折腰 2023年 全36話 原題:折腰/[ヨミ]セツヨウ
第16話あらすじ
徐夫人の無事な姿を目にした魏俨は、自分が小乔に“誘導”されたことを悟り、胸に疑念を抱いたまま立ち去ろうとする。しかし、徐夫人は彼を呼び止め、ついに身世の真実と向き合う時が訪れる。
魏俨は、陳滂の配下から「自分は陳滂の息子だ」と聞かされたことを告白。徐夫人は長年隠してきた真実を語り出す。魏俨は、かつて陳滂に凌辱された娘・青雲が残した子であり、この事実が新たな憎しみを生むことを恐れ、すべてを伏せてきたのだという。
育ての恩と血の宿命の間で揺れる魏俨は、徐夫人に問いかける――自分を本当に孫として愛していたのか、と。徐夫人は迷いなく愛情を認めるが、政権だけは渡せないと告げる。魏俨が魏家を継げば、それは陳滂に国を差し出すことになるからだ。
徐夫人は二つの道を示す。
「魏家に残り、権力を持たぬ孫として生きるか」
「恩に報い、魏家を去るか」
魏俨は“自分は野犬だ”と自嘲し、三度の叩頭で別れを告げるかに見えた。しかし彼は去らない。
「それでも魏家の子でいたい」
その言葉に、徐夫人はついに魏俨を抱きしめ、二人は涙に包まれる。血よりも深い絆が、ここで確かに結ばれた。
一方、小乔は祠堂で罰を受ける魏夫人を見舞い、今回の処罰は“外向きのけじめ”であり、魏劭の意思でもあると伝える。孤立していた魏夫人は救われ、小乔への見方を改める。
その頃、辺州では陳翔が急死し、陳滂が州牧に就任。彼は遺命を捏造し、蘇娥皇を玉楼に幽閉しようとする。追い詰められた蘇娥皇は逃亡を企て、象徴だった花钿を拭い去る決断をする。
魏俨は陳滂側近・陳烈と対峙し、母が略奪された事実を突きつけ、陳滂とは仇として向き合うと宣言する。彼の立場は、もはや完全に魏家にある。
麦種は無事に補送され、水渠工事が本格化。魏劭は自ら容郡へ赴く決断をし、渔郡は魏俨に託す。徐夫人はその信任を喜び、すべてが小乔のおかげだと語る。
小乔は同行を願い出る。民に麦作を教えるため、そして魏劭のそばにいたいからだ。危険を案じる魏劭だったが、その真剣な眼差しに折れ、共に行くことを許す。
こうして始まった二人きりの旅路。
不器用な気遣い、ささやかな食事、容郡を語る魏劭を見つめる小乔の眼差し――恋は確かに前へ進み始める。
そして魏梁は密かに“恋路攻略”を用意し、旅の行方はさらに甘く、賑やかなものになりそうだった。
第17話あらすじ
魏劭と小乔の距離を縮めようと、魏梁は自信満々で“完璧な旅の攻略”を提案する。
酸梅湯を飲み、山珍を味わい、紫萝海を巡るという計画で、何かあってもすぐ戻れる安全設計だと豪語。小桃も大賛成し、魏梁は攻略の信憑性を何度も強調する。こうして一行は期待に胸を膨らませて出発する。
しかし最初の目的地で目にしたのは、酸梅湯屋どころか昔から変わらぬ茅房。次に向かった温泉予定地も、ただの水たまりだった。気まずさを誤魔化すため魏梁は海へ案内するが、小乔たちにとっては見慣れた景色で、感動は皆無。
魏劭が調べると、攻略の出所は信用ならない友人。完全に当てが外れ、桃花坞行きの提案も拒否され、一行は呆れ顔で引き返す。
一方その頃、魏劭が容郡へ向かっていると知った魏典は、袁旺に「魏劭は地方勢力を削ぐために来る」と吹き込み、猜疑心を煽る。もともと魏劭に不満を抱いていた袁旺は激怒。魏典は密かに刺客を放ち、魏劭の暗殺を企てる。
旅の途中、魏劭は疲労と頭痛に襲われる。小乔は優しく頭のツボを押し、そっと寄り添いながら、今回同行した本当の理由を明かす。
「種を教えるためだけじゃない。あなたの負担を少しでも減らしたい」
その言葉と温もりに、魏劭は次第に心を許し、小乔の胸で深く眠りに落ちる。翌朝、彼は自分が小乔に抱かれて眠っていたことに気づき、衣をかけて静かに立ち去るが、胸には確かな安らぎが残っていた。
だが平穏は長く続かない。休憩中、刺客が急襲し、小乔の乗る馬車が暴走。魏劭はとっさに馬を斬り、命懸けで馬車を止める。小乔は自ら飛び降り、魏劭の腕に抱き止められるが、魏劭は毒刃に傷つき昏倒してしまう。
命に別状はなかったものの、魏劭は意識不明に。小乔は刺客の手際から、これは偶然の賊ではなく容郡行きを狙った計画的犯行であり、黒幕は魏典だと見抜く。激怒する魏梁を抑え、小乔は「今は証拠がない。焦れば相手を利するだけ」と冷静に判断。危険な三不管地帯を離れ、急ぎ容郡へ入る決断を下す。
容郡で目を覚ました魏劭は、危機を切り抜けられたのは小乔の采配のおかげだと知り、彼女への信頼を深める。
小乔は単身で袁旺に会い、宿麦の栽培を提案するが拒否される。彼女は袁旺が麦ではなく「通渠」を恐れていることを察知する。
魏劭は武力で圧をかけようとするが、小乔は「攻心こそ最善」と制止。袁旺は魏典に依存しているだけで、その関係を揺さぶれば自ずと従うと分析する。
小乔は袁旺と囲碁を打ち、わざと負け、靴を片方失くす芝居を打つ。さらに魏渠が宝の匣を落とす“演出”で、密偵に誤解を植え付ける。実際に渡したのは、ただの失くした靴一足だった。
魏典はこれを見て、魏劭が袁旺を懐柔し始めたと疑念を強め、袁旺への不信を深めていく。すべては小乔の読み通りだった。
その夜、小乔は魏劭の異変に気づき、自然に世話を焼き、二人の距離はさらに縮まる。
翌日、小乔は魏渠と魏梁を連れて袁旺に縁談を持ちかける。魏梁はわざと無能を装い、袁旺の娘は魏渠に心惹かれる。袁旺は婚姻は拒むが、宿麦への転作には同意する。
小乔は満足げに金店で頭面を作らせ、その動きがまた魏典の疑心を煽る。
こうして容郡を巡る静かな心理戦は、決定的に魏典を追い詰めていくのだった。
第18話あらすじ
袁旺に宿麦と通渠を拒まれた小乔は、表面上は平静を装いながらも、すでに次の一手を打ち始めていた。彼女は金銀細工店を訪れ、婚礼用の華やかな頭面を特注する。この行動はあえて周囲の目につくように行われ、案の定、その噂はすぐに魏典の耳へと届く。
魏典は袁旺を深夜に呼び出し、机上に頭面と玉佩を並べて詰問する。「魏劭と結ぼうとしているのではないか」と。袁旺は否定するが、魏典はすでに密偵を放ち、袁旺の動きを逐一把握していると告げる。信頼していたはずの魏典から疑われ、監視されていた事実に、袁旺の怒りは頂点に達する。両者は激しく言い争い、決定的な亀裂が生まれた。
その頃、魏渠から報告を受けた小乔は、計画が思惑通り進んでいることを確信する。魏劭は自ら動こうとするが、小乔は彼の負傷した腕を理由に強く制止する。あくまで“表に立つのは時期尚早”――彼女は策略の完成を優先した。
帰路についた袁旺は、突然何者かに襲撃される。矢が腕をかすめ、彼はその矢が魏典府で使われているものと酷似していることに気づく。これは小乔が事前に仕込んだ罠だった。彼女は刺殺未遂で使われた矢を意図的に再現させ、袁旺に「魏典が自分を殺そうとしている」と思わせたのだ。
絶体絶命の袁旺を救ったのは魏梁だった。剣を振るい刺客を退ける魏梁の姿に、袁旺の心は完全に魏劭側へと傾く。疑念は確信へと変わり、魏典はもはや“敵”となった。
一方、麦種の配布が始まり、民は歓喜する。これを知った魏典は、魏劭が自分を切り捨てに来たと悟り、先手を打とうと兵を集める。しかし彼の野心は、動き出す前に終わりを迎える。部屋に戻った魏典の背後から、魏渠の刃が心臓を貫いたのだ。魏渠は冷然と告げる――奸計は始まる前に断つ、と。こうして魏典は最期を迎える。
魏典の死後、袁旺は公に兵権を引き継ぎ、麦種配布と修渠事業への全面協力を宣言。容郡はついに魏劭の掌中に収まる。
同時に、魏劭は永宁渠をかつて共に築いた楊奉と甄値を招き、十四年前の志を語る。「地界のためではなく、百姓のために水を通す」。その言葉に二人は心を動かされ、再び力を合わせることを誓う。
場面は変わり、辺州では陳翔の死が伝えられ、陳滂の州牧就任と薛泰の反乱が明らかになる。逃亡中の蘇娥皇は、再び額に花钿を描き、自らの存在価値と野心を取り戻そうとする。彼女はまだ終わっていなかった。
容郡では、小乔が魏劭への“ご褒美”を求める。魏劭は黄金の首飾りを贈るが、小乔は不満げだ。彼女が欲しいのは形式的な贈り物ではなく、心だった。翌日、二人は街へ出て贈り物を選ぶが、すれ違いは深まるばかり。魏劭は戦馬と兵器を贈れば喜ぶと勘違いし、小乔は内心がっかりしながらも、それを隠して微笑む。
夜、小乔は星を見るため魏劭を誘い、香を焚き、装いも整えて待つ。しかし魏劭は彼女の想いに気づかず、寒さを心配して披風をかけるだけ。さらに楊奉を呼び寄せ、星の話を始めてしまう。小乔の期待は空回りし、恋の距離は縮まらない。
その後、袁旺は娘が魏梁に想いを寄せていると魏劭に打ち明ける。魏劭は半信半疑で魏梁に確認するが、魏梁は小桃の存在を前に即座に拒絶する。小桃は誤解して立ち去り、魏梁は必死に追いかける。彼は自分の命とも言える小兵器を差し出し、生死を共にする覚悟を小桃に示すのだった。
















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