大奉打更人(だいほうだこうにん)-正義の銅鑼と王朝の闇- 2024年 全40話 原題:大奉打更人
第1話の見どころ
現代社会で働く楊凌は、友人たちと楽しんでいた劇本殺(推理ゲーム)の最中、突然「大奉」の牢獄へと転移してしまう。そこで自分が許七安という別人になっていることを知り、叔父・許平志一家が税銀消失事件の罪に問われていることを知る。現代の化学知識を武器に事件の真相へ迫る許七安の活躍に注目。
第1話のあらすじ
顧客との会食に遅刻した楊凌は、周囲に謝りながら自ら酒を三杯飲んで遅刻を詫びる。さらに上司から北区のマネージャーへの昇進を告げられるが、朱総には遅刻を理由に冷たくあしらわれる。それでも楊凌は酒を一本飲み干して場を収め、仲間たちと「大奉打更人」を題材にした劇本殺へ向かう。ところがゲームの最中、顔に虫が這っていることに気づいた楊凌が自分の顔を叩いた瞬間、意識を失ってしまう。
目を覚ました楊凌は、見知らぬ牢獄に閉じ込められていた。自分がなぜここにいるのか分からず混乱する中、許新年と名乗る青年が面会に訪れる。その姿を見た楊凌は、ゲームの設定で見覚えのある人物だと気づく。許新年によれば、彼が収監された原因は叔父の許平志にあるという。許平志は税銀の護送中、銀を積んだ荷が川に落ちて爆発し、税銀がすべて消失した責任を問われていた。その結果、許家の男は流刑、女は教坊司送りという厳しい処分を受けることになっていた。
許新年自身は雲鹿書院の弟子で師長の庇護があるため流刑を免れたものの、賤籍に落とされ、科挙を受ける資格を失っていた。残された時間が少ないと知った許七安は、事件の巻宗を手に入れるよう許新年に頼む。許新年は自分が読んだ内容を記憶していると話すが、許七安はそれを紙に書き出してもらい、事件の詳細を確認する。
その頃、京兆尹の陳大人たちも事件現場を調査していた。司天監の采薇は望気術を使って妖物の痕跡を探すが、それらしい気配は見つからない。官吏の考課を控えていた陳大人は、この事件が大問題になれば自分の立場まで危うくなると焦っていた。打更人の楊硯も捜査に加わる。
巻宗を読み込んだ許七安は、事件の鍵が「銀」そのものにあると気づく。記録された時間と護送の経路を照らし合わせれば、橋を通過した時点で全ての銀を運ぶことは重量的に不可能だった。そして、表面上は銀に見えたものの正体は、実は金属ナトリウムだったのではないかと推測する。
許七安の説明を受けた采薇は興味を示すが、許七安は現代の設備がなければ精製は難しいと説明する。それでも実験を行うと、得られた金属は銀よりはるかに軽かった。さらに許七安は水を用いた実験を行い、金属ナトリウムが水と接触すると激しく反応して爆発することを実証する。税銀が川に落ちた瞬間に爆発して消えた理由が、ついに明らかになったのだ。
事件の解決を受け、許七安は釈放される。采薇からどうしてそんな知識を持っているのか尋ねられた彼は、「高校化学」と答える。やがて許平志と妻の李茹も牢から出され、家へ戻ることになる。ところが許新年は、自分たちにはもう助かる見込みがないと思い込んでいた。家に戻った彼は飼っていた鶏を放し、自ら命を絶とうとしていた。
第2話の見どころ
税銀事件を解決して自由の身となった許七安だが、家に戻ると、絶望した許新年が自殺を図っていた。そんな騒動を乗り越えた彼は、現代の知識と推理力を生かして金を稼ごうと決意する。そして初めて赴いた県衙で、富商殺害事件に遭遇。わずかな証拠から真犯人を見抜き、許七安の名がさらに広まっていく。
第2話のあらすじ
許家に戻った許七安たちは、家の中で異様な光景を目にする。許新年が首をつろうとしていたのだ。家族が慌てて救出し、どうにか一命を取り留めるものの、近所の人々にはすでに見られてしまっていた。本人は誰にも気づかれていないと思っていたが、幼い妹の何気ない言葉から近所中に知られていることを知り、さらに落ち込んでしまう。
やがて許新年は気を失い、家族は医者を呼ぶ。目を覚ました許新年は、恥ずかしさから自分が何をしたのか覚えていないふりをする。そんな彼を見た許七安は事情を察しながらも、決して責めなかった。むしろ「強い刺激を受けたことで記憶が混乱している」と家族に説明し、二度とその話を持ち出さないよう頼むことで、許新年の面目を守る。
一方、司天監では采薇が師に「金属ナトリウムとは何なのか」と尋ねていた。しかし師にもその正体は分からない。師は別の問題として、19年前に数人の盗賊が盗み出した重要な物について思いを巡らせていた。
許七安が大奉の世界へ来てから七日が経つ。現代へ戻る方法が見つからないことを悟った彼は、ここで生きていくためには金が必要だと考える。現代で生活のために夢を諦めざるを得なかった自分とは違い、この世界なら自分の知識を使って一から財産を築ける。そう考えた許七安は、金を稼ぐ計画を家族に話す。しかし許平志たちは彼に金を渡す余裕もなく、簡単に稼げるという話も信じようとはしない。
さらに李茹から、これまで家で食事をし、寝泊まりしてきた分の金を稼いで返すよう言われ、許七安は渋々県衙へ向かうことになる。そこで王捕頭と再会した許七安は、最近起きた出来事を説明する。ちょうど県衙では、富商・張老爺が殺害される事件が起きていた。
張老爺には一人息子の張献がおり、妻を亡くした後、二十歳以上年下の女性を後妻に迎えていた。事件は強盗による殺人と考えられていたが、巻宗を読んだ許七安はすぐに疑問を抱く。県令の朱大人が張献と張夫人を呼び出して尋問するものの、二人とも強盗の仕業だと主張するばかりで、真相には近づけない。
そこで許七安は、自分に任せてほしいと申し出る。彼は張夫人を別室に連れていき、事件の真相を次々と言い当てていく。張夫人と張献の間には密かな関係があり、二人の間には子供までできていた。それを張老爺に知られたことで張献ともみ合いになり、張献が誤って父親を殺害してしまったのだ。そして二人は殺人を強盗に見せかけるため、張老爺の遺体を庭へ運び、靴を使って外から侵入して逃げたような偽装工作を行っていた。
しかし許七安は、その偽装には大きな穴があると指摘する。残されているのは「外へ出た痕跡」だけで、強盗が屋敷へ入った痕跡が存在しない。また張老爺は背後から殴り殺されている。信頼していた人物でなければ、無防備に背中を向けることなど考えにくい。
さらに許七安は張献の供述書を示し、張献がすでに全てを認め、罪を張夫人に押しつけようとしていると告げる。追い詰められた張夫人はついに真実を語り始める。
ところが事件には政治的な背景があった。張献の背後には徐大人という有力者が存在しており、朱大人はこのまま張献を拘束すれば、自分自身にも危険が及ぶことを恐れていた。師爺からも、まず張献を釈放して事態を大きく動かした方がよいと進言され、朱大人はそれを受け入れる。
その後、許七安は王捕頭たちと酒を酌み交わす。事件解決の功績を称えられる一方、張献が釈放されたことを知って不満を漏らす。しかし王捕頭は、すでに師爺が浩気楼へ向かったことを明かす。事件の裏に潜む権力者たちを相手に、さらに大きな動きが始まろうとしていた。
第3話の見どころ
張献の背後にいた有力者が捕らえられ、許七安の推理力は次第に周囲から認められていく。しかし本人は打更人への憧れを募らせる一方、県衙では大量の巻宗整理を押しつけられる羽目に。そんな中、弟・許新年の才能を救う一首の詩を詠んだことで、許七安は二人の大儒から弟子入りを望まれることになる。
第3話のあらすじ
許七安が張献の事件を解決したことで、事態は大きく動き始める。打更人の李玉春が部下を率いて現場へ乗り込み、関係者を制圧して連行する。李玉春は許七安の能力を高く評価しながらも、事件に首を突っ込みすぎる行動については「次はもっと慎重にするように」と釘を刺す。
その後、師爺は李玉春に張献らの供述書を見せ、李玉春は朱広孝らを向かわせる。やがて朱大人のもとには、張献だけでなく、その背後にいた徐大人まで捕らえられたとの知らせが届く。朱大人はようやく胸をなで下ろし、師爺も「今になって許七安の才能に気づいたとしても遅くはない」と評価する。
一方、許七安は打更人に強い憧れを抱いていた。家に戻ると打更人の真似をしてみせる彼に、許平志は「大奉の男なら誰だって打更人になりたい」と語る。しかし、それほど簡単なものではない。許平志自身もかつて数百両を使って打更人への道を探したことがあったが、結局は詐欺に遭ってしまったという。
そんな許七安を王捕頭が訪ね、県衙へ連れていく。そこで待っていたのは大量の巻宗だった。許七安は部屋に閉じ込められ、ひたすら書類を処理するよう命じられる。家では許玲月が兄の帰りを心配し、許平志もあまりに長時間働かされていることを気にかける。
ようやく帰宅した許七安は疲労困憊だった。しかし王捕頭はさらに大量の巻宗を持って現れ、「県衙へ来なくてもいいように、全部こちらへ運んできた」と告げる。巻宗を処理すれば金になると聞いた李茹は、意外にも王捕頭を支持。許七安は自室に閉じ込められ、窓まで封鎖されてしまう。許平志まで見張り役を買って出る始末だった。
どうにか仕事から逃れようと、許七安はさまざまな策を考える。最終的には許平志の警戒を解き、王捕頭に泣きつくことで外へ連れ出してもらうことに成功する。王捕頭は彼を連れて勾欄へ遊びに行くが、支払いの段になると許平志は三両余りしか出さない。ところが李茹に隠し金を持っていることを見抜かれ、結局追加で金を出すことになる。
そんな日々の中、許新年は書院で稼いだ五両余りを家に入れていた。許七安も巻宗整理でかなりの金を稼いでいたが、食卓では許玲月から許新年には鶏腿が渡され、自分には骨ばかり。自分が一番金を入れているのにと、許七安は不満を漏らす。
そこへ許新年が、書院の長老が青州へ旅立つため、送別の詩を求められているが、自分には詩才がないと嘆く。許平志が李茹の父親に似ていると口にすると、李茹も「許家は読書が苦手なのだから」と反論。これを聞いた許七安は、自分だって詩を書けると反発する。
そして、現代で知っていた詩を思い出し、「独在異郷為異客」を含む名句を披露する。許新年はその素晴らしさに驚き、ぜひ自分に使わせてほしいと頼む。許七安はそれを認め、送別の席で許新年は二つの詩を組み合わせて披露する。周囲はその出来栄えに驚き、張慎と李慕白も作者について尋ねる。許新年が「兄の許七安が作った」と答えると、二人の大儒は許七安を弟子にしたいと争い始める。
その頃、許七安は許平志から練気境や練精境について教えられ、少しずつこの世界の修行について知るようになる。
ある日、許七安は妹たちを連れて外出する。許玲音が欲しがる糖葫蘆を買っている間、許玲月たちは蝶を追って周家へ入り込んでしまう。そこで周立が許玲月に手を出そうとしているところへ、許七安が駆けつける。周立は戸部侍郎の息子という身分を笠に着て家丁に許七安を取り囲ませる。
許玲月は急いで県衙へ向かい、鼓を鳴らして助けを求める。王捕頭たちが駆けつけ、周立らを連行するが、今度は刑部の人間が現れて許七安を引き渡そうとする。危険を察した許七安は王捕頭から金を借り、自室にある青い表紙の本を司天監の采薇へ届けるよう頼む。そして「自分が危機に陥っている」と伝え、救援を求めるのだった。
第4話の見どころ
周立の罠にはまった許七安は刑部へ連行され、過酷な拷問を受ける危機に陥る。一方、彼が司天監へ託した青い本は、金属ナトリウムの精製法を求めていた宋卿を驚かせる。さらに許新年が二人の大儒を動かしたことで救援が始まり、許七安は事件の背後に戸部侍郎・周顕平がいると見抜く。
第4話のあらすじ
周立は刑部の人間を引き連れて県衙へ現れ、許七安を連行しようとする。許玲月は、自分が周立に辱められそうになったため兄が手を出しただけなのに、なぜ兄まで捕らえるのかと訴える。しかし刑部の人間は彼女の言葉を聞き入れず、逆に頬を平手打ちする。
許七安は怒りを抑え、朱大人に二人の妹の面倒を見るよう頼むと、自分から連行に応じる。王捕頭は急いで司天監へ向かい、許七安から託された青い本を宋卿に届ける。
その頃、宋卿は金属ナトリウムの精製に挑んでいた。しかし何度試しても実験は失敗している。そこへ弟子が青い本を持って駆け込み、宋卿はその内容に目を通す。そこには彼が求め続けていた精製方法が記されていた。宋卿は興奮し、これなら成功すると確信する。しかし肝心の第三段階以降が書かれていないことに気づき、さらに続きを知りたいと思う。
一方、許平志は息子が連行されたと知って刑部へ駆けつける。「自分がいる限り許七安を連れていかせない」と啖呵を切るが、結局は許七安とともに牢へ入れられてしまう。許平志は「一人を大勢で襲うとは卑怯だ」と嘆きながらも、御刀衛へ知らせたので間もなく助けが来ると息子を安心させる。
しかし一刻、二刻と時間が過ぎても援軍は来ない。許七安が不安を覚える中、周立は彼を牢から連れ出す。そして、ここにある刑具は自分のお気に入りだと語り、命乞いをすれば手加減してやると脅迫する。それでも許七安は一切怯まない。
その頃、許新年は雲鹿書院へ向かい、二人の大儒に兄を救ってほしいと頼んでいた。二人は当初ためらっていたが、捕らえられたのが許七安だと知ると態度を一変させ、刑部へ向かう。
刑部尚書は二人の大儒が突然訪れたことに驚く。彼らは許七安を解放するよう求めるが、刑部尚書は「今日は誰も捕らえていない」と答える。そこへ宋卿まで現れ、許七安を引き渡すよう要求するため、刑部尚書はますます困惑する。
部下に確認すると、確かに一人の男を拘束しているという。周立を殴ったため連行したのだと説明するが、大儒たちは問心を使って担当者の本心を見抜く。男は周立に取り入るため許七安を捕らえたと白状し、刑部尚書はすぐに許七安を連れてこさせる。
釈放された許七安は宋卿らに感謝し、自分は司天監に新しく入った弟子だと名乗る。宋卿も事情を察し、「師兄が来て助けに来た」と励ます。ところが許七安はそのまま帰ろうとはしなかった。先ほどまで自分を脅していた周立の前に戻ると、「匹夫を侮るな」と言わんばかりに何度も殴り、最後には一撃を加える。宋卿たちは見て見ぬふりをして、その場を後にする。
帰宅してから、許七安は牢に残した許平志のことを思い出す。そこへ采薇が訪れ、今回の件について話す。彼女は現在も税銀事件を調べており、その背後にいる人物として戸部侍郎の周顕平の名が浮かんでいると明かす。しかし采薇は捜査が得意ではなく、事件を解決しなければ司天監へ戻ることもできないため、許七安に協力を求める。
許七安は家族を集め、今回の事件を整理する。周立が偶然許玲月に絡んだのではなく、最初から許七安を捕らえるために罠を仕掛けたのだと推測する。周顕平を倒せなければ、今後も許家は安心して暮らせない。
しかし許新年は、戸部侍郎という大物を今の自分たちが直接相手にするのは無謀だと指摘する。そこで許七安は「虎を借りて狼を倒す」策を考える。周顕平と対抗できる別の勢力を見つけ、互いをぶつければいい。家族それぞれに役割を与え、反撃の準備を始める。
さらに許七安は司天監へ赴き、宋卿たちに金属ナトリウムの精製法を教える。その代わりに自分が持つ知識と交換することを要求。知識を武器に司天監との関係を築いた許七安に、監正は一振りの刀を贈るのだった。

















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