悪との距離 あくとのきょり 2018年 全10話 原題:我們與惡的距離 英題: The World Between Us
第5話あらすじ
第五話 罪人
罪人は悪人か
人気配信者・ピンキーの自殺。原因は恋人との口論だと報道され、恋人の馬氏は批判を浴びる。
陳昌の母親に会いに行く王弁護士と美媚。母親は、遺族に謝罪し、和解を望んでいた。しかし、子供を亡くした遺族のことを考慮すると、罪を償うしかない、という王だった。
車内に戻った王と美媚。美媚は、陳の母を社会に与えた影響に見向きもしない自分勝手な人と話す。一方で、王は殺人事件から目を背け、殺人犯を抹殺しても、次の犯罪者が生まれるだけだ、と現実を突きつける。
王は再び李暁明と面会をする。家族は一生社会的な責任を負って生きていることを話し、動機を解明する事で事件の責任と向き合うことを説得する。
カウンセリングに行く劉と宋。アドバイスを受けてそれを実践する劉と、禁酒を始めた宋。少しずつだが、二人は歩み寄ろうしていた。
思聡のことを相談する思悦。大芝は、自身の過去もそうであったように、立ち向かえば現状が良くなるはずだ、と励ます。しかし、思聡は薬が症状の一部にしか聞いておらず、幻聴・幻覚に悩まされる。
そんな中、李暁明が上告を望んでいると連絡が入る。そして、家族にも面会する意向を示す。
ところが、今夜9時、李暁明の死刑が執行されるとの報道。突然のことに、家族に電話をかける大芝。人気のない場所に移動したものの、たまたま居合わせた宋に、事件の加害者家族であることを知られてしまう。
弁護士や家族に通知されることなく、殺人犯・李暁明の刑は執行される。真相が闇に葬られてしまったことに、王はひどく落胆してしまう。 家族のもとへ急ぐため、大芝は会社を早退する。それを見た宋は、独占スクープだと言って、撮影班に大芝を尾行させるのだった。
第5話感想
第五話を見終わった後に見たタイトル、「罪人」が非常に意味深長でした。美媚のような罪人=悪人という考えに一石を投じたように思います。
例えば、配信者ピンキーの自殺は、まるで恋人が彼女を殺したかのように批判が集まりました。恋人との口論が自殺の間接的な理由なのかもしれません。しかし、馬氏は罪を犯した罪人ではありません。
一方で、王弁護士が李暁明に言った「君の家族は死刑よりも重い、社会的な責任を一生背負って生きている」というセリフは、殺人犯の心を動かしました。ずっと動機を白状しようとしなかった罪人が、家族への影響を考えた結果、面会と上告を希望したのだと思います。これが悪人であれば、他者のことなど眼中にないことでしょう。
私たちは、犯罪者と耳にすれば、彼らは生まれながらにして「悪」であるから蔑ろに扱っても良い、と考えがちです。しかし、罪人≠悪人であり、彼らにも人権があることを忘れてはいけません。
第6話あらすじ
第六話 銃声のあと
事件はまだそれぞれの中で
李暁明の遺体を引き取る報道がされる。もし家族が社会から逃げるなら国が賠償金を払うことになるだろうとリポーターが締めくくった。
無許可で報道したことに対し激昂し、殺人犯の家族が生きる権利はないのかと抗議する大芝。宋に息子が生きる権利はないのか、と反論される。メディアは兄以上の殺人犯だと言って去っていった。
思悦が帰宅し、自身の兄が李暁明だと伝える。しかし、思悦は殺人犯の妹であっても、兄がしたことと大芝は無関係だ、と気にする素振りを見せなかった。
李家族を報道したことで、またも口論になる劉と宋。家に帰ってきた天晴は、再び叔母の家に帰ることになった。
世間から嫌がらせを受けながらも、音信不通の大芝を探しにSBCへ李両親がやって来る。廖は、唯一の情報である、会社に提出された住所を渡す。
渡された住所を頼りに、両親は大芝を探す。そこへ帰宅した思悦と遭遇し、事情を話し家へあげもらう。ずっと連絡が取れなかったことを叱るが、報道部で働いたことを謝る大芝を優しく慰める。
弁護士・王は、思悦に思聡の事件が不起訴になり、幼稚園側も訴えないことを伝える。また、李両親から報道ではないとされていた遺書を受け取る。そこには、家族への謝罪と生まれ変わっても同じことをするとつづってあった。
カウンセラーからのアドバイスを受け、今までの謝罪と感謝を伝える劉。しかし、宋には嫌味にしか聞こえていなかった。
思悦の父が、心臓発作のため入院することになる。見舞いに来た思聡に励まされ、一緒に良くなろうと言う父。そして、思悦は思聡に一緒に住むことを提案する。 映画館に来た劉と宋。上映時間が近づき入場しようとするが、事件当時を思い出す宋。天彦を一人劇場内に残した後悔に苛まれ、涙が止まらない。
第6話感想
事件の真相についてあやふやなまま、李暁明の死刑が執行されてしまいました。しかし、前話で王弁護士が言っていたように、事件はまだ終わったわけではありません。
無許可で報道されてしまった加害者家族は、いわゆる事件の終着点とも言える息子の死刑執行にもかかわらず、またも嫌がらせを受けてしまいます。おそらく、再び同じような事件が起きたとき、彼らは話題に出され、社会的な責任を問われるというループを繰り返してしまうでしょう。
この悪循環を食い止めるためには、マスメディアのモラルが重要になってきます。今作のテーマであるメディアのモラル問題が、非常にリアルに描かれていました。果たして報道に関わる登場人物たちは、現状を改善していくことができるのか、必見ですね。
また、遺族のその後も劉と宋を通して描かれていました。少しずつではありますが、事件を振り返っていき、二人の距離は再び近づいているようでした。時間だけでは、心の傷は癒えないことがひしひしと伝わってきて、心が締め付けられました。
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