悪との距離  1話・2話 あらすじと感想

悪との距離

悪との距離 あくとのきょり 2018年 全10話 原題:我們與惡的距離 英題: The World Between Us

第1話あらすじ

第一話 被害者

本当の被害者は誰?

2年前に映画館内で起こった無差別殺人事件の被告人、李曉明(リー・シャオミン)に最高裁判所は死刑を判決、控訴を棄却した。報道局各局は、そのことをトップニュースとして報道し、世間は冷ややかな反応を示すのだった。

法廷を後にした李の弁護人、王赦(ワン・シャー)を待ち構えていたのは、複数のメディアと、被害者家族からの汚物抗議だった。

しかし、王は事件の真相を明らかにすべく、先駆報の代表、劉昭國(リウ・ジャオグオ)に、世論を動かして死刑判決を阻止する報道を扱ってもらえないか直談判しに行く。

一方、李大芝(リー・ダージー)は、SBCニュースの報道部に入社して2年目。新人ではあるものの、副局長・宋喬安(ソン・チャオアン)に判断力、決断力を認められ、編成に抜擢される。

先駆報がSBCニュースに提携を持ちかける。しかし、劉と宋の報道に対する考えは対立的で、職場にもかかわらず言い合いになる。娘の天晴(テンチン)は、不仲の様子を見て、離婚をするのかと聞くのだった。

王は面会で、李に遺族や家族に会う旨を伝えるが、「家族に近づくな」と一蹴され、面会を終了される。

そんな中、他局でタイでの爆発事故が報道される。SBCニュースが事実確認を急ぐ中、放送まで残り時間もわずか。宋は裏付けが取れないまま原稿を読ませる決断を下す。しかし、ニュースは結局フェイクニュースであった。 母の日が近づくにつれ、さらに苛立ちが目立つ宋。それも、母の日の前日に例の事件で息子を亡くしているからだった。それを知った大芝は、事件後のことを思い出す。実は大芝は曉明の妹(曉文・シャオウェン)で、改名し新しい人生を歩もうとしていた。

第1話感想

無差別殺人犯への死刑判決を、被告人、弁護人、メディア、そして民衆といった複数の視点から描写されることで、社会問題を想起させる始まり方でした。

特に、ドラマのタイトルが流れる前の、SNS上の誹謗中傷が浮かび上がるシーンでは、ネット社会の問題を非常にわかりやすく反映されていました。被害者家族が憎しみを抱くのは当然ですが、第三者が無責任に、しかも匿名で遺族の代弁を肩代わりする行為は、新たな被害者を生み出しかねないのではないかと考えさせられました。

また、最後のシーンで大芝の母が、「死ぬのは3人(曉明と父母)だけでいい」と言うシーンがありましたが、加害者家族も社会的な死を迫られる、つまりは被害者にもなる可能性もあることを示唆しているように思います。

第一話はまだ氷山の一角に過ぎません。これから物語がどのように展開していくのか楽しみです。 

第2話あらすじ

第二話 母の日

心の病は異常な病?

テレビには障害者施設設立に対する近隣住民の抗議が映されていた。街頭インタビューでは、障害者施設が建設されると、子供を一人で公園へ遊ばせられないと語る母親の姿があった。

少し遅れた天晴の誕生日会。嬉しそうな天晴だったが、母の日のハグを求められると、プレゼントを開ける、と言って宋をやんわりと拒絶した。

大芝の大家である應思悅(イン・スーユエ)は、母の日のことで悩んでいた。弟・應思聰(イン・スーツォン)の態度が悪いのも、両親とうまくいっていないから、と大芝に語った。

宋が事件の遺族だと知った大芝は、教授夫婦にやめたくなったらやめていい、と言われたことを思い出し、退職届を出す。理由がみんなを失望させたくないからの一点張り、上司二人は腑に落ちないまま、届出を受けとった。

仕事関連で悩む大芝を励ます思悅。家に帰ると、部屋に勝手に入ったかと尋ねたり、大音量で音楽を流したりと様子のおかしい思聰がいた。

またも重大ニュース速報が入る。幼稚園で立て籠り事件が発生。SBCニュースは最速で詳細を入手したが、前回のフェイクニュースの件もあり、慎重になる宋。中継までの尺を繋ぐため、精神科医である義弟にテレビ出演を依頼する。報道のせいで精神病患者が悪者扱いされる、と渋るものの、結局出演を承諾する。 緊迫した状況を打破するように警察が突入し、犯人を確保。保育士と子供が解放される中、弁護士・王と妻・美媚(メイメイ)の娘も無事で、二人は安堵する。警官に取り押さえられながら現れた犯人は、なんと應思聰だった。事件の知らせを聞いた思悅は、急ぎ足で思聰のもとへと向かっていった。

第2話感想

冒頭の障害者施設建設の是非が、第二話、ひいては次話以降の展開の核になりそうな問題提起の仕方でしたね。

街頭インタビューやSNS上のコメント「病気の人にもやり直すチャンスを」を見ると、どちらの意見も理にかなっている気がしますが、個人的に、精神病患者が排除されているような印象を受けました。全ての精神病患者が、犯罪に直結するわけではありません。また、更生する機会は「与えられた」のではなく、もともとある権利であるはずです。

【放送情報】

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