星漢燦爛(せいかんさんらん) / 2022年 (星漢燦爛 全27話 + 月升滄海 全29話) 原題:星汉灿烂 /月升沧海
25話あらすじ
桃花別院にある霍氏祠堂。そこでは凌不疑の母・霍氏が、亡き一族の位牌の前に静かに跪き、長年胸に秘めてきた疑念を呟いていた。もし孤城の真相をすべて明かした時、文帝は本当に霍家のために立ち上がってくれるのか。凌不疑は、すでに事件の輪郭は掴めつつあり、悪人は必ず報いを受けると母を慰める。だが霍氏は、仇は今も生きていると断言し、その代償を必ず払わせねばならないと、揺るぎない決意を示す。
凌不疑は話題を変え、自身が間もなく程少商を娶ることを告げる。これまでの苦難は終わり、霍家にもようやく福が訪れるのだと。しかしその言葉を遮るように城陽侯が現れ、二人の婚姻に強く反対する。程家は門第が低く、凌不疑の結婚は感情的な反発に過ぎないというのだ。凌不疑は一歩も譲らず、自分の婚事を利用して汝陽侯府に取り入ろうとする父の姿勢を痛烈に非難し、ついには追い返してしまう。怒りを抑えきれない霍氏は城陽侯に平手打ちを浴びせ、母子の確執は決定的なものとなる。
その後、伝令官・韓武が霍氏の英霊の前で膝をつき、十五年越しの悔恨を涙ながらに詫びる。彼は当時の医士の一人が西村に隠棲していることを突き止めており、真相を求め単身向かう決意を固める。凌不疑は護衛を付けようとするが、韓武は暗号を残すと約束し、密かに旅立つのだった。
夜、程少商は楼台で笛を吹き、その音色を聞きながら程始と萧元漪は眠れずにいた。萧元漪は、幼い娘を一人残した過去を悔い、宮中での厳しい言葉が程少商を傷つけたのではと不安を募らせる。程始は、母娘は似た者同士で本心を隠すだけだと宥めるが、萧元漪はただ、娘が幸せな一生を送れることだけを願うのだった。
一方、袁慎は母に縁談の意向を尋ねるが、あっさりと自分で決めよと言われてしまう。放任とも取れる態度に戸惑いながらも、誰にも縛られない自由を皮肉に感じ、胸中に複雑な思いを抱える。
やがて楼垚と何昭君の婚礼の日が訪れ、凌不疑は程少商を伴って宴に臨む。再会した楼垚は二人を祝福し、程少商もまた心から新郎新婦を祝う。その様子を見た袁慎は辛辣な言葉を投げ、程少商が権勢に屈したのだと嘲るが、凌不疑は動じず、彼を官途へ推挙する話まで持ち出して牽制する。二人の応酬は火花を散らし、互いに譲らぬ緊張が漂う。
女客の席では、楼離や王玲が程少商に対し、退婚後すぐに別の婚約をした不節を責め立てる。程少商は、忠義を全うするための退婚だったと毅然と反論し、万萋萋もまた彼女を庇う。場は一触即発となるが、萧元漪が間に入り事態を収める。楼犇の戦功が話題に上ると、凌不疑は彼の才が必ず認められると語るが、楼太傅はそれを否定し、家中の力関係が垣間見える。
宴も終盤に差し掛かった頃、延姬が凌不疑のもとを訪れ、程少商が風衣を彼の馬車に忘れていったと告げる。その一言は、二人の距離がすでに周囲の誰の目にも明らかになっていることを示していた。
婚約が公となり、祝福と敵意が交錯する中で、
凌不疑は孤城の真相へ、程少商は新たな立場の重圧へと、それぞれ避けられぬ道を歩み始める。
次回、第26話では――
過去と未来が真正面から衝突し、二人の絆が試されることになる。
26話あらすじ
凌不疑が程少商を堂々と庇護したことで、二人の婚姻に異議を唱える者は誰一人いなくなった。昨日まで冷たい視線を向けていた人々は一転し、「まさに天作の縁」と持ち上げ始める。女たちの態度は百八十度変わったが、当の程少商の心は晴れないままだった。
宴の帰り道、凌不疑と同じ馬車に乗った程少商は、溜め込んだ不満を抑えきれずに口にする。万萋萋が必死に弁護しても女たちは聞く耳を持たず、母・萧元漪でさえ必死に耐えていた。それなのに凌不疑が一度怒鳴っただけで、皆の態度が一変した――それは「権勢で人を押さえつけただけ」に見えたのだ。凌不疑は「夫婦は一体、私の権勢は君のものでもある」と言うが、程少商は納得しない。その力は彼自身が血と努力で掴んだものであり、自分がそれに寄りかかる資格などないと感じていた。
さらに彼女は、もし凌不疑の権勢を頼りに生きれば、いずれ彼の規矩に従って生きることになり、「自分自身でなくなってしまう」ことを恐れていた。鬱々とした気持ちのまま饼(餅)を取り出して食べようとすると、凌不疑は夜食は胃に悪いと止め、行軍中は過午不食だと語る。その言葉は悪意のないものだったが、程少商には「自分の本心が伝わっていない」証のように響き、さらに落ち込んでしまう。
凌不疑は真剣に話し合おうとし、理由を教えてほしいと求めるが、程少商は「世の中のすべてに理由があるわけではない」と突き放す。さらに言い合いになりかけたその時、部下から「韓武に異変あり」との報告が入る。凌不疑は即座に行動を切り替え、程少商を先に帰宅させ、自身は西村へと向かう。
一方、程家では凌家からの正式な納采を前に、程老太太が大騒ぎで屋敷を整え、彩礼を置く場所まで用意していた。萧元漪は呆れ返るが、その最中、城陽侯府から「主母が病で来られない。見舞いにも来るな」との使者が来る。露骨な拒絶に萧元漪は怒り、程老太太は泣き叫ぶ。
同時刻、城陽侯府には汝陽王妃と裕昌郡主が滞在していた。侯夫人はもともとこの縁談を嫌い、裕昌郡主こそが理想の嫁だと考えていた。しかしそこへ、凌不疑が文帝に請い、皇帝自らが親代わりとして下聘し、汝陽王が使者に指名されたという知らせが入る。裕昌郡主は号泣し、汝陽王妃は「どうせ汝陽王が行くのだから、結果は我々次第」と言い放つ。
王府に戻ると、裕昌郡主は一哭二闹三上吊の大騒ぎで婚事を壊すよう迫り、ついに汝陽王は翌日の下聘で一計を案じることを約束する。
その頃、程少商は凌不疑が自ら下聘に来なかったことに傷つき、庭で一人沈んでいた。そこへ現れたのが汝陽王である。彼ははっきりと「退婚させに来た」と告げ、程少商も彼の身分を見抜いた上で、むしろ婚事を壊してほしいと頼む。世間では自分が高攀だと言われるが、当時どれほど追い詰められていたか誰も知らない。怨偶が世に多いのは、皆が別れる勇気と代償を恐れているからだ――その言葉に、汝陽王は深い感銘を受ける。
汝陽王は自身の夫婦関係を「無為自然の修行」と語るが、程少商はそれを一蹴する。それでも彼女の率直さと洞察に心を動かされた汝陽王は、王府に戻ると裕昌郡主に「凌不疑への執着を捨てよ」と命じる。従わぬなら出家か、別家への嫁入りか、二つに一つだと突きつけるのだった。
一方、凌不疑は西村で有力な手がかりを得られなかったものの、韓武の暗号を見つけ、彼が生存していることを確認する。夜を徹して都へ戻り、まずは程少商に謝ろうと決意する。部下から「もっと笑顔を」と助言され、冗談まで教わる凌不疑の変化に、周囲は驚きを隠せない。
翌朝、程家の食卓は重苦しい空気に包まれていた。程少宫と程颂は母娘の緊張関係が理解できず、凌不疑が下聘に来なかったことに憤り、四娘のために一言言ってやると息巻く。その瞬間、黒甲衛を率いた凌不疑が現れ、一同は騒然となる。
凌不疑はまず非礼を詫び、家族と距離を縮めるため自ら同席して食事を取る。覚えたての冗談で場を和ませようとするが、そのぎこちなさが逆に程家の人々を震え上がらせる。程老太太は大喜びで彼を迎え、凌不疑は「睿智」と褒めるが、当の本人は意味も分からず得意満面だ。
その後、外出から戻った程始たちは黒甲衛に止められ、例行検査だと告げられる。凌不疑は、婚姻後は一家として程家の安全も守るのだと説明するが、程始は早くも頭を抱える。こうして、愛情と権勢、守護と束縛が入り混じる新たな日常が始まろうとしていた。
27話あらすじ
まだ夜明け前の早朝、程少商は夢の途中で突然、寝具ごと抱え上げられ、院へと連れ出される。犯人は言うまでもなく凌不疑であった。半ば強制的に目を覚ました程少商の前には、信じがたい光景が広がっている。黒甲衛に囲まれた程家の人々が、まるで軍営のように操練させられていたのだ。程颂は重い石を持ち上げて足腰を鍛え、程少宫は弓を引く腕が震えながらも必死に射を練習し、か弱い程姎ですら剣を振らされている。侍女たちも例外ではなく、重りを持って馬歩に耐えていた。
程少商は怒りと呆れを隠せず、凌不疑は正気ではないと責め立てる。しかし凌不疑は一歩も譲らず、「家が安らかであるためには、皆が自分の身を守れる力を持つべきだ」と淡々と告げる。程少商は断固として操練を拒否するが、凌不疑は「身体が弱いからこそ必要だ」と言い、しかも彼女だけは“特別”だと言う。その特別とは、凌不疑自身が付き添い、共に操練することだった。結果として程少商は容赦なく鍛えられ、心身ともに限界まで追い込まれてしまう。
操練後、程少商は楽しみにしていた氷鎮の酸梅湯を口にしようとするが、出てきたのは熱い茶。これも凌不疑の差配で、冷たいものは体に良くないという理由だった。その場に居合わせた程家の面々は、凌不疑の姿を見ただけで絶望の表情を浮かべる。数日が経ち、ついに家族全員が耐えきれなくなり、凌不疑糾弾の場が開かれる。程颂と程少宫は「他家は嫁を迎えるのに、我が家は命を取られる」と嘆き、程少商は本気で退婚を考え始める。
しかし黒甲衛が屋敷を巡回し、程老太太は退婚など断固反対だと泣き叫ぶ。萧元漪は早々に「もう管れない」と場を離れ、程始も若い二人に時間を与えると言って逃げ出す。兄姉たちも次々と退散し、結局程少商だけが凌不疑と向き合わされることになる。
夜、気持ちが晴れない程少商は塀を越え、万萋萋のもとへ行き酒をあおる。凌不疑は融通が利かず、家族全員を操練し、説教じみた話ばかりする。一方で楼垚は何でも受け入れ、決して強制しなかった――程少商はそう愚痴をこぼす。万萋萋は静かに問いかける。「目を閉じたとき、最初に思い浮かぶのは誰?」程少商が目を閉じると、そこには凌不疑の姿があった。酔いのせいか、その頬をつねると幻は消えてしまう。
実はその凌不疑が、酔い潰れた程少商を背負って程家へ送り届けていた。萧元漪はまだ未婚であることを理由に咎めるが、程少商は無意識に凌不疑にしがみついて離れない。結局、凌不疑が彼女を部屋まで運ぶことになるが、程少商は暴れて彼を馬代わりにし、程始は目を覆うばかりだった。
翌朝、宿酔から目覚めた程少商のもとに、凌不疑が用意させた醒酒湯が届けられる。さらに彼は改良させた桃花酿を持って現れ、体に優しい酒なら飲んでもよいと言う。しかし程少商は、そんな細やかな配慮すら息苦しく感じ、「私は千里醉が好きだ」と突っぱねる。凌不疑は、彼女が婚姻そのものを拒んでいるのではないかと問い、程少商は「自分には凌不疑に釣り合うものが何もない」と打ち明ける。
凌不疑は静かに答える。「君には、全身全霊で君を愛する家族がいる」。軍中で育ち、家庭の温もりを知らなかった彼は、程家に入り、普通の暮らしを学ぼうとしていただけなのだと告白する。しかし程少商は、彼のやり方が自分には“圧迫”にしか感じられないと告げ、「これ以上は無理だ」と別れを選ぶ。
凌不疑が去った後も、程少商の心は軽くならない。彼が一晩中介抱してくれたこと、嫌な顔一つしなかったことを知り、気持ちは乱れる。さらに彼女のために狩った大蛇の皮で作られた靴を見て、その想いの深さに言葉を失う。
両親に退婚の意思を伝えると、程始と萧元漪は慎重に考えるよう諭す。もし本当に嫌なら、官を捨てても構わない――家族はどんな選択でも支えると言う。その言葉に背中を押され、程少商は改めて自分の心と向き合う。
夜が更け、灯がともる頃、彼女はようやく悟る。息苦しさの正体は恐れであり、迷いであり、それでも――
自分は凌不疑を好きなのだ。彼と生きたいのだ。
星漢燦爛 (※月升滄海1~5話) 28話・29話・30話・31話・32話 あらすじ
星漢燦爛(せいかんさんらん)キャスト・相関図 各話あらすじ
















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