朝雪録〈あさゆきろく〉2025年 全38話 原題:朝雪录 朝雪録〜女医復讐記〜
第26話「睡蓮池の夜」
芙蓉楼で泥酔した燕離は、街で倒れ込んでしまう。そこへ岳凝が駆けつけ、「剥皮事件の犠牲者になったのかと思った」と涙ながらに語る。燕離は彼女を優しく慰め、二人の距離はさらに縮まっていく。
一方、燕遅と秦莞は刑部牢獄で張洞玄を再び尋問。剥皮事件と過去の観音鎮連続殺人事件との関係を探るが、張洞玄は意味深な言葉だけを残す。
宮中では、皇帝・燕淮が太子・燕徹へ激怒していた。剥皮事件の捜査が進まぬことに加え、都の治安悪化が朝廷への不満を招いていたのである。そして成王・燕麒は、事件解決に活躍する秦莞の存在を危険視し、彼女の名誉を傷つけることで燕遅の勢力を削ごうと企む。
その頃、燕離の調査により、剥皮死体は威遠伯府四公子・呉謙である可能性が浮上。燕遅と秦莞は威遠伯府を訪れる。呉謙は放蕩三昧の生活を送っており、弟・呉瑜からも嫌われていた。
さらに調査は染墨画館へ。画館主人・寧不易は、呉謙がかつて「王信」という彫刻師と関わっていたと証言する。王信は印章偽造で追放された人物だった。燕遅は即座に全国へ海捕文書を発布し、王信の行方を追う。
夜、燕遅は秦莞を四季咲きの睡蓮池へ案内する。二人は魚を焼きながら静かな時間を過ごし、過去を語り合う。そこで秦莞は、燕遅の母の死について「急すぎる」と違和感を口にする。その一言は燕遅の胸に深い疑念を残した。
甘い雰囲気の中、二人は池辺で寄り添うが、秦莞は突然事件の話へ戻る。恋に溺れず真実を追う彼女らしい瞬間だった。
その頃、川辺では新たな死体が発見される。
今度の犠牲者は、舌を切り取られていた――。
第27話「無義花の秘密」
秦莞は単独で張洞玄を訪ね、ついに“天道社”についての重要情報を得る。
天道社の首領は、白い仮面を付けた長身の男。そして組織の象徴は「黒い花弁に赤い蕊を持つ無義花」だった。
無義花は刑場近くにのみ咲き、人血を吸って育つと言われる不吉な花。張洞玄はそれを“地獄の花”と呼ぶ。
その直後、京城で新たな「抜舌事件」が発生。燕遅は、これこそ天道社の犯行だと断定する。
護城河で見つかった死者・趙嘉許は読書人でありながら愛人を囲っていた男だった。秦莞の検視により、彼は生きたまま舌を切り取られ、激痛の中で死亡したことが判明する。
燕遅は張洞玄に、過去の観音鎮事件と現在の連続殺人の関連を占わせる。事件発生時刻・方角・節気を分析した結果、犯行には一定の法則が存在する可能性が浮上した。
さらに秦莞は、観音鎮事件当時の洛州知府が李牧雲だったことを知る。
彼が証拠を隠滅したのではないか――秦莞の疑念は強まっていく。
一方、燕離と岳凝は趙嘉許の愛人・鐘氏を尾行し、事件の裏側を探る。燕遅と鄭白石は、都全体へ夜間外出禁止令を出す案を皇帝へ提出することを決める。
秦莞は忠勇侯府を離れる決意を固め、燕遅は彼女へ専用馬車を贈る。感動した秦莞は「お返しに香袋を刺繍する」と約束。二人の関係は穏やかに深まっていく。
その後、秦莞は父・沈毅の資料を探すため大理寺へ潜入。岳凝と燕離が李牧雲を引き留める間に資料を調べるが、その最中に新たな殺人事件の報せが届く。
そして李牧雲は、秦莞が晋王事件へ強い関心を持っていることに気づき始めるのだった。
第28話「北斗の殺人」
秦莞はついに岳凝へ、自分が沈毅の娘・沈莞である真実を打ち明ける。父の冤罪を晴らすため、秦良の娘として生きてきたのだった。岳凝は驚きながらも、彼女を支える決意を固める。
一方、燕遅は軍糧横流し事件を追い、朔西軍内部に裏切り者がいると疑い始める。
そんな中、新たな犠牲者・胡徳全の死体が氷窖で発見される。秦莞は、犯人が別の場所で殺害した後、死体を氷窖へ運び込んだと推測。さらに岳凝と燕離へ被害者の交友関係を調べさせる。
連日の検視で疲弊した秦莞は、調査中に倒れかける。燕遅は彼女を抱き上げ馬車へ運び、薬を飲ませる。彼の過保護ぶりに、周囲は半ば呆れながらも温かく見守る。
帰宅した秦莞は驚く。
燕遅がすでに新居の使用人や護衛を整え、さらに張洞玄までも保護していたのだ。彼は秦莞の安全のため、裏であらゆる手を打っていた。
一方、燕離は鳳栖楼の舞姫たちから情報収集し、呉謙・趙嘉許・胡徳全の共通点が鳳栖楼であると突き止める。
その頃、張洞玄は観音鎮事件の法則から「今夜第四の殺人が起きる」と予言。燕遅は白楓へ命じ、全城警戒態勢を敷く。
夜、望火楼で監視していた燕遅は東市に火の手を発見。潜火隊が急行するが、一人の男が焼死してしまう。
さらに張洞玄は司南を用いて分析し、犯行現場が北斗七星の方角配置と一致していることを見抜く。
つまり犯人は、星の配置に従って殺人を行っていたのだった。
第29話「天道社の仮面」
王信が惨殺され、燕遅と秦莞は彼が誰かに誘き出された上で殺害されたと判断する。捜査が進むにつれ、染墨画館主人・寧不易の不自然な行動が目立ち始める。
しかし証拠はまだ足りない。
そこで燕離と岳凝は恋人同士を装い、寧不易を油断させる作戦を決行する。
罠にかかった寧不易は燕離を自宅へ招待するが、そこで毒を盛り地下室へ監禁。燕離は挑発で時間を稼ぎ、岳凝が駆けつけて救出する。
ついに燕遅と秦莞は寧不易を追い詰める。
寧不易は、自分こそ“天道社”創設者であり、王信らを「天罰」として処刑したと告白する。
彼は腐敗した世を正すために殺人を行ったと主張するが、その思想は狂気そのものだった。
しかし全容を語る前に、寧不易は突然自害。現場には無義花の紋様と白い仮面が残されていた。
これにより、彼こそ天道社の首領だったと断定される。
事件解決後、燕遅は皇帝へ報告するが、燕淮は軍糧汚職事件の進展が遅いことへ不満を示す。燕遅は自ら朔西軍へ赴き、真相を調べる決意を固める。
その頃、信王世子・燕澤が帰京。幼少期の事故で彼を失明させた負い目から、岳凝は彼へ嫁ぐ決意を口にする。しかし燕離は猛反対し、「必ず別の道を探す」と誓う。
秦莞は燕澤の眼を診察し、幼少期に毒を盛られた可能性を察知する。しかし燕澤は真実を語ろうとしなかった。
さらに晋王府でも不穏な気配が漂い始める。
父・沈毅の冤罪へ繋がる巨大な陰謀が、再び動き出そうとしていた。
第30話「狩猟祭の陰謀」
晋王府へ潜入した秦莞は、そこで男性の死体を発見する。しかし李牧雲と捜査権を巡って激しく対立。皇帝・燕淮は騒動を抑えるため、上巳節が終わるまで晋王府調査を中断させる。
そして上巳節の皇家狩猟大会が始まる。
太子・燕徹と成王・燕麒は互いに競い合い、緊迫した弓比べを展開。しかし最後は燕遅が圧倒的な腕前を見せ、一矢で二羽の雁を射抜く神技を披露する。皇帝は大いに喜び、燕遅への信頼をさらに深める。
だが燕遅の胸中は複雑だった。
皇帝は朔西軍兵権を父・睿王から取り上げようとしており、燕遅は朝廷と父の板挟みに苦しんでいた。
さらに軍糧横流し事件の調査で、睿王自身は黒幕ではなく被害者側であることも判明。事件はさらに深い陰謀へ繋がっていた。
一方、岳凝は燕澤へ嫁ぐと言い張り、燕離と激しく衝突。燕離は彼女を止めるため必死に説得する。
その夜、秦莞は黒衣の刺客に襲われる。彼女は茯苓を守るため、あえて自ら囮となって連れ去られる道を選ぶ。
拉致したのは馮璋だった。薬で自由を奪われるが、秦莞は銀針と薬粉を使って見事に脱出。彼女の医術と冷静さが光る場面となる。
逃亡中、今度は成王・燕麒が現れ、秦莞を脅迫し侮辱する。しかし秦莞は怯まず、銀針を燕麒の首へ突き刺して反撃。
















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