漠風吟(ばくふうぎん) 偽りの公主、熱砂の愛

漠風吟(ばくふうぎん) 偽りの公主、熱砂の愛

漠風吟(ばくふうぎん) 偽りの公主、熱砂の愛 11話・12話・13話・14話・15話 あらすじ

漠風吟(ばくふうぎん) 偽りの公主、熱砂の愛 2024年 全26話 原題:漠风吟

第11話あらすじ

雲沛の空気は一層張り詰めていた。流匪討伐の行方を占う中、那戦は川辺でひとり静かに釣り糸を垂らす。魚の影ひとつ見えぬ静謐の中で、彼の胸には「最も危険な場所こそが最も安全な場所」という逆説がよぎっていた。流匪の隠れ家は、誰も想像できぬ場所に潜んでいるのかもしれない——。その頃、呉将軍は蔵書閣の兵を祭廟へ移し、開けた地形を利用して罠を張るという大胆な策を提案し、事態は新たな局面を迎える。

宮廷では、皇北霜の料理の才が日増しに冴え渡り、真渠幼佳の心を脅かしていた。皇后の地位をも揺るがしかねないこの脅威を排するため、彼女は侍女に密書を託し、父に助力を乞う。だが皇北霜自身もまた霍擎雲の不在に動揺し、知らぬ間に彼を怒らせたのではないかと悩んでいた。夜佩の忠告で目前に迫る料理競技会を思い出した彼女は、雲沛の豊かな物産と厨房に解決の糸口を探し、廉幻を密かに潜入させる。同時に、かつての那戦との約束を胸に、自ら謝罪を決意。しかし、解馬樹根の研究を巡り、那戦は「草薬篇を習得するまで気候篇は渡さぬ」と条件を突きつける。

一方、裏社会でも策謀が渦巻いていた。格心薇は酔香楼の名簿に執着し、青楼を新たな拠点に作り変えようと画策する。若問は兵站庫の隙を狙えと進言する蛮狐を退け、独自の策に動く。彼は王府の使者を捕らえ、真渠御厨に成りすまして潜入。真渠幼佳の前で卓越した料理の腕を披露し、その信頼を巧みに勝ち取る。だが目的はただひとつ——皇北霜に近づくことだった。

その頃、皇北霜は蔵書閣で料理本を探す中、霍擎雲と偶然に出会う。二人の間に漂う気まずい沈黙を破ったのは、那戦と呉将軍の乱入だった。呉将軍が容老への拷問を主張する一方、那戦はそれを拒み、密室への秘密の通路を露わにする。その光景を霍擎雲は目撃し、疑念を深めていく。皇北霜廉幻夜佩に命じて通路を封鎖させ、霍擎雲からの警告を無視して挑発的な言葉を投げつけた。霍擎雲は拳を握りしめながらも、ただ彼女の背を見送るしかなかった。

やがて夜。霍擎雲は覆面を纏い再び蔵書閣に潜入し、容老と暗号で交信する。信仰に殉じる覚悟を語る容老を連れ出そうとしたその瞬間、呉将軍の兵に包囲される。陰で若問が密かに機を窺い、密室の仕掛けを探ろうと身を潜める中、蔵書閣は嵐の前の緊張に包まれていく。交錯する策略と信念、そしてそれぞれの思惑が、いま激突の時を迎えようとしていた。

 

第12話あらすじ

呉将軍の緻密な計略が動き出す。蔵書閣の兵を意図的に遠ざけ、霍擎雲を誘い込む罠を仕掛けたのだ。霍擎雲は容老を密室に隠して自ら囮となるが、呉将軍の洞察は鋭く、その策を見破ったうえ、乱戦の中で霍擎雲の腕を傷つける。さらに包囲網が迫り、絶体絶命の瞬間、暗がりから若問が放った暗器が戦局を揺さぶり、霍擎雲は辛うじて脱出するも背中に矢を受け、毒に侵される。

血痕を辿った呉将軍が雲芳閣へ迫る中、皇北霜は倒れ込んだ霍擎雲を発見し、ためらわず匿う。廉幻が矢を抜き取ると毒の痕跡が見つかり、緊張が走る。そこへ那戦が乱入し、皇北霜霍擎雲を衣装箪笥に隠す。血痕を見つけ怒りを爆発させる那戦だったが、皇北霜の傷に気づき、一時的に疑念を収めた。扉が閉ざされると、皇北霜は必死に霍擎雲の手当てを行い、霍擎雲もまた彼女の傷を労わり、危険を冒すなと諭す。彼女は断固として彼を見捨てぬと告げ、その強さに胸を打たれた霍擎雲は意識を失った。

那戦霍擎雲の逃走に激怒するも、皇北霜の関与を確信し、容老を別の場所へ移すよう呉将軍に命じる。霍擎雲が目を覚ますと、皇北霜は護身用の軟甲を授け、毒が効かぬ彼の体質を推測する。霍擎雲は覇酒にまつわる秘められた過去を語り、皇北霜は彼の孤独な境遇を知り心を寄せる。しかし霍擎雲は彼女を遠ざけようとしつつも、彼女の温もりを拒めず、やがて皇北霜は覇酒を飲み干して眠りに落ちる。葛藤の只中で、霍擎雲は真実が明らかになるまで彼女を守ると誓うのだった。

その頃、格心薇は酔香楼を買収して酒楼へと改築し、働く娘たちを抱え込む大胆な改革を開始する。若問真渠幼佳に自らの正体を明かし、逃れられぬ従属を強いた。恐怖に囚われた彼女は逆らえず、若問に蓮の実の汁を捧げることで誠意を示すしかなかった。権謀術数と情の狭間で、各々の思惑がさらに絡み合っていく。

 

第13話あらすじ

霍擎雲の傷を気遣う沙曲は、冗談を交えつつも「皇北霜とは適切な距離を保て」と忠告する。母殺しの因縁が二人の関係を曇らせることを恐れたのだ。霍擎雲は冷静に応じ、節度を守ると誓いながらも、皇北霜への想いを抑えきれず、彼女の好物である米糕を麻随から買ってきてほしいと沙曲に託す。雲芳閣では、夜佩が意識的に二人きりの空間を作り出し、皇北霜霍擎雲の距離はますます縮まっていった。

一方、真渠幼佳は若問への従属に屈辱を感じ、密かに皇北霜の正体を探ろうと動き出す。小怜の進言に従い、厄娜泣へ部下を派遣し、皇北霜の秘密を暴こうと企むが、逆に若問の怒りを買い、髪を切り落とされる屈辱を味わう。恐怖に怯える彼女は無理に笑顔を作り、なおも若問に仕えるしかなかった。

その頃、格心薇は酔香楼を買収し、青楼改革の一環として料理対決を開催。意外にも働く娘たちが皆、優れた料理の腕を持っていると判明する。蛮狐と狼頭を審査役に招いたが、酒に酔った狼頭は若問の潜伏先をうっかり漏らしてしまい、格心薇を激怒させた。

皇北霜の手料理を口にした霍擎雲は、未熟さを指摘しながらも、瞳には彼女を妻として迎えたいという真摯な想いを隠せなかった。だがその裏で、那戦は賊討伐の失敗に焦り、ついに皇北霜の居室へ夜襲を仕掛ける。皇北霜は機転を利かせ、自らの血で彼の情欲を冷ますことに成功するが、激怒した那戦は彼女を夫人の座から剥奪し、大漠奇巻の研究者としてのみ側に置くことを決める。

霍擎雲は危険を冒して蔵書閣から「気候篇」を盗み出し、徹夜で書き写して皇北霜に贈った。沙曲は復讐を忘れかける彼を戒めつつも、霍擎雲の一途な想いを黙して見守る。そこへ若問雲芳閣を訪れ、霍擎雲は屏風の後ろに隠れる羽目になる。若問皇北霜に同行を迫り、拒めば霍擎雲との関係を暴露すると脅迫。さらに「霍擎雲を救ったのは、自ら手にかけるためだ」と不穏な真意を明かす。那戦の急な訪問により若問は間一髪で身を隠すが、混乱の中で霍擎雲と鉢合わせし、一触即発の状況に。皇北霜の必死の仲裁で衝突は避けられたが、三者の関係は一層危うさを増していく。

一方、真渠幼佳皇北霜が料理大会で勝利する可能性が高いと察し、若問に協力を懇願。若問雲芳閣の寝室に潜入し、皇北霜の真の実力を暴く策を練り始めるのだった。

 

第14話あらすじ

霍擎雲は温泉で静寂のひと時を味わっていたが、真渠幼佳が無遠慮に押しかけ、皇北霜の入浴所にまで立ち入ろうとする。浴簾を無理に開いた彼女は、皇北霜の機転で水しぶきを浴びせられ、悔しさに顔を歪めて退散した。霍擎雲は一方で“気絶したふり”という策略を使い、皇北霜の同情を誘おうとするが見破られ、それでも彼女に寄り添い「献厨大会で勝ち、オアシスの支配権を掴むのを助けたい」と誓う。

若問は麻随政変の裏に雲沛が絡むのではと疑念を募らせていた。真渠幼佳皇北霜が入浴に興じていると報告し「大会直前に悠長すぎる」と嘲るが、若問は「勝ち目はない」と笑みを浮かべ、逆に安心させる。霍擎雲皇北霜を伴い、隠棲する谷老先生を訪ねるが、冷たく門前払いされる。しかし皇北霜は庭の藿葉の不調を見抜き、土壌の問題を指摘。これに谷老は心を動かされ、那戦の好物・千絲貴を作り始める。皇北霜はその料理が小麦麺を改良したものであると知り、大きな学びを得るのだった。

二人は市へ出て束の間の自由を楽しみ、霍擎雲は遺書を託し「生死の危機以外では開けるな」と伝える。だが平穏は格心薇の来訪で破られる。彼女は霍擎雲若問探索の助力を願い、皇北霜とも旧交を温める。やがて大会当日、皇北霜は生きた魚を用意していたが、若問が密かに酒を注ぎ台無しにしていた。食材を替える時間はなく、窮地に陥る。格心薇若問を支えるため自ら料理を手伝い、その腕前を示す。真渠幼佳が献上した葡盧鴨は那戦に称賛されたが、皇北霜が仕上げた千絲貴はさらに驚嘆を呼び、久しく口にしていなかった那戦は深く感銘を受けた。

だが呉将軍は「オアシスを奪えなかった」とあえて報告し、那戦が約束を守れぬよう仕組む。若問はその真相を皇北霜に語り、彼女は逆に彼を挑発し「麻随城を攻め、雲沛天に対抗せよ」と促す。若問は決意を固め、華玉府を去る前に玉芙閣を荒らし財を奪う。真渠幼佳は止められず、彼こそ蔵書閣の賊ではないかと疑念を深めた。

一方、呉将軍は秦奪の武器庫盗難を追い、青楼の女将を突き止める。蛮狐の名が供述され、那戦は彼が黄天狂の第二首領だと知り、雲沛の防衛を急ぎ強化する。動乱の影はますます濃く、皇北霜霍擎雲若問真渠幼佳の運命の糸は、複雑に絡み合いながら新たな局面へと進んでいく。

 

第15話あらすじ

突如襲った嵐の夜、若問は冷酷な手法で玉芙閣の秘蔵品を一掃し、真渠幼佳を驚愕させる。彼女は那戦の怒りを恐れ、止めることができず、やむなくこの重大事を那戦に報告する。那戦の厳しい尋問に対し、真渠幼佳は嘘を紡ぎ、盗賊の仕業と主張するが、若問の名が浮上した瞬間、沈黙してしまう。那戦は激怒し、真渠幼佳の貞節さすら疑うが、筑大人の仲裁で悲劇は回避される。那戦は追跡の無益さを悟り、莽流の秘密ルートを通じて麻随地域の情報を収集し、次の行動の糧とする。

長雨に不吉を感じた皇北霜は、窓の外を見つめて憂いを深める。霍擎雲は蜃気楼の奇観で慰めるが、皇北霜は疫病の兆候と確信する。案の定、洗濯場で悪性疾患が発生し、那戦は全楼閣の封鎖と人の移動禁止を指示。皇北霜は危険を顧みず現場に赴き、医術で風寒の病と診断するも、水源汚染の可能性を指摘。霍擎雲は排水路整備を提案し、皇北霜を屋敷に留めるよう命じる。

その隙を突き、沙曲は容老の救出作戦を企てるが、那戦が事前に移送していたため失敗。皇北霜も重病に倒れるが、霍擎雲は命がけで彼女を医師のもとへ連れ出し、神医は治療に必要な氷蟾を届ける。皇北霜は服用後、体内の毒血を吐き出し、徐々に回復。霍擎雲は喜び勇んで彼女を連れ逃れようとするが、皇北霜は使命を果たすため、雲沛を諦めるわけにはいないと冷静に告げる。

その間、霍擎雲は変装術を駆使し、呉将軍になりすまして牢獄に潜入。容老を救出し、沙曲らに護衛を命じ安全な場所へ移送、治療を継続させることに成功する。嵐と疫病、危機に満ちた夜を経て、皇北霜霍擎雲、そして那戦たちの運命は、新たな局面へと動き出す。

 

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