七夜雪 2024年 全32話 原題:七夜雪
第6話あらすじ
意識を取り戻した霍展白は、薛紫夜が高額な診金を取る理由が、薬師谷の人々を養い、さらに多くの民に薬を届けるためだと見抜く。彼女は帳簿を示して治療費の清算を求めるが、霍展白は谷の秘蔵酒「笑紅塵」に目を奪われ、冗談めかしてかわす。酒は体に悪いと諭され、結局治療費の代わりに、薛紫夜が侍女たちに行う経穴の講義で“実演役”を務めることになり、谷には久しぶりに和やかな笑いが広がる。
一方、七葉明芝の任務に失敗した元一宮の瞳は、教王から三時間の日差しを浴び続ける過酷な罰を受ける。彼は修羅場に入った頃、教王から人心を操る瞳術を叩き込まれた過去を思い出す。同時に教王は妙風と碁を打ちながら、薛紫夜との対局を隠していたことを指摘し、失望を示して今月分の氷蚕毒の解毒薬を与えないと告げる。妙水は皮肉交じりに、薛紫夜が妙風の血塗られた過去を知ったらどう思うかと囁く。
その頃、霍展白は薛紫夜が大切にしている銀鈴の簪を失くして探しているのを見かけ、密かに風灯を上げて道標を作る。
阿菁が谷を去る際、二人を結びつけようとして、薛紫夜が七葉明芝を「想い人」を救うために使ったと告げる。霍展白はそれを信じ、禁地に踏み込み氷下の雪怀を目にすることで、薛紫夜の癒えぬ痛みを抉ってしまう。激しく衝突する二人だが、やがて誤解は解け、霍展白は深い後悔を胸に刻むのだった。
第7話あらすじ
銀鈴の簪を探す途中、薛紫夜と霍展白は激しい吹雪に遭い、山中の洞窟に閉じ込められる。極寒と疲労で意識を失いかけた薛紫夜を、霍展白は必死に呼び戻し、生死の境から救い上げる。その一夜の中で、薛紫夜は霍展白の過去を初めて深く知ることになる。
霍展白は幼い頃に天山派掌門・秋水鶴に拾われ、師妹の秋水音とは幼なじみだった。互いに特別な想いを抱いていたが、やがて彼女は六哥・徐重華の妻となり、その縁は結ばれなかった。長い年月を経て、淡い感情はすでに過去のものとなり、今の霍展白にとって大切なのは、亡き義兄の残した師妹と沫児、そして師父だけだと語る。
その話に触発され、薛紫夜もまた胸に秘めた記憶を明かす。氷下に眠る雪怀は、かつて自らの命を投げ打って薛紫夜を救った人物であり、彼を目覚めさせるため医術を極めた結果、氷河に身を晒し続けた代償として寒疾を患うことになったのだ。
夜が明けると雪は止んでいたが、薛紫夜は凍えきって昏睡してしまう。霍展白は彼女の手を温め、抱きかかえて雪原を越え、谷まで命懸けで戻る。谷主の安否を案じ続ける霍展白の想いは深く、やがて薛紫夜が目を覚ます。
回復後、霍展白は彼女の導きで第二の薬を求め揚州へ向かう。別れ際、薛紫夜は救命の礼として「笑紅塵」を手渡し、二人は静かな想いを胸に、それぞれの道へと歩み出す。
第8話あらすじ
霍展白は薬師谷を去った後、薛紫夜のために新しい木の簪を手作りし、雪鷂に託して届けさせる。それは、禁地で氷下の雪怀に触れ、彼女の心の傷を抉ってしまったことへの静かな詫びだった。
一方、阿菁は摩家村滅村事件に使われた毒蟾砂の行方を追い、重要な事実を突き止める。毒蟾砂はかつて月宮の薬房に保管されており、会嘉四年に盗難に遭った際、他の薬には手を付けず、それだけが盗まれていた。当日、盗賊と交戦した弟子がいたことから、阿菁は当時の当直者を探し出すよう命じ、真相解明へ一歩近づく。
霍展白は揚州に到着し、借金に追われた老伯を助け、さらに鼎剣閣の四剣・夏浅羽、八剣・周行之と再会する。夏浅羽の資金を借り、老伯の娘を玲瓏花界から救い出すが、二人は依然として、徐重華を斬った霍展白に複雑な感情を抱いていた。
三人は、白雲宮の覃天丞が元一宮へ叛逃し、投名状として聖物・青鸞花を持ち去った件を議論する。元一宮はかつて中原を荒らし、鼎剣閣に追われて西域へ退いた勢力であり、今回の動きも陰謀に満ちていた。真の狙いは覃天丞の抹殺と、白雲宮の七星剣陣の破壊だったのだ。
霍展白は覃天丞から青鸞花を奪い、元一宮の刺客・妙火と交戦するが、そこへ瞳が現れ、覃天丞を殺害。私怨から罪を霍展白になすりつける。白雲宮は霍展白を仇と定め、追討を誓うのだった。
第9話あらすじ
周行之は、覃天丞を殺した真犯人が霍展白であるはずがないと確信し、夏浅羽と別れて独自に調査を始める。しかしほどなくして、白雲宮と鼎剣閣の複数の勢力が霍展白を追い、薬師谷に押し寄せる。彼らは覃天丞殺害の責任を問うため、霍展白に命で償うよう迫る。
追及を受けた霍展白は、冷静に無実を主張する。もし自分が本当に殺したのであれば、証拠を残すはずもなく、覃天丞に自らを指名させるような隙も与えないと論理立てて反論する。その場で薛紫夜もまた、谷主として、そして一人の人間として霍展白を強く庇い、彼の人となりを信じ抜く姿勢を示す。
やがて夏浅羽が戻り、玲瓏花界の花魁・柳非非の協力によって入手した“人皮面具”を示す。それは霍展白に罪を着せた者が使った偽装の証拠であり、彼の潔白は明らかとなる。さらに、霍展白が沫児の命を救うため命懸けで薬を探していた事実を知り、夏浅羽の誤解も完全に解ける。兄弟の情は以前にも増して深まった。
霍展白は負った傷を癒すため谷に留まることになり、女好きの夏浅羽は薛紫夜の美しさに惹かれ、冗談半分で「七弟の借りは自分が返す」と居座りを宣言する。
一方、元一宮では覃天丞の死によって白雲宮の七星剣陣が崩れ、滅亡は目前となる。教王は任務を果たした瞳に褒美を与え、天国楽園へと送り出すのだった。
第10話あらすじ
霍展白は相変わらず女好きで軽薄な夏浅羽を見て、これ以上薛紫夜に失礼な振る舞いをすれば許さないと、兄として真剣に忠告する。しかし彼は、薛紫夜が夏浅羽に向けて楽しげに笑う様子を見て、谷主が四哥に好意を抱いているのではないかと密かに誤解してしまう。ところが真相はまったく別で、薛紫夜が注目していたのは夏浅羽の豊富な財力――霍展白の治療費を肩代わりできる存在だったと知り、霍展白は拍子抜けしつつも安堵する。
機嫌を良くした霍展白は薛紫夜を酒に誘い、彼女も応じるが、乾杯しようとした瞬間だけはきっぱりと拒まれる。霍展白が眠りに落ちた後、薛紫夜は誰にも見られぬよう、そっと彼の酒杯に自分の杯を触れさせる。口に出さぬ想いが滲む、静かなひとときだった。
傷が癒えきらないまま谷を出ようとする霍展白に、薛紫夜は理由をつけて引き留める。彼がいつも傷だらけで戻る姿を、これ以上見たくなかったのだ。
薬草採取に出た霍展白と夏浅羽は、薬師谷の裏山で摩家村の碑林を偶然発見する。長く埋もれていた過去が、再び薛紫夜の運命と繋がり始める兆しだった。
その頃、江湖では大きなうねりが生じていた。元一宮は覃天丞を排除した後、次なる標的として天山派の掌門・秋水鶴に刃を向ける。各派を一つずつ崩し、鼎剣閣を目指して中原へ戻ろうとする、危険な野望が動き出していた。
















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