2023年 シーズン1 全39話 原題:長相思(ちょうそうし)
『長相思 シーズン1』第1話~第5話
第1話の見どころ
西炎山で仲むつまじく過ごしていた玱玹と玖瑶。しかし、玱玹は父を失い、母までも目の前で処刑されるという過酷な運命に見舞われる。玖瑶もまた、母との別れを経験し、二人は互いを支え合うことを誓うが、やがて玖瑶は玉山へ送られることに。時は流れ、清水鎮で玟小六として生きる玖瑶と、妹を捜し続ける玱玹。すれ違う二人の運命が、再び動き始める。
第1話のあらすじ
西炎山の朝雲殿では、玖瑶と玱玹が仲良く過ごしていた。二人は鳳凰花を手に入れる勝負をするが、玖瑶は機転を利かせて勝利し、玱玹に姉と呼ぶよう求める。なかなか応じない玱玹を見て、玖瑶は怒らせてしまったのかと心配するが、狐の尾をかたどった飾りを贈り、二人は再び仲直りする。玱玹は祖母に両親がいつ帰ってくるのかと尋ね、何気ない日常の中で家族の帰りを待ちわびていた。
しかし、その平穏は突然崩れ去る。玱玹の父が亡くなり、祖母も倒れてしまう。父の葬儀に駆けつけた母は、夫の死の原因となった夷膨を許せなかった。夷膨が私欲のために軍の動きを隠し、将兵の命を顧みなかったことが、夫の死につながったからだ。母は赤い衣をまとって葬儀の場に現れると、夷膨を刺殺する。しかし、仇を討ったはずの母はその場で捕らえられてしまう。玱玹には、なぜ正しいことをした母が罰せられるのか理解できなかった。
母は処刑される前に若木の花を玱玹に託し、いつか愛する人ができたら贈るよう言い残す。玱玹は母が目の前で命を落とす姿を見届けるしかなかった。悲しみに沈む玱玹を、玖瑶は食事に誘い、そばで慰める。玖瑶が摘んだ鳳凰花を口にしても、玱玹には苦く感じられた。玖瑶は、心が苦しみに満ちているから、何を食べても苦いのだと告げる。その言葉に、玱玹は抑えていた悲しみをあふれさせる。
祖母もまた、自分の無力さを嘆きながら、玱玹と玖瑶を呼び寄せる。そして玱玹には朝雲峰を守るよう言い、二人には互いを大切にし、支え合って生きるよう言い聞かせる。やがて祖母も亡くなり、玱玹は大切な家族を次々と失ってしまう。
その後、周囲の子供たちから父も母もいない孤児だとからかわれ、いずれ西炎山を追い出されると侮辱された玱玹は、怒って立ち向かうものの、多勢に無勢で追い詰められる。玖瑶は彼を助けようと駆けつけ、自分の母も離縁されたと嘲笑する相手にも怒りを爆発させる。そして、これから玱玹をいじめる者がいたら自分に言うよう約束する。玖瑶自身も父を失っていた二人は、これからはずっと一緒にいて、誰よりも大切な兄妹になろうと誓い合う。
だが、玖瑶の母も戦場へ赴くことになる。玱玹は玖瑶とともに母の帰りを待ち続けるが、母が魔物の赤宸と相打ちになったという知らせが届く。玖瑶は深い悲しみに暮れる。さらに、祖父は玖瑶を玉山へ送ると決める。玉山は俗世から隔絶された場所であり、王母の強大な力によって玖瑶を守れるというのだ。玱玹は、自分には妹を守る力がないと指摘され、言葉を失う。玖瑶は玉山へ旅立ち、玱玹は必ず迎えに行くと約束する。
時は流れ、玖瑶は玟小六と名を変え、清水鎮で医師として暮らしていた。酒楼で語り部の話を聞きながら笑う彼女は、かつての自分とは無縁の物語のように振る舞っている。一方、玱玹もまた清水鎮にやって来ていた。彼の手には、幼い頃に玖瑶から贈られた狐の尾の飾りが握られている。語り部の話に興奮した妊婦が突然産気づき、周囲に助産のできる者がいないため、玟小六が出産を手伝うことになる。無事に母子が助かり、町が喜びに包まれる中、玱玹は遠くに玖瑶によく似た女性を見かける。期待を胸に近づくものの、別人だと気づき、妹を捜し続ける彼の心には、再会できない寂しさが募るのだった。
第2話の見どころ
清水鎮で医師として暮らす玟小六は、河辺で瀕死の男を見つけ、迷った末に自宅へ連れ帰って治療する。全身に傷を負い、素性を明かそうとしない男に対しても、玟小六は献身的に世話を続ける。一方、玱玹は妹・小夭の行方を捜しながら、彼女を思わせる皓翎王姫のそばで暮らしていた。やがて男の傷が癒え、顔を覆っていた布が外されると、思いがけない美貌が明らかになる。
第2話のあらすじ
清水鎮に滞在する玱玹は、同行する女性に、話題になっている「話す石」を見に行こうと提案する。女性はそれに応じるが、町で出産を手伝った玟小六と出会うと、彼女を田舎者呼ばわりし、体が臭うとまで言い放つ。玟小六は自分の衣服の匂いを確かめるものの、特に異常は感じられず、相手の態度に困惑する。
その頃、玱玹は語り部の話を通じて、玖瑶が自分を待ちきれず、玉山を下りて父親を捜しに行った末、行方不明になったという話を耳にする。妹を迎えに行くと約束しながら果たせなかったことを悔やみ、目に涙を浮かべる玱玹。彼は今も小夭を見つけ出すことを諦めていなかった。
一方、玟小六は家に帰ると、仲間たちに明るく声をかける。今日は出産の仕事がうまくいき、診療代も多くもらえたと喜び、麻子の縁談をはじめ、仲間たちの暮らしを気にかける。そんな彼女を、老木は家事をさぼらないよう注意する。玟小六は言われるままに食器を洗いに川へ向かうが、そこで太った鳥を見つけ、食べたらおいしそうだと考えて捕まえようとする。石を投げて鳥を仕留めたと思い、草むらをのぞき込むと、そこには鳥ではなく、傷だらけで倒れている男がいた。
玟小六は面倒事に関わりたくないと、その場を立ち去る。しかし、男の手に握られた花を見て、放っておくことができず、結局、自宅へ連れ帰ることにする。男の体には長年にわたる拷問を思わせる傷が無数に残っていた。老木は、彼が普通の人間ではなく、身分の高い神族であることに気づく。それでも玟小六は、目の前で苦しむ男を救うため、治療を続ける。
男の傷は深く、内臓にまで影響が及んでいるようだった。玟小六は毎日懸命に看病し、自分の血まで使って治療にあたる。男が苦しみながらも他人を思いやる様子を見て、彼女はその優しさを貴重なものだと感じる。男の身元については分からないことばかりだったが、玟小六は見捨てずに世話を続けた。
その間、玱玹は語り部の石先生を訪ね、小夭の行方を探す手助けを求める。しかし、石先生にも彼女を見つけることはできなかった。玱玹は自らの霊力を差し出してでも妹の手がかりを得ようとするが、願いはかなわない。彼は皓翎王姫の姿に小夭の面影を重ね、募る思いを紛らわせようとしていた。
やがて、玟小六の看病によって男の容体は少しずつ回復していく。彼女は男の体を洗うため、衣服を脱がせようとするが、相手が男性であることを意識して恥ずかしくなり、思わず背を向けてしまう。男の方も、玟小六が実は女性であることに気づいていた。
そしてついに、男は顔を覆っていた布を取り外す。そこに現れたのは、傷だらけの姿からは想像できないほど端正な顔立ちだった。突然の変化に、玟小六も老木たちも驚きを隠せない。素性の分からない男との出会いは、玟小六の日常に新たな波紋を広げ始める。
第3話の見どころ
正体を隠したまま玟小六の家に身を寄せる男は、彼女のそばで働くことを望み、「葉十七」という名を与えられる。一方、玱玹は辰栄軍を率いる相柳の非凡な能力に注目し、敵として討つのではなく、味方に引き入れようと考えていた。そんな中、薬草を採りに山へ出かけた玟小六は、ついに相柳と遭遇する。彼女の平穏な暮らしと、隠された過去が交差し始める。
第3話のあらすじ
玟小六の看病によって回復した男の美しい顔立ちに、老木や麻子たちはすっかり驚いてしまう。玟小六は男の傷がほぼ癒えたことから、そろそろ家を出ていくよう促す。しかし、男には行く当てがなく、玟小六のそばで召使いとして働きたいと申し出る。彼女は最初、適当に「甘草」という名をつけようとするが、麻子たちから似合わないと反対される。そこで麻子に木の葉を数えさせ、その数にちなんで「葉十七」と名づけることにした。男もその名を受け入れ、玟小六の家に残ることになる。
翌朝、玟小六が食事を済ませてこっそり出かけようとすると、老木に見つかってしまう。葉十七は気を利かせて食器を洗い、家の仕事を進んで手伝う。老木は彼の身元に疑問を抱いていたが、本人が何も語ろうとしないため、無理に問いただすことはしなかった。
一方、西炎にいる玱玹は、五叔が相柳を討つために長年さまざまな策を講じてきたことを知る。相柳は百年以上にわたり西炎軍に追われながらも、辰栄の残軍を率いて戦い続けていた。兵法に精通し、状況に応じて柔軟に戦術を変える知略と勇気を兼ね備えた人物である。わずかな兵力で西炎の朝廷を手こずらせる相柳の能力に、玱玹は感心する。部下は相柳を殺すことを提案するが、玱玹はこれほどの人材を失うのは惜しいと考え、味方に引き入れる方法を探るよう命じる。
清水鎮では、老木が麻子の縁談をまとめようとするものの、相手側に断られてしまう。そんな中、玟小六は葉十七に薬草の知識を教え始める。葉十七は驚くほど物覚えがよく、次々と薬草の名前や効能を覚えていく。玟小六は自分の後継者ができたようだと喜び、これからは仕事を手伝ってもらえると期待する。
しかし、麻子の縁談を進めるにはお金が足りない。玟小六は早朝から山へ薬草を採りに行こうとする。老木は、恐ろしいと噂される相柳に出くわすことを心配するが、玟小六は薬草を採るだけだから大丈夫だと出かけてしまう。山道を進んでいると、誰かが後ろをついてくる気配を感じ、反射的に葉十七の名を呼ぶ。すると、本当に葉十七が後を追ってきていた。彼は玟小六の荷物を持ち、食べ物まで用意して、彼女を気遣う。玟小六は辰栄軍の勢力圏に入る際には注意するよう言い聞かせる。
玟小六は一人で小動物を捕まえようとするが、歌声に引き寄せられた動物を見て、情が移ってしまう。そのとき、銀色の大鷲が現れ、白衣をまとった男が石を投げて玟小六の顔に傷を負わせる。逃げようとしても相手の力にはかなわず、彼女はその男に連れ去られてしまう。
男の正体は相柳だった。軍営に連行された玟小六は、自分が何者なのかさえ分からないと話し、できることならこのまま玟小六として生きていたいと告げる。相柳は彼女に自分のために働くよう要求し、返事をする時間を一日だけ与える。玟小六は水を飲みたいと申し出て時間を稼ごうとするが、相柳は部下に彼女を鞭打たせる。追い詰められた玟小六は、清水鎮から決して離れないことを条件に、要求を受け入れるしかなかった。
その頃、玟小六が戻らないことを心配した葉十七は、彼女の気配をたどって居場所を突き止める。彼は一人で相柳のいる軍営へ乗り込み、玟小六を救い出そうとするのだった。
第4話の見どころ
相柳に捕らえられた玟小六を救うため、葉十七は大勢の兵士を相手に危険を顧みず立ち向かう。その姿に相柳も二人の関係への興味を深め、ついに彼らを解放する。一方、玟小六は葉十七の献身に心を動かされながらも、彼が身分を隠していることに不安を感じていた。さらに清水鎮では、王姫と町の人々の間に騒動が起こり、玟小六は大切な仲間を守るために立ち上がる。
第4話のあらすじ
相柳の軍営に乗り込んだ葉十七は、兵士たちの制止を振り切り、玟小六を連れて帰ろうとする。玟小六は葉十七が傷つくことを恐れ、もう助けに来なくていいと説得するが、葉十七は決して引き下がらない。二人の様子を見ていた相柳は、玟小六が辰栄軍に敵意を持っていないことを認め、彼らを解放することにする。玟小六は安堵し、葉十七に背負われて軍営を後にする。葉十七は去り際、相柳を鋭い目でにらみつける。その態度に相柳は興味を抱く。玟小六はただの町医者ではなく、葉十七もまた高位の神族でありながら身元を隠している。二人とも何か事情を抱えていると見抜いたのだった。
清水鎮へ戻る途中、玟小六は葉十七に、見つからなければずっと捜し続けるつもりだったのかと尋ねる。葉十七の言葉に、玟小六はうれしさを覚える。しかし、自分の不運を嘆き、よりによって相柳のような恐ろしい人物に出会ってしまったとぼやく。葉十七が自分の素性を明かさないことも気になっていたが、無理に聞き出すことはしなかった。
山中の洞窟で休むことになった二人。葉十七は玟小六の背中に深い傷があることに気づき、心を痛める。玟小六は以前、奇妙な病気を患い、鏡を見ることさえ怖かったが、今は回復して、この暮らしを楽しんでいると説明する。葉十七は彼女のために崖の上から薬草を採り、手に入れた薬草を差し出す。玟小六は感激して葉十七を抱きしめ、葉十七もまた彼女に頼られることを喜ぶ。彼は、いつも忙しく働く玟小六を気遣い、少しでも負担を減らそうと率先して家事を手伝うのだった。
一方、麻子の結婚式の日がやって来る。王姫のもとにも招待状が届くが、彼女は興味を示さず、火の中へ投げ捨ててしまう。結婚式には相柳も祝いの品を持って現れるが、玟小六に対しては相変わらず威圧的な態度を崩さない。二人が言葉を交わす様子を見た葉十七は、玟小六が危険な目に遭わないかと警戒する。
玟小六は葉十七に毒薬を渡す。ところが葉十七は、彼女を疑うことなく、その場で毒薬を飲み干してしまう。玟小六は驚き、自分をここまで信頼してくれる葉十七に心を動かされる。
その頃、相柳は辰栄軍に潜入していた内通者の動きを察知していた。内通者が仲間に情報を伝えようとする中、相柳はあえて泳がせ、相手の出方をうかがう。内通者は隙を見て相柳を刺そうとするが、相柳はその企みを見抜いていた。玱玹もまた、相柳がすでに内通者の存在に気づいている可能性を考え、部下に人員を増やすよう命じる。
清水鎮では、王姫が肉を買いに出かけた際、兔子精に血を浴びせられる騒動が起こる。王姫は激怒し、相手を許そうとしない。そんな中、葉十七が摘んできた花を、玟小六は自分への食べ物だと勘違いして口にしてしまう。穏やかな日常の裏で、王姫の気性の激しさが周囲に影を落としていく。
さらに、麻子たちが外から来た者たちに顔を殴られる事件が起こる。老木は怒って相手に抗議するが、逆に王姫たちからひどい仕打ちを受けてしまう。現場を目撃した玟小六は、仲間が侮辱される姿を見過ごせず、密かに術を使って王姫の侍女の術を破る。侍女が毒に侵されたことで王姫は激怒するが、玟小六もまた怒りを抑えられず、老木たちのために報復することを決意する。
玟小六は家で待ち構え、王姫たちが解毒薬を求めて来るのを待つ。玱玹も解毒薬を奪おうとするが、玟小六は葉十七に助けを求めようとして、彼が姿を消していることに気づく。自分が困っているときに助けてくれなかった葉十七に、玟小六は失望する。葉十七もまた、玟小六に避けられることに心を痛めるが、彼女は耳を貸さず、相柳について行ってしまう。
もう誰も信じず、自分の力で生きていこうと決意した玟小六は、相柳と泳ぎを競う。勝負には敗れるものの、彼のために魚を焼いて振る舞う。相柳はおしゃべりを続ける玟小六に苛立ち、口を塞ぐように迫る。危険な相手でありながら、なぜか奇妙な縁で結ばれていく二人。玟小六の周囲では、友情や信頼、そして新たな関係が複雑に絡み始めていた。
第5話の見どころ
相柳に血を吸われ、首元に痕を残された玟小六。彼女を心配する葉十七は、再び信頼を取り戻そうとする。一方、老木が心に傷を負ったことを知った玟小六は、玱玹に謝罪を求め、二人の間には思わぬ交流が生まれる。だが、玟小六の部屋には相柳が現れ、彼女の血を飲んだまま居座るという大胆な行動に出る。玟小六、玱玹、葉十七、相柳――それぞれの思惑が交錯する中、隠された正体と過去が少しずつ浮かび上がる。
第5話のあらすじ
相柳は玟小六に、自分は人肉が好物で、特に彼女のような年頃の人間が好きなのだと言い放つ。そして鋭い牙をむき出しにし、彼女の首元にかみつくような仕草を見せる。玟小六は本当に食べられてしまうのではないかと怯え、余計なことを口にしないようになる。相柳は、玟小六の霊力は非常に弱いにもかかわらず、その体には特別な価値があることを見抜いていた。
玟小六が戻ってくるのを、葉十七は別れた場所でずっと待っていた。彼女の首に赤い痕があるのを見つけると、心中穏やかではいられない。玟小六もまた、相柳との出来事を思い出して複雑な気持ちを抱えていた。葉十七が部屋に入った際、うっかり玟小六にぶつかり、彼女の手にあった物を散らしてしまう。二人の間には、以前のような親密さを取り戻せないぎこちなさが残っていた。
その頃、相柳は内通者をあぶり出すため、仲間を装って相手をおびき寄せる。正体が露見した内通者は逃走を図るが、相柳から逃げ切ることはできない。さらに仲間たちが加勢し、複数人で相柳を仕留めようとする。彼らは陣を組んで相柳を封じ込め、当初は余裕を見せていた相柳も、次第に身動きが取れなくなっていく。追い詰められた相柳は剣を手に反撃し、死力を尽くして敵の陣を突破する。相柳がいかに強大な力を持つ人物であっても、敵の策略によって窮地に陥ることがあるのだった。
一方、葉十七は朝から玟小六の好きな料理を用意していた。しかし、彼女が料理をほかの仲間に取り分け、自分にはあまり気を配らないことに、葉十七は寂しさを覚える。さらに老木が帰宅すると、いつもの明るさを失い、沈んだ様子を見せる。心配した玟小六たちは、何があったのかと気にかける。老木の苦しみを思うと、せっかくの料理も味がしないほどだった。
玟小六は、老木の心のわだかまりを解くため、玱玹が営む酒楼へ向かう。店では酒や接客に文句をつけ、客たちは居心地の悪さから次々と帰ってしまう。それでも玱玹は腹を立てず、玟小六の要求に応じて酒を用意する。玟小六は、老木に誠意を示して謝罪するよう求める。老木が許してくれたなら、二度と店には来ないと告げるのだった。
玱玹は酒を大量に持って老木のもとを訪れ、何杯もの酒を飲みながら真摯に謝罪する。その姿を見た老木は、彼に誠意があると感じ、ついに怒りを収める。二人は兄弟として付き合うことになり、老木も過去の出来事を水に流す。玟小六は、玱玹の立ち回りの巧みさに感心する。老木の心の傷が癒え、家には再び穏やかな空気が戻るのだった。
しかし、玱玹は実際には酔ったふりをしていただけだった。従者には、清水鎮には身元の知れない人物が多く、無用な争いを避けるためにあえて頭を下げたのだと説明する。ここで騒ぎを起こせば、今後の行動に支障が出かねないと考えていたのだ。
夜、疲れて部屋へ戻った玟小六は、そこに相柳がいることに気づく。相柳は彼女の血を飲み、何も言わずに寝台に横たわっていた。玟小六は、相柳が術を使っている最中は自由に動けないことを知ると、炭を使って彼の顔に落書きを始める。相柳をからかい続け、これまでの仕返しをする玟小六。しかし、相柳は屈辱を感じながらも、術のために動くことができない。
玟小六は葉十七に相柳の見張りを頼み、自分は玱玹の酒蔵へ向かう。そこで、玱玹が相柳を殺そうと考えていることを偶然耳にしてしまう。一方、葉十七が玟小六の部屋を確認すると、すでに相柳は姿を消していた。寝台に残された相柳の髪を見つけた葉十七は不快感を覚え、玟小六の寝具を取り替える。
やがて玱玹に見つかった玟小六は、口封じのために殺されるのではないかと身構える。彼女は玱玹を「いい兄」と評するが、玱玹自身は、自分は決していい兄ではないと感じていた。その後、玟小六は相柳が戻ってきたと思い込み、相手に抱きついて謝罪する。しかし、顔を上げるとそこにいたのは葉十七だった。葉十七は彼女の行動に複雑な思いを抱く。
相柳もまた、玟小六に顔へ落書きされた屈辱を忘れてはいなかった。いつか必ず仕返しをすると心に決める。一方、玱玹は玟小六の言動に不自然な点があることから、彼女が何か重大な秘密を隠しているのではないかと疑い始める。
翌日、葉十七は玟小六のために餅を焼き、もう二度と彼女を失望させないと約束する。玟小六は彼の気持ちを受け入れ、ようやく仲直りする。こうして二人の関係は再び近づくが、玟小六を取り巻く人々の思惑は、さらに複雑になっていくのだった。
















この記事へのコメントはありません。