繁花 (はんか) Blossoms Shanghai 2023年 全30話 原題:繁花 / 原作は金宇澄の同名小説『繁花』(浦元里花訳、早川書房)
第6話 あらすじ
第6集では、宝総がいよいよ至真園の「裏」を見抜き、静かに仕掛けを打つ回であり、同時に三羊Tシャツの上市(発売)をめぐる攻防が一気に加速していく。
宝総は本来、至真園で一人静かに食事をするつもりだった。しかし状況が思った以上に複雑だと察し、正面玄関を避け、あえて裏口から入店する。厨房の様子を直接確認するためだ。この動きに李李は即座に反応し、自ら後門へ向かう。宝総は「内装を見たいだけ」とごまかしつつ、わざと最上階の非公開包間について話題を振るが、李李は巧みに話をかわし、「完成したら必ず招待する」と約束するにとどめる。
宝総が至真園で注文したのは、たった一品――干炒牛河。それだけで店の実力を測ろうとしていた。さらに彼は、できたてをいち早く味わうために後厨へ入り、太った料理人の腕前を「上海一、二を争う」と褒める。この一連の行動は、すべて計算ずくだった。
至真園の開業に際し、黄河路一帯が半月もガス停止になっていた理由も明かされる。李李は開業のため、独自にガス管を引いたのだ。宝総は汪小姐に干炒牛河を渡しながら、さりげなくガスの元栓に視線を送る。その瞬間、彼の中である対策が完成していた。
汪小姐は、この包間が「食べなくても最低消費2000元」と知り、元を取るため厨房へ直接注文しに行く。
その頃、李李は包間に現れ、宝総に向かって「至真園は三ヶ月もたないかもしれない。花は百日紅ならず」と意味深な言葉を投げかける。汪小姐はその真意を理解できないが、宝総は説明せず、彼女を先に帰らせる。
帰り際、李李は「手ぶらでは返せない」と宝総に贈り物を渡す。ところが中身は、范総の製品ではなく三羊Tシャツだった。この不可解な贈り物を見て、宝総と爷叔はすぐに察する。――すでに高仿(偽物)が出回っているという警告だった。
これを受け、宝総は上市計画を前倒しする決断を下す。
沪聯商厦の張副総経理が納品を担当し、范総は宣伝イベントが縮小されたことに不安を覚え、何度も念押しする。彼にとってこの商品は、まさに命綱だった。
一方、玲子は倉庫代わりに自分の店の一部を空け、宝総は密かに商品を分散保管していた。
至真園では、宝総が干炒牛河を食べたという噂が広まり、客がこぞって注文するようになる。しかしこの料理は「作ってすぐ食べなければ価値が落ちる」ため、店にとっては大きな負担だった。
そこで李李は大胆な戦略に出る。
干炒牛河は売らず、贈る。オーストラリア産ロブスターを注文すれば宝総牛河をサービス、持ち帰り不可、堂食限定、実質「買一送一」。これによりロブスターは半額感覚で売れ、月に6000匹も捌ける計算となる。ただし仕入れ先は陶陶限定。もし「三ヶ月で店を畳む」という噂を陶陶が知れば、彼は絶対に引き受けない。
三ヶ月閉店説は街に広まり、陶陶は板挟みに遭う。
その頃、汪小姐は夜总会で三羊Tシャツの宣伝関係者を接待しており、范総は宝総に見捨てられたのではと不安になり、汪小姐を追いかけて必死に取り入る。
三羊上市前夜、宝総は小酒館を訪れる。そこはかつて「艦隊」が結成され、分紅が行われていた場所でもある。この日は、かつて宝総を轢いた発根の息子・阿四の出所日だった。阿四は、宝総が証言してくれたおかげで軽判になったことに感謝し、父の過去を知って深く悔いる。宝総は株の話、人生の話を静かに語り、艦隊を蔡司令に託してその場を去る。
そして迎えた上市当日。
三羊Tシャツは沪聯商厦で販売開始され、人は集まるものの、売れ行きは伸び悩む。焦る范総は宝総に助けを求める。宝総は張総に電話し、「この火が大きくなるかどうかは、あなた次第だ」と告げる。
その直後、奇跡が起きる。
突然、費翔が商場に現れ、『冬天里的一把火』を歌い始めたのだ。人々は雪崩を打って集まり、上海中の話題となる。
こうして三羊Tシャツは一気に火がつき、瞬く間に完売。宝総の読みと仕掛けは、完全に的中した。
第6集は、宝総の「見えない戦い方」と、上海という都市が持つ熱と危うさを、鮮やかに描き切る回となっている。
第7話 あらすじ
第7集は、三羊Tシャツの大ヒットをきっかけに、黄河路全体の力関係が大きく揺れ動き、商売の光と影、人の嫉妒と連帯、そして宝総の怒りが一気に噴き出す回である。
三羊Tシャツの販売が爆発的に伸びたことで、各大手新聞社がこぞって報道を始める。記事を目にした范総は、ようやく胸をなで下ろす。一方、玲子とその友人たちも三羊Tシャツを景品として使い、自分たちの小さな店を盛り上げ、街全体が三羊一色になっていく。
しかし活況の裏で、黄河路の飲食業界は激しく人材争奪戦を始めていた。金美林の老板は、女性従業員に金のネックレスを餌に“色気”を要求し、小江西はその誘惑に乗って「宝贝」と甘い言葉をかけ、約束通りネックレスを手にする。しかしその瞬間、老板娘に見つかり、即座に解雇されてしまう。
行き場を失った小江西は至真園の面接を受けるが、金美林の卢美琳が現れ、彼女を使うなと李李に圧力をかける。李李は、彼女の恋人が金美林の厨房で働いていることを理由に、職場の秩序を優先して採用を断る。小江西は去り際、黄河路ではどの店も彼女を雇わないだろうという冷酷な宣告を受ける。
その頃、張総が費翔を招いた効果で三羊Tシャツの人気は決定的となり、范総は大喜びする。李李もこの勢いに乗り、至真園で范総のために包間を用意し、店の格を売り込もうとする。玲子の夜東京、陶陶の店も次々と完売し、街は空前の好景気に沸く。
しかし宝総は、夜東京で三羊Tシャツが売られているのを見て、違和感を覚える。彼は、玲子が自分の隠していた**高仿(偽物)**を売ってしまった可能性に気づく。追及され、玲子はすでに高仿を陶陶や菱紅に高値で売ってしまったと告白する。三羊の評判を守るため、宝総は「高値で買い戻し、丁重に謝罪する」ことを命じる。実はこの高仿の出所は、宝総自身が挙げた罠だったが、思わぬところで火がついてしまったのだ。
至真園では范総が顧客を招いて祝宴を開く一方、向かいの金美林は人が集まるのを見て、何かを仕掛けようと画策する。そんな中、宝総は紅鹭で「麻老板」と密会し、三羊の高仿について揺さぶりをかける。「八十万件はすべて自分の管理下にある。それ以上は偽物だ」と断言し、三十万元を差し出して高仿を見せるよう迫る。麻老板は明らかに動揺する。
一方、至真園では突然の停電が発生する。対面の店や黄河路の仲間たちは、嘲笑するように成り行きを眺めていた。犯人は、追い詰められた小江西だった。混乱の中、魏总は汪小姐に近づこうとして平手打ちを食らい、場はさらに荒れる。警察が呼ばれ、小江西は連行されるが、李李は彼女一人の仕業ではないと見抜いていた。黄河路全体に「度を越えれば容赦しない」という見せしめのため、あえて事件を公にしたのだ。
李李は背後関係を探るため、小商店の老板に金を渡し、宝総と各店の関係を洗い出す。一方、宝総自身も同じ問いを投げかけていた――「至真園が潰れたら、誰が一番喜ぶのか」。答えは明白だった。黄河路全体である。
その夜、李李は眠れず、厨房に立ち、かつて宝総が後厨を観察していた姿を思い出す。そして主厨の何気ない仕草から、ある違和感に気づき始める。
一方、宝総は汪小姐が金銭的に傷つけられた件で玲子を問い詰める。玲子は、以前から返すつもりだった二万六千元を差し出し、自分がどれだけ宝総を支えてきたかを語る。かつて彼を守るために身を張った過去を持ち出され、宝総は自責の念にかられ、さらに十万元の改装費を約束してしまう。
陶陶は宝総に「桃花運が来ている」と茶化しつつ、彼自身は黄河路の圧力を感じ取り、店を閉める決断をする。外地から来た李李が、街全体に潰されようとしている現実を見て、宝総の心には強い怒りが芽生える。
かつて金凤凰の件で自分が悪者にされたように、今また同じ手口が繰り返されている。
宝総はついに決意する――黄河路の女老板たちに、きっちり筋を通させる時が来たと。
第7集は、表向きの繁栄の裏で渦巻く妬みと策略、そして宝総が“静かな商人”から“街と向き合う存在”へ変わっていく重要な転換点となっている。
第8話 あらすじ
第8集は、宝総がついに黄河路の“女老板たちの連合”と真正面から向き合い、その裏で**自分の商いの次の一手=「ブランドを持つこと」**へ踏み出す、極めて重要な回である。同時に、汪小姐との関係が過去から現在へと深く掘り下げられ、二人の信頼が決定的なものへ変わっていく。
停電事件の余波の中、陶陶はあの一件の裏に卢美琳が関わっているのではないかと疑う。小江西が暴走する以前、敏敏が彼女を必死に止めていたことを思い出したからだ。宝総もまた、金凤凰の時と同じように、気づけば自分が“悪者”にされている状況を察し、「もう二度と黙って背負うことはしない」と決意する。彼は、黄河路の女老板たちに対し、本気で手を打つ覚悟を固める。
宝総が次に狙いを定めたのは、诸暨(しょき)。三羊Tシャツの高仿を作っていると噂される麻老板の工場がある場所だ。周囲が止める中、宝総は「一人で行く」と決める。その胆力に、麻老板自身も一目置いていた。翌日、汪小姐は宝総が诸暨へ向かったことを知り、強い不安を覚える。諸暨は土地柄も荒く、何が起きても不思議ではないからだ。
暴雨の中、宝総は小宁波と共に諸暨に到着するが、約束の場所に入る前、小宁波を待機させる。「八時までに連絡がなければ、爷叔に知らせろ」――それは、最悪を想定した指示だった。
一方、汪小姐は居ても立ってもいられず、貯金をはたいて中古車を買い、単身で諸暨へ向かう。宝総の身に何かあれば後悔しても間に合わない、という思いが彼女を突き動かしていた。
その頃、黄河路では別の動きがあった。卢美琳は従業員を集め、小江西をあえて評価し、職場復帰させる。小江西は金のネックレスを得て、至真園への停電工作を“黄河路のため”と正当化するまでに変わっていた。その姿に、敏敏はかつての友人の変貌を思い知る。
至真园では、要である胖主厨が他店から引き抜きを受けていることが判明する。李李は給料を上げて引き留めようとするが、即時昇給を要求され、彼女は一人に依存する危険性を悟る。裏で新しい主厨探しを始め、店を守るため静かに布石を打つ。
諸暨では、宝総が麻老板の“黒工場”へ連れて行かれる。緊張が走る中、彼は冷静に商品を検品し、高仿の品質が三羊とほぼ同等であることを見抜く。麻老板は白酒を持ち出し、金の入った箱を量ってから怒りを爆発させ、宝総を押さえつけようとする。
その同じ頃、諸暨へ急ぐ汪小姐は、焦りから交通事故を起こしてしまう。
だが――事態は急転する。小宁波がKTVに乗り込み麻老板を詰め寄ると、そこには酔いながら歌う宝総の姿があった。すべては宝総の読み通りだったのだ。麻老板の虚勢を見抜いた宝総は、「高仿を作る力があるなら、堂々と自分たちのブランドを作れ」と提案し、上海という市場とルートを提示する。麻老板は工人たちの未来を思い、契約に応じる決断をする。
外に出てきた宝総を見て、汪小姐は堪えていた感情を抑えきれず、涙ながらに抱きつく。「無事でよかった」――それだけが本音だった。事故車の前で、宝総は彼女を優しく慰める。
帰路、宝総は小宁波に「自分たちのブランドを作れる」という確信を語る。そして物語は、二人の出会いの原点へと遡る。
1988年、外贸公司で出会った二人。新米だった汪小姐は、郵票を剥がせず泣きそうになっていた。宝総はさりげなく方法を教え、そこから彼女の心に少しずつ入り込んでいく。厳格で融通の利かない汪小姐に対し、宝総は“持久戦”を選び、何度も外贸公司に通った。
金科长に拒まれても諦めず、爷叔の助言で再挑戦。汪小姐が大切にしていた郵票を見つけたことで、二人の距離は確実に縮まる。やがて汪小姐は、彼の誠実さを認め始める。
しかし金科长から告げられたのは「半年後に来い」という冷たい返答。そこで宝総は、新たな道を考え出す。設備を自前で用意し、日本から“三来一补”方式で持ち込み、工場に貸し出す――その発想の中で出会ったのが、絶望して川に身を投げようとしていた小宁波だった。宝総は迷わず後を追って川へ飛び込む。
第8集は、
宝総が“守る側”から“切り拓く側”へ変わり、
汪小姐が“仕事仲間”から“人生を共に背負う存在”へ近づく
その決定的な一歩を描いた回である。
第9話 あらすじ
第9集は、阿宝の原点回帰とも言えるエピソードであり、彼がどのようにして商人として、そして人として信頼を積み重ねてきたのかが丁寧に描かれる。
物語は、香港にいる兄から突然連絡が入ったことから始まる。それは阿宝にとって人生初の外贸(貿易)契約のチャンスであり、同時に汪小姐、小宁波との最初の出会いでもあった。
当時、小宁波は三百人の工人の賃金問題を抱え、追い詰められて川へ身を投げようとしていた。阿宝は咄嗟に飛び込んで彼を救おうとするが、逆に小宁波に助けられる。阿宝が目を覚まして最初に口にしたのは、「五百万ドルで一緒にやろう」という言葉だった。この常識外れの一言が、二人の運命を結びつける。
二人は外贸公司で汪小姐と出会う。彼女は規則に厳しく、融通の利かない新人だったが、阿宝と小宁波は何度も食い下がる。外では工人たちが賃金を求めて騒ぎを起こし、事態は収拾不能寸前となるが、阿宝は契約が期限切れである不利を承知の上で、設備を自前で用意し“三来一补”方式で輸入するという大胆な案を提示する。
数字を精査した金科长は、その合理性を認め、ついに契約を承認する。阿宝はこの日、正式に「商売の世界」に足を踏み入れたのだった。
夜、阿宝は汪小姐に感謝を伝え、彼女に**隐形眼镜(コンタクトレンズ)**を贈る。彼女の夢が「いつか金科长のような存在になること」だと知った阿宝は、心の中で「あと四年で彼女をその席に座らせる」と静かに誓う。
現代に戻り、李李は至真园の危機を阿宝に打ち明ける。食材は黄河路の店に買い占められ、胖主厨は意図的に問題を起こしていた。阿宝は「今すぐ主厨を解雇しろ」と助言し、李李は決断する。胖主厨は日日鲜へ行くが、結局使われず、黄河路の非情さが浮き彫りになる。
その裏で、爷叔は香港の一流料理人チームを秘密裏に手配していた。至真园は一夜にして満席となり、卢美琳たちは完全に出し抜かれる。これは偶然ではなく、阿宝・李李・爷叔の周到な仕込みだった。
ラスト、戻ってきた胖主厨が復職を願い出るが、李李は冷静に拒否する。「今さら戻す方が、黄河路では笑いものになる」――彼女もまた、経営者として成長していた。
第10話 あらすじ
至真園が主厨不在という非常事態に陥ったことを知り、范総は黙っていられなかった。自分にできることがあればと、料理の腕を振るう覚悟まで見せるが、阿宝はすでに香港から一流の料理人チームを手配しているという。ただし、その肝心の主厨たちはまだ到着していなかった。范総は不安を抱えたまま夜東京へ向かい、阿宝のもとで至真園の現状を伝える。一方その裏で、胖主厨は店の前に立ち、客を追い返して金美林へ誘導するという露骨な妨害を続けていた。
李李は范総が持ち出したメニューを見て愕然とする。そこに並ぶ料理は、料理番組でしか見たことのないような高度な香港料理ばかりだった。阿宝からの指示で「向かいの店に行け」と言われた李李は、逃げたのではないかと誤解されながら大通りを渡り、そこで待っていた人物――爷叔と再会する。黄河路の裏側を知り尽くした爷叔は、静かに、しかし的確に李李へ助言を与え始める。
その頃、夜東京では阿宝が自ら鍋を振り、卵炒飯を作っていた。黄河路は上海でも最も繁華な場所であり、卢美琳を中心とする十数軒の飲食店が長年この通りを牛耳ってきた。至真園の開業は、彼女たちの既得権を脅かす存在だった。だが阿宝は、至真園を単なる一軒の店ではなく「黄河路を守る旗印」にしようとしていた。
夜が深まる頃、ついに香港主厨チーム二十数名が至真園に到着する。彼らは到着するや否や、迷いなく持ち場に散り、見事な連携で厨房を立て直していく。その一方で、小江西は陶陶の配送車を街中で止め、食材搬入を阻止しようとする。しかしこれは陶陶の陽動作戦だった。本命の車はすでに裏口から至真園に食材を届けており、妨害は空振りに終わる。
卢美琳は仲間の店主たちを引き連れて至真園の包間に乗り込み、李李を露骨に嘲笑する。だが李李は逃げず、酒を注ぎ、正面から応じた。そこへ卢美琳の古い知人・杜红根が乱入する。彼はかつて運送業からディスコ経営に転じて失敗し、ようやく立ち直った人物で、今も黄河路の裏社会とつながっていた。杜红根は李李のメニューを破り捨て、「黄河路は俺たちのものだ」と威圧する。
しかし李李は怯まない。黄河路は一軒だけが潤っても意味がなく、皆で繁盛してこそ価値があると語り、翌日の宴席を他店に回す提案まで持ち出す。だが杜红根は聞く耳を持たず、店の窓ガラスを叩き割って去ろうとする。そこで李李は、爷叔から託された一通の封筒を差し出す。中身は、杜红根がかつて阿宝から借りた三十万元の借用書だった。
その瞬間、場の空気が一変する。杜红根は何も言えず立ち去り、卢美琳は彼を罵倒する。だが封筒の中身を見た彼女もまた、言葉を失う。かつて夫が香港の賭博で全てを失った時、救いの手を差し伸べたのが阿宝だった。その恩を、阿宝は一度も口にせず、借金も取り立てなかった。すべては「面子」のためだったのだ。
戦いはひとまず至真園の勝利に終わる。李李は香港料理フェアを開催し、半額という大胆な戦略で客を呼び込む。他店も追随し、黄河路全体が活気づいていく。やがて李李は、これまで拒んでいた至真園最上階の包間を、ついに阿宝へ開放する。阿宝は最初の客としてそこに現れるが、料理を注文することはなかった。ただ一言、静かに問いかける。
――「A先生を、知ってるか?」
黄河路の戦いは終わったわけではない。むしろ、新たな局面が、今まさに始まろうとしていた。
















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