朝雪録〈あさゆきろく〉2025年 全38話 原題:朝雪录 朝雪録〜女医復讐記〜
第21話「義王府の誓い」
成王・燕麒の追手から秦莞を守るため、燕遅は彼女を燕離の住む義王府へ連れて行く。義王府では燕離の母・厳夫人が秦莞を温かく迎え、一支の木簪を贈る。その簪には、義王家の壮絶な過去が秘められていた。
燕遅は秦莞へ、義王・厳涵の物語を語る。厳涵はもともと傅成業配下の武将だったが、戦功により傅家の娘を娶る。しかし彼はやがて傅成業の謀反計画を知り、妻を守るため単身で朝廷へ密告に向かった。その途中、皇帝が包囲されていることを知った厳涵は進路を変え、命懸けで救援へ向かう。結果として彼は炎の中で命を落としたが、その忠義を称えられ義王に封じられたのだった。
この話を聞いた秦莞は、「もし燕遅に危険が迫れば、自分も必ず守る」と静かに誓う。復讐に生きてきた彼女が、初めて“守りたい相手”を口にした瞬間でもあった。
一方、燕遅と展揚は蘇記粥舗で重要証拠を発見。そこには被害女性の嫁衣制作契約書があり、連続殺人事件の被害者が共通して訪れていた場所が判明する。燕遅は犯人逮捕のため、錦衣閣への強制捜査を決断する。
その後、崇明殿では盛大な宮宴が開催される。秦莞と岳凝は新顔として注目を集め、特に秦莞はその知性と医術で皇帝・燕淮から高い評価を受ける。しかしその姿を見た秦朝羽は激しい嫉妬を抱く。
宴の場で燕遅は、これまで続いていた“民女連続殺人”の真相を明かす。犯人は高位へ嫁いだ女性たちへの歪んだ嫉妬を抱き、幸せそうな女性ばかりを狙っていたのだった。
だが事件解決の直後、今度は太后が突然倒れる。
宮廷全体が騒然となり、秦莞は再び命を救うため危険な現場へ向かうことになる。
第22話「金針八法」
太后危篤の報を受け、皇帝・燕淮は急ぎ福寧宮へ向かう。秦莞の才能を高く評価していた皇帝は、彼女を伴わせ治療を任せることを決断した。
診察した秦莞は、太后が単なる病ではなく「邪風入脳」による重篤な状態だと見抜く。命を救うには強い薬と危険な施術が必要だった。宮廷医たちが躊躇する中、秦莞は薬王谷秘伝の「金針八法」を用いた治療を開始する。
緊迫した施術の末、太后の呼吸は安定。宮廷中が固唾を呑んで見守る中、秦莞は見事に太后を救い出す。皇帝は大いに感激し、彼女へ自由に宮中を出入りできる令牌を授ける。
さらに皇帝は燕遅を刑部侍郎へ昇進させ、北代・西寒両国の使節来訪中に争いが起きぬよう命じる。つまり燕遅は今後、政治と外交の最前線へ立つことになった。
馬車へ戻った秦莞と燕遅は互いの想いを語り合う。燕遅は、宮中には皇后派と素貴妃派の激しい権力争いがあり、秦莞が巻き込まれぬよう忠告する。
一方、忠勇侯府には皇帝と皇后から褒美が届けられ、一族は大喜び。しかし秦湘は、秦莞ばかりが寵愛を受ける現状に不満を募らせる。
そして正旦の大朝会。
北代の元氏兄妹、西寒皇子・劉贇らが来朝し、朝廷は華やかな国際舞台となる。元弘は巨大な紅宝石を、劉贇は白狐と鈴を献上。各国の思惑が交差し始める。
この回から物語は、単なる推理劇を超え、国家間の駆け引きへと広がっていく。
秦莞もまた、宮廷という危険な渦へ本格的に足を踏み入れるのだった。
第23話「湖畔の口づけ」
北代公主・元芜は、宴の場で燕遅へ堂々と求婚する。しかし燕遅は即座に拒絶。彼の心にはすでに秦莞しかいなかった。屈辱を受けた元芜は、表向きは平静を装いながらも激しい嫉妬を燃やし始める。
その頃、秦莞は忠勇侯府の車へ乗せられ、胡氏や秦朝羽から「成王や異国皇子との婚姻も考えるべき」と説得される。しかし秦莞は権勢のための結婚を断固拒否。彼女が望むのは復讐と真実だけだった。
その後、秦莞と燕遅は湖畔で束の間の穏やかな時間を過ごす。
燕遅は、自分が京城へ残る本当の理由を打ち明ける。それは朔西軍の未来を守るためだった。二人は互いの想いを確認し合い、ついに深く口づけを交わす。
しかしその光景を、元芜が目撃していた。
嫉妬に狂った彼女は、秦莞を排除しようと決意する。
一方、秦朝羽は秦莞を太子へ近づけようとしたことで父・秦述から叱責され禁足処分となる。秦莞自身も、秦府にいる限り嫉妬と猜疑が深まると理解し、早く独立したいと考え始める。
宮中では太后の療養が続き、秦莞は九皇子・燕綏の診察も任される。燕綏は心を閉ざし言葉を発しない少年だった。皇帝・燕淮は失望しているが、秦莞は「病ではなく心の問題」だと感じる。
そして翌日の郊遊では、北代・西寒・大燕の若き貴族たちが交流を深める。しかし燕淮は太子・燕徹の軽率な行動が外交問題へ発展することを危惧していた。
恋と嫉妬、そして国家間の緊張。
湖畔で交わされた口づけは、やがて大きな波乱を呼び込むことになる。
第24話「深谷の罠」
元芜の策略により、秦莞は人気のない山谷へ誘い出される。そこで何者かに襲撃され、命からがら逃げ出すが、足を滑らせ深い谷へ転落してしまう。
一方、燕遅は皇帝へ秦莞を正式な幕僚として推薦し、その才覚を朝廷で活用すべきだと進言。皇帝もこれを受け入れる。
しかしその直後、北代太子・元弘が失踪。
外交問題へ発展しかねない事態に、燕遅は捜索隊を率いる。北代側は西寒皇子・劉贇を疑い、両国は一触即発となる。
山中をさまよう秦莞は負傷しながらも必死に生き延びる。その途中、崖辺に自ら痕跡を残しており、燕遅はそれを頼りに彼女を追跡する。
やがて燕遅は洞窟で倒れている秦莞を発見。
彼は野葱で温かなスープを作り、さらに彼女のため即席の草鞋まで編む。戦場育ちの燕遅らしい不器用な優しさが描かれる名場面となった。
その後、元弘が重傷で発見される。秦莞は治療中、彼の髪に獣を引き寄せる“獣餌”が擦り込まれていることを発見。犯人は野獣に死体を食わせ、証拠隠滅を図っていたのである。
燕遅と燕離は現場から元弘の弯刀や獣餌を発見し、これは明らかな襲撃事件だと断定する。
そして燕離と岳凝は、北代将軍・徐常の身から毒丸を発見。
事件は単なる遭難ではなく、北代内部の陰謀へと発展していく。
第25話「剥皮鬼」
燕離は酒に溺れ、鳳栖楼で泥酔して街へ倒れ込む。一方、福寧宮では秦莞が九皇子・燕綏と静かに向き合っていた。
燕綏は籠の小鳥を飼っていたが、餌を食べなくなっていた。秦莞は「自由を奪われているから」と語り、鳥を逃がすよう勧める。燕綏が鳥を放つと、小鳥は大空へ飛び去った。その光景に燕綏は初めて穏やかな表情を見せる。
それを見た太子・燕徹は、秦莞に強い好感を抱くようになる。
しかし安らぎも束の間、新たな猟奇殺人事件が発生。燕遅は秦莞を宮中から連れ出し、共に捜査へ向かう。
今回の被害者は、皮を剥がれた男性死体だった。秦莞は検視から、犯人が被害者へ強心薬を飲ませ、意識を保たせたまま皮を剥いだ可能性を指摘する。つまり犯人は“苦痛そのもの”を楽しんでいたのだ。
さらに遺体には朱砂の痕跡が残されていた。燕遅と秦莞は、六年前に起きた「観音鎮殺人事件」との類似点に気づく。当時の犯人は捕まっておらず、今回の事件はその再来かもしれなかった。
真相解明のため、二人は死刑囚の占い師・張洞玄への面会を決断。彼は過去事件について何かを知っているようだった。
また、絵師・寧不易が遺体復元図のため呼ばれるが、彼は遺体を見ること自体に強い恐怖を抱いている様子を見せる。
秦莞は被害者の胃から未消化の蟹を発見し、鳳栖楼との関連を疑う。燕遅は展揚へ調査を命じる。
そして李牧雲は、秦莞の鋭い推理を見て「まるで沈毅のようだ」と称賛する。
















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