惜花芷~星が照らす道~

惜花芷~星が照らす道~

惜花芷~星が照らす道~ 11話・12話・13話・14話・15話 あらすじ

惜花芷~星が照らす道~2024年 全40話原題:惜花芷

11話あらすじ「花芷の新計略が功を奏し新居へ移る」

顧晏惜の指示で紫篁居の周囲には七人の宿衛が配置され、ようやく一夜の安寧が訪れた。芍薬花芷の傷に薬を塗ると、朱盈貞も娘のもとに膝をつき、震える手で薬を塗り替えながら何度も謝罪する。これまで娘がどんなに苦しんでも、母として何もできなかった――その悔恨が静かに涙となって零れ落ちた。母娘は抱き合い、芍薬も傍らで声を詰まらせた。「これからは危険が来たら、私があなたを守る」と、芍薬の小さな誓いが夜の灯のように温かく揺れる。

翌朝、顧晏惜芍薬の療養を口実に都の目を欺く。一方、花芷は新しい商売の策を練り上げていた。盗まれた花灯の意匠をもとに、回転箱の仕掛けを加えた新型灯籠を考案。市場に出すと瞬く間に話題となり、赤い果実を買えば灯籠を一度回せるという趣向が評判を呼んだ。街角には人だかりができ、花芷の屋台は連日大盛況。顧晏惜が訪ねてきたとき、彼女は首に布を巻き、痛みを隠して笑っていた。互いに正体を知らぬまま、ふと交わした言葉には淡い信頼が芽生え始める。

商売が軌道に乗ると、花芷抱夏蝉露に雲来酒楼の客入りを調べさせ、次なる一手を打つ。花家の新作点心を「贈呈」という名目で売り込み、都一番の料理屋・白銘夏に取引を申し込んだのだ。三ヶ月の提携契約が結ばれると、花芷は毎朝自ら点心を届け、声を張り上げて売り歩いた。やがてその味と努力は評判を呼び、雲来の看板と共に花家の名も都中に広まっていく。期限満了の折、白銘夏は自ら再契約を申し出、花芷の商才を称賛した。

しかし、花芷は満足しなかった。人の看板に頼る商売は長く続かない――そう悟った彼女は、独自の店舗を構える決意を固める。相談相手は顧晏惜しかいなかったが、彼は「思いついたら実行しろ」と短く背中を押した。その言葉に花芷は勇気を得る。半年後、蓄えた資金で家族を連れ、念願の街への帰還を果たす。林婉花芷に部屋を選ばせ、芍薬にも一室を与えた上で告げる。「最も難しい時期を越えたと思ってはいけない。順風の道こそ、真の試練が潜んでいる」と。

花芷は胸の奥でその言葉を噛みしめる。貧しさと屈辱の中で育まれた知恵と信念を糧に、今ようやく自分たちの居場所を得たのだ。街に戻った花家の屋敷には、再び希望の灯がともる。かつて護衛だった李貴も戻り、家族と仲間が再び集うその光景は、苦難の果てに掴んだ新たな始まりを告げていた。

――嵐を越えて、花家は再び都に立つ。だが、平穏の裏には次なる嵐の気配が、静かに忍び寄っていた。

 

12話あらすじ「柏礼の事故と秦姨娘の追放」

李貴が再び花家の門を叩いた。名目は護衛依頼だが、実際は十五人もの男たちが門前を塞いでおり、花芷はやむなく彼の申し出を受け入れる。こうして李貴は再び花家の護衛として戻った。だが、屋敷の内では早くも波乱の気配が漂っていた。秦姨娘夏金娥の隣に住むことを拒み、むしろ薪小屋のような粗末な場所を選んでまで、二夫人の側にいたいと懇願する。花芷は事情を知らぬままその願いを即座に許可したが、二夫人は顔色を変え、窓を閉ざしてしまった。

一方、顧晏惜は花家の復帰を聞いて驚くも、表立った反応は見せなかった。都では沈家もまた波風を立てていた。沈老爺子は憲王に取り入ろうとして贈り物を送るが失敗し、孫の沈淇を利用して茶会を開こうと画策する。家族の思惑に辟易した沈淇は、ついに荷物をまとめて家を飛び出した。通りで倒れた荷を拾おうとした彼を助けたのは、偶然通りかかった花芷だった。その姿を見た顧晏惜はなぜか胸の奥がざわめき、思わず二人の間に割って入る。花芷は沈淇の貧しい暮らしぶりに心を痛め、人を遣って物資を届けさせた。

その頃、柏礼は学堂で孤立していた。罪人の子孫と蔑まれ、教師からも冷遇される日々。ついには「どんなに優秀でも状元にはなれぬ」と言われ、心が折れてしまう。家では二夫人の期待が重くのしかかり、ついに激しい口論の末、柏礼は家を飛び出した。夜、家族が総出で探す中、水辺に浮かぶ柏礼を真っ先に見つけたのは秦姨娘だった。ためらわず飛び込み、我が身を顧みず救い上げた彼女は、泣きながら「私の息子よ!」と叫ぶ。その言葉に二夫人は激怒し、秦姨娘を平手打ちした。

秦姨娘はその夜、高熱にうなされながら「息子よ」と繰り返し呟いた。娘の花琴はついに真実を柏礼に告げる――秦姨娘こそが彼の生母であると。翌朝、屋敷に衝撃が走る。二夫人は夏金娥を呼び、秦姨娘の追放を命じた。秦姨娘が荷を運び出されるその時、花芷が帰宅する。彼女は冷静に命じた。「秦姨娘は月秀小館で働きなさい。報告以外で屋敷に戻ることは禁じます。」林婉はその判断に深く頷いた。

一方で花芷は、新しい試みにも動き出していた。外部の塾が花家の子弟を受け入れないと知ると、一族のための私塾を自ら開こうと決意。報酬を弾んでも引き受け手は現れず、彼女は昼夜問わず師を探し歩いた。そんな折、顧晏惜が現れ、芍薬のための布を選ぶ手伝いを頼む。店で布を見立てるうち、顧晏惜花芷に服を試着させ、その姿に思わず目を奪われた。互いに照れ笑いしながら、今度は花芷が彼にも同じ布の服を選び、偶然にも二人の衣は同じ柄でぴたりと揃った。

帰り際、顧晏惜花芷の苦労を知り、「必ず良い先生が見つかる」と穏やかに励ます。その言葉に花芷の胸は少しだけ軽くなった。
――家族の秘密、母と子の断絶、そして静かに芽生える絆。花家の新しい日々は、また新たな試練の幕を開けていく

 

13話あらすじ「花芷が顧晏惜に五色の紐を付ける」

花家が名高い儒学者を探しているという噂が街中に広まる中、一群の書生たちが陰口を叩いていた。その会話を偶然耳にした沈淇は、思わず花家を庇う。顧晏惜陳情から、都で最も名声高い儒学者が穆承之であると知り、陳情を通じて手紙を送らせた。手紙筒に刻まれた「七宿司」の蝋印を見た穆承之は、一瞬身の危険を感じて身を清め香を焚くが、中に入っていたのは花家の「師匠募集の告知」だった。驚きとともに花芷の誠意を感じ取った彼は、沈淇の案内で花家を訪ねることを決める。

花芷は礼を尽くして穆承之を迎え、屋敷を案内し、毎日菓子と果物を届けると約束した。穆承之は喜び、花芷の学問への熱意を感じ取る。「どうして我が家の族学開設を知っていたのか」と問う花芷に、穆承之は「沈淇から聞いた」と答えた。その言葉に花芷は微笑むが、どこか切なげに「感謝すればするほど、もう会えなくなる気がする」と呟いた。

一方、顧晏惜芍薬を見舞いに来た際、花芷が武術教師を探していると知る。折しも花芷が帰宅し、授業の時間を忘れてふらふらとする芍薬を、二人で講堂まで送り届けた。その後、警備を預かる李貴が息子を武術教師に推しつつ、花芷に給金の値上げと祝儀を脅し取る。花芷は事を荒立てぬよう承諾したが、迎春から李貴が給金を横領していると聞き、苦悩する。女と子供ばかりの花家では、強く出られない現実があった。

そんな中、林婉は花芷に旧友からの手紙を読ませた。名前を明かさぬまま、懐かしい筆致に目を細める林婉花芷が声に出して読むうち、林婉はまるで若き日の自分に戻ったような微笑みを浮かべた。

やがて端午の節句が訪れる。屋敷は香り高い花飾りで彩られ、家族たちの笑い声が響く。しかし花芷の姿だけが見えなかった。拂冬によれば、彼女は夜明け前から百草頭を各家に配り、粥を振る舞う小屋を建てているという。林婉は皆に「手伝いに行こう」と声をかける。

その頃、宮中では慶帝・顧成焘が宴を開き、十年ぶりに凌王・顧晏焄夫妻を招いていた。兄弟の再会は緊張を孕み、恵王憲王の視線が火花を散らす。顧晏惜の登場でさらに場は気まずくなり、顧晏焄が急ぎ席を譲って場を収めた。宴ののち、慶帝は顧晏惜を呼び止め、太后が花家に関心を示す理由を探るよう命じる。太后と花家の間に、何らかの秘めた縁があるのではないか――それが慶帝の疑念だった。

屋敷への帰り道、顧晏惜は粥を配る花芷の姿を見つける。庶民の中で汗を拭いながら働く彼女の姿に、彼は思わず馬車を降りて声をかけた。別れ際、花芷は五色の組紐を取り出し、そっと彼の首にかける。「これは邪を払うもの。あなたにも平安を」と。顧晏惜は言葉を失い、ただその温もりを感じた。

その夜、密書を追う顧晏惜は、花家の中へ潜入するため自ら武術教師として名乗り出る。花芷は快く承諾し、新たな師を迎え入れる準備を整えた。彼女は知らない――彼こそが、花家の運命を左右する真実の探求者であることを。

 

14話あらすじ「顧晏惜は花芷をただ知己だと思っていた」

夜の静寂を破る悲鳴が、花邸の安寧を引き裂いた。
林婉が眠るその夜、顧晏惜は密かに彼女の部屋を訪れていた。一方、酒に溺れた李継宗は、父・李貴の権勢を頼みに張娘へと卑劣な手を伸ばす。必死に抵抗する張娘の声を聞きつけ、花芷顧晏惜は駆けつけた。花芷は身を挺して張娘を守るが、李継宗は逆上し、暴力を振るおうとする。危機の刹那、顧晏惜が現れ、冷徹な一撃で李貴父子を制圧した。
翌朝、花芷は屋敷の混乱を収め、罪を明確にしつつも他の護衛たちの信頼を失わぬよう采配する。その毅然とした姿に、顧晏惜は彼女の覚悟を見た。「今の私は恐れを許されない」――花芷のその言葉に、彼は己の過ちを悟る。彼女を守ると、心に誓いながら。

やがて花芷は、張娘に“念秋”という名を与え、共に働くことを決める。顧晏惜花芷に袖矢の稽古をつけ、その指導はやがて互いへの想いを滲ませるものとなっていく。
休憩の合間、顧晏惜が梨をむきながら「これからも練習を怠るな」と穏やかに告げる姿に、花芷の胸は静かに熱を帯びていった。

だが、花芷の心を読んだかのように、林婉は彼女を馬場へ誘う。乗馬を通して“人を導く心得”を語る林婉は、自身の若き日の恋――花屹正との出会いを語り、花芷に問う。「お前は顧晏惜を、好きなのか?」
答えは言葉にならずとも明白だった。林婉は娘のような花芷に、迷いを残すなと諭す。
そして顧晏惜を呼び出し、その想いを問い質すが、彼は沈黙を貫く。「花芷を傷つけるな」――林婉の冷たい忠告が、彼の胸に刺さった。

再び訓練場で顔を合わせた二人。花芷は勇気を振り絞り、「あなたは、私をどう思っていますか」と尋ねる。
顧晏惜の答えは、胸を締めつけるほど静かだった――「君は、心の友だ」。
花芷の瞳に宿っていた光が、そっと揺らめき消えていく。

その夜、念秋は恩義に報いるように花芷の衣を縫い続けた。小さな灯火の下、花芷は仲間たちを導く新たな力を学び取っていく。
だがその裏で、沈焕芍薬花芷と見間違え、運命の歯車は再び狂い始めようとしていた――。

 

15話あらすじ「花記舗子開店、商売は繁盛」

花家の娘たちが新たな一歩を踏み出した。
沈煥花芷を陥れようとしたと聞いた芍薬は、怒りのままに針を放ち、沈煥を追い払う。そんな喧騒の裏で、花芷は迎春が交渉した三軒の店の賃料を最安でまとめあげたのを見て、三軒すべてを繋ぎ、「花記舗子」を開くことを決意する。
その日、花家にようやく“生活を支えるための希望”が灯った。

開店の日、店には香ばしい菓子の匂いと笑い声が満ち、人々の注目を集めた。提携先の店主たちが次々と祝いに訪れ、侍女たちも持ち場で生き生きと働く。抱夏は接客を覚え、念秋は帳簿をつけ、拂冬は新しい菓子を試作する。花芷が汗を拭うたび、店の看板が陽光にきらめき、花家の女たちの新たな時代の始まりを告げていた。
だが繁盛の陰で、小さな波紋も生まれていた。花芷の計算の遅さに業を煮やした夏金娥が秘蔵のそろばんを持ち出し、花芷は逆にそれを利用して念秋に学ばせる。人を導き、育てること——それが花芷の信念だった。

その頃、飢えで倒れた書生・鄭知が花記舗子の前に現れる。花芷は彼を救い、話を聞くうちに深い学識を見抜き、屋敷の師として迎え入れる決断をする。彼が“花”の姓を聞き、即座に頭を垂れた瞬間、運命の糸が静かに結ばれた。

一方、顧晏惜は密命の調査を中断していた。真実を明かせば、花芷を再び傷つけることになると分かっていたからだ。
そんなある日、二人は馬に乗り、風を切って林を駆け抜けた。川辺で休むと、花芷は彼の過去に触れようとするが、顧晏惜は母に関することだけを語り、核心は伏せた。彼の沈黙の奥にある痛みを感じながらも、花芷はその時間を愛おしむように過ごした。
夜、彼女は訓練場で再び彼に出会う。言葉少なに星を見上げ、花芷はそっと顧晏惜の肩にもたれた。
「私はあなたを知っている」——その囁きに、顧晏惜は何も返さず、ただ彼女の肩を強く抱きしめた。
何も与えられない男が、せめてこの瞬間だけの温もりを贈るように。

その頃、店の外では柏礼柏林が旧友からの嘲笑に耐えかねて手を上げていた。学びと誇りのはざまで揺れる兄弟に、花芷の努力が静かに届き始めていた。
しかし、花記舗子の成功は新たな嫉妬と不安を呼ぶ。元・京の才女である花霊は、かつての栄光を失った自分を恥じ、花芷への苛立ちを募らせていく。
そして、念秋の帳簿の失敗と夏金娥の怒号が屋敷に響く。
花芷は苦悩を胸に部屋を出、訓練場へ向かった。そこに待っていたのは、沈黙のまま寄り添う顧晏惜だった。

月明かりの下、二人の影が重なる。
花芷は未来を見つめ、顧晏惜は過去に怯えながらも、その手を離さなかった。
花記舗子の灯がともる夜、二人の心もまた、静かに燃え始めていた——。M

 

惜花芷~星が照らす道~ 16話・17話・18話・19話・20話 あらすじ

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