正当防衛~それは、正義か殺意か~

正当防衛~それは、正義か殺意か~

正当防衛~それは、正義か殺意か~ 6話・7話・8話・9話・10話 あらすじ

正当防衛~それは、正義か殺意か~ 2025年 全15話 原題:正当防卫

6話あらすじ

物語は、段滢滢が学校で受ける理不尽な扱いから始まる。彼女は本来、校内放送で原稿を読む予定だったが、直前になって教師に呼び止められ、理由も曖昧なまま放送を外されてしまう。代わりに別の生徒がマイクの前に立ち、「今日のテーマは法を守ること」と語り始める。その内容は、まるで父が犯罪者であると暗に示すかのようで、段滢滢の心を深く傷つける。

さらに追い打ちをかけるように、彼女の描いた絵が何者かに落書きされているのを発見する。そこには父である段鸿山(※文中の表記では段鸿正とされているが同一人物)の顔が黒く塗りつぶされていた。怒りと悲しみに耐えきれなくなった段滢滢は放送室へ向かい、他の生徒を追い出してマイクを握る。そして校内に向け、「これは父の肖像権の侵害だ。やった人は謝ってほしい」と訴える。その叫びは幼いながらも、父を守ろうとする強い意志に満ちていた。

騒動を聞きつけた母の雷爽が学校に駆けつける。学校側は形式的な謝罪をするものの、責任の所在を明らかにしようとはしない。放送の担当は「選挙で選ばれた生徒」であり、特定の意図はないと主張する。だが雷爽は納得せず、「娘の絵を持ち出した人物を明らかにし、必ず謝罪させる」と強く抗議する。結局、彼女は段滢滢を連れて学校を後にするが、問題は何一つ解決しないままだった。

帰り道、段滢滢は「父の家に帰りたい」と口にするが、雷爽は「この問題が片付くまでは無理だ」と冷静に言い聞かせる。家庭にもまた、重い現実がのしかかっていた。

一方、拘置所では段鸿山が家族からの手紙を受け取れずにいた。彼は雷爽に「なぜ手紙を渡さないのか」と問い詰めるが、「装飾のある手紙は規則で送れない」と説明される。そこには娘の想いが込められているはずであり、彼はその気持ちに触れられないことに苦しむ。

そんな中、方灵渊たちは再び段鸿山の取り調べを行う。彼女は、彼が李沐风に大会出場を勧めたことに触れ、その結果を気にしている様子を確認する。さらに彼がかつて提唱していた「正当防衛の再評価」について話題を振る。段鸿山は、これまで正当防衛が悪用されるケースが多かったため厳格に運用されてきたが、時代の変化により見直すべき段階に来ていると語る。

これに対し方灵渊は、「逆にその考えが利用されている可能性もある」と指摘する。そして江婷の事件について、「殺意を持つ人物たちが偶然集まったとは思えない」と疑念を示す。さらに、被害者の张源が感じていた「家に他の誰かがいる」という疑いも、単なる妄想ではなかった可能性に言及する。

捜査は新たな段階へ進む。方灵渊たちはマンションの郵便受けを調べるが、鍵がなく中を確認できない。宅配の状況も確認するが、荷物は直接玄関に届けられており、外部からの侵入の痕跡は見つからない。そこで彼女たちは江婷の部屋を改めて調査し、ある違和感に気づく。ベランダや外からでは室内の様子は見えないはずなのに、なぜ外部の人物が状況を把握できたのか。

さらに決定的だったのは「料理の違和感」だった。普段の習慣から考えて、江婷が調理方法を急に変えるとは考えにくい。つまり事件当日のアスパラガス料理は、彼女自身が作ったものではない可能性が浮上する。これは、事件が偶発的なものではなく、誰かが意図的に仕組んだものであることを示唆していた。

再び拘置所での対面。江婷は開口一番、「回避原則により方灵渊は担当すべきではない」と主張する。しかし方灵渊は「上層部の判断で問題はない」と一蹴する。そして包丁について問い詰めると、販売店の証言から江婷が「よく切れるように研いでほしい」と依頼していた事実が明らかになる。それでも彼女は「事件で使ったのはその包丁ではない」と否定する。

さらに「当日、部屋に他に誰かいたのではないか」と問われても、江婷は「誰もいなかった」と繰り返す。そして「なぜ自分が正当防衛と認められると確信しているのか」と問われると、「自分は正当防衛だから」と譲らない。その態度には、確信とも開き直りとも取れる強さがあった。

面会を終え、立ち去ろうとする方灵渊に対し、江婷はふと「その服、よく似合っている」と声をかける。その一言に、方灵渊は強い既視感を覚える。学生時代、同じように同じ服を着たとき、同じ言葉をかけられた記憶が蘇るのだ。

違和感を覚えたまま戻った方灵渊に対し、丁一は独自に調査を進めていた。そしてついに一枚の写真を見つけ出す。それは卒業アルバムの写真――そこには方灵渊江婷が並んで写っていた。

二人は、かつて同じクラスの同級生だったのだ。

この衝撃の事実により、事件は単なる法的争いではなく、過去の人間関係と記憶が絡み合う、より複雑で個人的な問題へと変貌していく。

 

7話あらすじ

物語は、検察官の方灵渊がスマートフォンで同級生グループのメッセージを目にする場面から始まる。そこでは同窓会の開催が話題になっており、彼女は過去との再会を避けられない状況に置かれる。そんな中、同僚の丁一は「なぜ江婷と同級生だったことを隠していたのか」と問いただすが、方灵渊は「捜査に影響はない」と冷静に答える。その言葉には揺るぎない自信がある一方で、どこか過去を直視しきれていない気配も漂う。

帰宅した方灵渊は、久しぶりに両親と再会する。母は彼女の帰郷を心から喜ぶが、父は事前に何も知らされなかったことに不満を漏らす。そんな父は仕立て屋であり、最近客から依頼されたワンピースを気に入り、同じデザインの服を娘のために仕立てていた。ただし生地は少し劣るものだったという。その服こそが、過去の記憶を呼び起こす象徴となる。

学生時代の回想――。方灵渊がその服を着て登校した日、彼女は同級生たちに囲まれ、「江婷と同じ服を着るなんて生意気だ」と暴力を受ける。理不尽ないじめの記憶は、彼女の中で今も消えていなかった。

やがて同窓会に出席した方灵渊。表面上は和やかな雰囲気だが、周囲の態度はどこか打算的で、子どもの進学相談などを口実に彼女に近づこうとする者もいる。トイレでは、かつて自分をいじめていた同級生たちが「本当は関わりたくないけど利用価値がある」と陰口を叩いているのを耳にしてしまう。過去と現在が交錯する中、彼女は静かにその場を後にする。

一方、雷爽もまた同級生たちに接触し、江婷について情報を得ようとしていた。それぞれの思惑が交差し、過去の人間関係が再び動き出していく。

その後、方灵渊李沐风と再会し、二人で夜道を歩きながら語り合う。彼はかつて政法大学への推薦を受け、検察官を志していたことを明かす。そして当時の試験問題を引き合いに出し、「もし自分の事件が論述問題だったら、あなたはどう判断するか」と問いかける。だが方灵渊は即答できない。正義の基準が揺らぎ始めていることを、自らも自覚していた。

やがて李沐风は正式に再審請求(申訴)を行う。この動きに対し、検察内部では意見が分かれる。「時間が経っていても真実を再検証すべき」という意見と、「すでに刑を終えた案件を蒸し返すべきではない」という意見が対立する中、上司の宫检は最終的に「聴聞会を開く」と決断し、その担当を方灵渊に任せる。

一方、李沐风は証人となる梅筝のもとを訪れる。彼女は「今さら何をしても無駄だ」と冷ややかだが、彼は「それでもやり直したい」と訴える。実は彼は過去にも彼女に協力を求めていたが、そのときは拒否されていた。今回もまた同じ願いを口にするが、梅筝の態度は複雑だった。

同時に、雷爽は拘置所で段鸿山に面会し、「もし李沐风が正当防衛と認められれば、あなたの過去の判断は誤りになる」と告げる。しかし段鸿山は動じず、「対応できる」とだけ答える。その言葉には、自信とも覚悟とも取れる重みがあった。

聴聞会の準備が進む中、方灵渊は参加者リストに雷爽の名前を見つけ、違和感を覚える。確認すると、彼女は当時段鸿山の補佐検察官として事件に関わっていた人物だった。つまりこの再審は、単なる過去の見直しではなく、関係者全員の立場を揺るがすものとなっていた。

そして迎えた聴聞会当日。証人として現れたのは梅筝だった。李沐风は自らの無罪を主張し、「あれは正当防衛だった」と改めて訴える。方灵渊は当時の裁判記録を再生し、彼の供述を検証する。彼は当時、「ナイフは相手のものだと思い、殺される恐怖から反撃した」と語っていた。

しかしここで新たな証言が飛び出す。梅筝は「当時、自分を執拗に追い回していたのは周林ではなく、张源だった」と証言し、さらにその証拠として当時の携帯電話に残されたメッセージを提出する。これにより、事件の構図は大きく揺らぎ始める。

長時間に及ぶ審理の中で、段鸿山はまだ発言の機会を得ていなかった。その状況を見て彼は、「ここまで自分に発言が回ってこないということは、すでに状況が大きく変わっている証拠だ」と冷静に分析する。

新証拠の提示により、審理は一時中断される。休憩の合間、李沐风梅筝に「なぜ今になって証言を変えたのか」と問いかける。彼女は「14年間続いた噂を終わらせ、自分の名誉を取り戻したい」と答える。その言葉の裏には、長年抱えてきた苦しみと決意が滲んでいた。

そして方灵渊は、再び過去の事件資料に目を通し始める。
すべての証言と証拠が揃いつつある中で、真実はどこにあるのか――。

過去の正義が覆される可能性を孕みながら、物語は新たな局面へと突入する。

 

8話あらすじ

14年前の図書館事件をめぐる聴聞会が再開され、上司の宫检は今回の審理の目的を明確にする。それは、当時の李沐风の行為が「抗訴」あるいは「再審」に値するものかどうかを判断することだった。会場には緊張が張り詰め、関係者たちの過去と現在が交錯する中で、真実の再検証が始まる。

まず焦点となったのは、証人である梅筝の証言だった。彼女は新たに「当時現場には张源もいた」と主張するが、それを裏付ける直接的な証拠は提示できていない。これに対し聴聞員は慎重な姿勢を崩さず、証言の信頼性に疑問を呈する。また李沐风自身も「当時は张源の存在に気づかなかった」と述べ、証言との食い違いが浮き彫りとなる。

さらに当時の担当者が証言し、「現場にいたのは三人のみ」というのがこれまでの法的認定だったと確認される。状況は一見すると変わっていないように思えたが、方灵渊はここで新たな視点を提示する。

彼女が取り出したのは、当時の李沐风の図書館利用記録だった。一見無秩序に見える貸出履歴だが、よく見ると「前日に借りて翌日に返却する」という規則的なパターンがあった。通常では読み切れない量の本であることから、方灵渊は「彼は読書ではなく、誰かと会うために図書館を利用していたのではないか」と指摘する。しかし李沐风はそれを否定し、「当時梅筝とは面識がなかった」と主張する。

ここで方灵渊は、あえて江婷を証言の場に呼び出す。江婷はわざと彼女の過去に触れ、場を揺さぶるが、方灵渊はそれを受け止め、自らのいじめ体験を語り始める。彼女は「人を孤立させることで支配するタイプの加害者がいる」と述べ、かつて自分をいじめていたのが江婷であり、そして张源も同様の手法で周林を支配していた可能性を示す。

さらに彼女は、周林の腕にあった大きなタトゥーに注目する。それは本人の意思ではなく、タバコの火傷跡を隠すためのものだった。そしてその火傷は、张源による虐待の結果だと推測される。つまり周林は単なる加害者ではなく、長年にわたり支配されていた被害者でもあった可能性が浮上する。

聴聞員が「それほどまでに友人関係は人を従わせるのか」と疑問を呈すると、方灵渊は「その答えは本人にしか分からない」と静かに返す。ここで彼女は核心に迫る問いを投げる。梅筝はこの構図に気づいていたのではないか、そして周林が真の主導者ではないと知りながら、李沐风を守るために真実を隠したのではないか――。

追及の末、梅筝はついにそれを認める。彼女は当時すでに何かに気づいていたが、李沐风がより重い罪に問われることを恐れ、沈黙を選んだのだった。

そして当時の検察官である段鸿山が発言の場に立つ。彼は事件の本質について、「単純に見えて実は非常に複雑だった」と語る。確かに周林は暴力を振るい、李沐风はそれに対抗した。しかし問題はその“程度”にある。正当防衛は認められるべき権利だが、それが一定の限度を超えた場合、法はそれを許さない。彼は「棍棒による攻撃は致命的とは言えず、それに対して刃物で応じたことは過剰だった」と当時の判断を改めて説明する。

さらに彼は、「勇気ある行動は評価されるべきだが、それが無制限に暴力を正当化する理由にはならない」と強調する。これに対し李沐风は、「その判断が本当に正義だったのか」と問い返すが、段鸿山は「自分はあの分岐点で選択するしかなかった」と答える。そして、方灵渊がかつて口にした「私たちが扱っているのは事件ではなく、人の人生だ」という言葉を引用し、14年前の判断が今もなお関係者の人生に影響を与えている現実を認める。

その言葉を受け、李沐风は静かに決断する。彼は再審請求を取り下げることを選ぶのだった。

聴聞会後、疲労の限界に達していた段鸿山は倒れてしまう。意識を失った彼は夢の中で李沐风と対峙し、「なぜ自分は正当防衛と認められなかったのか」と問い詰められる。その問いは、彼自身が抱え続けてきた葛藤そのものだった。

目を覚ますと、そこには妻の雷爽がいた。彼女は「過度の緊張と栄養不足によるものだ」と説明するが、彼の精神的な負担は明らかだった。

一方、梅筝は再び李沐风と会う。彼は「なぜ真実を語ったのか」と尋ねるが、彼女は「これが自分の最後の秘密だった」とだけ答える。その後、彼女は自宅に戻り、かつての思い出――江婷との親密な写真を一枚一枚火にくべていく。

燃え上がる炎の中で、過去の絆もまた静かに消えていく。
それぞれが選んだ「真実」と「沈黙」が、新たな未来を形作ろうとしていた。

 

新たに収監された王浩が、段鸿山のいる監房へと入ってくる。看守は管理役として段鸿山乔冠に彼の面倒を見るよう命じる。王浩はすぐに段鸿山に声をかけ、「覚えているか」と意味深に問いかける。彼は、かつて段鸿山が連行された際に外で写真を撮っていた人物だった。そして周囲に向かって「この男は検察官だったのに人を殺した」と言い放ち、監房内の空気を一変させる。かつて正義の象徴だった男は、今や疑いと敵意の中に置かれていた。

一方、方灵渊は父親と穏やかな時間を過ごしていた。父は彼女の好物を買って帰り、久しぶりの団らんを大切にしようとする。そんな父に対し、方灵渊はこれまでの無沙汰を謝罪する。だがその心の奥では、事件への疑念がますます膨らんでいた。

検察庁に戻った彼女は上司の宫检と対話する。現時点の証拠から、被害者の张源に暴力性があったことはほぼ確実となり、江婷の事件は正当防衛として認定される可能性が高いという見解が示される。これにより、周德龙が行った段鸿山への告発も根拠を失うことになる。しかし方灵渊は違和感を拭えない。すべての事実が「結果的に段鸿山を正当化する方向に揃いすぎている」と感じていたのだ。

その頃、監房では緊張が高まっていた。突然、乔冠段鸿山に水を浴びせかけ、暴力を振るおうとする。彼は「自分の父はお前たち検察官のせいで帰ってこなかった」と激しく非難し、怒りを爆発させる。看守が駆けつけて事態は収まるが、周囲の囚人たちは口裏を合わせ、「段鸿山が先に挑発した」と証言する。孤立無援の状況が、彼をさらに追い詰めていく。

その後、方灵渊たちは拘置所で段鸿山と面会する。彼女は回収された周德龙の携帯電話を提示するが、データの復元状況については明かさない。段鸿山は一貫して「自分の行為は正当防衛だった」と主張するが、方灵渊は疑問をぶつける。「相手は67歳で病を抱えた老人だった。逃げる選択肢もあったはずだ」と。これに対し彼は、「その瞬間は生き延びることしか考えられなかった」と語り、極限状態での判断の難しさを強調する。

さらに彼は、「もし自分が検察官でなければ、ここまで疑われることはなかったかもしれない」とも口にする。社会からの信頼を背負う立場であるがゆえに、逆に厳しく裁かれている現実が浮かび上がる。方灵渊は「この事件はあまりにも特殊で、人々は簡単には信じない」と冷静に返す。

一方、家族にも重い影が落ちていた。雷爽は娘の段滢滢を自宅に送り、「父が体調を崩している」と伝える。そして自らは保釈申請の準備に奔走する決意を固める。だが面会の場で、段鸿山は彼女に「弁護を解任する」と告げ、自ら弁護を行うと宣言する。突然の決断に雷爽は激しく動揺し、「自分はこれまで全力で支えてきた」と訴えるが、彼は14年前の出来事を持ち出す。

当時、雷爽は被害者の母親に説明を行ったものの、父親である周德龙とは会っていなかった。その対応が不十分だったことが、現在の悲劇に繋がっているのではないかと指摘する。雷爽は「その後、自分はすべてをやり直し、弁護士として生きてきた」と反論するが、二人の溝は埋まらない。彼女は最後に「娘の父親が殺人犯になることは絶対に許さない」と言い残し、面会を終える。

その後、段鸿山は体調を崩し、廊下でうずくまる。精神的にも肉体的にも限界が近づいていた。

一方、段滢滢は父に手紙を書こうと決意するが、母に知られないよう密かに準備を進める。その過程で、李沐风はあるものを発見する。それは、段鸿山梅筝がやり取りしていた絵葉書だった。さらに調べると、二人が頻繁に接触し始めたのは、段鸿山が離婚した4年前からであることが判明する。

夜、バス停で帰りを待つ李沐风の前に、偶然通りかかった方灵渊が自転車で現れる。彼女は彼を乗せて帰ろうとするが、途中でチェーンが外れてしまい、二人は足を止めることになる。その静かな時間の中で、李沐风は先ほど見つけた事実を彼女に伝える。

段鸿山は離婚後、梅筝と頻繁に会っていた――」

その言葉は、新たな疑念を呼び起こす。
偶然か、それとも計画か。
すべての点が少しずつ繋がり始める中、方灵渊の思考は止まらなくなっていく。

 

9話あらすじ

新たに収監された王浩が、段鸿山のいる監房へと入ってくる。看守は管理役として段鸿山乔冠に彼の面倒を見るよう命じる。王浩はすぐに段鸿山に声をかけ、「覚えているか」と意味深に問いかける。彼は、かつて段鸿山が連行された際に外で写真を撮っていた人物だった。そして周囲に向かって「この男は検察官だったのに人を殺した」と言い放ち、監房内の空気を一変させる。かつて正義の象徴だった男は、今や疑いと敵意の中に置かれていた。

一方、方灵渊は父親と穏やかな時間を過ごしていた。父は彼女の好物を買って帰り、久しぶりの団らんを大切にしようとする。そんな父に対し、方灵渊はこれまでの無沙汰を謝罪する。だがその心の奥では、事件への疑念がますます膨らんでいた。

検察庁に戻った彼女は上司の宫检と対話する。現時点の証拠から、被害者の张源に暴力性があったことはほぼ確実となり、江婷の事件は正当防衛として認定される可能性が高いという見解が示される。これにより、周德龙が行った段鸿山への告発も根拠を失うことになる。しかし方灵渊は違和感を拭えない。すべての事実が「結果的に段鸿山を正当化する方向に揃いすぎている」と感じていたのだ。

その頃、監房では緊張が高まっていた。突然、乔冠段鸿山に水を浴びせかけ、暴力を振るおうとする。彼は「自分の父はお前たち検察官のせいで帰ってこなかった」と激しく非難し、怒りを爆発させる。看守が駆けつけて事態は収まるが、周囲の囚人たちは口裏を合わせ、「段鸿山が先に挑発した」と証言する。孤立無援の状況が、彼をさらに追い詰めていく。

その後、方灵渊たちは拘置所で段鸿山と面会する。彼女は回収された周德龙の携帯電話を提示するが、データの復元状況については明かさない。段鸿山は一貫して「自分の行為は正当防衛だった」と主張するが、方灵渊は疑問をぶつける。「相手は67歳で病を抱えた老人だった。逃げる選択肢もあったはずだ」と。これに対し彼は、「その瞬間は生き延びることしか考えられなかった」と語り、極限状態での判断の難しさを強調する。

さらに彼は、「もし自分が検察官でなければ、ここまで疑われることはなかったかもしれない」とも口にする。社会からの信頼を背負う立場であるがゆえに、逆に厳しく裁かれている現実が浮かび上がる。方灵渊は「この事件はあまりにも特殊で、人々は簡単には信じない」と冷静に返す。

一方、家族にも重い影が落ちていた。雷爽は娘の段滢滢を自宅に送り、「父が体調を崩している」と伝える。そして自らは保釈申請の準備に奔走する決意を固める。だが面会の場で、段鸿山は彼女に「弁護を解任する」と告げ、自ら弁護を行うと宣言する。突然の決断に雷爽は激しく動揺し、「自分はこれまで全力で支えてきた」と訴えるが、彼は14年前の出来事を持ち出す。

当時、雷爽は被害者の母親に説明を行ったものの、父親である周德龙とは会っていなかった。その対応が不十分だったことが、現在の悲劇に繋がっているのではないかと指摘する。雷爽は「その後、自分はすべてをやり直し、弁護士として生きてきた」と反論するが、二人の溝は埋まらない。彼女は最後に「娘の父親が殺人犯になることは絶対に許さない」と言い残し、面会を終える。

その後、段鸿山は体調を崩し、廊下でうずくまる。精神的にも肉体的にも限界が近づいていた。

一方、段滢滢は父に手紙を書こうと決意するが、母に知られないよう密かに準備を進める。その過程で、李沐风はあるものを発見する。それは、段鸿山梅筝がやり取りしていた絵葉書だった。さらに調べると、二人が頻繁に接触し始めたのは、段鸿山が離婚した4年前からであることが判明する。

夜、バス停で帰りを待つ李沐风の前に、偶然通りかかった方灵渊が自転車で現れる。彼女は彼を乗せて帰ろうとするが、途中でチェーンが外れてしまい、二人は足を止めることになる。その静かな時間の中で、李沐风は先ほど見つけた事実を彼女に伝える。

段鸿山は離婚後、梅筝と頻繁に会っていた――」

その言葉は、新たな疑念を呼び起こす。
偶然か、それとも計画か。
すべての点が少しずつ繋がり始める中、方灵渊の思考は止まらなくなっていく。

 

雨が降り続く中、拘置所での面会が行われる。段鸿山は窓越しに外を見つめながら、「出るときには晴れていてほしい」と静かに語る。方灵渊は彼に弁護士をつけない理由を尋ねるが、彼は「自分で弁護する」と言い切る。長く外界と隔絶されている彼に対し、彼女は「外の情報を知らないままでは不利だ」と指摘するが、段鸿山は「君が情報を運んでくるだろう」と意味深に返す。

そのうえで彼は、自らの推理を語り始める。人間の目は光に敏感であり、事件当夜に証言された「懐中電灯の光」は不自然だと感じているという。そして彼は大胆な仮説に辿り着く。梅筝こそがすべての人物を一つの舞台に集め、江婷の手を使って张源を殺させたのではないか――。さらにその狙いは、単に张源を排除するだけでなく、江婷も巻き込む「一石二鳥」だった可能性すらあると語る。

この推測を受け、方灵渊たちは梅筝のもとを訪れる。彼女は明らかに動揺した様子を見せるが、「他の人には平気なのに、自分には緊張するのでは」と問われると、「あなたは取り調べに来た人だから」と言い返す。さらに江婷との関係についても「特に何もない」と否定する。

しかし方灵渊は核心に迫る。「事件当日、料理を作ったのはあなたではないか」。追及の末、梅筝はその事実を認める。彼女は当日、江婷の家で食事を作り、その後すぐに立ち去っていたのだった。

さらに彼女は当時の状況を語る。江婷は夫の张源に怯え、「いつか必ず見つけられる」と恐れていた。そこで梅筝は、向かいの部屋に監視カメラを設置し、家庭内暴力の証拠を押さえることを提案する。証拠さえあれば、離婚を拒む张源を法的に追い詰められると考えたのだ。

提出された映像は、バルコニー越しに争う二人の姿を捉えていたが、画質は粗く決定的な瞬間は確認できない。方灵渊はその映像を江婷に見せるが、彼女は「こんな不鮮明な映像では証明にならない」と反論する。それでも技術的に修復可能であることが示され、状況は再び動き出す。

やがて江婷は、過去に梅筝と接点があったことを認める。しかもそれは、自分がかつて陥れた相手が、最も苦しい時に手を差し伸べてくれたという皮肉な関係だった。恐怖に追い詰められていた江婷に対し、梅筝はこう助言していた。「自分から会いに行けば故意殺人になる。でも相手が来たときに抵抗すれば、それは正当防衛になる」と――。

この言葉は、事件の性質を根本から揺るがす重大な示唆だった。

その後、方灵渊は利害関係のない第三者に映像を分析させ、客観的な意見を集める。だがその結果は統一されず、「執拗に刺した」という見方と、「被害からの反撃」という見方が大きく分かれる。検察内部の会議でも意見は真っ二つに割れ、結論は容易に出ない。

そこで方灵渊は一つの重要な視点を提示する。人は「客観性」を求めるが、同じ映像でも解釈は人によって異なる。さらに彼女は、事件前1か月の事実に言及する。江婷は毎日のように张源から20件もの電話を受け、執拗な脅迫にさらされていた。極度の恐怖の中にあった人間に対し、「冷静に適切な防衛の範囲を判断せよ」と求めること自体が現実的ではないと指摘する。

そして彼女は結論を述べる。
「法は不法に譲歩してはならない。しかし同時に、被害者に“完璧さ”を求めるべきでもない。正当防衛にも、完璧であることは求められない」

そのうえで、江婷の行為は正当防衛に該当し、「不起訴とすべきだ」と主張するのだった。

やがて雷爽が迎えに来て、江婷は拘束から解放される。外に出た彼女は、何気なく差し出された駄菓子を手に取り、ふと過去を思い出す。幼い頃、母親に命じられ、客の前で踊らされていた記憶――。そこには、長年抑圧されてきた人生の影があった。

帰宅後、母親は相変わらず彼女を責め立てるが、江婷はきっぱりと拒絶する。「もう戻らない」と言い放ち、過去との決別を宣言する。

そして最後に、江婷梅筝と向き合う。かつて傷つけた相手に対し、彼女は初めて謝罪の言葉を口にする。
それは遅すぎたかもしれないが、それでも確かな一歩だった。

絡み合っていた過去と現在の糸は、少しずつほどけ始める。
しかしその裏で、段鸿山の事件はなおも深い闇の中にあった。

 

正当防衛~それは、正義か殺意か~ 11話・12話・13話・14話・15話(最終回) あらすじ

正当防衛~それは、正義か殺意か~ 各話あらすじ キャスト・相関図

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