剥繭(はっけん)-絡み合う罪の糸- 2025年 全21話 原題:剥茧
第19話の見どころ
潜入捜査に挑む韓烽を待っていたのは、厳重に警戒された新型薬物の取引現場だった。一方、祝青越は身を挺して仲間を守り、重傷を負う。やがて王波の口から明らかになった「冯正西」と秘密のガラス工場が、巨大な製造拠点へとつながっていく。
第19話のあらすじ
夜、密かに行われていた新型薬物の取引を、警察はすでに監視していた。
韓烽は取引相手を装い、カメラを身につけて潜入する。烏鴉とともに蛇姐こと余娜娜の前に現れると、烏鴉は韓烽を自分の友人だと紹介する。
韓烽が握手を求めると、余娜娜はその手を払いのけ、顔を近づける。そして韓烽を見ながら「彪子」という名前を口にする。
警戒した余娜娜は韓烽の身体を入念に調べ、何も隠していないことを確認してから二人を奥へ案内する。
そこで待っていたのが「孟先生」だった。
孟先生は陰険な雰囲気を漂わせ、韓烽に酒を勧める。そして、その酒には「特別なもの」を少し入れてあると意味ありげに告げる。
韓烽は、自分たちには薬物を売るだけで、自分では使用しないという決まりがあると拒否する。
緊迫した空気を察した烏鴉は、慌てて酒を飲み干す。
一方、外で捜査を続けていた李筱希は、余娜娜と孟先生の身元を突き止め、すぐに関立興へ報告する。
韓烽は取引の前金を取り出す。孟先生は部下に金を数えさせるが、肝心の商品についてはなかなか話そうとしない。
しびれを切らした韓烽が強く迫ると、ようやく箱が運び込まれる。
中には大量の錠剤が入っていた。
烏鴉が一錠を確認し、間違いなく目的の薬物だと判断する。
韓烽はさらに製造者に会わせるよう要求する。孟先生が電話をかけた瞬間、斉思哲は何かがおかしいことに気づき、韓烽へ小声で警告する。
韓烽も状況を理解し、関立興に作戦中止を伝える。
実は、范彪と烏鴉以外にもノシャの部下が4、5人現場に来ていたのだ。
その頃、別の場所では祝青越が検問を行っていた。
そこを一人の刺青の男がバイクで通り過ぎる。祝青越は長年の経験から男の挙動に違和感を覚え、声をかけようとする。
すると男は突然Uターンして逃走する。
祝青越はためらわず発砲し、男を転倒させる。警察が一斉に駆け寄ると、男は最後の抵抗を見せ、祝青越と蘇懐寧に向かって爆発物を投げつける。
祝青越はとっさに蘇懐寧を突き飛ばす。しかし、自分自身は爆発に巻き込まれ、重傷を負う。
幸い一命は取り留めたものの、祝青越は意識を取り戻さない。
蘇懐寧は自分をかばった祝青越に対して強い自責の念を抱く。
一方、韓烽は刺青の男・王波を取り調べる。しかし王波は頑なに口を閉ざし、何も語ろうとしない。
そんな中、森の中から女性の遺体が発見される。
身元を確認したところ、驚くべきことに遺体は、韓烽たちが取引を行ったばかりの蛇姐・余娜娜だった。
しかも、余娜娜は新型薬物と深く関係していた。
斉思哲が検視すると、余娜娜の身体には慢性的なフッ化水素酸中毒の兆候が見られた。そこから、彼女が長期間ガラス工場で働いていた可能性を導き出す。
警察はその手掛かりをもとにガラス工場を調査する。
一方、関立興は「孟先生」を確保する。しかし、本名は邱凱で、余娜娜に頼まれてその場で取引相手を装っただけであり、事件の詳細は何も知らなかった。
韓烽は余娜娜が殺されたことを王波に伝える。
それまで頑なだった王波は激しく動揺し、余娜娜の敵を討つために自分を外へ出せと叫ぶ。
そしてついに口を開く。
余娜娜を殺したのは冯正西だという。
さらに王波は、陳楚川を殺害した際、その身体から記憶媒体を奪い、そこに入っていたノシャの連絡先を冯正西へ渡したと話す。
金を得るため、余娜娜は制毒師を装ってノシャと取引しようとしていた。
そして王波は、冯正西が所有するガラス工場こそ、新型薬物を製造する秘密の拠点だと明かす。
蘇懐寧は王波の供述からガラス工場の正確な位置を割り出す。
冯正西の本名は冯軍。3年前に刑務所を出た後、ガラス工場を買い取り、そこで密かに薬物を製造していたのだった。
警察はただちに工場へ突入する。
現場では多くの制毒関係者を逮捕することに成功するが、冯軍は混乱に乗じて逃走する。
さらに韓烽は工場内に隠された扉を発見する。その奥には、新型薬物を製造するための秘密の実験室が存在していた。
第20話の見どころ
新型薬物の製造拠点を突き止めた捜査班は、李明が残した化学分子式に「完成品」を生み出す鍵があることを知る。さらに、かつて斉思哲が李明に渡した解剖手記が事件を大きく動かす。呉永昌の失踪、冯正西の執念、そして阿森との銃撃戦が、事件の核心へ迫る。
第20話のあらすじ
余娜娜は男の前にひざまずかされ、激しく責め立てられていた。
男は、制毒師を装って自分の商売を横取りしようとした余娜娜を罵倒し、王波との関係もすべて把握していることを明かす。
王波が陳楚川を殺害し、その身体からノシャの連絡先を奪って余娜娜に渡したことも知っていた。
余娜娜が自分を出し抜こうとしたことに激怒した男は、彼女に二度と同じことをしないよう、部下に命じて容赦なく殴らせる。
一方、警察では、ガラス工場から押収した研究資料を斉思哲が詳しく調べていた。
資料の中に記された「ノルアドレナリン」という言葉を見た斉思哲は、大学時代に恩師から教わった講義を思い出す。
さらに、ガラス工場から連行された関係者を取り調べるが、彼らは製造の核心についてほとんど何も知らず、捜査につながる情報は得られない。
しかし、押収品の分析から重要な事実が判明する。
ガラス工場にあったワインボトルの中のサンプルと、韓烽が潜入捜査で持ち帰った薬物の成分が完全に一致したのだ。
これによって、ガラス工場が警察の追っていた違法薬物の製造・運搬拠点であることが確定する。
斉思哲は李筱希に林桂芬の出入国記録を調べさせる。すると、林桂芬はこれまでずっと河城に滞在しており、国外へ出た記録はなかった。
その後、斉思哲は自分の大学時代の卒業論文を取り出す。
論文の後ろには呉永昌が残した書き込みがあった。
斉思哲は、その筆跡をガラス工場から発見された研究ノートと比較する。二つの筆跡は非常によく似ていた。
しかし、斉思哲はまだ断定することを避け、韓烽に専門家による筆跡鑑定を依頼するよう提案する。
さらに論文を探している途中、斉思哲は一冊の解剖手記を発見する。
その手記は、大学時代に斉思哲が李明へ渡したものだった。
李明が交通事故に遭い、昏睡状態で入院していた時、誰かがこの手記を彼の枕元に置いたことを斉思哲は思い出す。
韓烽が懐中電灯で手記の最後のページを照らす。
そこには、一つの化学分子式が記されていた。
専門家が鑑定した結果、その分子式を書いたのは李明本人だと判明する。
斉思哲は、この分子式こそ制毒集団が長年探し求めていた「最後の鍵」ではないかと考える。
彼らが現在も実験を繰り返し、被験者を次々と生み出していたのは、この分子式がなければ最終的な新型薬物を完成させられなかったからなのだ。
ここで韓烽は、過去に「原鑽」事件を摘発した時のことを斉思哲に語る。
当時、韓烽は查坤のもとへ潜入して間もなかった。ある取引現場で、偶然にも李明を目撃する。
その直後、匿名の電話が入った。
電話の主は、制毒工場の場所を正確に告げた。
韓烽は関立興と連携してすぐに現場へ向かい、制毒組織のメンバーを次々と逮捕する。
しかし李明は、警察が突然現れるとは予想していなかったのか、激しい銃撃戦となる。
そして李明は命を落とした。
ただし、警察へ匿名通報をした人物が誰だったのかは、今も分かっていない。
斉思哲は、この事実を公にして敵を警戒させるわけにはいかないと判断し、単独で呉永昌に会い、事情を聞くことにする。
呉永昌は、陳楚川が患者に薬を配っていたことは知らないと主張する。
彼は、自分の妻がうつ病を患っており、病院で処方された薬では十分な効果が得られなかったため、自分で薬を研究していたのだと説明する。
そして冯正西から、研究のための実験室を用意すると持ちかけられたことも明かす。しかし、呉永昌はその申し出を断ったという。
ところが、その直後、呉永昌が突然姿を消す。
警察が呉永昌の自宅を調べると、血液の痕跡が発見される。そこには呉永昌と林桂芬のものが含まれていた。
警察は、呉永昌を拉致したのは冯正西ではないかと疑う。
そこで捜査班は、敵をおびき出すため大胆な作戦に出る。
警察が「毒師Kの制毒ノートを入手した」と意図的に情報を流す。
すると斉思哲のもとへ、すぐに脅迫メッセージが届く。
「ノートを渡せ。さもなければ呉永昌の命はない」
斉思哲は指示された場所へ向かい、韓烽たちは密かに周囲を警戒する。
しかし相手は用心深く、警察は途中で追跡を見失ってしまう。
その後、烏鴉から、相手の男は阿森という名前で、ノシャが最も信頼する人物だと知らされる。
斉思哲は阿森によって制毒工場へ連れていかれる。
そこには拘束された呉永昌もいた。
冯正西の目的は明白だった。
彼が欲しているのは、李明が残したあの化学分子式。
それさえ手に入れば、新型薬物を完成させられる。
そして、これまで実験に利用された人々が死のうが傷つこうが、冯正西にとってはどうでもよかった。
一方、韓烽は烏鴉とともに阿森のもとへ向かう。
しかし、そこで烏鴉が突然裏切る。
阿森は韓烽へ向けて銃を発砲する。
弾丸は韓烽の急所を狙っていたが、幸いにも韓烽は防弾ベストを着用していた。
そのまま激しい銃撃戦となる。
やがて烏鴉は命を落とし、阿森も韓烽たちによって制圧される。
しかし、事件の核心にはまだたどり着いていない。
李明が残した化学分子式は、いったい誰の手に渡るのか。そして「原鑽」と新型薬物を生み出した本当の黒幕は誰なのか。
事件は、さらに深い闇へと続いていく。
第21話の見どころ
韓烽たちはノシャの正体を突き止め、毒師の潜む製造拠点へと踏み込んでいく。斉思哲が隠していた分子式を巡り、呉永昌と馮正西の思惑が交錯する中、14年前の原鉱事件と俞菲の死の真相がついに明らかに。事件の裏に隠されていた残酷な真実とは――。最後まで信念を貫く斉思哲と韓烽が、河城に平穏を取り戻す。
第21話のあらすじ
韓烽が部屋を調べていると、書籍を収めた箱が目に留まる。中の本を一冊ずつ確認していくと、箱の底に土が残されていることに気づく。一方、警察に協力することを決めた阿森は、ついに重大な事実を明かす。これまで彼らが必死に行方を追っていた「ノシャ」の正体は、実は烏鴉だったのだ。
その頃、馮正西はついに斉思哲の法医鑑定ノートを手に入れる。しかし、最後のページだけが抜け落ちていた。それは斉思哲が事前に破り取っていたためだった。重要な分子式が記されたページを巡り、馮正西は苛立ちを募らせる。
斉思哲は馮正西に捕らえられている人々を解放するよう要求するが、馮正西は銃を呉永昌に向ける。恐怖に顔をこわばらせた呉永昌は、必死に斉思哲へ助けを求める。一方、阿森も警察への協力を承諾するものの、一つだけ条件を突きつける。それは韓烽を殺すことだった。かつて潜入捜査をしていた韓烽が、やむを得ず阿森の兄を殺したことへの憎しみが、今も彼の心に深く残っていたのだ。
斉思哲は、このまま偽りの芝居を続けることをやめ、すべてを明らかにする。呉永昌は、馮正西から脅されて新型薬物の製造に加担させられたと語る。従わなければ林桂芬を殺すと脅されていたという。さらに呉永昌は、新型薬物を大量生産するという発想を最初に持ち出したのは李明だったと告白する。うつ病治療薬の研究費を稼ぐためだったというのだ。
陳楚川もかつて呉永昌を止めようとしたが、すでに後戻りできないところまで計画は進んでいた。それでも呉永昌は、自分が作ろうとしていたのはあくまで「薬」であり、林桂芬や陳楚川を救うためには薬を完成させなければならないと主張する。毒を求める馮正西とは違うと訴え、李明と陳楚川の死にも自分は関係ないと言い張る。
一方、斉思哲が自宅に残していた土を分析すると、その土壌には特定の場所にしか存在しない特徴があることが判明する。そこから、土が採取された地域には薬物製造工場がある可能性が浮上。韓烽たちは専門家に意見を求め、水源が必要なことから、その工場はダムの近く、あるいはダムのある地域に存在する可能性が高いと判断する。
関立興は阿森に、かつて原鉱事件の捜査中に届いた匿名電話について説明する。韓烽も、原鉱の存在がすでに露見していたことを明かし、当時の毒師が李明を身代わりに仕立て上げたのだと説明する。阿森の兄が死んだのも、実は毒師によって仕組まれた計画だった。これを知った阿森は、長年抱き続けてきた韓烽への憎しみが間違った方向を向いていたことを知る。
林桂芬が無事であることを確認した斉思哲は、馮正西に分子式を教える。呉永昌はすぐさま新薬の実験に取りかかり、阿森もついに警察への協力を決意する。韓烽は阿森の携帯電話を使って薬物組織に連絡を取り、返信を受け取ると白局長に作戦を提案する。
韓烽はノシャを装い、阿森とともに毒師から指定された場所へ向かう。関立興らも密かに後を追い、周囲で待機して二人を守る態勢を整える。やがて韓烽の前に現れた馮正西は、斉思哲のことを尋ねる。韓烽は正体を悟られないよう巧みに話を合わせるが、製造現場を見せられた際には、毒師本人と直接会わせてほしいと要求する。馮正西が呼びに行く間、韓烽は無事な斉思哲の姿を確認し、胸をなで下ろす。
しかし、馮正西の手下の中には韓烽の顔を知る者がいた。韓烽の正体が露見した瞬間、彼は白局長へ合図を送り、警察が一斉に動き出す。
追い詰められた呉永昌は、馮正西たちに手を出さないよう告げる。そして、自分こそが原鉱と新型薬物の裏側を操っていたかのように振る舞い、かつて原鉱事件を匿名で通報し、李明を警察に差し出して身代わりにしたことまで認める。自分は人を救おうとしているのだと、最後までその信念を曲げようとはしなかった。
韓烽が俞菲について尋ねると、呉永昌はついに14年前の真相を語り始める。俞菲が事件に巻き込まれた夜、呉永昌は李明に会っていた。その時、俞菲は部屋に拘束され、新型薬物を注射されていたという。李明に俞菲への投与を命じたのは呉永昌だった。
その後、呉永昌が斉思哲から渡された分子式をもとに新型薬物を完成させるが、実際に作られた薬物を見た呉永昌は、分子式が違うことに気づく。彼が斉思哲を問い詰めている最中、ついに警察が現場へ突入する。
混乱に乗じて呉永昌は林桂芬を連れて逃走する。しかし阿森が二人を追い、林桂芬を撃つ。瀕死の林桂芬は、最後の力を振り絞り、呉永昌に自首するよう訴える。さらに阿森が呉永昌へ銃口を向けた瞬間、斉思哲が駆けつけ、阿森を撃って呉永昌を救う。
一方、馮正西は逮捕され、韓烽は現場に残された爆弾の解体に取りかかる。その最中、呉永昌は韓烽に、俞菲が死に至った真相をすべて打ち明ける。
呉永昌は李明に俞菲へ新型薬物を注射するよう命じていた。しかし李明は彼女を哀れみ、注射することができなかった。そこで李明は俞菲を連れて、麻薬密売人に扮していた韓烽と会うために向かった。ところが小屋の中で、俞菲は結局薬物を注射され、李明は事件の身代わりとして利用された。
その後、斉思哲が車で俞菲を連れてその場を離れようとした際、呉永昌は刺客を送り込み、事故を起こさせたのだった。すべての真相を聞いた斉思哲は呉永昌に銃を向ける。呉永昌は彭八から受け取った爆弾のリモコンを斉思哲へ差し出す。
同じ頃、韓烽は間一髪で爆弾を車外へ投げ捨てる。爆発による大惨事はこうして回避された。
一連の事件に関わった者たちは次々と逮捕され、やがて裁きを受ける。長く罪に覆われていた河城にも、ようやく平穏が戻ってくる。
韓烽と斉思哲は俞菲のもとを訪れ、これまで抱えていたわだかまりを解く。二人は再び互いを信頼し合い、河城に残ることを決意する。過去の事件に向き合い続けた二人は、今度こそ肩を並べ、罪に苦しめられてきたこの土地を守っていくのだった。

















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