蜀紅錦~紡がれる夢~ 2024年 全40話 原題:蜀锦人家
5話 あらすじ
季英英は、集めた糸や刺繍入りの香袋を箱に詰め、「中身が分からない盲盒(ブラインドボックス)」として売り出す斬新な方法で人々の注目を集める。商いは順調に見えたが、裏へ糸を取りに行った際、再び不吉な紙条が届く――「季耀庭を牢に入れたくなければ、すぐ家へ戻れ」。
家に戻った英英は、兄・季耀庭が「織機を盗んだ」と濡れ衣を着せられている現場に遭遇する。そこへ花容も現れ、耀庭は「正式な契約書(契単)を交わしている」と訴えるが、花容は契単を持っていないと否定する。英英が問い詰めると、花容は「言う通りにすれば契単を渡す」と取引を持ちかける。兄を救うため、英英は悔しさを堪え、その条件を受け入れるしかなかった。
嫘祖祭の会場では、桑十四郎たちが「廃糸はすべて売り切れた」と喜びを報告するが、英英は心ここにあらずだった。趙老太爺に促され、英英は震える声で願いを口にする。「廃糸はすべて売り切りました。どうか一つ、お願いを聞いてください……趙修縁との婚事をお認めください」。商いの推薦を願うと思われていた場でのこの申し出に、周囲は騒然となり、「大事な機会を恋愛で潰す愚かな女だ」と非難の声が上がる。
趙修縁は前に出て「これは自分の意思だ」と英英を庇い、楊家夫人は「家の内輪の話には関わらない」と席を外す。英英は胸を引き裂かれる思いで涙を堪える。さらに陳三郎や桑十四郎から、「自分たちは高門へ嫁ぐための踏み台だったのか」と責められ、英英は事情を明かせぬまま、ただ謝ることしかできなかった。
心身ともに追い詰められた英英は、玉玲瓏の酒楼で一人酒をあおる。玉玲瓏は「あなたは裏切る人じゃない」と真相を問い、英英は花容が兄を人質に取ったことを打ち明ける。玉玲瓏は憤り、「そんな理不尽に屈する気か」と問い詰めるが、英英は「負けるつもりはない。大染戸が力で人を踏みにじっているだけ」と静かな闘志を燃やす。
酔ってふらつく英英を、偶然訪れていた楊静澜が支える。玉玲瓏は彼に「英英の推薦人になって」と迫るが、楊静澜は「高門に嫁ぐ気の女に商いは無理だ」と突き放す。玉玲瓏は激怒し、「助けないなら出て行け」と言い放ち、楊静澜は酒瓶を一本手にして去る。
その夜、季耀庭が英英を迎えに来る。玉玲瓏は彼に花容の脅迫を伝え、「善良すぎるのは、相手に付け入る隙を与えるだけだ。妹に守られてばかりではだめだ」と厳しく諭す。その言葉に突き動かされ、耀庭は酒楼にいた花想容を見つけ、契単を出せと迫る。拒まれると彼は花想容を殴り倒し、「読書人を侮るな。知恵のほうが恐ろしい」と言い放つ。
翌朝、英英は目覚めると、趙申氏が季家を訪れ、退婚を告げ、季母を辱めたと知る。怒りを抑えきれず対峙した英英は、「それは趙老太爺の意思か」と問うが、趙申氏は高圧的に遮る。後に趙修縁は使者・趙平に手紙を託すが、趙平は「老太爺の命で、季家と接触すれば足を折られる」と告げる。それでも修縁は、斗錦会に出るため自ら“錦”を選ぶ決意を固め、幼い頃の英英との記憶を胸に思い返すのだった。
愛と商い、家族と信念――
季英英はすべてを奪われながらも、再び立ち上がろうとしていた。
6話 あらすじ
陳三郎たちが浣花渓で糸を洗う一方、季英英は一人家に残り、赤い染料を煮出そうとしていた。しかし、煮立つ赤を目にした瞬間、父・季帰南が殺された日の記憶が蘇り、恐怖に襲われてその場に蹲ってしまう。颦児はそんな英英を抱き寄せ、「あなたには事情がある」と静かに励ます。英英は、仲間を斗芳菲へ連れて行く約束、そして家の借金を返すという兄との約束を思い出し、「必ずやり遂げる」と自らに言い聞かせる。
再び染料に向かうが、赤を見ただけで吐き気を催し、作業は進まない。颦児は「急がなくていい。私が代わる」と言い、英英に配合を聞きながら染料作りを引き受ける。英英は一歩引き、颦児を信じて託すのだった。
斗芳菲当日、颦児は染め上がった糸を背負い、桑十四郎を訪ねる。「会場に入れなくても、山の麓で売ればいい」と英英が言っていたと説明するが、桑十四郎は過去のわだかまりを理由に渋る。涙ながらに「あなたは義理堅い人だと思っていた」と訴えられ、桑十四郎はついに折れ、「どうせ行くなら会場に入ろう」と決断する。
その頃、斗芳菲では劉家が最良の場所を引き当てながら姿を見せず、商人たちはこぞって楊静澜に賄賂を差し出す。楊静澜はすべてを受け取るが、それを自分のためには使わず、茶や菓子を用意して来場者に振る舞わせると宣言する。花容と花想容は彼を貪官だと踏んでいたが、楊静澜は「賄賂は死罪だ」と皮肉を込めて一蹴し、二人はしてやられたと悟る。
桑十四郎と颦児が糸を身にまとって入場しようとすると、楊静澜に止められる。彼は地面に円を描き、「この中だけで展示しろ」と命じるが、桑十四郎は冗談半分に「それでも兄弟か」と抗議する。
斗芳菲が佳境に入ったころ、空から橘紅色の花びらのようなものが舞い落ちる。異変に気づいた楊静澜が調べると、仕掛けていたのは季英英と兄・季耀庭だった。英英は「参加できないなら、糸を毛玉にして投げただけ」と言うが、その独特な色合いに人々は注目し、注文を求める声が上がる。英英はこの新色を**「朱颜酡」**と名付ける。
花容は「新染の色は安定せず、偶然だ」と難癖をつけるが、楊家夫人が真っ先に注文を入れ、流れは英英に傾く。さらに花容は「登録もせずに注文を取るのは規則違反だ」と糾弾する。楊静澜はそれを認め、英英に会場の清掃を命じる。掃除をしながら彼は、「金は稼げても、人の心は失ったな」と告げ、英英はその言葉の意味を噛みしめる。
家に戻ると、花容が再び借金の取り立てに来るが、そこへ次々と商人が訪れ、英英と契約を結んでいく。英英は集まった金ですべての借金を返済し、花容は引き下がるしかなかった。道すがら、花想容は「どうするのか」と問うが、花容は「登録には時間がかかる。その間に問題が起きるかもしれない」と不敵に笑う。
最後に英英は浣花渓を訪れ、陳三郎たちに頭を下げて謝罪する。仲間たちは彼女の真意を理解し、再び手を取り合う。そして染糸会は新たに**「飛花会」**と名を改め、再出発を果たすのだった。
7話 あらすじ
牛五娘は「朱颜酡(しゅがんだ)」の絹を手にしながら、配下と花容について話す。花容は聡明で狠辣だが、まだ足りないと評される。季英英の才覚があれば益州城での策は切り抜けられるだろうと見込みつつも、牛五娘はすでに“後の一手”を用意しており、動くかどうかは季英英の選択次第だと静かに見定めていた。
一方、季耀庭は市で玉玲珑の酒売りを手伝うが、呼び込みが苦手で気後れしている。壊してしまった品の弁償として十壺売る約束をし、玉玲珑は「兄が妹を守るのは当然」と気にしない様子で、二人の距離は少し縮まる。
季英英は颦児、桑十四郎と街を歩いていると、牛五娘の手帕を拾って手渡す。牛五娘は季英英の名を呼び礼を述べるが、その存在に桑十四郎は警戒心を示す。牛家の娘で、二人の夫を亡くした“近寄り難い女”だという噂が語られ、彼女に目を付けられるのは厄介だと忠告される。
「斗芳菲」の結果発表では、花容たちが依然として魁首となる。主催の楊静澜は、かつて賄賂として贈られかけた品をそのまま賞として渡し、「次はもっと心のこもったものを」と皮肉を添える。
そこへ季英英率いる飛花会が乗り込み、入場文書がないと花容に嘲られる。しかし楊静澜は、飛花会が抱える注文総額(二百五十貫)を問いただし、その実力を認める。季英英は各家の代表的な絹を“飛花”に仕立てて配り、協力して益州一の錦を作ると宣言。さらに朱颜酡を楊静澜に贈る。花容は遠くに牛五娘の姿を見つけ、彼女が見ているのは自分ではなく季英英だと悟る。
その夜、季英英と趙修縁の逢瀬の最中に刺客の矢が放たれるが、楊静澜が間一髪で救出。矢は軍用で、刺客は花家の別院で死亡していた。背後に花容がいると疑われる中、牛五娘は自ら刺客を始末したと花容に告げ、私帳の提出と、今後は季英英や山の件に関わらないよう命じる。
追い詰められた花容は兄の花想容に逃亡を提案されるが、牛五娘に見捨てられた以上、逃げ場はないと悟る。楊静澜は花家の帳簿を押収し、季英英に鑑定を依頼。彼女は一目で不正を見抜き、花容の脱税疑惑は決定的となる。花容は拘束され、花想容は行方不明のまま。
三日三晩の厳しい取り調べで、花容は季英英への妨害をすべて自白。楊静澜は自らの誤解を知り、さらに「御皇丝」を示して背後の黒幕を問い詰める。花容は動揺するが、もはや助けは来ない。事件後、楊静澜は季英英を訪ね、誤解していたことを率直に詫びるのだった。
8話 あらすじ
楊静澜の謝罪を受け、季英英は「これまで誰も謝ってくれたことがなかった」と語る。楊静澜は「間違いは間違いだからこそ謝るべきだ」と真摯な姿勢を示し、もし申し訳なく思うなら季家に恩恵を、という季英英の冗談めいた願いを受け止める。さらに彼は“誠意”として一枚の白紙を差し出すが、そこに染料を吹きかけると模様が浮かび上がる。季英英はすぐに特殊な染料だと見抜き、玉玲珑の一押しもあって、その染料を受け取ることになる。
それ以来、季英英は毎日、絹の洗いと染めに没頭する。そんな折、街で牛五娘の侍女に呼び止められ、屋敷へ招かれる。一方その頃、楊静澜と諸葛鸿は青城山の麓で偽の御皇丝を追っており、正体不明の黒衣の者たちと交戦していた。
牛五娘は季英英に、自分が彼女を知った理由を語る。斗芳菲での飛花、そして朱颜酡はすでに益州城で名を馳せており、季家の娘を知らぬ者はいないという。牛五娘は季英英を羨み、自分も“嫁ぐだけの人生”ではなく、何かを成し遂げたいと本音を明かす。その志に季英英は共感し、成功を祈る。
やがて牛五娘は本題として、共に商いをしないかと持ちかける。さらに、趙家に阻まれている季英英と趙修縁の婚約を、自分が一筆の婚書で実現させ、季家をかつての栄光に戻すこともできると誘惑する。しかし季英英は、すでに陳三郎たちと組んでいること、そして牛五娘を選べば花容と同じになると、きっぱり拒む。
牛五娘は朱颜酡の染料に関する备案文書を取り出す。本来は長安へ送られるはずのものが手元にあることから、季英英は不信を深め、選ばなかった判断は正しかったと確信する。立ち去ろうとした季英英は引き止められ、屋敷の一室に閉じ込められてしまう。蜀紅の糸を染め上げるまで出られないという条件を突き付けられ、家族へ無事を伝える手紙も、牛五娘の検閲を受けてからしか送れなかった。
牛五娘は「一滴の水を隠すには海に入れるのが最良」と語り、別の策に動き出す。父から将軍との縁談を命じる書簡が届いたことをきっかけに、彼女は趙修縁に狙いを定める。侍女・玉縁を通じて想いを伝えるが、趙修縁は季英英一筋だと断言して拒絶する。それでも牛五娘は動じず、趙家当主が“将軍の娘”という立場を重く見ることを見越していた。
案の定、趙老太爺は趙修縁に牛五娘との婚姻を命じる。再び対面した牛五娘は婚約を迫り、季英英を人質同然に使って脅しをかける。
その頃、季英英からの手紙を受け取った季耀庭は、そこに書かれた「玉玲珑に二貫銭を返す」という一文が、二人で決めた危険の暗号だと気づく。二貫銭――それは玉玲珑と楊静澜に助けを求める合図だった。察した二人はすぐに牛府へ向かい、囚われの季英英を救い出すために動き出す。
蜀紅錦~紡がれる夢~ 9話・10話・11話・12話 あらすじ
















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