星漢燦爛(せいかんさんらん) / 2022年 (星漢燦爛 全27話 + 月升滄海 全29話) 原題:星汉灿烂 /月升沧海
21話あらすじ
何昭君が自らの手で仇を討つという壮絶な場面を目の当たりにしながらも、程少商は恐怖を押し殺し、彼女と正面から向き合う。自分は楼垚を守りたい、だからこそ彼をあなたに託すことができない――そう率直に告げる少商に対し、何昭君は冷笑で応じる。彼女は、父が亡くなる直前に放った二つの言葉を語る。ひとつは「もう誰もお前を守らない」、そしてもうひとつは「何家の幼弟を守り抜け」という厳しい命令だった。昭君はその瞬間、自分が生きる意味を悟ったのだという。感情や誇りよりも、生き延びて何家を存続させることこそが使命なのだと。
少商は昭君の境遇に同情を示しつつも、楼垚には彼女への情がないこと、この婚姻が昭君自身にとっても不幸なのではないかと訴える。しかし昭君は激しく否定する。父や兄が生きていたなら、楼垚など眼中になかった、千人いても好きにはならなかった――それほどまでに、彼女の人生は一夜にして変わってしまったのだ。これ以上の応酬を避けるように、凌不疑が少商を車に乗せ、昭君には「来日方長だ」と言い残す。今は同情が集まっても、人生は長く続くのだから、自分の歩む道を誤るなという、警告とも助言とも取れる言葉だった。
帰路、車窓に身を預ける少商は、なぜ自分ばかりがこんな目に遭うのかと心を塞がせる。凌不疑は、どんな決断をしても自分は理解し支えると静かに告げる。やがて話題は、何将軍一門の殉国へと及ぶ。五人の息子と共に前線に立ち、雍王軍を冯邑郡の外で食い止めたことで、城内の民は一人も犠牲にならなかった――その事実を知り、少商は胸を締め付けられる。英雄たちの死の裏にある重さを、改めて突きつけられるのだった。
程家に戻ると、楼垚はなお門前で少商を待ち続けていた。少商は昭君と共に肖世子の処刑を見届けたことを伝え、これ以上の衝突を避けるため、しばらく距離を置きたいと告げる。その夜、楼垚は程家の前を離れず、少商もまた眠れぬまま星空を見上げる。誰もが大義を語り、正しさを押し付けるが、自分の心の痛みに目を向けてくれる者はいない――その孤独が、彼女を決断へと追い込んでいく。
家の中でも眠れぬ夜は続く。両親は心情的には二人を引き裂きたくないものの、退婚が避けられない現実を悟っていた。祖母だけは聘礼を惜しみ、最後まで反対するが、少商はついに自ら退婚を口にする。翌日、程家は楼家を訪れ、信物を返し、婚約解消を正式に申し出る。
楼大夫人は満足げだが、楼垚だけは納得しない。恩義を語る大人たちの中で、なぜ自分たちだけが犠牲になるのか、少商は約束を破ったのではないかと責める。少商は楼垚を外へ連れ出し、何将軍への敬意と恩義、彼が目指してきた生き方を問いかける。そしてこの婚姻は、単なる恩返しではなく、彼が尊敬する英雄たちの遺志を継ぎ、何家の孤児を守る道なのだと語る。昭君もまた変わるはずであり、彼が夫として導くことができる――それは、別れを選ぶための、あまりにも残酷な説得だった。
楼垚は受け入れ、もし昭君が道を踏み外せば、何将軍の墓前で共に悔い改めると誓う。正厅に戻り、二人は退婚を受け入れ、兄妹として生きることを約束し、涙ながらに互いの幸せを願う。その姿に、両家の大人たちも言葉を失う。
一方、城陽侯府では裕昌郡主との縁談を画策する声が上がるが、程少商を侮辱する言葉を聞いた凌不疑は即座に否定し、彼女の婚姻は自分が責任を持つと言い切る。その態度は、周囲に強烈な余韻を残す。
退婚という深い傷を抱えたまま、少商は祭天大典や競技会に足を運ぶが、心は晴れない。そんな中、楼垚と何昭君の姿を再び目にし、胸の痛みはさらに増していく。
――別れは終わりではなく、新たな運命の始まり。
少商の選択は、彼女自身をどこへ導くのか。
そして凌不疑の「責任」とは、何を意味するのか。
次回、祭天大典の裏で、物語はさらに大きく動き出す。
22話あらすじ
後山で程少商の縁談を占っていた程少宮は、偶然迷い込んできた班嘉と出くわす。順調だったはずの卦象は、班嘉の乱入によって一転、「桃花劫」からさらに厄介な「楽桃花煞」へと変わってしまう。程少宮は怒り心頭だが、班嘉は屈託なく「君は僕の初めての友だ」と言い切り、その無邪気さに少宮も怒りきれず、奇妙な友情の芽が生まれる。
一方、競技会の場では王玲が相変わらず程少商を嘲笑し、万萋萋が真っ向から応戦する。そこへ、周囲が自分と楼垚の婚姻を面白半分に語るのを聞いた何昭君は不快感を露わにし、楼垚を連れてその場を去る。王玲はさらに、少商が騎射もできないのに男の多い場に顔を出すと嫌味を言い、万萋萋は「ではあなたはできるのか」と切り返す。売り言葉に買い言葉で、二人は騎射の勝負をすることになる。
万萋萋が去った後、袁慎が少商に近づき、珍しく大人しい様子をからかう。かつて語った「長門賦」を持ち出して揶揄する袁慎に、少商は容赦なく「長舌だ」と言い放ち、その場を去る。程姎が袁慎と学問の話を続けようとするも、彼はそっけなく拒み、少商は追いかけてくる袁慎を避けるため、女娘たちの中へ紛れ込む。程姎は遠くから袁慎を見つめるばかりで声をかけられず、その姿を偶然目にした班嘉は、孤独な彼女に一目で心を奪われる。
少商は一人馬を走らせ山頂へ向かい、古い宝塔を見つけて中に入る。窓から見える群山と松林の雄大な景色を前に、彼女はふと悟る。退婚しただけで人生が終わるわけではない、世界はまだこんなにも広く、美しいのだと。だが、その直後、塔の上階から「太子廃立」を密談する声が聞こえ、緊張のあまり玉佩を落としてしまう。気配を察した者たちが下りてくる中、少商は咄嗟に身を隠し、そこへ凌不疑が現れる。
凌不疑は少商を抱えて窓外へ逃れ、梁の下に身を潜めるという危険な行動に出る。敵が去った後、彼は旧傷を痛めながらも、今日の出来事は誰にも話してはならないと厳命する。玉佩の半分が塔内に残されたことで、少商が疑われる可能性を察した凌不疑は、それを自分が預かる方が安全だと判断する。しかし今すぐ戻るのも危険だと告げ、少商を伴って行動することにする。
その頃、騎射の勝負では万萋萋が圧倒的な腕前を見せるが、王玲は腹立ちまぎれに馬を驚かせる卑劣な行為に出る。暴走する馬を追って程颂が飛び出し、二人は転倒。程颂は足を負傷し、万萋萋は涙ながらに世話を焼く。彼が冗談めかして「これでは身を許すしかないな」と言うと、二人の距離は一気に縮まる。
若者たちの騒動に文帝は激怒するが、凌不疑が少商を救って負傷したと聞くと態度を和らげる。二人の度重なる偶然と凌不疑の行動から、彼が本気で少商を想っていると悟るのだった。文帝は程始と共に凌不疑を見舞い、少商も同席する。彼女の礼儀作法に戸惑いつつも、凌不疑がすべてを受け答えする姿に、文帝は複雑な思いを抱く。
宮中に戻った文帝は、凌不疑と少商の縁を喜びつつも、彼女が彼に釣り合うのか悩み続ける。越妃には追い出され、皇后には全面肯定され、答えは出ない。結局「天意」に委ねるしかないと嘆くが、それすら信用できないとぼやくのだった。
程家では、凌不疑の救出劇と皇帝の様子から、縁談の流れが変わりつつあることを感じ取る。萧元漪は、少商も凌不疑に情があると見抜くが、本人は決して認めないだろうと読む。文帝の意向を受け、凌不疑への礼に出向く話が持ち上がり、最終的に程始が少商を連れて行くことになる。
――退婚の痛みから立ち上がり始めた少商の前に、
国家を揺るがす陰謀と、凌不疑との運命的な距離が重なり合う。
“感謝の訪問”は、果たして何を呼び寄せるのか。
次回、二人の関係は、もはや偶然では済まされない局面へと踏み出す。
23話あらすじ
程始は娘の程少商を連れ、負傷した凌不疑を見舞うため彼の屋敷を訪れる。ところが屋敷は驚くほど静まり返り、調度も簡素で、まるで軍営の延長のような空気だった。女官や女僕の姿も一切なく、その様子に程少商は思わず「どこかおかしいのでは」と父に小声でこぼしてしまう。するとその場に現れた凌不疑は、少しも動じることなく「女娘は程少商一人いれば十分だ」と言い放ち、場を一瞬で凍りつかせる。
救命の礼を述べる程始と程少商に対し、凌不疑は終始つっけんどんで、負傷したのも程少商のせいだと遠回しに言い返す。その態度に二人は気まずさを覚え、早々に辞去しようとするが、屋敷を出たところで部下に呼び止められる。差し出されたのは、あの宝塔で落とした玉佩の欠片。程少商だけが確認するよう促され、程始は軍務相談を口実に引き止められてしまう。
再び部屋に戻った程少商は、玉佩を使って自分を縛ろうとする凌不疑を責める。しかし凌不疑は、彼女が自分の怪我をまったく気にかけないことを寂しそうに訴える。仕方なく程少商が「まだ痛むのか」と尋ねると、凌不疑はその一言に心を動かされる。誰もが武将としての彼の能力や将来ばかりを案じる中、彼自身の痛みを気遣ったのは程少商だけだった。それはかつて驍県で見せた、彼女の本質と同じ優しさだった。
二人が静かに言葉を交わす最中、太子、裕昌郡主、そして王妗が見舞いに現れる。程少商が凌不疑のそばにいる光景に王妗は激昂し、楼家との婚約が破談になった腹いせに凌不疑へ近づいているのだと、あからさまに侮辱する。袁慎も駆けつけて程少商をかばうが、裕昌郡主と王妗は聞く耳を持たない。
ついに堪えきれなくなった程少商は、万家で彼女たちが男目当てに湖へ落ちた過去を突きつけ、「清廉を装いながら心は卑しい」と痛烈に言い返す。その毅然とした態度に場は静まり返り、程少商はそのまま屋敷を後にする。凌不疑は怒りを露わにし、王妗を「見る目のない愚か者」と一喝して客人を追い返すのだった。
その頃、凌不疑のもとには霍家旧臣・韓武が現れ、孤城の戦いに潜む不審点を語る。救援軍が足止めされた瘴気は本物だったのか、探路に出た兵や検分した医師たちが次々と消えた理由は何なのか――。長年命を狙われながら真相を追い続けてきた韓武の言葉は、凌不疑の胸に深く突き刺さる。
一方、王妗は屋敷を出た後も程少商を中傷し続け、それを聞いた文帝は激怒する。凌不疑と程少商を引き合わせたい思惑がある文帝にとって、これは大きな障害だった。皇后は五公主の婚事にも頭を悩ませており、自由を求める娘と現実の政治の狭間で苦慮している。五公主は自分より凌不疑が寵愛されていると疑い、皇后に厳しく叱責される。
やがて文帝は程始一家を宮中へ招く。程少商は緊張感もなく饼を食べ続け、母・蕭元漪を不安にさせるが、入殿後の彼女は意外にも落ち着いて帝后に応対し、その率直さで好印象を残す。皇后に伴われた長秋殿で、程少商は宮殿の構造に興味を示すが、そこへ五公主が現れ、怒りの矛先を彼女に向ける。危うく罰せられそうになるところを、老練な嬷嬷が救い、程少商は辛うじて難を逃れるのだった。
宮中で五公主の敵意を買ってしまった程少商。
彼女の率直さは、果たして武器となるのか、それとも災いを招くのか。
そして凌不疑は、孤城の真相と程少商への想い、二つの重荷をどう背負っていくのか――。
次回、第24話では宮宴を舞台に、程少商が再び大きな試練に直面することになる。
24話あらすじ
骆济通に付き添われ、程少商は宮中の宴へと向かう。道中、程少商は五公主のことを尋ねるが、骆济通は自分が五公主の陪読であること、そして彼女が幼い頃から何不自由なく育ったがゆえに、気性が激しく我が強いのだと静かに語る。さらに骆济通は、宮中では一言一行が命取りになると諭し、慎重に振る舞うよう忠告する。程少商はうんざりした様子で「もう二度と宮中には来ない」と漏らすが、その言葉には本心が滲んでいた。
宴の席で程少商は末席に案内されるが、王玲はそれを見て、身分の低い者には相応しい場所だと嘲笑う。程少商も黙っておらず、「私が来なければ、そこがあなたの席だったでしょう」と切り返し、一歩も引かない。やがて三公主と五公主が互いの婚姻を巡って口論を始め、程少商はその空気に嫌気がさし、懐から饼を取り出して食べ始める。
それが五公主の逆鱗に触れる。公主は程少商を「無教養で場違い」と罵り、程少商は逆に「民の暮らしを知らないあなたの方が無知だ」と言い返す。いったん席を外そうとした程少商だったが、五公主たちは侍女に命じて饼を叩き落とし、靴まで蹴り飛ばすという幼稚で陰湿な嫌がらせを始める。程少商は争う気もなく黙って靴を拾おうとするが、さらに花盆を割られ、背後から突き飛ばされてしまう。
その瞬間、凌不疑が現れ、倒れかけた程少商を抱き止める。彼は人目も憚らず程少商の靴を履かせ、手を取ってその場を離れようとする。屈辱に震える五公主と三公主は皮肉を浴びせるが、凌不疑は表情一つ変えず、二人の婚姻話を淡々と持ち出して言葉を封じる。その姿は、程少商を守るという明確な意思そのものだった。
凌不疑はそのまま程少商を宴の中央、自分の隣へと座らせる。周囲はざわめき、程少商が楼家と退婚したばかりだと知ると、好奇と下卑た視線が一斉に集まる。そこへ帝后が到着し、程始夫妻や万将軍も姿を現す。すると凌不疑は臆することなく「楼家との退婚は良いことだ。だから私は程少商を娶れる」と言い放ち、父を失った身として文帝に父代わりを願い出て、正式に求婚する。
文帝は驚きながらも大喜びし、即座に程始へ縁談を持ちかける。しかし、ここで立ちはだかったのは萧元漪だった。彼女は凌不疑を否定するどころか、程少商自身を「粗野で教養がなく、巧言で大胆不敵」と厳しく断じ、こんな娘では凌不疑に相応しくないと強く反対する。その言葉は程少商の胸を深く抉り、彼女は母の前で言葉を失う。
文帝は態度を保留し、程始は妻に逆らえず、辞官して郷里に帰る覚悟まで口にする。さらに文帝が程少商本人の意思を問うと、彼女は母の言葉を受け入れるように、自分は確かに凌不疑に釣り合わないと答える。しかし凌不疑は毅然として、程少商こそ天下一の女娘だと断言し、型にはまらぬ夫婦の在り方を語る。その真っ直ぐな言葉に、程少商の心は大きく揺れ動く。
「後悔しませんか」と問いかける程少商に、凌不疑は生涯ただ一人だと誓う。両親を見つめ、程少商は「一度だけ高攀します」と決意し、求婚を受け入れる。文帝は歓喜し、賜婚が告げられるが、裕昌郡主は衝撃のあまり倒れてしまう。
帰宅後、程少商は萧元漪に跪かされ、母娘の溝はさらに深まる。だが程少商は、父の前途を守るためにも自分が嫁ぐしかないと語り、ついに萧元漪も娘の決意を受け入れる。背を向けて歩く母娘を見送りながら、程始は複雑な思いを抱えるのだった。
一方、城阳侯府では裕昌郡主が泣き崩れ、老王妃は程少商への強い敵意をあらわにする。祝福と嫉妬、決意と対立が交錯し、物語は新たな局面へと進んでいく。
星漢燦爛(せいかんさんらん)25話・26話・27話 あらすじ















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