目次
33話 あらすじ
第33話 阿麦が斉鈺を救出する
太子が亡くなった後も、斉鈺は東宮に留まっていた。その存在は、軍師・徐静にとっていつ爆発するか分からない爆弾のようなものであり、皇帝に謁見を求めるときでさえ常に気を配らなければならなかった。斉鈺が生きている限り、危険の火種は消えないからだ。
商易之(シャン・イージー)もその理屈を承知していたが、表向きは同意を示さなかった。しかし、徐静は密かに行動を始めていた。
かつて太子に仕えていた忠勇侯は、商易之(シャン・イージー)が斉鈺の地位を奪ったと考え、連日東宮の門前に立ち、斉鈺に自ら挙兵するよう迫っていた。斉鈺はそれを見て心を痛め、自分のそばにあった魚のスープを忠勇侯に贈り、反乱の心を捨てさせようとした。ところが忠勇侯はそのスープを飲んだ直後に倒れ、命を落としてしまう。
もしそれが忠勇侯でなければ、そのスープを口にしていたのは斉鈺自身であった。宮中は大混乱に陥った。
この知らせを受けた林相は、即座に対策を取った。今や斉鈺は彼にとって最後に残された大切な宝物であり、計画を潰されるわけにはいかない。彼は妻を宮中に送り込み、「娘に会う」という口実で斉鈺を連れ出した。
一方、商易之(シャン・イージー)は「東宮で毒が盛られた」と聞き、すぐに徐静の仕業だと察したが、特に咎めはしなかった。だが間もなく斉鈺が行方不明になったことで、彼は驚愕する。これは徐静か林相、どちらかの策謀に違いなかった。
阿麦(アーマイ)は斉鈺の失踪を聞くと、すぐに兵を率いて大規模な捜索を開始した。実際には斉鈺は一度宮外に隠され、その後、密かに自分の旧宅へと移されていた。阿麦(アーマイ)はこれが林相の仕業だと見抜き、あえて「全力で斉鈺を探せ」と命じた。捜索が大々的に行われれば行われるほど、斉鈺の身はかえって安全になると考えたのだった。
34話 あらすじ
第34話 阿麦、命がけで皇帝を救う
商易之(シャン・イージー)はもともと盛家の幸せな公子であったが、皇帝から疎まれ、父母を次々と失った。幾度も死の危機に晒されながら、阿麦(アーマイ)と出会ったことで何度も救われ、ようやく現在の地位にたどり着いた。だが今も他者に利用され続け、困難な状況から抜け出せずにいた。
林相が娘・林澤柔を商易之(シャン・イージー)に嫁がせたのは、彼の血筋を重んじたからではなく、「凡庸で操りやすい」と考えたからだった。ところが予想に反し、数々の試練を乗り越えた商易之(シャン・イージー)は、もはや昔のような衝動的で世事に疎い放蕩息子ではなくなっていた。
林相は常に権力を握り、天下を支配することを夢見ていた。そこで彼は新帝の底力を試そうと、かつての忠臣たちと結託し、朝議で多くの臣下に「病」を理由に欠席させた。結果、出席者はわずか四分の一に減り、政務は滞り、商易之(シャン・イージー)は大きな圧力に晒されることになった。
一方、林澤柔は父の企みを知り、不安を募らせていた。新帝の即位で都はようやく数日間の平穏を取り戻したばかりだったが、商易之(シャン・イージー)は鎮北軍出身で気性も激しく、いつ何が起きてもおかしくないと察し、密かに太医に中絶薬まで用意させていた。
そんな中、商易之(シャン・イージー)は自ら太医たちを派遣して「病欠」した大臣たちを診察させ、彼らが仮病であることを暴いた。翌日の朝議で、彼はその事実を太医に報告させ、さらに「一柱香の間に出席しない者は即刻罷免する」と宣告。香が燃え尽きるや否や、命令を下し、仮病を使った数名の臣下を極刑に処した。
この毅然とした裁きにより、林相はついに「商易之(シャン・イージー)はもはや制御できぬ存在」と悟る。そこで彼は新たに慕白に接近し、反乱を勧めて権力を奪わせようと動き始めた。
35話 あらすじ
第35話 唐紹儀の悲惨な戦死
林相は獄中にあってもなお、阿麦(アーマイ)と商易之(シャン・イージー)の仲を裂こうと画策していた。彼は「商易之(シャン・イージー)が阿麦(アーマイ)の仇敵・陳起(チェン・チー)と密かに結託している」と吹き込み、阿麦(アーマイ)の心を揺さぶろうとする。阿麦(アーマイ)の父を殺した陳起(チェン・チー)との確執は決して消えないと知っていたからだ。
阿麦(アーマイ)は唐紹義(タン・シャオイー)とともに乗馬の散歩に出かけ、その話を伝えた。唐紹義(タン・シャオイー)は「林相は狡猾な狐だ。彼の言葉を真に受けるな。今は動かず静観するのが最善だ」と忠告し、阿麦(アーマイ)も頷いて同意した。
一方その頃、商易之(シャン・イージー)は阿麦(アーマイ)を宮殿へ呼び戻させた。林相の束縛から解かれた今、彼は真の権力を手にしており、阿麦(アーマイ)に金の鳳冠を贈って喜びを示す。しかし阿麦(アーマイ)はその意図を察して受け取らなかった。商易之はそれを拒絶と誤解し、「もし唐紹儀や後宮の美人たちに心を寄せているのなら、皆殺しにしてやる」と口走るまでに変貌していた。
かつて侍衛を失った時には自責の念に苦しんだ彼だったが、今では容易く処刑を命じる冷酷さを身につけていた。その姿に阿麦(アーマイ)は恐怖を覚え、「あなたは変わってしまった」と率直に告げる。商易之(シャン・イージー)は阿麦(アーマイ)が再び北漠に戻ることを恐れ、宮中に閉じ込めてしまった。
だが間もなく北漠の大軍が再び侵攻を開始する。鎮北軍が心から信頼するのは阿麦(アーマイ)ただ一人。商易之(シャン・イージー)はやむなく彼女を解放し、軍を率いて前線へと向かわせた。
軍服に身を包んだ阿麦(アーマイ)は、「これが自分の最終的な運命なのかもしれない」と悟る。商易之(シャン・イージー)との絆はここまでで途切れたが、戦場に立つことで、せめて民を外敵から守れるのだと心に決めていた。
36話(最終回) あらすじ
第36話 阿麦が鎮北軍を率いて靖陽に戻った
陳起は自らを犠牲にし、靖陽城を血の惨劇から救った。
それから三年。阿麦(アーマイ)の的確な改革と厳しい軍律のもとで、靖陽城は豊かで平和な日々を取り戻し、町には繁栄が満ちあふれていた。
この間、商易之(シャン・イージー)は六度も貢物を携えて靖陽を訪れた。金銀財宝や冊封の証書、文房四宝までも贈ったが、阿麦(アーマイ)はそれらを受け取りつつも、彼自身の入城は許さず、軍師・徐静だけを城門から通した。阿麦(アーマイ)は徐静を茶席に招き、彼の真意を悟りながらも、あえて知らぬふりをして応じた。
そんな折、北漠の大軍が城外に現れたとの急報が入る。阿麦(アーマイ)は即座に甲冑をまとって出陣するが、率いていたのは旧知の常鈺青(チャン・ユーチン)だった。彼はただ阿麦(アーマイ)に会うために軍を動かしたのだという。そして再び「北漠の夫人として共に生きる気はないか」と問うが、阿麦(アーマイ)は首を振った。
常鈺青(チャン・ユーチン)は率直に語った。北漠の若き皇帝は戦功を焦っており、これ以上南下して時を浪費するつもりはなく、別の戦場に向かう準備をしている、と。つまり、この地には数年間の平和が訪れるだろうというのだ。阿麦(アーマイ)はそれを聞き、静かに微笑んで頷いた。
この特異な再会は、武力衝突ではなく、わずかな言葉のためだけだった。常鈺青(チャン・ユーチン)は未練を抱きつつも、「この行動は商易之(シャン・イージー)に阿麦(アーマイ)の功績を忘れさせず、彼女を靖陽に安心して留め置くためだ」と告げて去っていった。
軍体制を整えた阿麦(アーマイ)は、その後は軍務を兄弟たちに任せ、自らは馬に乗って一人で出かけることも多くなった。自由に振る舞いながらも、心は穏やかだった。
神は一つの扉を閉ざすと、別の扉を開くという。阿麦(アーマイ)は女性でありながら戦場で男にも劣らぬ働きを成し遂げ、愛情の面では数々の波乱を経たが、最終的に心の平安を得た。いま、民が安寧と平和を享受していることこそ、阿麦(アーマイ)が夢見てきた理想の実現だった。
華の出陣~麗将・阿麦(アマイ)の仇討(あだうち)全話あらすじとキャスト・相関図
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