流水舞花 2024年 全40話 原題:流水迢迢
目次
第5話 交錯する思惑と、奪われた泥猫
第5話の見どころ
滕瑞に刺客だと見破られたと思い、焦る江慈。しかし実際には、彼が覚えていたのは自分が命を救った場面だった。安堵したのも束の間、衛昭は江慈の師からの手紙を利用して、彼女を自分の監視役に仕立て上げる。さらに江慈の記憶を確かめるため、容赦ない尋問を仕掛ける衛昭。互いに腹の内を探り合う二人の攻防が加速する一方、江慈は衛昭の正体を見抜き、大切な泥猫を取り戻そうと大胆な駆け引きを仕掛ける。
第5話のあらすじ
滕瑞から「あなたを覚えている」と言われた江慈は、刺客の正体を見抜かれたのではないかと一瞬緊張する。しかし、滕瑞が覚えていたのは、あの夜、江慈が身を挺して自分を救ってくれた出来事だった。胸をなで下ろした江慈は、滕瑞から感謝の印として玉葫蘆の首飾りを贈られる。江慈がそれを素直に受け取った姿を見た裴琰は、なぜか面白くない気持ちになる。
一方、裴琰は阿離の素性を調べ、彼が月落城の出身者だったことを突き止める。月落城はかつて朝廷に帰順したものの、城主を失って以来、朝廷に対して複雑な感情を抱いていた。近年は大椋国と大尉国の戦いにより朝廷の目が届きにくくなり、再び不穏な動きを見せている。裴琰は阿離の背後に月落城の勢力が関わっている可能性を考え、警戒を強める。
その頃、衛昭の部下は滕瑞の居場所を突き止めるものの、長風衛の厳重な警護を突破できずにいた。そこで衛昭は別の手段を考え、江慈の荷物を持ってこさせる。師匠から江慈に託された手紙を読んだ衛昭は、ある策を思いつく。
裴琰が江慈に刺客の特徴を思い出させようとしている最中、馬小屋で火事が起き、彼はその場を離れる。その隙を狙って衛昭が密かに江慈のもとへ現れた。師匠の手紙と泥猫を見せられた江慈は、師の命を盾に取られ、衛昭を監視して情報を渡すよう迫られる。
しかし江慈は素直に従うつもりなどなく、偽の情報を書いて衛昭を欺こうとする。ところが衛昭はすぐに嘘を見破り、江慈に過酷な拷問を加えて本当の情報を吐かせる。江慈は自分が衛昭を見たことも、正体を知ったことも誰にも話さないと約束するが、衛昭は彼女の視線から、すでに自分の虎口の傷を覚えられていることを察する。そして、今や江慈自身もこの争いから逃れられないと告げる。
さらに衛昭は滕瑞を追い詰めるため、太子と庄王が菊蟹宴を開くという情報を御史に流す。皇帝は二人の皇子を呼び出し、騒動の責任を追及する。衛昭が自ら責任を負おうとするものの、皇帝は滕瑞の安全を考え、禁軍を裴琰の別院へ派遣する。衛昭はこれを利用し、長風衛よりも対処しやすい禁軍を標的にする。
その後、裴琰の母・容国夫人の誕生日を祝う宴が開かれる。衛昭も姿を現し、江慈は彼の虎口の傷を見て刺客だと確信する。だが、衛昭を告発すれば自分が危険にさらされる。そこで江慈は別の方法を選び、衛昭と花草の見分けを競う中で、彼の正体を知っていることを密かに示す。そして、師匠から預かった泥猫を返すよう衛昭に迫るのだった。
第6話 滕瑞炎上、消えた和平の道
第6話の見どころ
江慈の師・燕霜乔の過去が明らかになり、物語は宮廷の深い闇へと踏み込んでいく。皇帝が追い求める「赵五」の消息を利用して、燕霜乔は朝廷内部の対立を煽ろうとする。一方、裴琰の別院では滕瑞が火事に巻き込まれ、焼死したとされる衝撃の事件が発生。和平交渉は一瞬にして崩壊し、皇帝は裴琰を疑い始める。衛昭もまた、滕瑞の死に隠された真相を追い始める。
第6話のあらすじ
皇帝のもとに内庭総管の陶紫竹が現れ、燕家の姉妹がまたしても追手から逃げたことを報告する。皇帝は直ちに捕らえるよう命じるが、その姉妹の一人こそ、江慈が師と慕う女性・乔燕であった。彼女の本当の名は燕霜乔。江慈を山から下ろしたのも、宮中の人間が自分の存在を察知したことに気づいたからだった。
江慈が去った後、燕霜乔は追ってきた内廷の侍衛たちを一人で撃破し、自らの住まいに火を放って姿を消す。そして、かつて自分が救った歌姫・素煙のもとを訪ね、宮中へ「赵五」の情報を流すよう頼む。燕霜乔の狙いは、赵五を餌に皇帝とその側近たちを互いに疑わせ、朝廷内部で争わせることだった。
一方、陶紫竹は皇帝に赵五の名を思い出させる。かつて裴琰が斉王失踪事件を調べた際、赵五という侍衛を捕らえていた。彼は斉王が連れ去られる場面を目撃していたが、どれだけ尋問しても口を割らず、最後には獄中で死亡していた。
しかし赵五には妻子がおり、その息子が現在も霊山で暮らしているという。これを聞いた皇帝は、裴家と容玉蝶に対する疑念を深め、直ちに剣鼎侯府へ向かう。
その頃、宴席では江慈と衛昭が花草の見分けを競っていた。裴琰のもとに何者かが耳打ちすると、彼の表情が一変する。衛昭はその様子を見ながら江慈をからかい、もし裴琰に何かあれば、彼女の立場もなくなると揺さぶる。
やがて勝負は江慈が僅差で勝利する。約束通り、江慈は衛昭に一つだけ望みを叶えてもらえることになる。しかし泥猫を衛昭が持ち歩いていないと考えた江慈は、あえてその場では要求せず、「考えてから決める」と告げる。
その後、皇帝自ら剣鼎侯府へ乗り込む。容国夫人は皇帝の意図を警戒しながらも、太子と庄王がいることから大事にはならないと判断し、一人で皇帝と対面する。二人が何を話したのかは明かされないまま、皇帝は間もなく立ち去り、包囲していた御林軍も撤退する。
ようやく危機が去ったと思った矢先、別院から火の手が上がる。そこには滕瑞が滞在しており、調査の結果、彼は火災によって死亡したと判断される。出火原因は、滕瑞が羊を焼いている際に炭火を落としたためとされた。
しかし滕瑞は大尉国の重要な和談使者である。彼の死によって和平交渉は破綻し、両国の戦争再開すら危ぶまれる事態となる。皇帝は禁軍の范義と長風衛の童威を拘束する一方、裴琰には閉門して反省するよう命じる。
衛昭は事件の報を聞き、滕瑞の死に強い疑念を抱く。何より彼が追っていた人物の正体を確かめるため、衛昭は滕瑞が拘束されている場所へ向かう。そこには、まだ誰も知らない大きな秘密が隠されていた。
第7話 「滕瑞」の正体、王世荃の告白
第7話の見どころ
滕瑞の死をめぐる捜査が始まる中、衛昭はついに彼の本当の名を呼ぶ。「王世荃」――その名を聞いた瞬間、滕瑞の態度は一変する。一方、裴琰は皇帝から十日間の猶予を与えられ、事件の真相を追うことに。衛昭との共同捜査を命じられたことで、二人の緊張関係はさらに深まっていく。そして江慈は、衛昭が事件の裏側にいる可能性を疑いながらも、彼を追い詰めるため大胆な賭けに出る。
第7話のあらすじ
拘束された滕瑞は、衛昭に対して自分が大尉国の和平使者であり、さらに宰相の娘婿でもあることを強調する。もし自分に何かあれば、衛昭自身が責任を問われると脅すのだった。
しかし衛昭はまったく動じない。彼は滕瑞を「王世荃」と呼ぶ。滕瑞が知らないふりをすると、衛昭は二通の文書を取り出した。名前も顔も変えていたとしても、文書を添削するときに文末へ二本の横線を入れる癖までは変えられない。衛昭はその特徴を証拠として突きつけ、滕瑞の正体を見破っていた。
それでも滕瑞が口を割ろうとしないため、衛昭は平無傷に命じ、食事を半碗の薄い粥だけに制限し、交代で監視して眠らせないようにする。滕瑞がどこまで耐えられるのか、冷酷な尋問が始まる。
一方、裴琰は皇帝が突然侯府へ乗り込んできた理由を母・容国夫人に問いただす。母は、皇帝が恐れているのは裴家の長風衛だと説明するが、裴琰はそれだけではないと感じる。しかし母の事情に踏み込むことはしなかった。
実際には、容国夫人と皇帝には過去に因縁があった。皇帝はかつて容玉蝶を捨てた過去があり、彼女はその弱みを利用して、裴琰が皇帝の息子かもしれないと思わせるような言葉を投げかけていたのだ。
一方、江慈は別院の火災に衛昭が関わっているのではないかと疑い、責任を感じていた。裴琰は皇帝が自分を処罰しなかったことから、むしろ強い疑念を抱いていると考える。江慈の様子がおかしいことに気づいた裴琰は、自分の幼少期の話をして彼女を慰める。
そして突然、裴琰は核心を突く。「刺客は衛昭なのか?」江慈は動揺しながらも、必死に否定する。
そんな中、大尉国の雷震将軍が兵を率いて侯府前に現れ、和平使者の滕瑞を死なせた責任を裴琰に問う。しかし裴琰は門を閉ざしたまま相手にせず、皇帝は衛昭に命じて雷震らを退去させる。
両国の戦争を避けるため、皇帝は裴琰に十日間の猶予を与え、滕瑞の死の真相を明らかにするよう命じる。そして捜査のため、衛昭を裴琰の補佐として送り込む。
現場を調べた安澄は、犯人が戌の刻一刻から三刻の間に別院へ侵入したと推測する。しかし衛昭は戌の刻二刻に現場を離れていた。裴琰は当然のように彼へ疑いの目を向ける。
衛昭は、その時間は江慈と一緒にいたと説明する。江慈も否定しなかったため、ひとまず衛昭を犯人と断定することはできない。
しかし二人きりになった江慈は、衛昭が滕瑞の事件に関わっていると問い詰める。さらに、以前の粥をめぐるやり取りから、衛昭が滕瑞の月落人としての素性に気づいていたことを指摘する。
江慈が泥猫を返すよう迫ると、衛昭は一瞬険しい表情を見せる。そこで江慈は突然彼に抱きつき、大声で「助けて!」と叫ぶ。二人の間で、再び危険な駆け引きが始まる。
第8話 消えた滕瑞、浮かび上がる燕氏姉妹
第8話の見どころ
江慈の叫び声を聞きつけた裴琰が駆けつけるが、そこにいたはずの衛昭と江慈は水中へ転落していた。事件の真相を追う中で、江慈は別院の火災が衛昭によって仕組まれたものだと見抜く。しかし、その衛昭自身が滕瑞を殺していないと知り、事件はさらに複雑になる。そしてついに、滕瑞本人の口から語られる斉王失踪の真実。そこには「燕氏姉妹」という新たな謎が浮かび上がる。
第8話のあらすじ
江慈の叫び声を聞きつけた裴琰は、すぐに部下を連れて現場へ駆けつける。しかし、そこには衛昭と江慈の姿はなく、二人は水の中へ落ちていた。江慈が泳げると分かった裴琰は安心するが、衛昭は水中で必死にもがき、引き上げられた時には意識を失っていた。
やがて衛昭は息を吹き返し、裴琰にある提案をする。滕瑞の死を大尉国の雷震将軍の仕業にしてしまえば、皇帝にも説明がつき、大尉国も出兵する大義を失う。和平を維持するためには、もっとも手っ取り早い方法だった。
しかし江慈は真っ向から反対する。彼女は「真実を明らかにすることが大切だ」と主張し、裴琰もその考えに同意する。
二人は事件の真相を追うため、衛昭に牢獄へ向かわせ、拘束されている范義と童威から情報を聞き出すことにする。江慈も同行することになり、捜査を進めるうち、犯人が水路を使って別院へ侵入した可能性に気づく。
この情報をもとに裴琰が調査すると、実際に犯人が残した痕跡が見つかる。裴琰はそれを皇帝に報告し、事件を正面から追及しようとする。
ところが江慈は、どうしても腑に落ちなかった。あまりにも都合よく証拠が見つかりすぎているからだ。彼女は考えを巡らせた末、すべて衛昭が意図的に仕掛けたものだと見抜く。
江慈は衛昭を問い詰め、「卑怯者」と激しく責める。しかし衛昭は逆に、月落人へ罪を着せて戦争を防ごうとしている彼らも同じように卑怯ではないのかと反論する。そして、もし江慈が本当に裴琰へ真実を話すつもりなら、自分に情報を提供していたことまで説明しなければならないと脅す。
衛昭の言葉に言い返せなくなった江慈は、月落という国についてもっと知りたいと思うようになる。そこで彼女は、以前『月落遊記』を読んでいた崔亮を訪ねる。
崔亮によれば、月落はもともと穏やかで素朴な国だった。しかし大椋国と大尉国の間に位置していたため、戦乱から逃れることはできなかった。やがて大椋国に帰順したものの、斉王にまつわる事件をきっかけに、月落の人々はほとんど虐殺されることになったという。
その話を聞いた江慈は、世の中は単純に善悪だけで割り切れるものではないと感じ始める。
さらに衛昭が「自分は人を殺していない」と断言していたことから、江慈はある可能性に気づく。滕瑞は本当に死んでいないのではないか。
江慈は滕瑞が以前書いた詩を手掛かりに調べ、そこから滕瑞がかつて落馬して骨折したことを突き止める。別院で見つかった遺体と一致しない可能性が高い。
江慈は馬を走らせて裴琰のもとへ駆けつけ、その事実を伝える。裴琰は直ちに人員を動員して滕瑞の捜索を開始すると同時に、皇帝へ再検視を願い出る。
一方、衛昭も残された時間が少ないことを悟っていた。彼は二人の月落老人を利用して滕瑞を追い詰め、ついにその口から真実を引き出す。
滕瑞は、自分が本当に「王世荃」であることを認める。しかし斉王失踪には関与しておらず、当時、二人の侍女が斉王を支えて連れ去る姿を目撃しただけだったという。
そして王世荃が大尉国へ渡った後、その二人の正体を知ることになる。
それは――燕氏の姉妹だった。
















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