清明上河図(せいめいじょうかず):隠された暗号 2024年 全26話 原題:清明上河图密码
第21話あらすじ
― 見世物にされる命、守るための犠牲、そして黒幕への道筋 ―
第21集は、雅園という閉ざされた地獄の内部が赤裸々に描かれ、「権力に守られた残虐さ」と「それに抗う弱き者たちの覚悟」が正面からぶつかる回である。同時に、趙不尤がこれまで隠し続けてきた“判断”が、取り返しのつかない結果を招いてしまったことも突きつけられる。
雅園の奥では、八嫂が見るも無惨な姿で拘束され、殴打によって全身傷だらけになっていた。そこへ現れたのが栾回である。彼は突然「中軍を一人選ぶ」と宣言し、その場にいる者たちをゆっくりと見回す。賓客のいる者、使い道のある者は避け、最後に視線を止めたのは、最も“不要”と見なされた八嫂だった。八嫂は恐怖に震え、周囲の空気は一瞬で凍りつく。
八嫂は逆さに吊るされ、墨汁で満たされた大きな缸に頭を沈められるという、常軌を逸した拷問を受ける。目的は命ではなく、見世物として「文字を書かせる」ことだった。彼女は髪を筆代わりに必死で字を書き上げるが、周囲の権力者たちは彼女の生死など気にも留めず、ただ清明上河図を模した絵画を楽しみ、歓声を上げている。この場が、人の命を娯楽に変える狂気の空間であることが強調される。
書き終えた八嫂はすでに限界に近い状態だったが、それでも栾回は満足しない。彼は、叫び声を上げる趙瓣儿に目をつけ、「生意気だ」と言わんばかりに、彼女の目の前で八嫂を再び殴りつける。鼻血を流し、今にも命を落としそうになる八嫂。そのとき、烏眉児が密かに卓上の瓶を落として割り、注意をそらす。この小さな機転によって、八嫂はかろうじて即死を免れる。
一方その頃、趙不尤は張択端に関する情報を精査する中で、馬車に残された烙印が雅園と繋がっていることに気づく。妹がいる場所が特定され、事態は一刻を争う状況となる。趙不尤は人を集め、雅園へ急行する決断を下す。
雅園内部では、趙瓣儿が持ち前の胆力を発揮し、脱出の機会をうかがっていた。烏眉児はそれがほぼ不可能であることを知りつつも、趙瓣儿の覚悟と「必ず兄に知らせる」という言葉に心を動かされ、唯一外へ通じる洞穴の存在を打ち明ける。
逃走の途中、趙瓣儿は背後に人の気配を感じる。それは阿慈だった。彼女は娘・素素への想いを断ち切れず、危険を承知で同行してきたのだ。二人は必死に逃げるが、追手に見つかってしまう。ここで烏眉児は、自ら囮となって敵を引きつけ、趙瓣儿と阿慈を先に行かせる。しかし追撃は執拗で、最終的に阿慈は致命傷を負い、娘への想いを託して趙瓣儿を逃がして命を落とす。
同じ頃、外では万福が雅園に踏み込み、死体を埋めている一団を現行犯で捕らえる。事件はついに表沙汰になり始めるが、内部ではさらなる悲劇が待っていた。
池院長は帳簿を求め、趙瓣儿を捕らえる。彼女が何も知らないと分かると、何先生と共に幽閉する。院長の冷酷さに趙瓣儿は強い違和感を覚え、何先生の言葉からも、この人物が善人ではないことを確信する。
そこへ駆けつけたのが温悦と趙不尤だった。しかし池院长はすでに二人を待ち構えており、激しい戦闘に発展する。さらに、邹紫函が三贞の遺体を携えて現れ、池院长こそがすべての指示を出していた黒幕であることが暴かれる。池院长は、温悦が命じられた仕事を完遂しなかったことで、多くの“仲間”が死んだと責め立てる。
混乱の中、趙不尤も戦闘に巻き込まれ、一度は打ち倒される。しかし、かつて葛兄から聞いた教えを思い出し、起死回生の一撃で相手を倒す。最終的に池院长は戦いの中で命を落とし、雅園を巡る惨劇は一つの終焉を迎える。
顧震の到着によって被害は最小限に抑えられるが、趙不尤は自分が温悦の残した手紙を隠したことが、この悲劇を拡大させたのではないかと深く後悔する。
そして新たな局面。栾回の行方が分からないまま、趙不尤は父から「外邦語が通じる場所」として同文館の名を聞く。
栾回を追い詰めるための、最後の道筋がここで示されるのだった。
第22話あらすじ
― 善意の嘘と再会、そして「弟」という名の不安 ―
第22集は、雅園事件の後始末と喪失の痛みを丁寧に描きながら、物語の核心へとつながる**「血縁」と「執着」**というテーマが一気に浮かび上がる回である。表面上は穏やかで、家族が再び一つになったかのように見えるが、その裏では新たな不穏が静かに育っていく。
物語は、八嫂を失った八哥の深い悲しみから始まる。彼は呆然とした様子で趙瓣儿に、**「八嫂は最期、幸せだったのか」**と問いかける。趙瓣儿は胸を締め付けられながらも、八嫂が穏やかに旅立ったと伝える。実際には、八嫂は雅園で凄惨な仕打ちを受けていたが、その真実を語ることは、残された者の心をさらに引き裂くだけだと趙瓣儿は理解していた。これは優しさゆえの嘘であり、同時に彼女自身が背負う重い記憶でもある。
一方、素素は夢の中で阿娘と再会する。阿娘は「もう戻れないかもしれない」と静かに告げ、甘いものを控え、きちんと食事を取るよう言い残す。幼い素素はその夢を通して、母の死を直感的に受け入れ始めており、この場面は子どもが強くならざるを得ない残酷さを静かに描いている。
救出された烏眉儿は、温悦によって安全な場所に匿われる。久しぶりに浴びる自由な陽光に、彼女は戸惑い、これは夢ではないかと疑うほどだった。長年、暗闇と恐怖の中で生きてきた彼女にとって、「普通の日常」そのものが異常なのだ。温悦は、苦しみ抜いた後の人生は、派手でなくても穏やかに、美しくなっていくものだと語り、烏眉儿をそっと支える。
その頃、趙不尤は逃亡した栾回の行方を追い、外邦人たちに聞き込みを続けていた。しかし彼らは金と恐怖に縛られ、口を閉ざす。ところが、趙不尤の父が身なりを整えて現れると、態度は一変する。父は異国の言葉や礼法を心得ており、その威厳によって真実を引き出すことに成功する。栾回は300両の銀を払い、桶運びを装って密かに逃亡したことが明らかになり、包囲網は確実に狭まっていく。
家庭内では、血縁を巡る会話が静かに交わされる。趙瓣儿は温悦に、「血が繋がっていなくても、家族になれる」と語る。その言葉は、過去の秘密を抱えるこの家にとって、救いであると同時に切ない真実でもあった。
転機が訪れるのは、温悦が何先生――本名を**蘇(苏)**と名乗る人物について知った時だ。彼の机から落ちた小さな人形を見た瞬間、温悦の顔色が変わる。その人形は、かつて自分が幼い弟のために作ったものと、作りが酷似していたのだ。何先生は、幼少期に賊に襲われ、家族を失った記憶を語り、人形の首が切られている理由もその時の恐怖に由来すると説明する。
温悦もまた、幼い頃に弟のために人形を作ったこと、しかし一族が惨殺され、生き別れになったことを打ち明ける。二人の間には、言葉にしなくても分かる感覚が流れる。確信に近い想いがありながらも、もし違っていたらという恐怖から、どちらも決定的な一言を口にできない。やがて何先生は温悦を「姐姐(姉さん)」と呼び始め、温悦は夢を見ているような気持ちになる。
しかし同時に、彼が最初に趙瓣儿に近づき、その後自分に接近した理由が曖昧であることに、温悦は拭えない不安を覚える。
何先生は趙家に迎え入れられ、家族は温かく彼をもてなす。趙墨儿は自ら進んで寝床を譲り、久しぶりに「家族が増えた」かのような空気が流れる。だが、温悦はこの一連の出来事があまりにも都合よく、順調すぎることに違和感を抱く。
その不安は的中する。何先生が執拗に「董」という姓――趙不尤の亡き兄弟分について探り始めたことで、趙不尤は強い警戒心を抱く。さらに温悦は、子どもたちが皆「弟の言うことを聞く」状況に気づき、彼の部屋を調べてしまう。そこには、自分と全く同じ衣服が整然と並んでいた。
思い出されるのは、かつて「常に姉の影の中で生きていた」と語った、亡き女性の言葉。温悦は、弟が自分に対して抱いている感情が、単なる家族愛を越えた歪んだ執着である可能性に気づき始める。
それでも、温悦は過去の罪悪感から逃げられない。弟を失ったと思い込み、守れなかった自分を責め続けてきた彼女は、夜を徹して弟のために新しい人形を作る。人形を受け取った蘇铮は心から喜び、姉の言葉に素直に頷き、すべてを受け入れると約束する。
その笑顔が、本心からのものなのか、それとも別の意図を隠しているのか――
第22集は、再会の喜びと同時に、最大の不安因子が家庭の中に入り込んだことを静かに示して幕を閉じる。
第23話あらすじ
第23集では、物語の核心にあった「黒幕」がついに姿を現し、これまで積み上げられてきた家族の信頼と絆が、大きく揺らぎ始める。
表向きは穏やかな日常の延長線上に見えながら、その裏側では取り返しのつかない真実が静かに露出していく回である。
物語は、趙墨児(ちょう・ぼくじ)が蘇铮(そ・てい)から食事に誘われる場面から始まる。趙墨児は兄の義弟にあたる蘇铮から「これからは家に帰って一緒に飯を食べよう」と声をかけられ、内心うれしさを覚える。しかし大理寺には公厨があり、そこで食事をすることもできるため、一度は曖昧な返事をする。
その際、蘇铮は一枚の図紙を趙墨児に手渡し、「このことは姉(温悦)には内緒にしてほしい」と念を押す。趙墨児は深く疑うこともなく、そのまま受け取ってしまう。
帰宅後、趙墨児は兄・趙不尤に、かつて問題となった船厂が「民船厂」だったのか「工船厂」だったのかを尋ねる。趙不尤が「民船厂だ」と答えた瞬間、趙墨児の表情が一変する。彼は急いで蘇铮から受け取った地図を取り出し、それを兄に見せる。その地図は、どう見ても民間では扱えないはずの場所を示していた。
趙不尤は妻・温悦にこの件を知らせていないと聞き、胸をなで下ろす。彼は「これ以上、妻に重荷を背負わせたくない」と考え、図紙を自分で調べることを決意する。
一方、顧震も趙不尤のもとを訪れ、密談を交わす。その会話を、蘇铮は密かに聞いていた。彼の顔には、次第に緊張と警戒の色が浮かんでいく。
その夜、家族で食卓を囲むことになる。蘇铮はやけに積極的に酒を勧め、特に趙不尤に対して何度も杯を差し出す。普段ほとんど酒を飲まない趙不尤も断り切れず、次第に深酔いしてしまい、やがて皆が眠りにつく。
しかし、その裏で事態は大きく動いていた。
温悦は蘇铮の様子に違和感を覚え、彼の後をつける。すると蘇铮は隠すこともなく、これまで起きてきた一連の事件――帽妖事件や暗殺、裏の指示――そのすべてが自分の計画であったと告白する。
彼は冷静に、しかし誇るように語る。「家族の仇を討つためだった」「邹勉こそが父の仇だ」と。
さらに蘇铮は、温悦に対し「姉さんに指示を出し、邹勉に近づかせたのも自分だ」と明かす。だが、その計画を邪魔してきたのが趙不尤だったことに、強い不満と苛立ちを抱いていた。
弟の口から語られる残酷な真実に、温悦は恐怖と混乱に襲われる。目の前にいる弟は、かつて自分が守ろうとした存在とは、まるで別人のようだった。
その頃、趙不尤も異変に気づく。誰かが妻に命令を下していた痕跡を見つけ、ついに温悦はすべてを打ち明ける。
真実を知った趙墨児と趙瓣児は、「自分たちの責任だ」と言って兄をかばうが、温悦の心は深く傷ついていた。彼女にとって、弟も、子どもたちも、すべてが大切な存在だったからだ。
趙瓣児は家族の崩壊を恐れ、逃げるように家を出るが、兄は彼女を追わず、姚禾のもとに身を寄せることになる。その孤独と不安の中で、趙瓣児は「きっと解決策はある」と自分に言い聞かせる。
物語の終盤、趙不尤は父の昔話を聞きながら涙をこらえ、ふと床に落ちて砕けた布偶(ぬいぐるみ)を見つける。それは、すでに壊れてしまった家族の象徴のようでもあった。
最後に、蘇铮は温悦を自分が用意した「新しい家」へ連れて行く。彼はなおも正しさを主張するが、温悦は「無辜な人々を犠牲にする復讐は間違っている」と訴える。
しかし弟は姉を問い詰め続け、その姿に、温悦は「もう自分の知っている弟ではない」と痛感するのだった。
第23集は、愛と復讐、家族と裏切りが正面衝突する決定的な転換点として、物語を深い闇へと導いていく。
















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