悪との距離  9話・10話(最終回) あらすじと感想 最後の結末はいかに!

悪との距離

悪との距離 あくとのきょり 2018年 全10話 原題:我們與惡的距離 英題: The World Between Us

第9話あらすじ

第九話 夜明け前

それぞれの再出発に向けて

報道陣の前に出る決意をする大芝だったが、店の前にいたのは王弁護士だった。そして、今後は忙しくなるため今回のように駆けつけるのは難しくなると伝える。

一方で記者たちは両親のもとへ。二人は事件後初めて公の場に姿を現した。メディアを通して、今まで向き合えなかった罪を一生かけて償う旨を語った。

雑誌報道の件を明らかにするため、先輩に会いに行く大芝。報道に対して罪悪感はないのかと聞くが、両親の社会貢献は良心的な報道だと一掃される。自責の念にかられる大芝だったが、思聡に慰められる。 

休日、喬平は姉夫婦に夫・一駿とお腹の赤子の相談をする。

世間体を気にする凱子(ガイズー)に引っ越しをするよう説得されるが、思悦はそれを拒否。二人の溝はさらに深まってしまう。

美媚は、仕事を始めたいと相談する。しかし、王に金銭面の心配はしなくていいと言われ、大金の入った封筒まで渡される。

遺族が政府からの救済措置について抗議するニュースが流れる。心配そうな廖だったが、ずっと過去に囚われるべきでないと、前向きな姿勢を見せる宋だった。

ついに、思悦は家族を受け入れない凱子との破談を決める。

患者の退院で口論になる一駿と喬平。一駿に、自分がよければそれでいい自己中な人間だと言われ、中絶を決める。

他社との合併が決まったSBCニュース、新社長に陳議長の収賄スキャンダルは報道するな、と圧力をかけられてしまう。

薬を飲まない思聡は、大芝を昔の恋人だと思い込んでいた。しかし、彼女は思聡の兵役中に自殺していた。現実を受け入れられず、ますます気性が荒くなってしまう。

第9話感想

いよいよクライマックスとなりましたね。

今まで事件から目を逸らしていた李家族が、色々な人と関わり、理不尽で一方的な報道を乗り越えて、やっと問題に向き合うことができました。また、被害者家族である宋も、天彦の死を受け入れ前進したようでした。私たちは、過去に起こってしまったことを、白紙に戻すことはできません。「過去に囚われてばかりでは、現状は変えられない」と、九話を通して実感しました。

その中で、他の遺族は大芝の新しい人生を受け入れられていませんでした。もし自分の家族が被害者になってしまったとき、私も同じ気持ちになるでしょう。しかし、犯人、ましてや加害者家族を恨んだところで、失ったものが戻ってくるわけではありません。私は、誰しもやりなおす権利があるとも思います。過去は終着点ではなく、途中下車。その過去がどれだけ大きくても小さくても、次の目的地に向け再出発する姿勢が大切ではないでしょうか。

最終話がどのように締め括られるか、非常に楽しみです。

第10話(最終回)あらすじ

第十話 未来に向かって

私たちと悪との距離

副局長・宋喬安に他部署への異動命令が出される。

思聡の姿が見当たらない。思悦は喬平に電話をかけるが、警察には通報せず一駿に電話をかけるよう言われる。一人事務所にいた喬平の前に現れたのは、錯乱状態の思聡だった。

愛する人が自分を置いて去っていく悲しみを吐露する思聡。優しく諭す喬平のおかげで、騒動は怪我人もなく収まった。

美媚は王が最近無理をしていることを指摘する。弱い者を助ける王に戻ってほしいと伝える。

父の退院の日、思悦は思聡の再入院、結婚破談を家族に伝える。

思悦の店に残ることになった大芝。

騒動後、責任を背負う覚悟を決めた一駿。喬平の妊婦検診の予約までするように。

本来の志を取り戻した王。加害者家族と遺族の和解にむけ、再び奔走する。

家族でキャンプに来た宋と劉。そこには、天彦のロボット人形もあった。

結局、宋はニューメディアへの異動を決める。

遺族と加害者家族の対談が行われる。

思聡が無事に退院する。今度は家族みんなで思聡を支えようと話す。

―三年後―

思悦の店は障害者を従業員として雇い、支援する店へ。

思聡は、初期統合失調病をテーマにした画家になる。

息子が生まれた喬平一家。

車椅子バスケをする遺族を支える李両親。遺族も、被害者家族も新しい一歩を踏み出した。

結局宋はSBCニュースを退職しTV ONEへ。偶然か必然か、そこには大芝の姿があった。

新しい命を授かる王と美媚。生まれてくるのは、男の子のようだった。

法廷に足を運ぶ王、そして精神鑑定医の一駿。

彼らは過去の己と向き合い、それぞれの未来に向かっている最中である。

第10話(最終回)感想

ついに最終話を迎えました。今まで登場人物たちが囚われていた過去を見つめ直し、それぞれが再び明るい未来へ一歩踏み出せた三年後が、非常に印象的でした。

特に、統合失調症を発症した思聡と、その家族の向き合い方が話を追うごとに変わっていくところがとてもリアルでした。紆余曲折を経て、家族みんなで支えようになったこと。そして、思聡自身が病状を受け止め、改善しようと努力する姿に感動しました。

この作品を通して、一見事件に関係のない第三者も、実際は関係者であることがある、と実感しました。犯罪者だけが「悪」ではなく、私たちの心のうちにある「悪念」との距離をどのように保つべきか。SNSやネットの発展により、無意識のうちに関係者になっていることがあるのかもしれません。

すでに台湾の公共テレビは続編制作を決定しているようです。次回作は何をテーマに作品が作られていくのでしょうか、非常に楽しみです。

ぜひ続きが見たい方は続報をチェックしてみてください!

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