折腰 2023年 全36話 原題:折腰/[ヨミ]セツヨウ
第31話あらすじ
魏劭は表向きは平静を装っているものの、内心では小乔(小喬)の身を案じ、感情の波を必死に抑えていた。巡察に出るという名目で動こうとする魏劭に、周囲は同行を申し出る。そこで乔慈が機転を利かせ、小乔と共に康郡へ向かう案を提案する。小乔はすでに一年も家を離れており、家族が恋しがっているはずだというのだ。
魏劭は小乔が流した河灯や、酔った時に口にした言葉を思い出し、彼女が常に家族を気にかけていることを理解していた。一方、公孙羊は魏劭が過去の仇恨に囚われていることを危惧し、渔郡へ戻ることを勧める。魏劭は思案の末、乔慈に小乔を迎えに行かせ、自分は直接康郡へは行かないと決める。かつて「必ず康郡へ行き乔家を討つ」と誓った過去が、今も彼の足を縛っていたからだ。
帰路の途中、魏劭一行は博崖で狩りをしていた比彘と遭遇する。ここで、前回の戦の裏側が明かされる。小乔は林将军に発見されたものの、地形と水勢を示して伏兵の存在を匂わせ、さらに刘琰の冷酷さを語ることで林将军を動揺させた。結果として援軍は撤退し、小乔は河灯を流して魏劭の無事を祈っていたのだった。
小乔がわずかな兵で危険な役目を果たしていたと知り、魏劭は激しく動揺する。すぐさま彼女を探しに向かう魏劭。大乔もまた、小乔の真意を比彘に明かし、自責の念から康郡へ戻る決意をする。
雨の中、魏劭は小乔を追い、ついに渡橋で再会を果たす。思わず抱きしめる魏劭だったが、口をついて出たのは責める言葉だった。傷ついた小乔は部屋に籠もるが、春娘や周囲の後押しで、二人は改めて向き合う。
魏劭は、自分がいかに小乔を想い、彼女を失うことがどれほど恐ろしいかを吐露する。小乔もまた、恐怖を抱えながらも「愛する人が戦場にいるのに、何もしない方が怖い」と真心を語る。彼女は家族も民も、魏劭も、すべてを守りたいのだと打ち明ける。魏劭はようやくその重圧に気づき、理解と謝罪を示す。
そして魏劭は、小乔と共に康郡へ行く決意を固める。仇を抱えたままではなく、彼女が育った土地を見ることで、自身の憎しみを手放したいと考えたのだった。
一方、敗走した刘琰軍は壊滅的被害を受け、内部でも亀裂が生じる。撤兵を決めた刘琰は表向き冷静だが、内心では新たな粛清を企てていた。
康郡では、小乔と魏劭は家族と再会する。温かく迎えられる小乔の姿を見て、魏劭は彼女が本来どれほど大切に守られてきた存在なのかを痛感する。渔郡では常に緊張を強いられていた小乔が、ここでは自由に笑っている。その姿に、魏劭の心の氷は静かに溶けていく。
小乔は「あなたの前にいる時が一番自由」と告げ、魏劭は彼女の手を強く握り、二度と傷つけないと誓う。こうして康郡での穏やかな時間は、魏劭の復讐心を和らげ、二人の関係を新たな段階へと導いていくのだった。
第32話あらすじ
魏劭は小乔の手を引きながら、これまで自分が彼女に与えてきた重圧と冷たさを悔いていた。これからは康郡だけでなく、渔郡もまた小乔にとって安らげる「家」でありたい。二つの地で、両家の人々から等しく愛される存在であってほしいと、魏劭は心から願う。
小乔は懐かしい山谷を前に、胸に込み上げるものを抑えきれずにいた。かつては大乔が琴を奏で、自分が舞い、姉妹の笑い声が谷に響いていた。しかし今は、すべてが過去の記憶となり、同じ景色を前にしても戻らない時間があることを痛感する。足取りが重くなる小乔に、魏劭は「もう一度できないとは限らない」と声をかける。
そこにはすでに大乔が待っていた。姉妹は自然と、かつてと同じように琴と舞を合わせる。しかし、言葉を交わすほどに、以前のような無邪気な親密さは失われていることが明らかだった。比彘はその様子を黙って見守り、大乔の表情に浮かぶ寂しさを察して、演奏が終わると静かに寄り添い支える。
山谷を後にした小乔は、自分の選択が姉を傷つけたのではないかと魏劭に打ち明ける。夫のために命を懸けたことが、果たして正しかったのか——。魏劭は小乔の手を握り、彼女は普通の内助の功に収まる女性ではなく、天下と民を思う大きな志を持つ存在だと語る。そして自分は、小乔のための「矛であり盾」でありたいと誓う。小乔はその言葉に胸を打たれ、魏劭の手のひらに「平安」を願う文字を書く。二人は強く抱き合い、互いの想いを確かめ合う。
康郡では、乔平が良崖から流れてきた難民を受け入れていた。敵国の民を救う理由を問う魏劭に、乔平は「戦で最も苦しむのは百姓だ」と語る。その姿勢に深く心を打たれた魏劭は、粮食を提供し、街中で女婿として跪き礼を尽くす。乔平は涙を浮かべながら魏劭を起こすが、その胸中には、魏家への消えぬ負い目があった。
夜宴では微妙な空気が漂う。乔越は魏劭に酒を勧め名を呼ぶが、魏劭は距離を保ち、礼節を求める態度を崩さない。乔越は面子を保とうと比彘にすり寄るが、大乔は博崖を離れることを拒む。私下で乔越は大乔を責め立て、比彘を見下す本心を露わにする。怒りに震える乔越が手を上げようとした瞬間、比彘が身を挺して大乔を守り、二人は完全に乔越と決裂する。
その夜、比彘は自分が大乔に苦労をかけているのではないかと悔やむが、大乔は手を握り、変わらぬ愛を示す。比彘が差し出した酸梅に、大乔は穏やかな笑顔を見せる。
一方、小乔と魏劭もまた、康郡での最後の夜を共に過ごす。魏劭は「やり残したことがあれば一緒に」と語り、やがて子を望む想いを伝える。小乔は恥じらいながらも、必ず温かな家庭を築くと約束し、二人は夫婦として結ばれる。
翌朝、別れの時。乔平は魏国の方角に向かって跪き、過去の罪を詫びる。魏劭は、すべての恩怨は終わったと告げ、小乔もまた魏劭の手を強く握り、彼を信じる想いを示す。こうして小乔は正式に魏劭に託される。
魏国へ戻った後、勝利の報告として宗祠での祭祀が行われる。小乔は自分が入れない可能性を覚悟していたが、魏劭は彼女のために祭服を用意していた。翌日、魏劭は小乔の手を取り、堂々と宗祠へ導く。徐夫人や祖先に紹介され、香を捧げる小乔。彼女は心の中で、ようやく「居場所」を得たことを実感する。
こうして小乔は名実ともに魏家の一員となり、二人の夫婦関係は、試練を越えて新たな段階へと進んでいくのだった。
第33話あらすじ
魏家の家宴にて、魏劭は母や徐夫人に感謝を述べると同時に、小乔へも改めて謝意を示し、これから先はどんな困難があろうとも夫婦として共に歩むと誓う。その姿を見守る徐夫人は、長く胸に重くのしかかっていた不安がようやく晴れ、穏やかな笑みを浮かべる。
一方、魏夫人は家の安定を案じ、魏劭と小乔の間に早く子が欲しいと考える。彼女は“孕気”があると信じる衣を用意し、小乔に着せようとする。魏劭は内心その出所に戸惑いながらも、母の思いを無下にはできず受け入れる。
その頃、魏梁は小桃との結婚を真剣に考え、軍饷を貯めてから正式に迎えたいと魏劭に相談する。しかし小桃は「待つ」ことよりも「共にいる」ことを望んでおり、すれ違いから不満を募らせる。鈍感な魏梁に代わり、魏渠が小桃の本心を伝え、魏梁はようやく自分の融通の利かなさを悟る。彼は魏渠に金を借り、急いで婚礼の準備を進めようと決意する。
魏劭自身も子を望む気持ちを強めつつあったが、直接小乔に切り出すことはできず、博崖と魏国境の防衛強化という形で気持ちを逸らそうとする。そんな中、魏梁に物資運搬を命じ、ついでに大乔のもとから“縁起物”を受け取ってくるよう指示する。
小乔は自身の体調の変化に気づき、懐妊の可能性を感じ始めていたが、確証が得られるまで魏劭には伝えず、密かな喜びとして胸に留める。博崖では、大乔が小乔のために心を込めて贈り物を探し、比彘はその姿に姉妹の絆の深さを改めて感じる。
一方、敗戦から立ち直れぬ刘琰陣営では、苏娥皇が主導権を握ろうと動き出す。彼女は刘琰に取り入り、魏劭討伐のため諸勢力を糾合すると進言する。劣勢を冷静に見極める刘扇の忠告も、胜利に飢えた刘琰の耳には届かず、陣営内部の不穏さは増していく。
魏梁は帰還後すぐに小桃へ結婚の決意を伝えるが、庭や屋敷の準備にこだわりすぎて再び空回りする。小桃は「蘭草一鉢でいい」と本音を明かし、ようやく二人の想いは重なり始める。魏渠の助言で、魏梁は乔平を迎えに行くついでに、咲いた蘭草を持ち帰る計画を立てる。
その夜、魏劭は小乔の疲れや月信の遅れに気づき、医官を呼ぼうとするが、小乔はついに懐妊を告げる。魏劭は喜びに震え、二人は観星台で未来の子「腓腓」に思いを馳せ、太平の世を築くと誓い合う。
しかし平穏の裏で、不穏な兆しも広がっていた。童謡を使い乔平を讃え、乔越を貶める動きが現れ、张浦はそれを利用して乔越の焦りを煽る。さらに刘琰は康郡への介入を目論み、苏娥皇と乔越、张浦の思惑が交錯し始める。
小乔は悪夢の中で父・乔平が危険に晒される姿を見て不安に駆られるが、魏劭は乔平を魏国に迎える提案をし、彼女を安心させる。その優しさに、小乔の信頼は一層深まる。
兄弟たちは月を仰ぎ、未来への希望を語り合う。だがその裏で、新たな陰謀が静かに動き出しており、幸せな日々は次なる嵐の前触れに過ぎなかった。
















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