国色芳華(こくしょくほうか)~牡丹の花咲く都で~2025年 全56話 原題:国色芳华 / 國色芳華 前半32話 / 锦绣芳华 後半24話
第13話あらすじ
第13集:商機を見出し花満築を建設、凶案を目撃し芳揚が互いに探り合う
第13集 「雨夜の目撃、揺らぐ信頼」
激しい雨に見舞われた夜、何惟芳は城外で芍薬を仕入れた帰り道、やむなく古びた空き家で雨宿りをする。だがそこで、彼女は想像を絶する光景を目にすることとなった。覆面の黒衣の男が、名高い国子監の徐祭酒を刺殺する瞬間を目撃したのだ。恐怖に息をのむ惟芳。しかし、男が覆面を取った瞬間、彼女の血が凍りついた。――その顔は、蒋長揚だった。信じ難い現実に呆然とする惟芳の隠れ場所に、蒋長揚がゆっくりと近づいてくる。彼女は必死に息を殺して身を潜めたが、逃走の際に衣が裂けてしまった。震えと雨に打たれた体は、帰宅後に倒れ込み、悪夢の中で幾度もあの夜の光景が蘇った。
数日後、徐祭酒の葬儀が行われ、城中の人々が正義と学問の象徴を悼み、涙を流していた。惟芳の従兄・李荇(りこう)は徐祭酒の弟子であり、惟芳は彼を慰めるため国子監を訪ねる。そこで彼女は、蒋長揚が聖人の名代として葬儀に参列し、恩師を悼む姿を目にする。「徐祭酒は私の師であった」と声を詰まらせ泣くその様子は、偽りのない悲しみに見えた。だが李荇は冷ややかに語る。「彼は聖人に取り入って以降、師と対立し、師はもう彼を弟子と認めていなかった」。この言葉に惟芳の心は揺れた。――蒋長揚が本当に師を殺したのか。確証はなくとも、その疑いは深く胸に刻まれた。
以来、惟芳は蒋長揚を避けるようになった。蒋邸で玉露の世話をする日も、必ず彼が不在のときを選んだ。だがある夜、提灯を手に牡丹の手入れをしていると、壁の上に腰掛けて彼女を見下ろす蒋長揚の姿が。惟芳は息を呑む。蒋長揚は冷ややかに笑い、「心にやましいことでもあるのか?」と問いかけ、彼女の衣の裂け端を見せて探りを入れる。惟芳は動揺を隠し、「意味が分かりません」ととぼけた。さらに蒋長揚は、彼女の従兄・李荇との関係を探る。惟芳は正直に、母と叔母の確執ゆえに疎遠だったと説明し、「もし頼れる間柄なら、あなたに助けを求めることなどなかった」と答えた。その理路整然とした答えに、蒋長揚は苦笑し、「これからも賢くあれ」と告げて立ち去った。その声音の奥に、警告とも慈愛ともつかぬ響きがあった。
やがて惟芳の夢が形になる。新たな花舗「花満築」がついに開店。華やかな香りが街に満ち、常連客が次々と訪れる。惟芳は開店記念に特別割引を設け、笑顔で客を迎えた。勝意は惟芳が自分の身を守るために質に入れていた母の玉佩を買い戻し、彼女に手渡した。「今日は二重の慶びね」と惟芳は涙ぐみ、二人は固く抱き合った。
その頃、朝廷では寧王が救済金の申請を冷たく却下し、劉暢は失望のあまり策論を抱えて酒楼へと向かった。彼の心には虚しさと怒りが渦巻いていた。だがその酒楼の窓越しに、懸命に働く惟芳の姿が映る。客の一人が惟芳に手を出そうとした瞬間、劉暢は反射的に立ち上がり、彼女を庇うように割って入った。小競り合いの中で令牌が落ち、相手が彼を寧王の配下だと知ると、即座に平伏して逃げ去る。劉暢は肩の埃を払いながら静かに去り、惟芳はその背中を見送りながら複雑な想いを抱いた。
その夜、惟芳が義姉妹に一連の出来事を語ると、大福も勝意も口を揃えて彼女の勇気を称えた。だが惟芳の胸には、なお一つの影が残っていた――あの雨夜に見た蒋長揚の刃。それは真実だったのか、それとも誤解なのか。香のように漂う疑念が、彼女の心を静かに包み込んでいた。
第14話あらすじ
第14集:難題を巧みに乗り越え、奇策で朝廷の混乱を演出
第14集 「花行の壁を越えて――信念と奇策の取引」
長安の花取引を一手に支配する花行。その巨大な勢力を前に、何惟芳は「花満築」の存続には彼らの組合に加入するほかないと悟る。これまで小規模な取引で見過ごされていたが、今や繁盛する店となった花満築は花行にとっても無視できぬ存在。だが同時に、敵に回せば命取りになりかねなかった。惟芳は礼儀を尽くそうと挨拶状を送り、誠意を見せるつもりだったが、朱福が届けた書状は受け取りを拒否され、「店主本人が出向いて初めて誠意とみなす」と突き返される。
翌日、惟芳は勝意と朱福を伴い花行を訪れる。しかし門番からして冷淡だった。彼女らより後に来た男の店主がすぐに用を済ませ帰るのを横目に、惟芳たちは茶を三杯も飲むほど待たされる。やっと現れた頭取と副頭取は、彼女たちを見るなり嘲笑を浮かべ、「女店主などいずれ嫁ぐ身。いっそ店を花行に任せた方が良い」と侮辱。さらに「女性店主を特例で迎えるには、不満を避けるため取り分を五分五分にせねばならぬ」と告げた。惟芳は既に蒋長揚と契約を結んでおり、これでは利益が消えるどころか損をする。毅然と拒否した彼女は、朱福と勝意を連れて花行を後にした。
だが報復はすぐに始まった。花満築に肥料を供給していた農家が次々と取引を打ち切り、花行の圧力が街中を覆った。勝意は「一度謝罪して弱みを見せよう」と諭すが、惟芳は断固として首を振る。「私たちは下を向かない」と。彼女は自ら肥料を作ることを決意し、三人で試行錯誤を重ねながら堆肥を完成させた。悪臭漂う作業場で、惟芳は泥まみれになりながらも笑っていた。
その頃、蒋長揚は噂を耳にし、彼女を気遣って藻豆を届ける。「来月、蒋家の配当金を受け取る時にこれで湯浴みを」と言い、さらに「困った時は私の名を使えばいい。誰も虐げぬだろう」と助言した。だが惟芳は首を横に振る。「蒋公の名を盾にするのは、私にも貴方にも良くない」。どんな逆境にも屈しないその姿に、蒋長揚は静かに微笑んだ。「やはり、見る目は間違っていなかった」。
手作り肥料によって花満築は危機を脱したが、惟芳はこれが一時しのぎに過ぎないことを理解していた。そんな折、花行の頭取・呂行頭の娘、呂耕春が高価な芍薬を買いに来る。だがその納品場所はなぜか橋のたもと。朱福が後日その橋を通ると、芍薬が根元から切り取られているのを発見する。三人は再び納品の際に待ち伏せし、芍薬を盗もうとする者を取り押さえると、それはなんと呂耕春本人だった。勝意は「これで花行を揺さぶれる」と意気込むが、惟芳は「恥を晒させてはならぬ」と静かに命じ、呂耕春を解放し代金を返還した。彼女の度量の大きさに呂耕春は深く感服した。
一方、牡丹はいつものように利子を届けるため蒋邸を訪れるが、そこに寧王と劉子舒が突然現れ、慌てて戸棚に身を潜める。二人が庭へ出た後、牡丹が出ようとすると、戸棚の奥に“死んだはずの徐祖平”の姿が――! 驚愕と恐怖で悲鳴を上げた牡丹は気を失い、目を覚ますと蒋長揚が冷たい目で告げた。「お前は秘密を見た。生かしてはおけぬ」。刀を手渡され、己で命を絶てと迫られた牡丹は、震える手でその刃を腹に向け――。
花満築の繁栄の裏で、静かに渦巻く策謀と試練。惟芳が築いた信念の道は、ますます険しさを増していくのだった。
第15話あらすじ
第15集:機密を隠す祭酒が会計係に変身、芳揚は花の下で眠りながら本心を語る
第15集 「眠りながら明かされた真相と運命の契り」
目を覚ました何惟芳の視線の先には、蒋長揚が上から冷ややかに見下ろしていた。驚き身を起こす彼女に、蒋長揚は鋭く問いただす。「何か見たのか?」。惟芳は否定するが、蒋長揚は昏睡中に口を滑らせたことまで正確に指摘する。「徐祭酒を殺したのは私だ」と言いつつも、自分とは関係ないと伝えた、と。事態の深刻さに惟芳は恐怖しつつも、仲間を巻き込まぬよう、慎重に弁明する。
蒋長揚はその誠意を受け、惟芳に生存の条件を示す。「勝意と大福を巻き込むな」と。惟芳は涙を流しながら約束し、短刀を渡される。だが、自らに刃を向ける勇気が出ず、躊躇していると――徐祭酒の声が響く。なんと、徐祭酒は死んでおらず、机で字の模範を写していたのだ。短刀は自動で戻る仕組みになっており、惟芳は無傷だった。
事態を理解した惟芳は、徐祭酒を自分の店に連れ帰り、表向きは帳簿係として雇うことにする。蒋時延から贈られた掛け軸に「牡丹は無用」と書かれていたのを見て憤るものの、徐祭酒は冷静に蒋長揚の人物像を語る。「悪名を背負いながら泰然自若、並大抵の人物ではない」と。
ある日、蒋邸で上演される影絵芝居を見物した何惟芳。芝居は蒋長揚の両親の恋物語を基にしており、賄賂として差し出されたものだったが、蒋長揚は激怒し、贈り主を牢に送った。夜、惟芳が肉を焼く香りに誘われ、蒋長揚が現れる。彼は自身の両親の過去の秘密や母の早世の理由を語り、二人は酒を交わしながら言い争う。やがて十万貫を賭け、「どちらが先に結婚するか」を競うことに。酔いのまま、牡丹の下で眠りにつく二人。
翌朝、惟芳が目覚めると蒋長揚が隣に眠っており、さらに優雅な婦人――蒋長揚の叔母、馮夫人がそばに座っていた。馮夫人は二人を部屋に招き、惟芳に対して「同衾した以上、必ず娶らねばならない」と命じる。惟芳は慌てて弁解するが、蒋長揚はなぜか「喜んで娶る」と言い出す。
驚きと苛立ちの惟芳は平手打ちを食らわせて逃げる。しかし、馮夫人はむしろ彼女の胆力を高く評価する。幼い頃から、蒋長揚を平手打ちにした者は惟芳が初めてであり、その行為が彼女の嫁としての価値を認めさせる結果となったのだった。
こうして、真実と秘密が交錯する中、惟芳と蒋長揚の運命は新たな局面へと進んでいく。
第16話あらすじ
第16集:鴛鴦を点し共に過ごす曖昧な関係、二重奏で噂を払拭し商機へ
第16集 「鴛鴦の奇策で商機を取り戻す」
馮夫人は何惟芳の胆力と知恵を高く評価し、姪の嫁として認めた。18歳で未亡人となり、船団を率いて商売を成功させた彼女の見識は深く、女性が商売を営む困難も理解していた。何惟芳も馮夫人に心を開き、互いに共感し合う関係となる。
ある日、穿魚に呼ばれた何惟芳が部屋に入ると、蒋長揚が縛られて宙吊りにされていた。馮夫人が暗闇の演出を仕組み、蒋長揚の子供時代の黒歴史を紙片に書き、天井から吊るしていたのだ。何惟芳は大笑いし、蒋長揚は慌てて止める。この和やかなやり取りを外で見守った馮夫人と穿魚は満足する。
翌日、花満築の前で一大騒動が発生。客の夫が香粉のせいで体調不良になったと訴え、方士まで巻き込み、邪気説が広まる。花満築は一時、客足が途絶える危機に陥った。
しかし何惟芳は秘策を用意していた。蒋長揚の名声を活かし、芝居のような演出で方士と副頭取を牽制する。朱福が尾行した結果、副頭取が金を受け取る場面を目撃し、蒋長揚が香袋を身につけて「めまい」を演出。実はこの香袋は何惟芳が買収したもので、花満築の香は福徳に満ちていると証明された。
さらに何惟芳は上質な香囊を急ぎ製作し、開元寺の僧侶に開眼の儀式を施した。これを来場者全員に配布すると、蒋長揚も香囊を受け取り、めまいや視界のぼやけが一気に解消された。この芝居により、花満築は再び評判を取り戻し、試験に訪れた学生にも香囊を贈ることで全員合格、商売は繁盛する一方、副行頭の店は閑古鳥が鳴く状態となった。
蒋長揚は「瓊台玉露」の鉢を馮夫人に贈るのを惜しみ、馮夫人はその気持ちを理解。何惟芳は大切な牡丹鉢を守りつつ、山へ新品種の接ぎ木を準備するが、思わぬ追っ手に襲われる事態となり、次回への緊張感を残す。
国色芳華~牡丹の花咲く都で~ 17話・18話・19話・20話 あらすじ
国色芳華(こくしょくほうか)~牡丹の花咲く都で~ 全話あらすじ キャスト・相関図
















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