墨雨雲間

墨雨雲間~美しき復讐~

墨雨雲間~美しき復讐~ 33話・34話・35話・36話 あらすじと感想

2024年 全40話 / チャンネル銀河全40話 / BS12全43話 / U-NEXT全60話

原題:墨雨云间

 

※オリジナルの全40話VERのあらすじとなります。

全40話版33・34話 ➡ 全60話版49・50・51話

第33話あらすじ「翻した証言、守り抜いた命」

長公主は薛芳菲を人目のない一室へと案内する。
重厚な扉の向こうは密室――
一瞬、芳菲は身構えるが、長公主は微笑を崩さず言い放つ。
「外には人が溢れている。私があなたをどうできるというの?」

その言葉とは裏腹に、密室の奥に隠されていたのは地下牢だった。
囚人は頭巾を被せられ、身動きもままならぬ状態で吊るされている。
芳菲が近づいた瞬間、頭巾が外される。
血と傷にまみれ、激しい拷問の痕を残したその男――
それは、行方不明だった弟・薛昭だった。

芳菲は息を呑み、言葉を失う。
だが薛昭は、必死に首を振り、「知らない」「この人は姉ではない」と、わざと冷たく言い放つ。
彼は、姉を守るために嘘を選んだのだ。

しかし長公主は容赦しない。
短刀を手に取り、薛昭の胸元へ突き立てようとする。
そして冷酷に告げる。
「沈玉容との件は誤解だと、 あなたが大理寺で証言すれば解放してあげる。 拒めば――このまま永遠にここで苦しむことになる」

必死に拷問に耐える弟の姿を前に、薛芳菲の心は引き裂かれる。
復讐のために築いてきた覚悟が、血の繋がった命を前に、激しく揺らいだ。

屋敷を出た芳菲は、門前で待っていた姜父に、「長公主に責められなかった」それだけしか伝えられなかった。
だがその夜、芳菲は悪夢にうなされる。
血に染まった弟が、「姉さん、助けて……」と叫び続ける夢だった。

目覚めた芳菲が、真っ先に筆を取ったのは九月への手紙。
それを知った蕭蘅は、芳菲が何か重大な決断をしたことを察し、胸騒ぎを抑えられずにいた。

やがて芳菲は姜父と共に大理寺へ赴く。
沈玉容はすでに罪を認めており、芳菲が指印を押せば、彼の罪は完全に確定する――
誰もがそう思っていた。

しかしその瞬間、芳菲は震える声で言い放つ。
「……署名はできません」

彼女は、「すべては誤解。 怒りに任せて沈玉容を陥れただけで、 他の者とは一切関係ない」と証言を翻す。

大理寺少卿が何度問い直しても、芳菲は同じ言葉を繰り返した。
姜父は即座に悟る。
――これは、長公主の脅しだ、と。
だが父は何もできず、ただ娘が連れ去られるのを見送るしかなかった。

牢獄で対面した沈玉容は、薛昭が生きていることに驚きを隠せない。
芳菲は淡々と告げる。
「あなたが最も捨てられないのは、母と妹でしょう」
そして静かに続けた。
「もう、あなたに何も期待しない。 私は、完全に諦めたの」

沈玉容が立ち去ろうとしたその時、入れ替わるように蕭蘅が現れ、一瞬、二人の視線が交錯する。
蕭蘅は迷わず芳菲の元へ駆け寄り、彼女は弟を救ってほしいと懇願した。

だが長公主は、「とっくに弟は返したわ。 姜家の門前に捨てておいた」と、平然と言い放つ。
蕭蘅は怒りを抑え、「彼女は欲張っているのではない。 ただ、生きているだけでいいのだ」と告げる。

一方その頃、沈玉容は芳菲との最後の言葉を反芻していた。
もはや、二人は元には戻れない――
その事実を噛みしめながら、彼は驚くべき行動に出る。

なんと長公主に謁見し、自ら薛芳菲との賜婚を願い出たのだ。
「彼女を永遠に私のものにすれば、 長公主様を脅かす存在にはなりません」
そう囁き、簪を取り出して長公主の髪に挿す。

誰かに“大切にされる”感覚を、初めて知った長公主の心は、静かに揺れ動いていた。

その頃、蕭蘅は薛昭を屋敷に連れ帰り治療を施す。
傷は深く、回復には時間を要するが、命は取り留めていた。

やがて宮中では、沈玉容と薛芳菲の婚姻を巡る陰謀が動き出す。
賢妃は脅迫によって動かされ、陛下へ縁談が持ち込まれようとしていた。

その事実を察知した蕭蘅は、芳菲を救うため、彼女と“恋人同士の芝居”を打つことを選ぶ。
沈玉容の目の前で、二人はあえて親密に振る舞い、芳菲を一時的に大理寺の監視から外すことに成功する。

真っ先に芳菲が駆け寄ったのは、弟・薛昭の元だった。
彼はすでに意識を取り戻し、「都へ向かう途中で襲われ、 気づいたら密室に閉じ込められていた」
と語る。

姉は法廷で真実を捨て、弟は命を繋ぎ止めた――だがその代償は、さらに深い闇と、逃れられぬ運命の始まりだった。

 

第34話あらすじ「魚符を餌に、張り巡らされる罠」

薛芳菲は屋敷に戻ると、すぐに姜父に真実を打ち明けた。
――沈玉容との賜婚がすでに下されたこと。
――だがそれは自分の望みではなく、麗妃が意図的に持ち出した縁談であること。
そして、両家はもはや切っても切れぬ親戚関係にあることも。

姜父は即座に決断する。
自ら筆を執り、麗妃へ宛てた書簡を書き、この縁談を断ってほしいと正式に願い出たのだ。

やがて麗妃が訪ねてくる。
姜父は、姉がすでに正気を失っていることを伝え、麗妃の目の前に現れた姉は、確かに狂気を帯びた眼差しをしていた。
その姿に、麗妃は胸を締め付けられる思いだった。
さらに姜父は、これまで薛芳菲が献身的に季淑然の世話をしてきたことを語り、芳菲がどれほど誠実に生きてきたかを訴えた。

その後、薛芳菲は麗妃と二人きりで対面する。
彼女は静かに、しかし切実に助力を求めた。
「私は都に戻って、ただ平穏に生きたいだけでした。 それなのに、なぜいつも標的にされるのでしょうか……」

薛芳菲は、麗妃が長公主に操られ続ければ、今後さらに多くの弱みを握られ、永遠に脅迫され続けることになると危惧していた。
今回こそ、麗妃を“駒”ではなく“味方”に引き入れたい。
だが麗妃は迷い、即答できずにいた。

一方その頃、沈玉容が長公主の琴を調律している最中、長公主はすでに薛芳菲が麗妃に接触したことを察知していた。
麗妃など所詮、不安定な存在。
すべてを彼女に託す必要はない――
長公主は冷静にそう判断していた。

ほどなくして麗妃は陛下にスープを献じ、自分の誕生日が近いことを伝える。
そして祝宴を開き、薛芳菲と沈玉容、さらに長公主も招きたいと申し出た。

やがて、都では薛芳菲と沈玉容の婚約が広く知れ渡る。
柳絮や姜景睿からその事実を聞いた芳菲は、葉世傑が姜父を訪ねたと知り、急いで駆けつける。

葉世傑は、かつて交わされた指腹の約束を理由に、自分が薛芳菲を娶ると言い出したのだ。
そうすれば、沈玉容に嫁がずに済む――
彼なりの、必死の救いの手だった。

しかしその場に割って入ったのは蕭蘅だった。
彼はこの縁談を即座に阻止し、部下を使って薛芳菲を連れ出す。
そして彼女を宮中へと導き、皇帝に直接、婚約を認めてもらおうと動き出す。

二人は、すでに互いに想いを寄せ合っていた。
蕭蘅は芳菲に麗妃のもとへ向かうよう指示し、自分は皇帝のもとへ赴く。
薛芳菲は麗妃に手紙を渡し、長公主がこの縁談を盾に脅し続けていること、そして自分たちの真の目的は麗妃をその束縛から解放することだと明かす。
誕生宴での協力を、改めて願い出た。

一方、蕭蘅の願いを聞いた皇帝は激怒し、二人は激しく言い争った末、蕭蘅は宮中から追い出されてしまう。

その夜、蕭蘅が再び長公主を訪ねると、沈玉容は気配を察し、一時その場を離れた。
蕭蘅は長公主に、沈玉容が自ら賜婚を辞退する方法はないかと切り出す。
長公主は冷淡だったが、蕭蘅が差し出した“ある品”を見た瞬間、表情を大きく変えた。

――それは、龍武軍の**魚符(軍符)**だった。

そして迎えた、麗妃の誕生宴。
宮中は華やかな装いに包まれ、陛下はまず薛芳菲と沈玉容に合奏を命じる。
二人は静かに応じ、舞台に立った。

隙を見て沈玉容は問いかける。
「……まだ私に未練があるのか」
薛芳菲は即座に言い切った。
「心に残っているのは、憎しみだけです」

沈玉容は続けて、「昨日、蕭蘅が長公主に軍符を渡した。 それは、あなたと結ばれるためだ」と告げる。
軍符を差し出した者は、一族没落の危険すら背負う――
あまりに危険な賭けだった。

川を挟んで二人の演奏が始まると、長公主の機嫌は露骨に悪化する。
その瞬間、薛芳菲は沈玉容の言葉を思い出し、思わず音を外してしまう。
長公主はこれを好機と騒ぎ立てようとするが、麗妃が巧みに場を収めた。

薛芳菲は機を逃さず、弟・薛昭の件に触れる。
死んだはずの弟が突然現れた以上、そこには必ず冤罪がある――
そう暗に訴えたのだ。

さらに彼女は、沈玉容と初めて出会った時の曲を奏でる。
沈玉容の心が大きく揺れ動くのを、長公主は忌々しげに見つめていた。
これは、明確な挑発だった。

宴の後、蕭蘅は密かに薛芳菲に明かす。
――軍符を渡したのは、すべて長公主を罠にかけるための計画だと。
最終的に彼女の勢力を打ち破るための、危険極まりない一手だった。

陛下もこの策の危うさを理解し、蕭蘅とわざと激しく対立しているよう装っていた。
深夜、二人は互いの想いを確かめ合い、ついに口づけを交わす。

その頃、長公主は沈玉容の態度に激怒していた。
彼は今なお薛芳菲を忘れられず、今回ばかりは決して屈しない。
たとえ長公主が家族全員の命を盾にしようとも、彼の芳菲への想いは揺るがないと断言するのだった。

魚符を餌に張られた罠は、静かに、しかし確実に締まり始めていた――。

 

第33話・34話 感想 (49・50・51話感想 ※60話VER)

沈玉容は大理寺で有罪が確実視されていたのに、公主は捕らえていた薛芳菲の弟・姜昭と引き換えに「姜梨」に偽証させて形勢は逆転。彼女が罪人として牢に入ることに。沈玉容は「姜梨」を守るために公主を説得し、皇帝から「姜梨」との婚姻を賜ろうとします。

公主は麗妃の過去をネタに脅すも失敗します。「姜梨」の琴を聞き苦しむ沈玉容を見て、傷ついていた?悪魔のような彼女も痛みを感じるのですね。

「姜梨」と蕭蘅は、馬車の中で恋人繋ぎしたりすっかりモードが変わりましたね。一方葉世傑は、沈玉容との結婚を止めるため許嫁だったことにしよう、自分をまきこんで欲しいとまで言ったのに彼女からは拒否されました。姜元柏もようやく父として全力で「姜梨」を守ろうとしたのに、2人とも恋心には勝てませんでした。

蕭蘅も、「姜梨」のためとは言え皇帝秘蔵の「龍武軍」指揮権を公主に渡すとは大胆な。作戦なら良いが、もし本物なら皇帝に対する反逆罪。無事に済めば良いのですが。

 

全40話版35・36話 ➡ 全60話版49・50・51話

第35話あらすじ「偽りの胎動、揺らぐ権力と愛」

春の陽射しが差し込む庭で、薛芳菲は弟・薛昭の歩行練習に付き添っていた。まだ足取りのおぼつかない薛昭がよろめいた瞬間、間髪入れずに駆け寄り彼を抱き上げたのは蕭蘅だった。思わぬ助け舟に、薛昭は機転を利かせて蕭蘅を「義兄」と呼ぶ。その一言に、薛芳菲は胸の奥で小さく笑みを浮かべる。言葉には出さずとも、家族としての距離が確かに縮まったことを感じていた。

一方、宮中では不穏な空気が漂い始めていた。長公主は香の匂いを嗅いだだけで激しい吐き気に襲われ、不安に駆られて太医を呼び出す。脈を診た太医は言葉を濁し続けるが、執拗に問い詰められ、ついに「すでに御身に命が宿っております」と告げてしまう。これまで幾度となく流産を繰り返し、もはや妊娠は叶わぬと宣告されていた長公主にとって、それは奇跡であり、同時に恐怖でもあった。この子を失えば、次はもうないかもしれない。胎児はまだ一月にも満たないが、長公主は口封じのため太医を密かに連れ去り、姿を消させてしまう。

しかし、この一件はほどなく蕭蘅の耳にも届く。長公主が妊娠し、さらには太医を消したという噂――それは薛芳菲にとって、これ以上ない好機だった。蕭蘅は彼女に「沈玉容が守れぬ時でも、俺が必ずお前を守る」と告げる。その真摯な言葉の裏で、薛芳菲はすべてが自らの策略通りに進んでいることを悟っていた。実はこの“妊娠”は、麗妃の誕生宴の席で、長公主に偽の妊娠薬を飲ませたことから始まったものだった。動揺を誘い、疑心暗鬼に陥らせ、周囲を巻き込む――それこそが彼女の狙いだった。

蕭蘅の願いはただ一つ、薛芳菲が幸せに生きること。それ以外の権力争いも、名誉も、彼にとっては二の次だった。しかし薛芳菲は違う。自分を陥れ、尊厳も未来も奪った者たち全員に、かつて味わわされた苦痛を同じだけ返すと、心に誓っていた。

その頃、蕭蘅は密かに実父の戦死の真相を追い続けていた。幼い頃から互いを支え合ってきた友との記憶を胸に、陛下もまた彼を全面的に信頼し、その行動を支持する姿勢を明確にする。

長公主は、かつて代国大王の妃であった頃の日々を思い出していた。人として扱われぬ屈辱、暴力、吹雪の中で羊小屋に押し込められた日々。その中で宿った命を守ることができず、自ら氷水に身を投げ流産を選んだ過去――だが今回は違う。この子は、愛する沈玉容との子。どんな代償を払っても、決して失わないと固く誓う。

一方、沈玉容は次第に心を歪ませていく。天は不公平だ、身分の低い生まれの自分は卑しい道を歩むしかないのだと、自己正当化に沈んでいった。長公主の妊娠を知った彼は大きな衝撃を受けるが、彼女は世間体など顧みず、堂々と父親になってほしいと迫る。長公主は沈玉容を手に入れようとするが、その裏で薛芳菲は二人の関係にさらなる火種を投げ込もうとしていた。

外交の場でも緊張が走る。蕭蘅は大昭国に大燕国防衛のための部隊編成を依頼するため訪問するが、最初は衛兵に阻まれる。しかし九月から贈られた“指導者の鈴”を示したことで道が開かれ、交渉の席に着くことができた。条件付きながら、大昭国は平和維持を前提に協力の意向を示す。その直後、成王も姿を現し、あえて蕭蘅に誤解を与えるような言動で大昭国との関係を揺さぶろうとする。

やがて都では、長公主懐妊の噂が一気に広まる。その話は沈玉容の母、そして麗妃の耳にも届く。麗妃はわざと陛下の前でこの件を持ち出し、火に油を注ぐ。黄家の面目を懸けた問題――麗妃は太医を伴い、自ら長公主のもとへ向かう。

脈診で妊娠を証明させようとする麗妃に対し、長公主は表面上は冷静を装うが、内心は恐怖でいっぱいだった。二人きりになると、かつて自分が賢妃であったことを盾に脅そうとするが、もはやその威光は通じない。長公主は初めて、本当の追い詰められた状況に立たされる。

沈玉容は背後に誰かの策謀があると察し、事態を収める策を巡らす。子を守る唯一の方法――それは父親を「李瑾」とすることだった。しかしその提案は、長公主の心を深く傷つける。沈玉容が自分を駙馬にする気はないのだと思い込み、尽くしてきた想いが踏みにじられたと感じてしまう。

やがて李仲南は、李瑾に駙馬となる決断を迫る。突然父親にされることに反発する李瑾だったが、父から語られる数々の利点を前に、最終的には受け入れざるを得なかった。

偽りの妊娠から始まった波紋は、宮廷、家族、そして愛と権力の関係を大きく揺さぶっていく。
そのすべてが、薛芳菲の復讐という名の盤上で、静かに、しかし確実に動き始めていた。

 

第36話あらすじ「断ち切られた縁談、揺れる血と忠義」

長公主と李瑾の婚礼当日。
沈玉容は部屋に籠もり、静かに書をしたためていた。その筆致は落ち着いているようでいて、どこか冷ややかだ。長公主が李家に到着するや否や、威圧的な態度で周囲を震え上がらせたという報せも、彼の心を動かすことはなかった。

夜。
李瑾が新婦の部屋を訪れると、長公主はわざと距離を取り、さまざまな理由をつけて彼を寝台のそばに近づけさせない。合卺の杯を交わす場面でも、李瑾は立ったまま酒を酌み交わすしかなく、屈辱の中で夜を過ごすことになる。もとよりこの婚姻は、父・李仲南に強いられて受け入れたもの。李瑾にとって、この夜は耐え難い屈服そのものだった。

一方の長公主もまた、幸福とは程遠かった。
髪飾りを手に取り、沈玉容の姿を思い浮かべては、静かに涙を流す。愛する人と結ばれない苦しみは、どれほど権勢を誇ろうとも消えることはない。やがて激しい腹痛に襲われ、彼女は床に腰を落とす。胸に手を当てながら、必死にこの子を守ろうとする姿は、気丈な長公主の仮面の下に隠された脆さを露わにしていた。

沈玉容の母もまた、長公主の婚礼を知る。しかし沈玉容の表情に悲嘆はなく、むしろ安堵と喜びが浮かんでいた。彼にとってこの結婚は、危うい関係に一つの区切りをつけるものだったのかもしれない。

その頃、薛芳菲は弟・薛昭のもとを訪れていた。病状は目に見えて回復し、歩行も安定しつつある。薛昭はふと、かつて想いを寄せていた瓊枝の名を口にする。芳菲は一瞬言葉を失いながらも、優しい嘘を紡ぐ――瓊枝は良い人と巡り合い、今は幸せに暮らしているのだと。薛昭は寂しさを滲ませながらも、「それならよかった」と微笑む。その姿に、芳菲は耐えきれずその場を走り去る。実は薛昭自身、姉の表情から瓊枝に不測の事態が起きたことを悟っていたのだった。

一方、蕭蘅と九月は依然として山中で薬草を探していた。
大昭国の陛下が唯一求めた条件――それは蕭蘅と九月の政略結婚。受け入れれば、無条件で大燕を助けるという提案だった。九月もまた蕭蘅に想いを寄せており、話は一見、合理的に思えた。しかし蕭蘅は語る。もし成王が大燕を手中に収めれば、国全体に災いが及ぶと。その言葉には、国家を背負う者としての覚悟があった。

婚礼の夜、李瑾が部屋に戻ろうとすると侍女たちは追い払われる。長公主は料理が口に合わないと侍女を罰し、李瑾はただ俯くしかない。屈辱を飲み込み、笑顔を貼り付ける――それが今の彼の役目だった。

夜更け、薛芳菲のもとに弟から「蕭蘅が戻る」という知らせが届く。胸の奥で喜びが芽生えるが、彼女が待っていたのは蕭蘅ではなく、その祖父である老将軍だった。酒を携えて現れた老人が、かつて陛下の天下取りを支えた名将であると知り、芳菲は敬意を表す。しかし話を終えると、すぐに席を立とうとする。その瞬間、蕭蘅が帰還する。彼は祖父に対して驚くほど冷淡で、持参した品々をすべて捨ててしまえとまで言い放つ。芳菲は二人の間に深い溝があることを察するが、敢えて問いただすことはしなかった。

同じ頃、沈玉容の手配した者が、薬草に関する書籍とともに成王が各地で兵を募っている証拠を掴む。しかし相手は罪を恐れ自害し、すべての責任を自分一人に押し付けて死んでいった。それはあまりにも出来すぎた結末で、蕭蘅が辿り着くのを待って仕組まれた罠のようだった。

長公主が屋敷を出る際、李瑾は子の安全を理由に付き添いを申し出るが、彼女は聞き入れない。やがて沈玉容のもとに長公主が現れ、二人きりで話したいと告げる。沈玉容は子を案じつつも、大局を見るよう諭す。長公主は「閉じ込められるのは嫌」と言い、沈玉容は彼女を抱き寄せながら、何かを思案していた。

一連の出来事があまりにも“整いすぎている”ことに、蕭蘅は強い違和感を覚える。そして別の場所で重大な問題が発覚する。彼が即座に逮捕を命じた一味――それは、祖父の配下たちだった。李瑾もまた、長公主が沈家を訪れたことを知り、二人の関係を盾に彼女を牽制する。激怒する長公主だが、我が子のため、今は耐えるしかなかった。

やがて祖父は、蕭蘅が自分の部下を捕らえたことを知り、即時解放を要求する。しかし蕭蘅は一切譲らない。
血縁か、忠義か。
政略結婚という名の縁談を拒み、祖父の威光にも屈しない蕭蘅の選択は、やがて大きな嵐を呼び寄せることになる――。

 

第35話・36話 感想 (52・53・54話感想 ※60話VER)

「龍武軍」の指揮権を渡したのも、戦に強く北方で人気がある成王に敢えて戦を起こさせる作戦だったとは。皇帝の座を狙う成王支持派は朝廷にも多く、膠着した状況を打破するためとはいえ、物騒だし失敗が許されない作戦ですね。

今回は残酷な公主が、嫁いだ北の代国で、いかに悲惨な生活を送ったかその一端が明かされました。ひどい目に遭ったから残酷になっても仕方がないとは言いません。

でも医師に妊娠できないと言われたのに、好きな人との間に子が授かれば嬉しいし守りたいのは当然だと思います。なので薬で妊娠を偽装する今回の「姜梨」の作戦には、共感できないなあ。沈玉容との子供を守るために、李仲南の長男李瑾に嫌々嫁いだ公主が気の毒になりました。

成王の都入りが近づく中、不正な武器取引の証拠を掴もうと必死な蕭蘅と皇帝の間に、芝居ではなく本当にヒビが入った?心配になる幕切れでした。蕭蘅は祖父と不仲らしく、「姜梨」の調整力?が必要ですね。

 

墨雨雲間~美しき復讐~ 37話・38話・39話・40話(最終回) あらすじと感想

墨雨雲間~美しき復讐~ 全話あらすじと感想 キャスト・相関図

 

【放送情報】

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