罪した。「お前の想いを、もっと早く知るべきだった」と。
裴文宣は「もう誰にもお前を奪わせたくない。ただ、お前の心に自分がいてほしい」と願いを吐露する。李蓉は涙ながらに「権力より、あなたの方がずっと大事」と語り、離縁を口にしたのも裴文宣を守るためだったと打ち明けた。互いの誤解が解け、二人は静かに寄り添う。
夜、二人は川辺で灯籠を流した。月光の下、無数の河灯が水面に揺れ、李蓉は「裴文宣と永遠に共にいられますように」と祈る。裴文宣は「権力では買えない感情がある」と語り、すべてを捨ててでも彼女を守ると誓う。二人は舟に身を寄せ、空へ昇る孔明灯を見上げながら、未来への願いを託した。
しかし、翌朝議ではその余韻も束の間。裴文宣の首には李蓉の爪痕が残り、朝廷中がざわめいた。陛下に呼び出された裴文宣は、礼部への異動を命じられるも拒否し、思い詰めたように「離縁を望みます」と告げる。さらに符呪事件の真相を語り、「あの符文は私の筆ではありません」と明かす。陛下は筆跡を調べ、やはり偽造と判明したが、それでも裴文宣への不信は消えなかった。
その頃、李蓉は新たな行動に出る。彼女は弘徳の筆跡を偽造し、全ての罪を蘇容卿に向ける計画を立てていた。これは、蘇容卿への明確な“宣戦布告”であった。弘徳を尋問した李蓉は、「一体誰に命じられた?」と迫り、ついに彼の背後に蘇容卿がいることを突き止める。弘徳は息子を案じていたが、すでに運命の糸は切れていた。
李蓉は陛下に直訴し、「裴文宣が私を無視し、離縁を望んでいます。弘徳は自白しました。奏上書をご覧になれば、蘇容卿との関係が明らかです」と訴える。だが、その奏上書はすでにすり替えられており、証拠は蘇容卿の罪を裏付ける形となっていた。追い詰められた蘇容卿は「もはや逃げ場はない」と悟り、最後の手段に出る――奏事庁を焼き払うのだ。
炎が夜空を染め、陛下と李川が駆けつけた時には、すでにすべてが灰と化していた。証拠は消滅し、人証だけが残る。陛下は激怒し、蘇容卿と李蓉を対面させるが、その場に向かう途中、弘徳が何者かに殺害されていたことが発覚する。
真実を握る者は消え、謀略の闇が深まる中――陛下はついに命じた。
「蘇容卿、弘徳の子を差し出せ。」
燃え尽きた灯籠の残光のように、二人の愛と信頼は再び揺らぎ始める。
そして新たな戦いの幕が、静かに上がろうとしていた――。
第27話あらすじ
第27集 李蓉文宣と離容華の告白
弘徳の死を受け、陛下は激怒。蘇容卿に対し、すぐに弘徳の子を解放するよう命じる。
「子を人質にしてまで己を守るとは、恥を知れ」と叱責されても、蘇容卿は沈黙を貫いた。彼は「兄・蘇容華を陥れようとする者がいる」と訴え、兄を守るためにすべての罪を引き受けようとする。李蓉はその光景に複雑な思いを抱き、沈黙のまま立ち尽くしていた。
やがて雨が降りしきる中、李蓉と蘇容卿は二人きりで対峙する。李蓉が「後悔はないの?」と問うと、蘇容卿は静かに「もう戻れない。身を滅ぼすとしても、前へ進むしかない」と答える。その瞬間、裴文宣が上奏文を届けに現れ、二人が並ぶ姿を見てしまう。裴文宣は穏やかに「李蓉をお連れしに来た」と言い、李蓉は迷いなく彼のもとへ。二人の間に流れた視線には、前世の記憶を共有する者同士の、言葉にならない理解が宿っていた。
一方、陛下の前で蘇容華はすべての罪を自らに背負おうとする。「弟を守りたい、それだけです」と。怒りに震える陛下は彼を退け、蘇容華は外で蘇容卿と再会する。兄弟の間に流れる静かな哀しみ――前世で兄が獄中で命を絶った記憶が蘇容卿の胸を刺す。今度こそ兄を生かしたいと願う彼に、蘇容華は「共にこの業を背負おう」と手を差し出した。
その夜、上官雅が酒を手に現れ、蘇容華を誘う。崖の端で語り明かす二人。夜明けとともに、蘇容華は長年胸に秘めてきた想いを上官雅に告白する。「ずっと、お前が支えだった」。上官雅も涙を流しながら応える。「私も、ずっとあなたを想っていました」と。ようやく結ばれた想いが、夜明けの風に溶けていった。
その頃、朝議では蘇容卿が自ら刑部尚書の辞任を申し出る。陛下の不信は深まり、裴家も巻き込まれる中、柔妃が涙ながらに罪を認めるふりをして裴文宣を陥れる言葉を口にする。結果、陛下は裴文宣と李蓉の離縁を正式に認めた。だがそれは、二人が仕組んだ“偽りの別れ”だった。李蓉は人目の前で泣き崩れ、裴文宣は冷たく去っていく――そのすべてが、敵を欺くための演技だった。
翌朝、李蓉の目は腫れ上がり、皆は彼女の悲嘆を信じた。だが真相は違う。李蓉は弟・李川に打ち明ける。「唐辛子粉を食べただけ。泣いているように見せかけたの」と。彼女の涙は、策の一部にすぎなかったのだ。李川は姉を心配しつつも、その冷静な覚悟に言葉を失う。
皇后は柔妃を皇太子妃にしようとする動きを阻み、陛下もそれを了承。李川の将来を案じる李蓉は、彼の婚姻問題にも密かに目を配っていた。
一方、蘇容卿は静かに琴を弾きながら、敗北を噛みしめる。彼の本当の狙いは李蓉と裴文宣を離縁させることではなく、裴文宣の官職を奪うことだった――だが、それは裏目に出た。
李蓉は次の一手を打つべく、崔玉郎を呼び出す。彼に再び協力を求めるが、崔は泥酔したまま「三日後、あの場所で会おう」とだけ言い残す。李蓉は微笑み、「場所はこちらで決める」と冷静に言い放った。彼女の瞳には、再び策略の光が宿っていた。
第28話あらすじ
第28集 崔玉郎が朝議で太子を弾劾する
裴文宣は、李蓉が一人で崔玉郎を訪ねると聞き、不安を抑えきれず密かに後をつけた。闇に紛れ、二人の会話を耳にしながら、裴文宣の胸には抑えがたい嫉妬が渦巻く。崔玉郎が李蓉に向ける視線、その柔らかな声――そのすべてが、理性を焼き尽くすように彼を苛んだ。剣を抜きたくなる衝動を必死に堪えながら、裴文宣は陰に身を潜める。
一方、李蓉は冷静だった。崔玉郎の言葉の端々に、まだ心に燻る怨念を感じ取る。彼は柔妃に仕えていながらも、過去の事件――「秦氏の件」への未練を抱えていた。李蓉は問い詰めず、ただ「なぜ私を選んだの?」と静かに尋ねる。崔玉郎は「これはあなたへの贈り物だ」と答え、彼女への忠誠を誓う姿勢を見せる。だが、李蓉はその“贈り物”の裏に潜む思惑を見抜いていた。彼女は表情を変えず、柔妃の側近として潜入させる密命を与える。そして裏切りを防ぐために、毒薬を渡した。「柔妃が失脚したら、解毒薬を渡す」と告げるその言葉に、崔玉郎は冷たい笑みで頷いた。
物陰からその様子を見ていた裴文宣は、嫉妬と安堵の狭間で揺れていた。李蓉が崔玉郎の美辞麗句に心を動かされなかったことに、胸の奥で小さく笑みを漏らす。その後、崔玉郎が乗る馬車の車輪をわざと外し、歩かせて帰らせた裴文宣は、ひそかな勝利感に満たされていた。
翌朝、朝議の場で裴文宣はまだ機嫌を直さず、李蓉を見てもすぐに席を立つ。場の空気が冷たく張り詰める中、突如、崔玉郎が口を開いた。
「太子李川を奏上いたします」
その言葉に朝堂は騒然となる。李蓉の顔がこわばる。弟の名がここで出るとは――。崔玉郎は「太子は徳に欠け、礼部の職務を怠った」と断言。陛下は激怒し、即座に板打ち三十の刑を命じた。結局、太子は宗祠で跪く罰を受け、崔玉郎も二ヶ月分の俸禄を没収される。
李川は失態を悔い、李蓉は彼を慰める。「母上の言葉は怒りからよ。気にしないで」と優しく諭すが、李川の胸中には新たな不安が芽生えていた。――もし柔妃に新たな子が生まれれば、自分の立場はどうなるのか。権力と血脈が交錯する王宮の現実が、彼を蝕み始めていた。
柔妃は崔玉郎を懐柔しようと画策するが、太子の弾劾が尾を引き、軽率に動けない。代わりに部下に命じて彼を監視させる。崔玉郎が太子に呼び出される姿を目撃した者がその報告を持ち帰り、柔妃の疑念はさらに深まった。
その頃、蘇容卿は街で施粥を行い、民心を掴もうとしていた。表向きは慈善活動だが、その裏には政への布石がある。そこに偶然、李蓉が現れる。互いに視線を交わすが、言葉はなかった。
「昔はあなたの背を追うだけだったのに、今はもう立場が逆ね」
李蓉の小さな呟きに、蘇容卿は微かに笑い、何も答えず去っていく。その背に、かつての優しさと今の冷酷さが重なって見えた。
直後、仮面をつけた裴文宣が現れ、李蓉は思わず息を呑む。彼は嫉妬と焦りを隠しきれず、ただ彼女を抱き寄せることでしか想いを伝えられなかった。李蓉はそんな裴文宣を見つめながら、蘇容卿の動きの真意を探る。
やがて、上官雅が陳厚照を伴って蘇容卿のもとを訪れる。陳厚照は、蘇家が自分を買収し口を封じようとしたと暴露。蘇容卿の狙いが「庶民救済」ではなく「上層部掌握」であることが明らかになる。
夜、崔玉郎は柔妃の前に再び姿を現した。
「陳厚照は李蓉に告げ口に行きましたが、その後行方不明です」
柔妃は微笑みながら頷く。「明朝、陛下に報告いたしましょう」
崔玉郎の唇がゆがむ。「李蓉は陳厚照を殺したに違いありません。この件を利用すれば、李蓉を監察司から追放できます」
灯りが揺れる夜の宮廷。
愛と嫉妬、忠誠と裏切りが、静かに火花を散らしていた――。
第29話あらすじ
第29集 李蓉が辞任を申し出て粛王の後継を推薦
柔妃を訪ねた李蓉は、旧友の微笑の裏に潜む不穏な気配を感じ取っていた。柔妃は懐かしげに語りかけながらも、実は助けを求めていたのだ。春闱試験で発生した「なりすまし事件」――柔妃はその真相を探り、李蓉が現場を見たのではないかと問い詰める。陳厚照の名が暗に示され、李蓉は息をのむ。柔妃がすでに裏事情を把握していると察した李蓉は、動揺を隠してその場を辞した。
宮を出た李蓉は部下に「しばらく裴文宣とは会うな」と命じる。彼女自身が監視されていることを悟っていたのだ。だが朝廷では、李蓉が事件を知りながら報告を怠ったと弾劾の声が上がる。李蓉は潔白を主張しつつも、陳厚照失踪の証拠が次々と突きつけられ、立場を追い詰められていく。陛下・博彦は激昂し、李蓉を呼びつけて問いただす。「なぜ捜査を進めぬのか!」
李蓉の答えは静かだった――「調べたくないのではなく、調べられないのです」。
その言葉に陛下は一層怒り、「しばらく休め」と命ずる。だがそれは、李蓉を政から遠ざけるという宣告に等しかった。
その頃、遠く辺境にいる秦真真は、李川から届く手紙に心を慰められていた。離れていても互いを想う気持ちは変わらない。再会の日を信じ、彼女は耐えていた。
一方、監察司は一時的に柔妃の手に渡る。粛王を支援するための李蓉の策略だったが、柔妃はその権力を得てさらなる野望を燃やす。「この剣を振るわねば、鋭さはわからぬもの」と言い放ち、粛王もまた複雑な表情を浮かべた。
裴文宣は李蓉の行動を案じ、夜陰に紛れて彼女に会いに向かう。だが、偶然にも屋敷の塀で崔玉郎と鉢合わせ、誤って殴り倒してしまう。崔玉郎が報告のために来たと知ると、裴文宣は慌てて謝罪し、すぐに李蓉のもとへ向かった。
侍女たちを下がらせ、静まり返った湯殿で再会した二人。裴文宣は問い詰める――「柔妃に監察司を渡したのは、お前の計画なのか?」
李蓉は沈黙ののち、「今は粛王を守る時」とだけ答える。互いに立場を理解しながらも、心の距離は縮まることはない。裴文宣は「その補償を」と冗談めかして言い、二人は湯煙の中で口づけを交わした。
翌日、陛下は李蓉が自ら監察司の職を辞し、後継を粛王に託したと発表する。裴家の叔父たちは猛反対するが、李蓉は「弟に任せることも鍛錬の一つ」と毅然と答えた。陛下は柔妃に粛王の補佐を命じ、こうして朝廷の権力図は再び動き出す。
そこへ急報が入る――春闱試験に不正があったとして、多くの受験生が城門を塞ぎ、陛下への直訴を試みているという。陛下は「この件を引き受ける者はおるか」と問うと、裴文宣が一歩前に出た。だが蘇容卿が「太子こそ適任」と遮り、李川が援護に回る中、柔妃が現れて「この件、私が預かります」と宣言。裴文宣は一瞬驚いたが、すぐに安堵の表情を見せた。
柔妃は粛王を伴い、門前の受験生たちと直接対峙する。学者たちは声を揃えて訴える――「陛下自ら試験を監督し、世家の推挙による官職登用を廃してほしい」と。
それは長年、貧しき家の子弟たちが抱いてきた悲願だった。柔妃は深く頷き、自身の貧しい出自を明かしながら、彼らの思いに共感を示す。
その頃、李蓉は崔玉郎を再び呼び出し、柔妃の出方を確認した。すべてが計画どおりに進んでいる。柔妃が自ら動けば、いずれその責任も彼女に降りかかる――李蓉はそう読んでいた。
一方、蘇容華は上官雅に薊公子の正体を明かす。彼は謝家の私生児であり、家柄を隠して不正を重ねてきた一族の出だと。かつての宮女殺害事件にも彼が関わっていたという。蘇容華は長年手放さなかった幸運のサイコロを取り出し、上官雅に贈る。
「これは俺の運命を導いたものだ。次は君の番だ」
上官雅はその贈り物を両手で受け取り、涙をこらえながら微笑んだ。
――権力が渦巻く中、それぞれの思惑が交差する。
李蓉の辞任は終わりではなく、新たな戦の幕開けだった。
第30話あらすじ
第30集 粛王が自ら主考官を志願するが拒否される
裴文宣が静かな部屋に戻ると、そこには思いがけず李蓉の姿があった。李蓉は再び疑念を抱いていると打ち明け、裴文宣は深く頭を垂れ、算盤を手に地面に跪いて謝罪する。彼は官選制度の改革を願っていたが、李蓉にはそれがあまりに危うい賭けに思えた。成功すれば国の礎を揺るがす偉業となるが、失敗すれば二人とも奈落へと落ちる。裴文宣はそれでも立ち上がらず、ただ「君を守る」と誓った。李蓉は心配を隠し、去り際にそっと唇を寄せる。二人の距離は、戦場のような政の中で再び交差していた。
その頃、蘇容卿は柔妃のもとを訪れ、「今日の決断はあなた自身の意思か、それとも誰かの入れ知恵か」と問いただす。柔妃は微笑み、「どちらも正しい」と答えた。柔妃自身、この一手に危険が伴うことを承知の上だった。彼女の配下は、「いっそ蘇容卿も巻き込むことができた」と報告する。すべては、柔妃が権勢の頂点に立つための布石にすぎなかった。
裴文宣は多くの学者と会見し、柔妃も同席する。裴文宣は自ら進んで騒動の処理を引き受け、柔妃はその提案を承諾。二人の協力により、不正を働いた書生たちは一斉に捕らえられ、民衆は喝采を送った。柔妃の裴文宣に対する態度も変わり、罰を受けた書生たちに再試験の機会と銀銭での補償を提案する。裴文宣は静かに頷き、その真意を探りながら受け入れた。
柔妃は次なる「大物」を狙う――その標的は王大人。彼は金を払って事を収めたつもりだったが、今度は自ら罪に問われる。裴文宣は証拠を欠きながらも王邸に踏み込み、強引に王大人を連行した。そこへ蘇容卿が現れ、「王大人を休ませ、代わりに裴文宣を監禁せよ」と命じる。剣が交わる緊張の中、裴文宣は「試してみよう。どれほど私を閉じ込められるか」と静かに告げた。
李蓉は裴文宣が捕らえられたと知り、いてもたってもいられず宮門へ向かう。しかし離縁した身ゆえ、宮中には入れない。焦燥の中、ただ彼の無事を祈るしかなかった。
一方、牢の中の裴文宣は不思議と落ち着いていた。蘇容卿が尋ねると、「柔妃を焦らせるためだ」と明かす。二人は互いの胸中を探り合い、裴文宣が「お前はいつ“愛”を知った?」と問うと、蘇容卿は「夢のようなものだった」と答える。箱にしまった竹蜻蛉――それは彼が一度失った希望と再び得た救いの象徴だった。だが二人の目的は依然として交わらない。裴文宣は改革を、蘇容卿は秩序を守ろうとしていた。
やがて李蓉は江南から戻り、蘇容卿の屋敷を訪れる。「あなたを恨んだことは一度もない。たとえ私を殺しても、理解できる」と涙ながらに訴える。その言葉に蘇容卿は黙し、李蓉は裴文宣を救い出して去っていった。彼は軽い傷を負っていたが、笑みを絶やさなかった。李蓉が「なぜ王大人を狙ったのか」と問うと、裴文宣は柔妃が両派を利用して利益を得ようとしていたと語る。それでも裴文宣は柔妃に詩を贈り、あえて挑発するように礼を尽くした。
柔妃は王大人を見せしめにし、貴族たちの動きを封じ込めようとする。だが裴文宣が王大人を装って柔妃に手紙を送りつけたため、怒りを爆発させた柔妃と粛王は、王大人を厳しく拷問する。
「私は確かに金を払った。それでも足りぬなら、土地を差し出そう」と彼は叫ぶが、柔妃は容赦しなかった。すべてを悟った王大人は、「せめて鳥を放してやってくれ」と最期の願いを口にし、静かに運命を受け入れた。
その後、粛王は陛下に上奏し、「科挙の不正を正すため、自ら主考官を務めたい」と申し出る。だが陛下は「まだ若い」としてこれを却下。代わりに群臣たちは裴文宣を強く推挙し、彼の名声は一層高まっていく。
一方、陛下は目覚めた際に突如視界が霞み、何も見えなくなる異変に気づく。しかしこのことを誰にも漏らさぬよう命じた。その直後、朝議で柔妃を主考官に任じようとした瞬間、裴文宣が現れる――。
再び彼の肩に重責がのしかかる中、裴文宣は新たに「武挙(武官登用試験)」の実施を進言。陛下は深く頷き、「よい考えだ」と応じた。
だがその時、宦官が密かに耳打ちする。
「陛下は数日来、起床のたびに一時的に視力を失っておられます」
裴文宣は天を仰ぎ、静かに息を吐いた。
――嵐の前の静けさ。空の色が、確かに変わり始めていた。
度華年 The Princess Royal キャスト・相関図 あらすじ
 
  















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