承歓記（しょうかんき）～人生最高の出会い～ 2024年 全37話 原題：承欢记
25話 あらすじ
第25集「すれ違う想い、繋がる灯」
空港での連絡を受け、姚志明（ヤオ・ジーミン）は急ぎ派出所へ向かった。迎えに来たのは、旧友・張培生の一人娘、張子玉（チャン・ズーユー）。大学に入学したばかりの彼女は、海外での生活に飽き、勝手に退学を決めて帰国したのだった。帰国初日、詐欺師に絡まれた彼女は怒りに任せて殴りかかり、警察沙汰に。姚志明は彼女を引き取り、懇切に説得するが、子玉は「あなたのそばにいたい」と泣きつく。彼は困惑しつつも、彼女を張培生のもとへ送り返した。
一方、夜遅く帰宅した姚志明は、階段の踊り場に置かれた小さなナイトライトに気づく。優しく光るその明かりは、麦承歡（マイ・チョンファン）が彼のために置いたものだった。胸に温かな想いが広がり、姚志明はその灯を部屋に持ち帰る。感謝の言葉を送る代わりに、灯りの写真をSNSに投稿し、麦承歡だけが見られるように設定する。画面越しに二人だけの静かな交流が生まれた。
翌朝、劉婉玉（リウ・ワンユー）は娘のために豪華な朝食を用意するが、麦承歡は仕事で出勤。落ち込む母に対し、承歡は高齢者大学の料理教室を勧め、さらにSNSアカウントを作って料理投稿を始めるよう提案する。だが、すぐに飽きた劉婉玉は、なぜかロッククライミング講座に申し込み、家族をあきれさせた。
麦来添（マイ・ライティエン）は趣味の園芸に夢中で、姚志明にも鉢植えを贈り、育て方を伝授する。その頃、劉婉玉の姉・劉婉栄（リウ・ワンロン）一家が上海を訪れた。立派な洋館に暮らす妹一家を見て羨ましがる婉栄。彼女らは興安里ホテルに宿泊するが、保証金の支払いで一悶着起き、麦承歡が直接対応して部屋を手配。食事のもてなしまで引き受けるが、その費用は全て彼女の自腹だった。
同じ頃、張子玉は執拗に姚志明を追いかけ、「恋人になってほしい」と告白する。姚志明は「兄妹のような存在だ」と優しく諭すが、彼女は涙をこらえ、「いつか必ず認めてくれる」と信じ続ける。
その夜、麦承歡は姉一家との食事会を開く。しかし席上、婉栄の夫・方志宏（ファン・ジーホン）が「昔、麦承早（マイ・チョンザオ）が金を盗んだ」と暴露。承歡は必死に否定するが、弟は沈黙を貫く。真相は、実は方家の息子・方杰（ファン・ジエ）が犯人だった。だが麦承早は「家族を壊したくない」と口を閉ざし、承歡も涙をのんで黙るしかなかった。
さらに婉栄夫妻は、承歡に結婚を迫り、実業家・方達（ファン・ダー）を紹介しようとする。母・婉玉も乗り気だったが、承歡はきっぱりと断る。「私は、今は仕事に全てを捧げたいの」と。
そんな折、張子玉が劉婉玉の家を訪ね、「姚志明の恋人」と名乗り、厚かましく食卓につく。驚いた劉婉玉はすぐに姚志明を呼び戻す。彼は駆けつけるなり、「彼女とは何の関係もない！」と説明し、張子玉を半ば強引に追い出した。
夜の静けさの中、階段の灯が再びともる。麦承歡の小さな気遣いが、姚志明の心をまた温めていた。
――愛と誤解が交錯する上海の夜、ふたりの距離は、確かに少しずつ、近づき始めている。
26話 あらすじ
第26集「揺らぐ想い、交錯する心」
麦承歡が仕事から帰宅すると、母・劉婉玉から「張子玉という若い女性が姚志明を訪ね、恋人だと名乗った」と聞かされる。驚く麦承歡に対し、姚志明は「妹のように思っているだけ」と弁明。だが、劉婉玉は「張子玉のように積極的に恋を掴みなさい」と娘を励ました。動揺した麦承歡は毛毛に電話相談するが、「あの二人、普通じゃない」と言われ、ますます胸がざわつく。
一方、張子玉は姚志明の行方を探して何東に詰め寄るが、何東は恋人とのデート中で逃げ惑う羽目に。
その頃、ホテルではトラブルが発生。劉婉玉と姉の劉婉栄が雑談中、孫の球球が客のスカートを汚し、父の方杰が逆ギレ。客の恋人が警察を呼ぼうと騒ぎ、現場は混乱。駆けつけた麦承歡が丁寧に謝罪し、クリーニング代と代金免除を申し出てようやく収束させたが、方志宏と方杰は「家の恥」と罵倒。母の劉婉玉も「親戚に恥をかかせた」と叱責し、麦承歡は顔を曇らせる。そこへ方達が現れ、場をなだめて二人を引き取った。
その後、麦承歡と方達は協力の相談をし、和やかに笑い合う。だが、それを見た張子玉がこっそり写真を撮り、何東に送信。何東経由で姚志明に伝わる。姚志明はすぐに張子玉を見つけ、興安里で騒ぐなと説得するが、張子玉は「あなたは麦承歡を好きなんでしょう？」と詰め寄り、「なら私も正々堂々と戦う」と宣言。彼女は強引に麦承歡のもとへ面接に来て、正式に履歴書を出すと言い残して去った。
一方、劉婉玉は親戚との買い物で疲労困憊。麦承歡に代わりを頼むが、彼女は仕事を理由に断り、姚志明が代わって案内を申し出た。結局、麦承早が同行することに。
その夜、姚志明は仕事漬けの麦承歡を気遣い、環状バスで夜景ドライブに誘う。車中、方達との関係を探る姚志明に、麦承歡は「ただの幼なじみ」と答える。安心した姚志明はついに想いを告白。麦承歡は答えの代わりに彼にキスし、二人はようやく恋人同士となった。
帰宅後、二人は関係をしばらく秘密にすることを決める。階段を忍び足で上がり、それぞれの部屋へ。眠れぬ夜、姚志明は「明日一緒に出勤しよう」とメッセージを送り、麦承歡をベランダに呼び出す。夜風の中で再び甘い言葉を交わし、朝5時の密会を約束する。
その物音を聞いた劉婉玉は「ネズミかしら」と思い、翌日駆除薬を買うよう麦来添に指示。
翌日、麦承早と毛毛はそれぞれ子どもを連れて水族館へ。子供同士がけんかになり、親たちの口論に発展。方杰が過去の出来事を持ち出し麦承早を侮辱、激しい言い争いの末、方杰は怒って去る。
その頃、姚志明は麦承欢のことばかり考え、昼食を差し入れにホテルを訪ねる。仕事中でもパンで済ませようとする彼女に、自ら食事を食べさせる姚志明。
一方、方杰は劉婉玉のもとに駆け込み、麦承早の悪口を吹き込み、劉婉玉は激しく息子を叱りつけるのだった——。
27話 あらすじ
第27集「姉妹の涙、母娘の夜明け」
劉婉栄一家が麦承早に詰め寄っていると知り、麦承歡は姚志明に送られて急いで帰宅した。姚志明は一緒に中へ入ろうとするが、手強い親戚たちに巻き込みたくない麦承歡は制止。彼は階下で待つことにした。家の中では、劉婉玉が事情も聞かずに麦承早を叱責し、方杰に謝罪するよう迫っていた。だが麦承早は断固拒否。幼いころ、劉婉玉に故郷へ送り返され、方杰に長年いじめられてきた過去があったのだ。母を悲しませまいと沈黙してきた麦承早の胸に積もった怒りが、ついに限界を迎えていた。
駆けつけた麦承歡は、毛毛から事情を聞き、発端が子供同士のトラブルだったと知る。にもかかわらず、方志宏は「姉妹が結託して我々を貶めた」と勘違いし、劉婉玉に怒鳴りつけた。劉婉玉はその場を収めようと麦承早に代わって謝罪するが、麦承早はもはや耐え切れず、怒りと悲しみのままに家を飛び出した。
その背中を見送った麦承歡は、妹の無念を晴らすため、幼少期から叔母の家で受けた虐げの事実を母の前で告白。劉婉玉は愕然とし、長年の誤解に涙する。一方、方志宏は逆上し「麦承歡は精神的に異常だから結婚も出産も拒む」と暴言を吐き、ついに劉婉玉と大喧嘩。劉婉玉は怒りのあまり部屋に閉じこもり、静かに泣いた。
その頃、家を出た麦承早は姚志明と遭遇。「姉に心配をかけたくない」と伝え、毛毛の家に身を寄せる。毛毛は彼を優しく受け入れ、心を慰めた。姚志明は衝動的に方家を追い出したことを謝罪するため劉婉玉のもとへ。彼女は姉妹の関係が完全に壊れたことを悟り、麦承早が味わった孤独を思って深い後悔に沈んだ。
一方、麦承歡はホテルに戻り、方志宏一家が荒らした客室を片付けながら、心の整理をつけようとしていた。夜遅くまで作業した彼女を、姚志明が温泉に誘う。魚が足をついばむプールで笑い合い、少しだけ心を取り戻す。姚志明は彼女に「古い洋館で一緒に暮らそう」と提案するが、麦承歡はやんわり断る。その優しさの裏に、母への複雑な想いが隠されていた。
家では、劉婉玉が麦承早に連絡を試みるも返事はなく、行方を案じて不安な夜を過ごしていた。翌日、張培生が姚志明に契約の期限を迫り、事態はさらに緊迫。劉婉玉は手料理を作り、家族に「今夜は帰ってきて食事を」とメッセージを送るが、誰も帰らず、食卓は静まり返る。
その頃、麦承歡は方達と正式に協力契約を結び、仕事に打ち込んでいた。二人の姿を見た花売りの少女がカップルと勘違いし、方達に花束を勧める。そこへ姚志明が現れ、花を買って「彼女の恋人です」と宣言。方達は慌ててその場を去った。
麦承歡は「嫉妬深い人ね」と笑いながら、姚志明と共に麦承早を探しに毛毛の家へ。再会した麦承早に、麦承歡は「明日は家に帰って、みんなで誕生日を祝おう」と提案する。姚志明も「お母さんを悲しませないで」と優しく背中を押した。
母の涙、姉妹の絆、そして恋人たちの想いが、静かに一つの夜明けへと向かっていく——。
28話 あらすじ
第28集「母の赦し、妹の涙」
劉婉玉が興安里ホテルを訪ねたとき、ちょうど廖剛が麦承歡に嫌味を言っている場面に出くわす。娘をかばおうと慌てて割って入るが、麦承歡は会議中で心の余裕もなく、母の唐突な登場に戸惑うばかりだった。廖剛はその隙に皮肉を投げ、場の空気は最悪に。麦承歡は母をロビーに呼び出し、「ホテルで騒ぎを起こさないで」と諭し、さらに「麦承早にももっと気を配って」と言い残した。その言葉を冷たく受け取った劉婉玉は、娘に嫌われたと思い込み、涙ながらに帰宅する。遠くからこのやり取りを見ていた張子玉は、自分を顧みない張培生を思い出し、麦承歡への羨望と切なさを覚えた。
気まずさを引きずる麦承歡は、母に謝りに行く勇気が出ず、姚志明に「様子を見てきてほしい」と電話で頼む。張子玉が先に劉婉玉を訪ね、彼女の手料理を笑顔で食べながら、さりげなく愚痴を聞いて慰める。そこへ姚志明が現れ、麦承歡の名義で小型家電を贈って母を喜ばせ、「娘の気持ちを分かってやってほしい」と優しく説得した。張子玉はその様子を見て、姚志明が麦承歡を想っていることを確信し、少し皮肉めいた笑みを浮かべる。姚志明はきっぱりと「俺は麦承歡と正式に交際している」と告げ、干渉をやめるよう警告。張子玉は意外にも素直に「二人はお似合い」と認め、静かに身を引いた。
その夜、姚志明が麦承歡を家まで送り届けると、劉婉玉は娘がすでに夕食を済ませていることを知り、胸を締めつけられる思いだった。麦承歡は改めて母と向き合い、これまでの苦しみを率直に語る。「お母さんが私の人生に干渉しすぎて、息苦しかった。辛家の婚約披露宴での平手打ちは、私に現実を教えてくれたの」と告白。あの日の屈辱が、彼女を自立へと導いたことを初めて明かした。劉婉玉は愕然としながらも深く反省し、娘の成長を認めて「これからは見守る」と誓う。母子は長い沈黙ののち、涙で抱き合い、ようやく心の距離を埋めた。
深夜、屋根裏から梯子を下ろして姚志明が麦承歡の部屋に現れ、「麦承早への誕生日プレゼントを用意するため」と言い訳。麦承歡は笑いながら感謝を伝える。その日、毛毛は麦承早の誕生日祝いを準備し、幼稚園に丁丁を迎えに行くが、元夫・宋懐民に阻まれ、丁丁を連れ去られてしまう。怒り狂った毛毛は宋の家に押しかけ、「今日は麦承早の誕生日、丁丁も祝わせて」と懇願するが、宋懐民は「お前は子供より男を選んだ」と冷たく言い放つ。丁丁も心を閉ざし、毛毛は涙をこらえて去った。
レストランでは麦承早が毛毛のために料理を並べて待っていた。遅れて到着した毛毛は笑顔を作りながら、親権を取り戻す決意を語る。麦承早は「僕が弁護人になる」と申し出るが、黙々（モーモー）は二人の関係を心配し、「丁丁のことで壊れないで」と諭す。だが麦承早は何も言わずに店を出た。
その頃、劉婉玉は家で豪華な夕食を用意していたが、息子は帰らず、娘は外出中。寂しさに耐える彼女を、麦来添が「信じて待て」と励ます。夜遅く、麦承歡が受け取ったのは麦承早からの住所だけ。姚志明に両親の付き添いを任せ、自らケーキを手に妹を探しに出る。途中、姚志明は「今日は俺の誕生日だ」と冗談を言うが、劉婉玉がすでに彼の生年月日を調べ上げていたことが判明し、場は一瞬沈黙に包まれる。
やがて麦承歡は住所を頼りに麦承早を見つけ、毛毛との間に生じた深刻な問題を聞かされる。妹の抱える現実に、麦承歡は静かに手を握り返した——。
この記事へのコメントはありません。