長楽曲~白い愛、黒い罪~ 2024年 全40話 原題:长乐曲
第1話あらすじ
大倉元和五年――皇帝と皇太子が相次いで病没し、まだ襁褓の中にあった皇太孫・蕭麒が即位した。新たな年号は「聖歴」。政務はすべて太皇太后・周姁が垂簾聴政のもとに握り、朝廷は彼女の専制に覆われていく。六年の歳月が流れた頃、冷徹無比の内衛府指揮使・沈渡が登場する。彼は人心を震え上がらせる「白無常」として知られ、容赦なく罪人を裁きながら、百人もの子供が失踪した怪事件の真相を追っていた。
一方、顔家の六娘・顔幸は、家中で庶女として肩身の狭い暮らしを送りながらも、明敏な頭脳と観察力を秘めた娘であった。偶然の巡り合わせにより、雁帰山で発生した刺客騒動に巻き込まれた顔幸は、内衛府と御察司が睨み合う緊迫の場で、検分と推理によって無実の民を救い、真犯人を突き止める。だがその手柄さえ、沈渡の冷酷な裁断のもとでは危うく消え去ろうとした。
事件の影に渦巻く黒幕の存在、そして「刺客の背後に沈渡がいる」と叫ばれる不穏な真実。周姁が政権を握る宮廷では、沈渡と朝臣たちの駆け引きが続き、さらに顔家には沈渡への婚姻の勅命が下る。花嫁に選ばれたのは三娘・顔采薇。しかし、密かに女官試験合格を夢見る六娘・顔幸の運命もまた、この冷酷な男との出会いによって大きく揺らぎ始めるのだった――。
第2話あらすじ
沈渡は太皇太后から幾度も賜婚を受けながら、そのたびに花嫁を恐怖に陥れて逃がすという常套手段を用いてきた。今回も顔家の三娘・顔采薇を娶るはずであったが、家族はこの縁組を不安視し、娘自身も結婚を拒んで家出してしまう。家族が動揺するなか、庶女の顔幸が「自分が代わりに嫁ぐ」と決意。父母の反対を押し切り、姉に代わって婚礼衣装に身を包み、輿へと乗り込んだ。太皇太后は「顔家の娘」としか命じておらず、顔幸はその隙をついて沈渡の正妻となる。
しかし沈家の屋敷は婚礼の華やぎから程遠く、静まり返った空気に包まれていた。沈渡は冷酷に「本物の妻になるつもりは許さぬ」と告げ、顔幸をただの人質同然の存在として扱う。幼き日の約束や思い出を忘れ去ったかのような沈渡の態度に、顔幸は胸を痛めながらも決して怯まず、強い意志を貫こうとする。互いに交わす最初の触れ合いも緊張と不信の中でぎこちなく、二人の関係は冷たくすれ違うばかりであった。
やがて明堂で火災が発生し、沈渡はただちに現場へ急行。混乱の影で新たな事件の影が忍び寄る。一方、顔幸の友・陸垂垂が彼女を訪ね、西林寺の竹林で発見された不可解な死体について告げる。政争と陰謀に覆われた朝廷の只中で、沈渡と顔幸の奇妙な婚姻生活は始まったばかり。冷酷な権力者と賢明な庶女――決して交わるはずのなかった二人の運命は、さらに深い謎と危険の渦へと呑み込まれていくのだった。
第3話あらすじ
沈渡は太皇太后に召され、焼身自殺者の件を徹底的に調査するよう命じられる。同時に「新婚の妻と家で静かに過ごせ」と釘を刺されるが、来蕭恒や張相は「沈渡は昨夜、花嫁を放置して捜査に出かけ、妻の顔幸も行方不明だ」と挑発的に告げ口する。やがて太皇太后は、顔幸が東師・金蔵(金姨娘の弟)の縁者であり、金姨娘の弟であることを知り、その存在に注目し始める。
一方、嫁衣姿のまま事件の真相を求め寺へ向かった顔幸は、刑部主事の呉秦明に妨げられるが、その泥の付いた足跡や袖の模様から、彼が西郊に密かに通っていることを即座に見抜く。仕方なく呉主事に導かれ、顔幸は二つの遺体を検分する。心臓を抉られた男と、顔に深い傷を負った女――その不可解な死に、香りの痕跡を感じ取った顔幸の推理は、徐想仁の証言により裏づけられる。遺族には梁大人の名があり、事件は宮廷にも波紋を広げていく。
やがて沈渡も現場に姿を見せ、顔幸の執拗な調査に嫌悪を示す。彼は「早く戻り、夫人の務めを学べ」と冷たく突き放すが、太皇太后から梁家殺人事件の捜査を命じられているのは沈渡自身であった。互いに反発し合う中、顔幸は監視の目を欺いて再び調査に乗り出し、滴水観音の毒に辿り着く。だが不意に狂女に襲われ、池に落ちた顔幸を救ったのは沈渡であった。
屋敷に戻ると、顔幸は夫人としての務めを強要される一方、沈渡が太皇太后からの密令を意図的に見せつけ、彼女の出方を試す。顔幸は「張相の者ではない」と断言し、さらに「梁家次男を早計に犯人と決めつけるべきではない」と反論。大胆不敵に暗器を手に取り「三ヶ月後、女官試験の結果が出るまで賭けをしよう」と宣言する。
やがて二人は同じ寝所に入るが、沈渡の極端な潔癖症は顔幸の茶目っ気によってかき乱され、屋敷中が大騒ぎに。互いに反目しながらも、奇妙な距離感の中で同じ時間を過ごすことになる。眠れぬ夜、顔幸は密かに友人・潘馳へ手紙をしたため、自らの調査記録を残すのだった。
第4話あらすじ
新婚早々、寝所をめぐる小さな衝突が絶えない沈渡と顔幸。表向きは「仲睦まじい夫婦」と噂される二人だが、実際には鋭い舌戦と駆け引きの連続だった。
そんな折、科挙に失敗した男・陳白衣が自宅に火を放ち、老いた母を残して命を絶つ悲劇が発生する。さらに梁家では次々と混乱が広がり、二房は鶏血を浴び、三郎が自首するなど、名門の家は瓦解寸前に。真相を求める顔幸は陸垂垂と錦繍坊を訪れ、失踪した娘・邝盏心の痕跡を追う。やがて旧知の徐帥と再会し、失踪した娘たちには「音楽の才」「同じ髪型」「瞳の輝き」という不可解な共通点があると知らされる。顔幸は「連続殺人事件に違いない」と断言するのだった。
しかし現場でさらに五組の男女の遺体が発見され、数年前から続く惨劇であることが判明。死体に漂う不可解な香り、そして女性の傷跡――顔幸は犯人が女性である可能性を指摘するが、沈渡は規則を盾に彼女を捜査から遠ざけようとする。反発する顔幸はなおも真相を追い、香りと髪飾りに新たな手掛かりを見出す。
一方、宮廷では永安公主と来羅織が暗闘を繰り広げ、不吉な童謡が街に広まる。やがて来羅織の讒言によって沈渡が拘束される危機に直面するが、顔幸は冷静に奏章をしたため、見事に彼を救い出す。
太皇太后は沈渡への信頼を改め、調査継続を命じると同時に、誰にも知られてはならない新たな密命を与えるのだった。
愛憎と謀略が渦巻く中、「偽りの夫婦」はさらなる危機の只中へ――。
第5話あらすじ
沈渡を救った徐婉は「この件には真の黒幕が潜んでいる」と警告し、太皇太后ですら処理に苦慮する難題であることを告げる。顔幸が奏章を偽造した事実に気づいた沈渡は厳しく咎めるが、彼女の「人を救うため」という覚悟を前に、複雑な思いを抱えるのだった。
その頃、街では黒衣の者が投げ捨てた文書をきっかけに貧しい書生たちの怒りが爆発。太皇太后は激怒するが、永安公主が「寒門子弟にも学問の門戸を開くべき」と進言し、朝廷は大きく揺れる。沈渡と顔幸は、学びを求める者たちの希望と現実の隔たりを目の当たりにする。
一方、連続失踪事件の調査は新たな局面へ。被害者たちが「楽伎」であると判明するが、彼女たちの身に付けていた髪飾りは庶民には手の届かぬ高価な品だった。沈渡と顔幸は店の帳簿から永安公主の配下の影を突き止める。その直後、顔幸は永安公主から花見に招かれ、唐夫人との対面で“あの香り”と首筋の刺青という決定的な手掛かりを得る。
しかし、公主の宴は甘美な罠だった。顔幸は辱めを受け、ついには力尽きて倒れる。駆けつけた沈渡は激しい怒りを隠さず、彼女を抱きかかえ宮廷を後にする。
危険を予見していた沈渡の胸中と、倒れながらも事件解明への執念を燃やす顔幸――。
黒幕の影がいよいよ輪郭を帯びる中、二人の運命はさらに深く宮廷の闇へと呑み込まれていく。
長楽曲~白い愛、黒い罪~ 6話・7話・8話・9話・10話 あらすじ
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