剥繭(はっけん)-絡み合う罪の糸- 2025年 全21話 原題:剥茧
第4話の見どころ
洞窟で発見された無数の「繭」と遺体は、まるで蜘蛛が獲物を捕らえる様子を再現したものだった。被害者の身体から検出された毒物、牛の内臓、そして農業大学の研究。捜査が進むほど、犯人が医学や獣医学に通じている可能性が高まっていく。そして、事件の新たな犠牲者として名前が挙がった女性を追ううち、意外な人物へ捜査の手が伸びる。
第4話のあらすじ
薄暗いビニールハウスのような場所で、一人の女性が拘束されていた。周囲には毒を持つ昆虫が入った小箱がいくつも吊るされている。黒衣の人物は女性の身体に毒虫を放つ。女性が激しく叫び続けても、黒衣の人物は一切反応を示さない。やがて悲鳴は途絶え、女性は力なく横たわる。
警察では、洞窟で発見された遺体の解剖が行われていた。遺体から数本の髪の毛が発見され、現場にいる捜査員へ急いで連絡が入る。
さらに祝青越から、事件現場について新たな情報がもたらされる。かつてこの場所では、許可を得ずに撮影していた小さな映画撮影隊があり、撮影に使用した人形の小道具をそのまま残していったという。
撮影隊が送ってきた写真には、普通の蜘蛛の巣しか写っていなかった。しかし現在、現場にある蜘蛛の巣は、猛毒を持つ漏斗網蜘蛛が作る独特の漏斗状の形に変えられている。
斉思哲は、犯人が蜘蛛の捕食行動を意図的に模倣して殺人を行っているのではないかと推測する。
被害者の体内からは蜘蛛毒と濃塩酸が検出された。ところが、それらが直接の死因ではなかった。真の死因は、耳の後ろから空気を注入されたことによるものだった。
事件分析会では、洞窟で発見された人形と、生きたまま拘束されていた女性が別人だった可能性が浮上する。拘束されていた女性は洞窟に監禁され、縄を切って逃げ出した後、肉店へ助けを求めた。しかし犯人に見つかり、店主の黄浩を殺害されたうえ、再び連れ去られたと考えられた。
遺体の身元は、25歳の会社員・葉瑩瑩。マーケティング会社で広報を担当していた女性で、約一か月前から行方不明になっていた。失踪後、身代金を要求する電話はなく、金品にも手をつけられていなかった。
斉思哲が人形の内部を調べると、詰められていたのは人間の内臓ではなく牛の内臓だった。しかも、通常の牛ではない可能性がある。
祝青越は犯人像を分析し、犯人には精神的な問題があり、殺人そのものに強い儀式性を持っている可能性を指摘する。人形は殺人の前段階で行う「練習」だったのかもしれない。
一方、斉思哲は遺体に残された拘束痕と洞窟にあったカレンダーを調べ、犯人の監禁期間や犯行周期には一定の規則があると推測する。もし本当に蜘蛛の生態を模倣しているなら、次の犯行が起こる時期も予測できる。
しかし、犯人が設定していると思われる重要な時間まで、残された猶予はわずか三日。韓烽は急いで捜査班を分け、李筱希には周辺監視カメラの確認、万国新には目撃者探し、蘇懐寧には葉瑩瑩の家族と同僚への聞き込みを指示する。
監視映像からは有力な情報が得られなかったが、葉瑩瑩が美容医療に熱心だったことが判明する。
その一方、斉思哲は人形に使われた牛の内臓を詳しく調べ、牛結核に感染していた可能性のある病牛のものだと判断する。
そんな中、行方不明者届が出される。失踪した女性の特徴は、事件の被害者と一致していた。
警察が家族から聞き込みを進めると、女性の名前は謝瑶琪と判明する。さらに捜査は農業大学で行われていた牛結核の研究へとつながった。
斉思哲と祝青越が大学を訪れると、王教授は一か月半ほど前に牛結核に関する実験を行ったことを認める。ただし、実験に使用したサンプルはすべて無害化して処理したという。
斉思哲が現場から持ち帰った組織切片を王教授に見せる一方、祝青越は実験に参加した学生の名簿を要求する。
謝瑶琪の同僚・李淑婷への聞き込みから、謝瑶琪が蜘蛛を極端に怖がっていたこと、さらに何らかの理由で大学を退学させられ、美容医療の診療所でアルバイトをしていたことが分かる。稼いだ金はほとんど美容医療につぎ込んでいたという。
王教授が組織を確認した結果、人形の中に入っていた内臓は、大学の実験から流出したものと一致する。
警察は実験に参加した学生を全員呼び出し、順番に事情を聞く。
一方、韓烽と蘇懐寧は謝瑶琪が働いていたという診療所を訪れる。表向きはマッサージ店だが、実際には違法な美容医療を行っていた。
経営者の廖東は、謝瑶琪がそこで看護師として働いていたことを認める。さらに葉瑩瑩の写真を見せると、彼女もその店で美容医療を受けていたと証言。施術後に薬物アレルギーを起こしたため、獣医学を学んでいた甥を呼んで対処したという。
祝青越が学生名簿を確認すると、そこには「廖」という姓の学生がいた。
警察はすぐにその人物を追う。
廖云升の部屋を捜索すると、そこには漏斗状の巨大な蜘蛛の巣があり、無数の蜘蛛が吊るされていた。しかし、肝心の漏斗網蜘蛛だけがいない。
さらに壁には、葉瑩瑩、謝瑶琪、そして見知らぬ女性を描いた肖像画が並んでいた。
その女性の顔を見た韓烽は、ある人物を思い浮かべる。
それは、謝瑶琪の同僚だった李淑婷だった。
韓烽が李淑婷へ電話をかけると、彼女は応答しない。代わりに、部屋の中に置かれた蜘蛛の巣から、携帯電話の着信音が響き渡る。
第5話の見どころ
廖云升の部屋から発見された証拠は、彼を一連の「蜘蛛殺人」の犯人へと結びつけていく。しかし、救出された李淑婷の証言には、これまでの犯人像と食い違う部分があった。さらに廖云升自身が「繭」の中から発見され、事件は新たな局面へ。犯人はいったい誰なのか、そして蜘蛛の生態を模倣した犯行の目的とは――。
第5話のあらすじ
夜の闇に紛れ、一人の黒衣の人物が黒い袋を引きずりながら部屋へ入ってくる。袋を置いた人物はベッドに横たわり、女性の携帯電話を手に取ると、そこに残されたメッセージを聞きながら何事もなかったかのように過ごしていた。そのそばを、一匹の蜘蛛がゆっくりと這っていく。
一方、警察は廖云升の自宅から押収した証拠を詳しく調べていた。靴底に残された模様と泥を分析したところ、蝙蝠洞で発見されたものと完全に一致する。しかも廖云升は牛結核の実験に参加していた。
これらの状況から、廖云升が事件現場へ足を運んでいた可能性は極めて高いと判断され、彼は一連の事件の最大の容疑者となる。
さらに、肉店で発見された髪の毛は行方不明の謝瑶琪のものと判明する。そして廖云升の部屋で鳴っていた電話は、李淑婷からのものだった。
韓烽は、廖云升が葉瑩瑩を殺害した後、謝瑶琪と李淑婷を相次いで誘拐したと推測する。
廖云升の家から押収された注射器を斉思哲が調べると、残留物から漏斗網蜘蛛の毒が検出される。しかも、その毒は葉瑩瑩の体内から検出されたものと一致していた。
捜査が廖云升へ集中する中、斉思哲はかつての師匠に近い存在である心理医師・陳楚川を訪ねる。
陳楚川は、患者が自分を動物や昆虫だと思い込んでしまう「狼化妄想症」という精神疾患について説明する。その原因は一つではなく、家庭環境、過剰な薬物使用、さらには麻薬など、さまざまな要因が考えられるという。
斉思哲は廖云升の温室に置かれていた大量の書籍にも目を通す。そこには漏斗網蜘蛛の生態について細かく記録されていた。
さらに、カレンダーに記された「13日」という数字にも注目する。
斉思哲は、蜘蛛の交尾から産卵までの期間が約13日であることを知り、犯人が被害者を卵のような形に縛っている理由と結びつける。つまり、被害者は単なる「獲物」ではなく、犯人にとって蜘蛛が産む「卵」を意味している可能性がある。
ペットショップへの聞き込みでは、漏斗網蜘蛛は本来の生息環境が壊されると、新たな場所を探して巣を作る習性があることも判明する。
韓烽は、これまで斉思哲が指摘してきた蜘蛛の生態をもとに、犯人の行動を分析する。交尾を終えた雌蜘蛛が雄蜘蛛を殺すという生態を考えれば、犯人は被害者を餌として見ているのではなく、別の目的のために「卵」のように扱っている可能性がある。
そんな中、通報記録から李淑婷が助けを求めたと思われる電話が見つかる。
韓烽が録音を聞いて手掛かりを探していると、斉思哲が現れる。斉思哲は、廖云升の自宅と洞窟周辺だけでなく、その周囲にある廃施設まで徹底的に捜索するべきだと提案する。
韓烽はすぐに各地域の警察署へ協力を要請し、斉思哲とともに車で捜索へ向かう。
そのころ、李筱希は監視カメラの映像から不審な人物を発見していた。人物がいた場所は、斉思哲たちが犯人の潜伏先として予測していた廃工場の近くだった。
韓烽は直ちに車を走らせる。
廃工場へ到着すると、韓烽と祝青越、蘇懐寧、斉思哲はそれぞれ別れて捜索を開始する。
しかし、その瞬間、斉思哲が黒衣の人物に襲われる。
韓烽が駆けつけると、黒衣の人物はその隙を突いて逃走。韓烽はすぐさま後を追う。
すると、廃工場の奥で、頭部を何重にもラップで巻かれ、窒息寸前になっている李淑婷を発見する。
救出された李淑婷は、謝瑶琪と廖云升が恋人同士だったと証言する。李淑婷自身は謝瑶琪を探すため廖云升の家へ向かったものの、そこで意識を失い、廃工場へ運ばれたという。
犯人の顔は見ていない。しかし犯人は、自分自身を蜘蛛だと思っているようで、李淑婷を蜘蛛のように扱い、身体をラップで包んだという。
ところが斉思哲は、この事件に違和感を抱く。
これまでの犯人は、必ず漏斗網蜘蛛を模した特殊な巣を作っていた。しかし今回の廃工場には、その象徴ともいえる蜘蛛の巣が存在しない。
犯人が突然、これまでの行動パターンを変えたとは考えにくい。もし犯人が本当に蜘蛛の生態を模倣しているのなら、謝瑶琪を先に殺害するなど、何らかの明確な規則に従うはずだった。
そんな中、陳楚川から連絡が入る。彼は車で移動中に警察の検問を受けていたが、その後、勤務先に戻った際、受付から「自分を蜘蛛だと思い込んでいた患者が以前訪れた」と聞かされたという。
しかし、その患者は正式な登録をする前に姿を消していた。
監視カメラの映像は不鮮明で、顔を確認することはできない。
警察は犯人が移動した可能性のある道路を徹底的に調べ、ついに高架近くの住宅地を突き止める。廖云升の温室から発見された水道・電気料金の領収書も手掛かりとなり、韓烽たちは容疑者の住居を特定する。
しかし、部屋の中には誰もいなかった。
テーブルの上には牛の病理学に関する専門書が並び、奥の部屋には、人間を包み込んだ巨大な「繭」が置かれている。
慎重に近づいた捜査員たちが、その繭を確認すると――。
中に入っていたのは、なんと廖云升本人だった。
自らが事件の容疑者として追われていた廖云升が、なぜ「繭」の中に閉じ込められているのか。
そして、本当の犯人は誰なのか。
蜘蛛の巣に絡め取られたように複雑化する事件は、さらに予想外の真相へと動き始める。
第6話の見どころ
廖云升の遺体から判明した新事実により、事件の構図が大きく揺らぎ始める。さらに、李淑婷が捜査を巧みに誘導していたことが発覚し、彼女の過去が明らかに。蜘蛛に救われたと信じる彼女の歪んだ心は、やがて恐ろしい復讐へとつながっていた。斉思哲は、犯人の行動に隠された真の意味を読み解こうとする。
第6話のあらすじ
廖云升が「繭」の中で発見された事件を受け、法医室では斉思哲たちが遺体の詳しい検査を行っていた。検査結果を確認した斉思哲の表情が強張る。廖云升の死は、これまで警察が想定していた時間よりもはるかに前だった。
廖東は、今回の事件に関係する人物たち全員と接点を持つ唯一の人物として、改めて捜査線上に浮かび上がる。事件当日に肉店にいなかったことは確認されていたものの、韓烽は念のため廖東を呼び、詳しい事情を聞く。
廖東によれば、謝瑶琪は彼の経営する店でアルバイトを始めたことをきっかけに葉瑩瑩と知り合い、そこへ謝瑶琪が李淑婷を連れてきたことで、三人は親しくなったという。三人は店でも仲が良く、よく談笑していた。
一方、甥の廖云升は、休暇中や廖東から呼ばれた時に診療所へ来る程度だった。廖東は、廖云升が謝瑶琪に好意を抱いていたことにも気づいていた。しかし、葉瑩瑩や李淑婷とはほとんど交流がなかったという。
ある日、三人の女性がそろって診療所にいるところへ廖云升がやって来た。彼は謝瑶琪と葉瑩瑩には笑顔で挨拶したが、李淑婷を見た瞬間、その表情が不自然にこわばった。その後、李淑婷は二度と診療所へ姿を見せなくなった。
そんな中、斉思哲は衝撃的な事実を明らかにする。
廖云升こそが、今回の連続事件における最初の被害者だったのだ。
さらに、廖云升と葉瑩瑩の死因には共通点があり、二人とも少なくとも四週間以上前には死亡していたことが判明する。つまり、警察が追っていた犯行の順番そのものが、根本から覆されることになる。
廖云升が発見された家は、同級生の陳華が所有するものだった。しかし陳華は長期間海外に滞在していた。また、野菜用のビニールハウスは近隣住民の赵四が所有していたが、彼は転倒して負傷し、一か月以上自宅で療養していたため、ハウスについて何も知らなかった。
さらに不可解なのは、李淑婷の事件から犯人の行動パターンが突然変化し、犯行周期まで短くなっていることだった。
韓烽は別の可能性を提示する。
謝瑶琪が誘拐された際、警察には通報が入っていた。しかし、その通報者である肉店の店主はすでに殺害されており、謝瑶琪が本当に誘拐されたと証明できる人物はいない。
もし謝瑶琪自身が犯人だったとしたら――。
彼女が殺人を行い、すべての証拠を廖云升へ向けていたと考えれば、事件の多くが説明できる。
そこへ高元が、廖云升の死亡現場から謝瑶琪のDNAが検出されたと報告する。
一気に謝瑶琪への疑いが強まる一方、李淑婷の証言には数多くの矛盾が生じる。
韓烽たちは李淑婷から聞いた住所を訪ねるが、そこは存在しない場所だった。
斉思哲は、李淑婷が最初から警察を意図的に誘導していたのではないかと指摘する。韓烽も初めて彼女と接触した時のことを思い返す。李淑婷はその時から、捜査員が向かうべき方向を巧みに示していた。診療所という重要な手掛かりも、彼女自身が提供したものだった。
万国新は改めて大学を調べ、驚くべき事実を突き止める。
李淑婷は、王啓龍という別人の身分を使って、大学の牛結核研究実験に参加していたのだ。
実験中、李淑婷が男性用トイレへ入ったところを廖云升に見られていた。そのため、後日診療所で女装した李淑婷を見た廖云升が、強い動揺を示していたことも説明がつく。
祝青越は本物の王啓龍を探し出す。王啓龍は、李淑婷が自分の代わりに授業へ出ていたことを認める。
韓烽は王啓龍が李淑婷を強く気にかけていることに気づき、被害者たちの写真を見せる。すると王啓龍は突然激しく動揺する。しかし、すぐに口を閉ざし、「何も知らない」と繰り返す。
一方、李淑婷は拘束した謝瑶琪を床へ突き倒していた。
その目には激しい憎しみが宿っていた。
「誰も私を好きにならない。どれだけきれいになろうとしても、意味がない」
その言葉の裏には、長年積み重ねてきた孤独と劣等感があった。
かつて診療所で三人が一緒にいた時、葉瑩瑩の身体に蜘蛛が這ってきたことがあった。葉瑩瑩は驚いて蜘蛛を払い落とし、踏みつぶすと、「こんな毛むくじゃらの醜いものを見たら食欲もなくなる」と吐き捨てた。謝瑶琪も同調し、「蜘蛛なんてこの世に存在しなくていい」と笑った。
その言葉を聞いた李淑婷は、自分自身を蜘蛛に重ねていた。
王啓龍はそれでも真実を語ろうとしない。自宅を捜索しても決定的な証拠は見つからず、捜査は再び行き詰まる。
しかし、韓烽の言葉から新たな着想を得た斉思哲は、李淑婷の犯行には蜘蛛の生態を模倣した意味があると考える。
廖云升を殺害したのは、雌蜘蛛が交尾後に雄蜘蛛を殺す習性を再現したのではないか。そして、その後に「産卵」が行われなかったのは、李淑婷自身がそれを実現できなかったからではないか。
さらに、これまでの被害者の子宮が破壊されていたことから、犯人には女性に対する強い憎悪がある可能性も浮上する。
韓烽は初めて李淑婷に会った時、彼女のバッグの中に大量の薬が入っていたことを思い出す。その中には、卵巣のケアや月経不順の治療に使われる薬もあった。
そこから韓烽は、ある可能性を口にする。
「李淑婷は、本当に女性なのか?」
ついに警察の追及に耐えきれなくなった王啓龍が、重い口を開く。
李淑婷の本名は李書俊。彼は身体的に男女双方の特徴を持つ人物だった。
王啓龍と李書俊は幼い頃からの知り合いで、二人とも孤児だった。8歳の時、李書俊は「李淑婷」と名前を変え、新しい人生を歩み始める。王啓龍は彼が少しでも幸せに生きられるよう、その秘密をずっと守ってきたのだ。
しかし、李淑婷は偶然、廖云升が自分を男性用トイレで見たことを、謝瑶琪と葉瑩瑩に話していたことを知る。
その瞬間、彼女の心は完全に崩れてしまった。
自ら命を絶とうと手首を切ろうとした時、目の前に一匹の蜘蛛が現れた。
李淑婷は、その蜘蛛が自分を救ってくれたのだと思い込む。
そして彼女は謝瑶琪に告げる。
自分を嘲笑した人間は、すべて死ぬべきだと。
孤独と屈辱、そして歪んだ執着が絡み合った悲劇の全貌が、少しずつ明らかになっていく。
第7話の見どころ
ついに謝瑶琪の居場所が判明するものの、彼女は毒を注射され、生死の境をさまよう。救出の直後、李淑婷は逃走し、悲劇的な最期を迎える。一方、斉思哲は李淑婷と李一斉に共通する「幻覚」と、俞菲の死の直前に起きた現象との類似性に気づく。さらに、新たな行方不明事件と大量の人骨が発見され、捜査は再び大きく動き出す。
第7話のあらすじ
王啓龍から得た情報をもとに、祝青越と韓烽たちは急いで謝瑶琪の捜索に向かう。ようやく発見した謝瑶琪は、すでに何らかの毒物を注射されており、生命が危険な状態に陥っていた。
斉思哲はすぐに応急処置を施し、救命薬を注射する。一刻を争う処置だったが、謝瑶琪は何とか一命を取り留める。
一方、韓烽は現場から逃走した李淑婷を追う。
そのころ李淑婷は、すでに現実と幻覚の区別がつかなくなっていた。目の前に現れた蜘蛛の影を追い、夢中で走り続ける。やがて道路の真ん中で立ち止まると、街灯に向かって手を伸ばした。
泣いているようにも、笑っているようにも見える複雑な表情。
次の瞬間、一台の車が猛スピードで走ってくる。
李淑婷は車にはねられ、その場で命を落とす。
突然の事故に、追いついた捜査員たちは言葉を失う。
謝瑶琪は斉思哲の懸命な救命処置によって危機を脱する。一方、王啓龍は遺体安置室へ呼ばれ、李淑婷の遺体と対面する。
その顔を見た瞬間、王啓龍の呼吸が乱れ、まるで首を締めつけられたかのように立ち尽くす。
事件が一応の決着を迎えたように見える中、斉思哲の頭には別の疑問が浮かんでいた。
彼は韓烽に、李一斉が夜店の屋上で転落しそうになった際、光に引き寄せられるような「走光性」の反応を示していなかったかと尋ねる。
韓烽は苛立ち、「勝手な推測をするな」と突き放す。
しかし斉思哲は、二年前に死亡した俞菲も、車の中で同じような反応を見せていたことを指摘する。
その名前を聞いた瞬間、韓烽の表情が変わる。
「事件はもう終わった。李明も死んだ。俞菲の話はするな」
韓烽は声を荒らげる。
斉思哲は静かに、しかし強い口調で答える。韓烽が俞家の養子であることを知っているが、俞菲はずっと彼を実の兄のように慕っていた、と。
一方、李淑婷の血液検査が行われる。しかし、通常の毒物は検出されなかった。
斉思哲は、彼女が幻覚を見るようになった原因を突き止めるため、自宅から押収された薬をもう一度詳しく調べるよう高元に依頼する。
検査結果では特に異常はなく、一般的な抗躁うつ薬が幻覚を引き起こす可能性も低かった。
斉思哲は一つずつ薬瓶を確認していく。
その時、見慣れないマークが描かれた薬瓶に目が留まる。
高元に尋ねても、そのマークを見たことはないという。
そこへ韓烽がやって来る。
韓烽も、李淑婷と李一斉が見せた幻覚状態には共通点があると認める。しかし、仮に二人の体内から同じ新型薬物が検出されたとしても、それだけで二年前の原鑽事件と結びつけることはできないと考えていた。
それでも斉思哲は諦めない。
「可能性が一つでもあるなら、俞菲の死の真相を追う」
その強い決意に、韓烽も動かされる。
韓烽はかつて禁毒捜査で一緒だった関隊長を訪ね、原鑽について聞く。斉思哲は、誰かが原鑽を基に新型薬物を研究しているか、あるいは特定の人々を対象に秘密の実験を行っている可能性があると考えていた。
そして、その被害者たちは俞菲の死の直前と同じように、光へ引き寄せられるような反応を見せている。
そんな中、新たな行方不明事件が刑事隊へ引き継がれる。
失踪したのは劉媛媛という女性だった。
彼女は以前から、母親が誰かに殺されたと信じていた。母親の死後、今度は劉媛媛自身が突然姿を消し、友人が警察へ届け出たのだ。
調べると、劉媛媛は高校時代、成績優秀で医科大学へ進学できるほどの学力があった。しかし、ある事情から進学を諦め、病気の母親の面倒を見続けていた。仕事にも真面目で、周囲からの評判も悪くなかった。
ところが失踪前、彼女は一本のナイフを購入していた。
さらに鉄道付近で人骨が発見され、警察が急行する。
鉄道警察によれば、巡回中に女性らしき人影を目撃したという。
骨には謎の粉末が付着していた。分析の結果、それはフェノール樹脂であることが分かる。研磨剤として使用される物質だった。
捜索範囲を広げても、最初は他の骨が見つからなかった。
祝青越は韓烽に、劉媛媛の失踪事件と人骨事件を同時に追うべきだと提案する。
さらに李筱希が調べたところ、劉媛媛は失踪前にシュウ酸と塩酸を購入していたことが判明。骨から漂っていた強い刺激臭とも一致する。
斉思哲は骨を調べ、発見された骨盤は45歳以上の女性のものと推測する。しかし、古い遺骨とは考えにくく、DNAはほとんど残されていなかった。
その後、手や足の骨も発見される。
さらに骨を捨てた人物を見たという目撃証言も得られるが、夜間だったため顔は確認できなかった。
現場から見つかった衣服の切れ端は、監視カメラに映っていた劉媛媛の服装とよく似ていた。
そして、各地から次々と人骨の入った袋が発見される。
斉思哲と高元が骨を一つずつ組み合わせていくと、恐ろしい事実が明らかになる。
それは、一人分の遺骨ではなかった。
そこにあるのは、複数の人間の骨だった。
















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