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荊棘(いばら)の花~奪われた私~ 1話・2話・3話・4話 あらすじ

荊棘(いばら)の花~奪われた私~ 2024年 全22話 原題:披荆斩棘的大小姐

第1話の見どころ

良家の令嬢として穏やかな日々を送っていた羅愛蓮の運命は、一人の男性との出会いをきっかけに大きく狂い始めます。姉妹の嫉妬と策略、突然の死、そして父の急逝――次々と降りかかる悲劇によって、愛蓮は殺人の疑いをかけられることに。誰が味方で誰が敵なのか分からない緊迫した展開と、すべての始まりとなる陰謀が描かれる、復讐劇の幕開けにふさわしい第1話です。

第1話「三姉妹が招いた悲劇」

薬酒造りで名高い「甘露堂」を営む羅家の長女・羅愛蓮は、誠実で聡明な人柄から父・羅季達の厚い信頼を得ていた。一方で、側室である周姨娘と異母妹の羅霜霜は、父の愛情が愛蓮に向けられていることを快く思わず、長年ひそかに不満を募らせていた。次女の羅雪児だけは愛蓮と仲が良く、姉妹は互いを支え合いながら暮らしていた。

ある日、愛蓮、雪児、霜霜の三姉妹は寺を訪れ、占い師に運勢を占ってもらう。そこで告げられたのは、「一人の男との出会いによって三姉妹の運命は大きく変わる」という不吉な予言だった。愛蓮は占いなど迷信に過ぎないと気にも留めなかったが、霜霜だけはその言葉を真に受け、高価な縁結びのお守りまで買い求める。誰もがその予言が現実になるとは思っていなかったが、この出来事こそが悲劇の始まりだった。

その頃、羅家では名家・杜家の御曹司、杜若山との縁談話が持ち上がっていた。父の羅季達は側室の周姨娘に客人を丁重にもてなすよう命じるとともに、「霜霜だけでなく、愛蓮と雪児も大切にするように」と念を押す。しかし周姨娘の胸中にあったのは、自分の娘である霜霜を杜家へ嫁がせることだけだった。霜霜にも念入りに身支度をさせ、杜若山の心をつかもうと画策する。

ところが杜若山は、霜霜に甘露堂の新しい酒の名前を尋ねるが、霜霜は自家の商売について何一つ答えられない。そこへ戻ってきた愛蓮は、新商品の名が「春不老」であることを即座に言い当てるだけでなく、杜若山が持参した酒が自ら仕込んだ逸品であることまで見抜いてみせる。その知識と洞察力に杜若山は強く心を惹かれるが、愛蓮は決して自分だけが目立とうとはせず、酒の名前を考えたのは雪児だと紹介する。その謙虚な振る舞いに杜若山はますます感心する一方、霜霜は面目を失い、愛蓮への嫉妬をさらに募らせていく。

帰宅後、霜霜は母の周姨娘に怒りをぶつける。周姨娘もまた、羅季達が将来甘露堂を愛蓮に継がせようとしていること、自分がいつまでたっても正妻になれないことへの不満を抱えていた。母娘は、このままでは何も手に入らないと危機感を強め、自分たちの未来を変えるための策を巡らせ始める。

一方、愛蓮は雪児が密かに杜若山へ想いを寄せていることに気付く。幼い頃から自分と仲が良かったせいで、雪児は実母である周姨娘から冷たく扱われ続けてきたことを知る愛蓮は、妹の幸せを願い、杜若山から届いた贈り物を返却するよう侍女に命じ、自ら身を引こうと決意する。その優しさは、愛蓮の人柄を何よりも物語っていた。

しかし家の中では、さらなる不穏な空気が漂っていた。父・羅季達は夜更けに客間の前をうろつく霜霜を見つけて厳しく叱責し、翌日からは甘露堂で酒造りを学ぶよう命じる。周姨娘は今度は雪児を呼び出し、「霜霜が杜家へ嫁げるよう協力しなさい。その代わり、あなたにも裕福な家との縁談を探してあげる」と言い聞かせる。しかし雪児は、幼い頃から霜霜ばかりをかわいがる母に耐えかね、「母親とは思えない」と涙ながらに訴える。その言葉に逆上した周姨娘は雪児を平手打ちし、自分の味方になるよう強く迫るのだった。

傷ついた雪児は愛蓮のもとを訪れる。ところが二人が部屋へ入ると、そこには杜若山が倒れていた。愛蓮は、杜若山が求婚を断られたあと無理やり迫ろうとし、もみ合いになった直後、突然倒れたと事情を説明する。持病の発作による急死ではないかと考えた愛蓮だったが、雪児は姉を守るため、このままでは愛蓮が疑われると判断し、杜若山の遺体を客間へ戻そうと提案する。姉妹は苦渋の決断として遺体を運び、誰にも知られないよう元の部屋へ戻した。

翌朝、息子の死を知った杜家の主人は羅家へ押しかけ、激しい怒りをぶつける。検視の結果、杜若山の死因は胸痺という持病による発作と判明したものの、杜家の主人は納得せず、怒りのまま羅家の者たちを斬り捨てようとする。その危機を救ったのが、大豊国の将軍・徐程風だった。

徐程風は冷静に遺体を調べ、杜若山の死が病によるものであることを認める。しかし同時に、「遺体は死後に移動されている」と見抜き、その移動には女性が関わっている可能性が高いと指摘する。その鋭い観察眼により、事件は単なる病死では済まされない様相を帯び始める。

羅季達は杜家をなだめるため、広大な田地の権利書と甘露堂三年分の利益を賠償として差し出す。しかし杜家の主人は怒りを収めず、「明日、羅家の娘を一人差し出し、亡き息子と冥婚させよ」と要求する。娘を失いたくない羅季達は愛蓮から事件の経緯を聞き、「すべては父が何とかする」と優しく娘を安心させる。

だがそのやり取りを、霜霜は密かに盗み聞きしていた。父が愛蓮を守ろうとしていることを知った霜霜は、自分が冥婚の相手に選ばれるのではないかという恐怖に駆られる。

その頃、愛蓮は杜若山が持参した手紙を見つける。それは自分が書いた覚えのない恋文であり、誰かが故意に偽造して自分を陥れようとした証拠だった。真相を探るため霜霜の部屋を訪ねると、手紙と同じ筆跡や墨の跡を見つけ、今回の事件の裏に杜若山へ恋心を抱く霜霜の存在があることを確信する。

急いで父に真実を伝えようと愛蓮が部屋へ向かうと、そこには息絶えた羅季達の姿があった。持病の喘息発作による急死と思われたが、あまりにも突然の出来事に愛蓮は言葉を失う。

その夜、杜若山の死を再調査するため再び羅家を訪れていた徐程風は、羅季達の変死にも遭遇する。すると霜霜は涙ながらに、「父は愛蓮のせいで命を落とした」と叫び、すべての罪を姉へ押し付ける。徐程風は愛蓮に杜若山の遺体を動かしたかを問いただし、愛蓮は隠すことなく事件の一部始終を説明するとともに、霜霜が偽の手紙で自分を陥れたことを訴える。

徐程風は公平な捜査のため、愛蓮を事件の重要参考人として一時拘束することを決断する。連行される愛蓮は、自らの潔白よりも父の死の真相を明らかにしてほしいと徐程風へ懇願するのだった。

こうして、愛する家族を失い、身に覚えのない罪まで着せられた愛蓮の運命は暗転する。彼女はまだ知らなかった。この日味わった絶望が、やがて自らの人生を懸けた壮絶な復讐への第一歩となることを。

 

第2話の見どころ

父を失い、殺人犯の汚名まで着せられた羅愛蓮は、ついに屋敷を追われ、生き延びるための決断を迫られます。炎に包まれた祠堂で味わう絶望、信じていた叔父からの裏切り、そして新たな人生を与えてくれる沈家との出会い。愛蓮はすべてを失う一方で、新たな顔と新たな名前を手に入れ、復讐への第一歩を踏み出します。壮絶な運命の転換点となる、見逃せない重要エピソードです。

第2話「新たな顔、新たな人生」

父・羅季達の死と杜若山の変死事件の容疑者として捕らえられた羅愛蓮は、羅家の柴小屋に閉じ込められていた。唯一の味方である妹・羅雪児は、警備の目を盗んで愛蓮のもとを訪れ、今のうちに屋敷から逃げるよう説得する。しかし愛蓮は、父を殺した真犯人がまだ屋敷の中にいると確信しており、このまま逃げれば真実は永遠に闇へ葬られてしまうと考えていた。

それでも雪児は、「今は生き延びることが何より大切。真実は後からでも明らかにできる」と必死に姉を説得する。そして、自分は屋敷に残って密かに手掛かりを探すことを約束し、涙ながらに愛蓮を逃がすのだった。

雪児の助けによって屋敷を脱出した愛蓮だったが、妹だけを危険な場所へ残してきたことが心配でならない。やはり戻ろうと決意したその時、馬車を操っていた御者が正体を現す。それは将軍・徐程風だった。

徐程風は愛蓮を逃がした理由を明かさないまま、彼女の話に耳を傾ける。愛蓮は父の遺体を抱き締めた際、衣服に沈香の粉が付着していたことを思い出し、その香りが喘息を悪化させる性質を利用して父が殺害されたのではないかと推理する。そして、その方法を知ることができたのは父と親しい人物だけだと語る。

さらに愛蓮は、亡き母から受け継いだ大切な玉佩を徐程風へ差し出し、「どうか私を信じ、父の死の真相を調べてください」と頭を下げる。徐程風は彼女の真っすぐな眼差しに心を動かされ、一度だけ信じてみようと決意する。玉佩を預かる代わりに、いざという時に自分を呼べるよう煙火の信号弾を渡し、二人は真相解明を約束する。

その後、愛蓮は密かに羅家へ戻り、霜霜の部屋を捜索する。すると予想どおり、父の死に関係していると思われる沈香の粉を発見する。妹が父を殺害した証拠を目の当たりにした愛蓮は、どうして実の父に手をかけたのか理解できず、何としても真実を聞き出そうと決意する。

愛蓮は徐程風の名を借りて霜霜を祠堂へ呼び出す。そして証拠を突きつけながら、父を死に追いやり、自分を陥れた理由を問い詰める。追い詰められた霜霜は激しく動揺し、真実が暴かれることを恐れるあまり、突然愛蓮を殴り倒して気絶させてしまう。

知らせを受けた周姨娘は、愛蓮を生かしておけば自分たちの罪が暴かれると判断し、口封じのため殺害を決意する。しかしそこへ羅家の次男・羅季舟が現れ、事態は思わぬ方向へ動き始める。

追及された周姨娘は、長年隠し続けてきた衝撃の秘密を打ち明ける。霜霜は羅季達の娘ではなく、実は羅季舟との間に生まれた実の娘だったのである。その事実を知った羅季舟は、姪である愛蓮を助けたいという思いと、自分の娘を守りたいという父親としての思いの間で苦しむ。

そして最後に彼が選んだのは、実の娘を守ることだった。

羅季舟は愛蓮の助けを求める声に背を向け、周姨娘が祠堂へ火を放つことを黙認する。縄で縛られた愛蓮は炎に包まれる祠堂の中で必死に助けを求めるが、叔父は振り返ることなく立ち去っていく。その姿を見つめながら、愛蓮は家族だと信じていた人に見捨てられた絶望を味わう。

一方その頃、徐程風は別件の捜査として、皇帝へ届けられるはずだった秘宝の地図の行方を追っていた。護送を担当した沈氏鏢局が盗難に関わった疑いをかけられていたが、徐程風は沈家の人々の人格を知っており、彼らが自ら盗みを働くとは考えていなかった。

同じ頃、沈氏鏢局の若き当主・沈自山は、山賊から奪われた荷を自らの手で取り返し、仲間へ託していた。妹・沈丹青の命を救う薬草「神龍草」を手に入れるため奔走していた彼は、帰路の途中で川を流される瀕死の女性を発見する。それは炎の祠堂から命からがら逃げ延びた羅愛蓮だった。

沈自山はすぐに愛蓮を医師・繆神医のもとへ運び込み、治療を依頼する。しかし愛蓮は全身に深い火傷を負い、顔も判別できないほど焼けただれていた。

その一方で、ようやく神龍草が届けられたものの、繆神医は沈丹青の命はすでに尽きようとしており、薬では救えないと告げる。残された方法は心臓移植という極めて危険な治療だけだった。

沈丹青は自分の命が長くないことを悟ると、「これ以上、誰かを犠牲にしてまで生きたくはない」と静かに語り、自ら死を受け入れる決断をする。それは最愛の兄・沈自山を苦しみから解放するためでもあった。

そんな兄妹を前に、繆神医は一つの提案をする。

命は救えなくとも、沈丹青の美しい顔を火傷で顔を失った愛蓮へ移植すれば、沈家の父親が娘を失った悲しみで倒れることを防げるかもしれない。そして沈丹青という存在も、別の形で生き続けられるのではないかというのだ。

昏睡状態だった愛蓮はその話を耳にし、自らその提案を受け入れる決意を固める。

「どんな姿になっても構わない。私は生きて、必ず真実を明らかにする。」

その強い覚悟を胸に、愛蓮は壮絶な手術へ臨む。

長い治療の末、鏡に映った自分の姿を見た愛蓮は息をのむ。そこにはもう羅愛蓮の顔はなく、沈丹青そのものの姿があった。そしてその顔を見た瞬間、以前寺で一度だけ沈丹青と出会ったことを思い出す。偶然の出会いが、思いもよらぬ形で二人の運命を結び付けていたのである。

やがて沈自山は、救った女性が甘露堂の令嬢・羅愛蓮だったことを知る。そして愛蓮から、祠堂で焼き殺されそうになったこと、侍女の彬児が命を懸けて自分を助けてくれたものの、代わりに炎の中で命を落としてしまったことを聞かされる。

一方、羅家では周姨娘が焼け跡から見つかった遺体を「父を殺した羅愛蓮」と決めつけ、「親殺しの娘を羅家の墓へ入れる資格はない」と言い放ち、その遺体を乱葬崗へ捨てさせる。さらに役人へ早く事件を終結させるよう働きかけるとともに、「愛蓮は父に冥婚を命じられたことを恨み、父を殺して自ら火を放った」という偽りの噂を町中へ流し始める。

しかし雪児だけは姉の死を信じていなかった。焼け跡から母・周姨娘の組み紐を見つけた雪児は、母が祠堂にいた理由に疑問を抱き、一人静かに真相を探り始める。

その後、沈自山は愛蓮を完全に沈丹青として生きられるよう、妹の幼い頃からの思い出や趣味、人柄、絵画や武術まで一つ一つ教え始める。飛ぶ鳥を描くことを好み、武芸にも秀でた沈丹青の人生を学ぶ愛蓮は、「沈丹青としての役目は果たします。でも、羅愛蓮としての恨みだけは決して忘れません」と静かに誓う。

沈自山は過去を捨て、新しい人生を歩んでほしいと願うが、愛蓮の胸に宿る復讐の炎は消えることはなかった。

こうして羅愛蓮は”沈丹青”という新たな名前と新たな顔を手に入れ、誰にも正体を知られることなく、父と侍女の命を奪った者たちへ復讐するための長い準備を始めるのだった。

 

第3話の見どころ

新たな顔と「沈丹青」という身分を手に入れた羅愛蓮が、ついに復讐への第一歩を踏み出します。沈自山から与えられる過酷な試練を乗り越え、弱さを捨てる覚悟を固めた愛蓮は、沈家の令嬢として再び羅家へ足を踏み入れることに。自らの葬儀が行われた祠堂で亡き父に再会し、仇敵を前に静かに牙を研ぐ姿は圧巻。復讐劇がいよいよ本格的に動き始める重要な一話です。

第3話「新たな身分で故郷へ」

羅愛蓮が祠堂の火災で命を落としたと世間が信じる一方で、事件の真相を隠そうとする者たちは、なおも証拠隠滅に追われていた。

羅家の次男・羅季舟は、祠堂から愛蓮を助け出そうとした侍女・彬児の姿が見当たらないことを知る。もし彬児が生きていれば、祠堂で起きた出来事や愛蓮を焼き殺そうとした真実を知る唯一の証人となる。羅季舟は、自分たちの犯行が明るみに出ることを恐れ、周姨娘とともに彬児の行方を必死に探し始める。

一方、徐程風は依然として羅愛蓮の死に疑念を抱いていた。

火災当日、彼は万一の時に備えて愛蓮へ煙火の信号弾を渡していた。たとえ炎に包まれても発射できる仕組みになっているはずだったが、現場ではその信号が上がることはなかった。徐程風は「誰かが意図的に信号弾を壊し、火災に見せかけて証拠を消したのではないか」と推理し、事件は単なる事故ではなく計画的な殺人だと確信を深める。

真相を知る鍵を握る彬児を探そうと羅家を訪ねた徐程風だったが、周姨娘は「侍女は主人の死を恐れて逃亡した」と平然と嘘をつく。

その後、徐程風は密かに羅雪児とも接触し、何か知っていることはないかと尋ねる。しかし雪児は何も語ろうとしなかった。

実はその少し前、雪児は焼け跡で拾った母・周姨娘の組み紐を証拠として隠し持っていた。しかし周姨娘はその存在に気付き、無理やり組み紐を奪い取ると、その場で焼き捨ててしまう。そして「余計なことをすれば、お前も愛蓮と同じ運命になる」と娘を脅し、沈黙を強要していたのである。

徐程風は捜査を進める中で、事件を早々に終結させようとする聊城の白知府にも疑問を抱く。

酒楼で遊興にふける白知府を訪ねた徐程風は、杜家と羅家で続けて起きた二つの事件には多くの不審点が残されていると指摘し、「真相が判明するまで決して事件を終わらせてはならない」と強く命じる。その毅然とした姿勢に、白知府も軽々しく事件を処理できなくなるのだった。

一方の周姨娘は、彬児が官府へ保護されることを何より恐れていた。そこで羅季舟へ命じ、裏社会にも顔が利く者たちを使って彬児を捜し出すよう依頼する。真実を知る証人を消すため、二人はさらに深い罪へと足を踏み入れていく。

その頃、徐程風は検視を担当した役人から新たな報告を受ける。

焼死体は「羅愛蓮」とされていたものの、身長が愛蓮本人よりわずかに低かったというのである。しかし火傷が激しく、それ以上の判別は不可能だった。決定的な証拠を得られない徐程風は、せめてもの償いとして「羅愛蓮」とされた遺体を丁重に埋葬するよう部下・天昊へ命じる。

その頃、本物の羅愛蓮は沈家の医廬で、新たな人生を歩み始めていた。

ある日、愛蓮と沈自山は突然正体不明の刺客に襲われる。二人は必死に応戦するものの多勢に無勢で捕らえられ、刺客たちは愛蓮の火傷の跡を見て、「沈家の令嬢・沈丹青ではない」と疑い始める。

沈自山が命の危険にさらされる姿を目にした愛蓮は、沈家を巻き込みたくない一心で、自らが羅愛蓮であることを明かし、自害しようとまで考える。

しかし次の瞬間、刺客たちは武器を収める。

すべては沈自山が仕組んだ試練だったのである。

沈自山は、これから復讐という険しい道を歩む愛蓮に最も必要なのは「甘さを捨てること」だと考えていた。

「今日ここで私が本当に死んだとしても、お前は羅愛蓮ではなく沈丹青として生き続けなければならない。」

その言葉には、過去に囚われたままでは復讐も果たせず、沈家まで滅ぼしかねないという厳しい覚悟が込められていた。

さらに沈自山は、愛蓮がこれまで人を疑うことを知らず、その優しさゆえに何度も利用され、裏切られてきたことを指摘する。そして、「復讐を諦めろ」と忠告するが、その本心は愛蓮を守りたいという兄のような思いからだった。

繆神医は、沈自山がわざと過酷な試練を与えた理由を理解していた。愛蓮が本当に復讐を望むなら、弱さや情だけでは生き残れない。沈自山は彼女を突き放すことで、自立できる強い女性へ成長させようとしていたのである。

愛蓮もまた、その真意を理解していた。

だが父・羅季達を殺され、命懸けで自分を助けた侍女・彬児まで失った彼女にとって、復讐だけは決して諦めることのできない使命だった。

愛蓮は火災の日、自分を襲った人物が着ていた衣服の生地を思い出す。

翌日、布問屋を訪れた彼女は布を買うふりをしながら帳簿を調べ、その生地を購入した人物の一覧を密かに手に入れる。

一方その頃、徐程風は羅愛蓮の墓を訪れていた。

墓前に立った徐程風は、「君の無実を証明できなかった」と静かに詫び、自らの無力さを悔やむ。その姿を偶然目にした愛蓮は、正体を明かすことはできないものの、自分を最後まで信じ続けてくれた徐程風への感謝を胸に刻む。

帳簿を調べた愛蓮は、雪片紗という特殊な布を羅霜霜が購入していた記録を見つける。

その布こそ、火災の日に自分を襲った人物が身に着けていたものだった。

さらに布には微かに沈香の粉が付着しており、それが父を死に追いやった香でもあることに気付く。

こうして愛蓮は、父殺しと自分を焼き殺そうとした犯人が同一人物であるという確信を深める。そして、その中心にいるのはやはり羅霜霜なのだと悟るのだった。

その後も愛蓮は沈家で武芸の修業に励み、昼夜を問わず鍛錬を重ねる。

以前の優しく穏やかな令嬢の姿は消え、復讐を果たすためなら苦しみにも耐え抜く強さを身につけていく。その努力を認めた沈自山は、妹・沈丹青が愛用していた佩剣を愛蓮へ託し、「今日からお前は本当の沈丹青だ」と静かに告げる。

その言葉を受けた愛蓮は、ついに復讐計画を実行へ移す。

間もなく羅家では、有力者・曾大人の誕生日祝いとして特製の酒を献上する予定になっていた。酒造りには大量の酒麹が必要であり、その輸送を沈氏鏢局が請け負うことになる。

愛蓮は沈丹青として護送役を引き受け、自ら羅家へ向かう。

久しぶりに足を踏み入れた生家では、羅霜霜が「沈家など所詮は護送業者」と見下した態度を取っていた。

その言葉を聞いた愛蓮は表情一つ変えず、沈家の令嬢として運賃の値上げを要求する。周姨娘と羅季舟は反発するものの、酒麹が傷めば献上酒が完成しないため、泣く泣く条件を受け入れるしかなかった。

さらに愛蓮は、「幼い頃に羅季達様から恩を受けたことがある」と理由を付け、祠堂への参拝を願い出る。

羅季舟は内心ひどく動揺するが、沈家との関係を悪化させるわけにもいかず、渋々これを許可する。

愛蓮は沈丹青として祠堂へ入り、亡き父の位牌の前で静かに手を合わせる。

「お父様、必ず真実を明らかにします。」

心の中でそう誓った愛蓮は、続いて周姨娘と羅季舟に対し、亡霊が現れたかのような演出を仕掛ける。突然の怪奇現象に二人は顔色を失い、自らの罪を思い出して激しく取り乱す。

その直後、使用人が慌てて駆け込み、「羅家の酒麹に異変が起きました!」と報告する。

こうして、沈丹青として羅家へ戻った羅愛蓮の復讐は、静かに、しかし確実に幕を開けるのだった。

 

第4話の見どころ

沈丹青として羅家への報復を開始した羅愛蓮は、敵を翻弄しながら次なる一手を打ちます。しかし、その行動は徐程風が追う皇命事件とも交錯し、思わぬ危機を招くことに。復讐を急ぐ愛蓮と沈家を守ろうとする沈自山の対立、そして徐程風が沈丹青の正体に疑念を抱き始める緊迫の展開が見どころです。復讐と真実、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語は新たな局面へと進んでいきます。

第4話「復讐の罠、羅家を揺るがす」

羅家では、曾大人へ献上する祝い酒のために保管していた酒麹が、一夜にしてすべて使い物にならなくなっていた。突然の出来事に周姨娘と羅季舟は大慌てで蔵へ駆けつけるが、そこには腐敗した酒麹が山積みになっているだけだった。

その様子を静かに見つめていた沈丹青――すなわち羅愛蓮は、「これは羅老爺と羅愛蓮に大きな無念が残っている証ではありませんか」と意味深な言葉を口にする。

その一言だけで、父を死へ追いやり、愛蓮を焼き殺そうとした羅季舟は顔色を失う。まるで亡き羅季達と愛蓮の怨念が復讐に戻ってきたかのような錯覚に襲われ、言葉を失ってしまう。

一方の周姨娘は動揺を隠しながらも、「死人が生き返ることなどあり得ない」と自分に言い聞かせるように強がり、取り乱す羅季舟を屋敷へ連れ戻して落ち着かせようとする。

しかし酒麹が使えなくなったことで、羅家は莫大な損害を抱えることになった。

酒の製造は完全に止まり、沈氏鏢局へ支払った運送の手付金まで失う事態となる。怒りに駆られた周姨娘は、「仕事が成立しなかった以上、手付金を返しなさい」と家丁たちに命じ、沈丹青たちを屋敷の外で取り囲ませる。

理不尽な要求に対し、沈丹青は一歩も引かなかった。

さらに横から羅霜霜が沈家を侮辱するような言葉を浴びせると、愛蓮は迷うことなく霜霜の頬を平手で打つ。

かつて虐げられるだけだった羅愛蓮とは違い、今の彼女は沈家の令嬢・沈丹青として堂々と振る舞う。その毅然とした態度に羅家の者たちは言葉を失う。

やがて周姨娘は、沈丹青が屋敷の外に沈氏鏢局の護衛を待機させており、異変があれば煙火を上げて徐程風へ知らせるよう手配していると知る。

徐程風を敵に回すことだけは避けたい周姨娘は、これ以上騒ぎを大きくすることを諦め、沈丹青たちをそのまま帰らせるしかなかった。

沈氏鏢局へ戻った愛蓮を待っていたのは、沈自山だった。

沈自山は、愛蓮が勝手に沈家の令牌を持ち出し、偽の命令書まで作って護衛を動かしたことを見抜いていた。

さらに、今回の羅家訪問が商談ではなく復讐のためだったこともすべて把握していた。

愛蓮は隠し立てすることなく、自分が羅家を混乱させるために酒麹の一件を仕組んだことを認める。

すると沈自山は厳しい表情で言い放つ。

「今日、お前の正体が少しでも露見していたらどうなっていたと思う? 沈家まで共犯と疑われていたかもしれない。」

復讐に夢中になるあまり、沈家全体を危険へ巻き込んでいることを指摘された愛蓮は静かに頭を下げる。

それでも彼女は、「私は父と彬児の仇を討つためだけに生きています。もしそのために命を失っても、決して沈家へ迷惑はかけません」と固く誓うのだった。

二人の言い争いを見ていた繆神医は、後になって愛蓮へ沈自山の胸の内を語る。

一年前、沈自山は皇帝へ届ける重要な荷を護送していた最中、妹・沈丹青が危篤だという知らせを受け、任務を中断して戻った。その結果、皇命の荷は盗賊に奪われ、沈家は朝廷から大きな疑いをかけられることになったのである。

その出来事以来、沈自山は「沈家の名誉を取り戻すこと」を人生最大の使命として背負い続けていた。

だからこそ、沈家を危険へ巻き込む可能性がある愛蓮の行動を、誰よりも恐れていたのである。

一方、羅家では酒麹の損失だけでなく、献上酒を期限までに完成させられなかった場合の違約金という新たな問題まで抱えていた。

周姨娘と羅季舟は損失を補うため、急いで新たな米を仕入れ、酒造りをやり直す計画を立てる。

また周姨娘は沈丹青について独自に調べさせ、徐程風とは特別な関係ではないことを知る。

「将軍府の情報を少し知っていただけで、私たちを脅したに違いない。」

そう考えた周姨娘は、沈丹青に一杯食わされたことを悔しがりながらも、再び羅家の立て直しを図ろうとする。

その頃、徐程風は部下・天昊と共に身分を隠し、皇命の荷を襲った女盗賊の行方を追っていた。

調査の結果、その女は「緑林三梟」と呼ばれる三人組の盗賊の一人である可能性が高いことが判明する。

徐程風は盗賊が現れそうな街道を分析し、囮となる商隊を用意して女盗賊を誘き寄せる作戦を立てる。

その一方で愛蓮も、新たな復讐計画を練っていた。

羅家をさらに追い詰めるには、家業である酒造りそのものを止めればよい。

そう考えた愛蓮は、まず羅霜霜を精神的に揺さぶることから始める。

香料店で偶然を装って霜霜と鉢合わせした愛蓮は、わざと高額で香粉を競り落とし、霜霜の負けず嫌いな性格を利用して無駄な出費をさせる。

そのやり取りの中で、羅季舟が北方の蘭陵県へ米を買い付けに向かう予定であることを聞き出す。

愛蓮は、その輸送中の米を奪えば羅家の酒造りは完全に止まると考える。

計画を知った沈自山は、危険すぎると反対する。

しかし愛蓮の決意が揺るがないことを悟ると、「一度だけ協力する。ただし、すべての計画を私に話すこと」という条件で手を貸すことを決める。

こうして沈氏鏢局は羅家の米を積んだ荷を襲撃し、見事に米を奪うことへ成功する。

しかし、この行動は思わぬ形で徐程風の作戦と重なってしまう。

徐程風は女盗賊を誘き寄せるため商隊を囮にしていたが、愛蓮たちが先に現れたことで計画が狂ってしまったのだ。

仲間へ米を運ばせるため、愛蓮は自ら徐程風の前へ姿を現し、彼を引き付ける役を引き受ける。

その様子を遠くから見ていた本物の女盗賊は、徐程風の武芸が予想以上だと判断し、姿を現すことなく部下を連れて撤退してしまう。

徐程風は逃げる愛蓮を執拗に追跡し、二人は激しく剣を交える。

武芸を磨いてきた愛蓮だったが、なお徐程風には及ばず、腕に傷を負ってしまう。

これ以上戦えば正体が露見すると判断した愛蓮は、川へ飛び込み、水路を利用して辛くも沈氏鏢局へ逃げ帰る。

愛蓮が負傷しながら戻った姿を見た沈自山は、作戦は成功したものの徐程風に目を付けられたことを危惧する。

そして、その予感はすぐに現実となった。

徐程風は女盗賊を追跡した末、沈氏鏢局へ直接乗り込んできたのである。

「女盗賊はこの屋敷へ逃げ込んだ可能性がある。」

そう告げた徐程風は、沈家にいる女性全員を集めるよう要求する。

部下の天昊が一人ずつ確認していくが、怪しい者は見当たらない。

沈自山は「妹の沈丹青は泳げません」と説明するものの、徐程風は納得しない。

やがて沈丹青に扮した愛蓮が、「入浴を終えたばかり」という姿で現れる。

徐程風は表面上は疑いを見せないが、なおも違和感を抱いていた。

彼はさりげなく愛蓮へ茶を淹れるよう頼み、その動作を細かく観察する。そして密かに腕の傷を確認するが、そこには先ほど自分が負わせたはずの傷は見当たらなかった。

疑念は残りながらも決定的な証拠を得られず、徐程風は沈丹青への監視を強めることを心に決める。

一方の愛蓮もまた、自分の正体が徐程風に気づかれ始めていることを悟り、復讐への道がさらに危険なものになっていくことを実感するのだった。

荊棘(いばら)の花~奪われた私~ 5話・6話・7話・8話 あらすじ

荊棘(いばら)の花~奪われた私~ 各話あらすじ キャスト・相関図

 

【放送情報】

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