悪との距離 あくとのきょり 2018年 全10話 原題:我們與惡的距離 英題: The World Between Us
第7話あらすじ
第七話 いじめ
第三者と責任
陳昌に無期懲役の判決が下される。しかし、本人は死刑を望んでいるようだった。
婚約者・凱子(ガイズー)の母親から結婚前に健康診断を受けることを勧められる思悦。その理由は、統合失調病が遺伝を杞憂してであった。
SBCを退社することになった大芝。廖に引き止められるが、自身の家族が報道されたことに無力さと憎しみを感じ、報道とともに関わる人も変わるべきだと話す。最後に宋に会い、今までの感謝と兄に代わって謝罪を伝えた。
陳のことで精神科医・林一駿(リン・イーシュン)へ相談をする王。精神病を患う犯罪者の現状を、精神科医たちが改善できると訴えるが、慈善病院でさえ患者を助けきれないとあしらわれる。
李暁明の模倣犯の母親から修正と謝罪を求める動画がネット上で拡散されていた。動画は、息子が知的障害と精神障害を患っていて、学校でいじめられていることを報道という旨だった。その中、母親は息子とともに行方知らずになってしまう。
Facebookで娘が殺されるかも、というメッセージを受け取って以来、日に日に脅迫メッセージが増えていく。美媚は、コメントもサイトもブロックしたようだった。
その中、親子は遺体として発見された。二人の心中の原因は報道にある、という民衆の考えから、SBCにも抗議の電話が殺到する。
母子が亡くなったことを受けて、父親のもとに報道陣が集まる。
買い物帰り、美媚はバイク事故に遭ってしまう。衝突はしなかったものの、助けようとした思聡に驚き、転んでしまう。
宋は、初心に戻ってニュースに関わり、内部から改革していくことに意欲を示す。
喬平と一駿夫婦の間に妊娠が発覚する。しかし、二人の雰囲気は喜ばしいものではなかった。
第7話感想
第七話では、中学生の李暁明の模倣犯が登場しました。この一連の事件を通して、マスメディアがいじめっ子、報道される親子がいじめられっ子、そして、民衆がいじめの傍観者として描かれていたように感じます。しかし、今回はメディアのモラルではなく、第三者である民衆のモラル欠如が強調されていたように思いました。
模倣犯がただの愉快犯であれば、民衆は一斉に犯人を批判するでしょう。これは、いじめられる側に問題があると考えて、いじめに加担するのと同じです。ところが、今回の事件は、いじめられっ子に同情を誘われ、いじめっ子・メディアを非難する、という流れでした。
この無責任な世論は、私たちの日常でも起こりうることに警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。いじめを傍観するのはいじめと同じだ、とよく言われますが、私はいじめを客観視できず、どちらかの肩を持つことも、一種のいじめなのではないかと思いました。さらにタチの悪いことに、第三者はほとんど責任を負う必要がありません。
いじめに対する態度を今一度考えさせられる回でした。
第8話あらすじ
第八話 人は皆 病んでいる
暗闇の中でもがく
バイク店で殺人事件が発生。遺族は、犯人と父親が欠勤や昇給などでもめていたと語る。一方で、犯人の妻は、月給3000元では仕事をするのもしないのも変わらないと店長を批判。
事故で転んでしまった美媚。病院に搬送され、子供が800グラムと危険な状況で生まれてしまう。
思聡は、大学時代の友人と共に映画監督補助の仕事をすることに。しかし、仕事についていけず、監督に怒鳴られるばかりで、また幻聴が聞こえるようになってしまう。
宋は、妹・喬平に劉と天彦の話ができたと伝え、明るい表情を見せる。一方で、喬平は妊娠が発覚してから、夫・一駿との関係が悪化していた。
義父から美媚が脅迫メッセージに怯えていたことを伝えられる王。理想ばかりを追い求めすぎるな、と釘を刺される。
偶然にも店で大学時代に付き合っていた先輩と再会する大芝。事件後に連絡しなかったことを謝られ、二人はデートに行くことに。
仕事終わりに飲んでいた店で客ともめたと連絡があり、思悦、凱子(ガイズー)、大芝が駆けつける。しかし、凱子が弟より新車の心配をしたことに腹を立てた思悦は、凱子を残して帰ってしまう。
出産に乗り気でなかった喬平が、前向きに検討していることを一駿に伝える。しかし、一駿は病んでいるこの社会で、子供に人生を歩んで欲しくないと、乗り気でなかった。
家のことで苦悩する王に、陳昌(チン・チャン)が独房で自殺したことが伝えられる。そこへ追い討ちをかけるように、危篤状態だった息子が亡くなってしまう。
美麗境界での李家族報道により、メディア各局が店に押し寄せる。身に覚えのない大芝だったが、犯人は先輩だと気づき、激昂する。その最中、思悦は弁護士・王に助けの電話をかけるのだった。
第8話感想
第八話を通して「マスメディアの善悪」が浮かび上がってきました。大芝に許可を取らず、家族や彼女の現状を記事にした大学の先輩。当事者への影響を考慮せず記事にしてしまうその姿勢は、罪悪感すら感じていませんでした。また、冒頭のニュースでは、被害者家族と加害者家族の意見の食い違う報道がされました。
しかし、彼らは面白そうな話題に食いついているだけで、時が過ぎれば違うネタへ。それは、視聴者も同じで、報道直後は批判の嵐。他のビッグニュースがあればすぐにでも事件を忘れてしまいます。取材を受ける側の権利を無視すること、攻撃的なコメントを残すことへ人々は慣れてしまったように感じました。
この悪循環がはびこる社会は、人は皆病んでいるから、それぞれに心の闇があるからできてしまったのかもしれません。
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