七夕の誓い~恋狐妖伝2~

七夕の誓い~恋狐妖伝2~

七夕の誓い~恋狐妖伝2~ 11話・12話・13話・14話・15話 あらすじ

「恋狐妖伝」シリーズ第2弾。七夕の誓い~恋狐妖伝2~ 2025年 全36話 原題:淮水竹亭

第11話 天空の牢獄と狐少女

未来の碧落城で暮らす淮竹は、巡察中に出会った不思議な男のことを九惑へ報告する。その男は自分を「東方」と呼び、王権山荘から来た旧知の仲だと言っていた。もちろんその正体は弘業である。しかし九惑は淮竹の話を聞いた瞬間、彼女の身に弘業の盗聴符が仕掛けられていることを見抜いていた。

九惑はあえて気づかぬふりをし、淮竹に梨子坡で妖を討伐する任務を与える。弘業はそれが罠だと察しながらも、淮竹を放っておくことはできなかった。そして現場で淮竹の攻撃を利用し、自らも巻き込まれる形で転移陣へ飛び込み、九惑が用意した死の罠を打ち破る。

二人がたどり着いた先は、天空に浮かぶ不思議な結界空間「懸空山」だった。そこには少女の姿をした珈藍が待っていた。彼女こそ九惑がかつて育てた弟子であり、長い年月をこの孤独な場所で過ごしてきた存在だった。

孤独を紛らわせるため、珈藍はこれまで何人もの人間を結界へ送り込み遊び相手にしていた。そして今回の相手が弘業と淮竹だったのである。三人は奇妙な遊びを始める。負けた者が身につけている物を一つ外すという勝負だった。淮竹が敗北した際も、弘業は彼女の耳飾りを外すだけで決して無礼な行動は取らなかった。その誠実さに淮竹は改めて彼の人柄を感じる。

一方その頃、碧落城では夜淵が九惑へ金晨曦の欠片を献上していた。しかし蛭妖・翠玉鳴鸞が逃亡したことで欠片の数が不足し、巨大な妖剣・金晨曦の修復は進んでいなかった。九惑の真の狙いは、この剣の力で傲来三少が築いた結界を破壊することだった。

その秘密を探るため、王権酔と楊一嘆は九惑の寝殿へ潜入する。しかしそこで本人と鉢合わせしてしまい、激しい戦闘が勃発する。楊一嘆は天眼を開き、九惑の幻術を見破ることに成功するが、その代償として重傷を負ってしまう。

王権酔を守り抜いた楊一嘆だったが、彼の身体には深刻な傷が残されていた。そして弘業と淮竹もまた、懸空山という閉ざされた空間で運命の試練に向き合うことになるのだった。


第12話 幻の中の選択

九惑との戦いで傷を負った楊一嘆は、自らの状態を隠したまま王権酔とともに森の小屋へ身を潜める。しかし傷は想像以上に深く、まともに薬を飲むこともできない。王権酔は精神術を使い、自ら口移しで薬を飲ませるという大胆な方法で彼を救う。その瞬間、楊一嘆の胸は激しく高鳴る。彼が長い間、王権酔に想いを寄せていたことが明らかになるのだった。

一方、懸空山では珈藍が残酷な条件を提示する。この結界から脱出するためには、弘業と淮竹のどちらかが死ななければならないというのだ。

弘業は淮竹に刃を向けることができない。しかし淮竹は迷いながらも幻術の中で弘業を倒す選択をする。倒れた弘業の口元から血が流れるのを見た瞬間、淮竹の胸に強い痛みが走る。記憶を失っていても、心の奥底では弘業を大切な存在として感じていたのである。

やがて結界が崩壊し始める。消えゆく珈藍は、自らの過去を淮竹へ語り始める。珈藍は生まれた時から災厄をもたらす存在と予言され、涂山で恐れられていた。崖の上に閉じ込められた彼女は真実を知った後、激しい憎しみの中で多くの者を殺して逃亡する。

そんな珈藍を受け入れたのが九惑だった。二人は師弟となり、長い年月を懸空山で過ごす。珈藍にとって、世界で唯一信頼できる存在が九惑だったのである。

しかし話を聞き終えた淮竹は隙を突き、珈藍の妖力を吸収して碧落城へ帰還する。

その頃、翠玉鳴鸞は白玉村へ向かう青年・木蔑と出会う。彼は楊雁と木小五の息子だった。危険を察した鳴鸞はわざと間違った道を教えるが、木蔑は運命に導かれるように白玉村へ足を踏み入れる。

碧落城へ戻った淮竹は、九惑にさらに過去を語るよう求める。九惑はかつて珈藍を守ったことで重傷を負い、その命を救うため珈藍が龍を討ち妖丹を奪ったことを明かす。その行為によって彼女は世間の怒りを買い、御妖国によって九惑は封印され、珈藍も霊火によって焼かれたのだった。

淮竹は次第に九惑の物語の裏に隠された真実へ近づいていく。


第13話 よみがえる想い

九惑の話を聞くうちに、淮竹は次第に違和感を抱くようになる。彼の語る過去はどこか都合が良すぎるのだ。そして彼女は密かに行動を開始し、幻術の中で死んだはずの弘業を目覚めさせることに成功する。

再会した弘業は、珈藍こそが黒狐の正体であり、九惑は淮竹を新たな器にしようとしているのではないかと推測する。淮竹は半信半疑だったが、九惑の屋敷に忍び込み資料を調べた結果、黒狐に関する記録を発見する。

そこには黒狐が世界を混乱へ導く存在であることが記されていた。弘業の推理が正しかったことを知った淮竹は、ついに彼と手を組む決意を固める。

共に調査を進める中で、淮竹の心にも変化が生まれていた。弘業と過ごす時間は安心感に満ちており、彼が傷つくことを考えるだけで胸が痛む。記憶を失っていても、その想いだけは消えていなかったのである。

一方、白玉村では村人たちが傷ついた猫妖を利用し、翠玉鳴鸞をおびき寄せようとしていた。賞金目当ての卑劣な計画だったが、木蔑がそれを阻止する。

しかし二人は村人たちに追われることになり、危機一髪のところで楊一嘆と王権酔が現れる。楊一嘆は木蔑に天眼の使い方を教え、その能力によって窮地を脱する。

木蔑が木小五と楊雁の息子だと知った楊一嘆は大喜びする。かつて失われた家族の絆が、次の世代で再び結ばれようとしていた。

その頃、王権酔は催眠術によって翠玉鳴鸞の記憶を探り始める。さらに鳴鸞の中に眠る「紅眼の人格」が現れ、木蔑をからかい続ける。振り回される木蔑は真っ赤になりながらも、どこか彼女を放っておけなかった。

一方、淮竹は弘業の傷を手当てする。そして密かに催情香を焚き、彼の本心を試そうとする。だが弘業は理性を失わず、決して彼女を傷つけようとはしなかった。

その誠実さに触れた淮竹の心は大きく揺れ動く。失われた記憶の奥で眠る愛情が、少しずつ目を覚まし始めていた。


第14話 九惑の秘密

木蔑たちは白玉村に戻るが、そこには無残な光景が広がっていた。夜淵によって村人たちは虐殺され、静かな村は血に染まっていたのである。

一方、碧落城では淮竹が危険な賭けに出る。紅い衣をまとい、九惑が命を補うため利用する往生池へ自ら入り込んだのだ。そして弱った九惑を拘束し、ついに真実を問いただす。

そこで明らかになった事実は衝撃的だった。淮竹は母・江雪倦によって、珈藍の転生の器として生み出された存在だったのである。そのため彼女の体内には黒狐の妖気が宿っていた。

さらに九惑にも弱点があった。龍骨と龍血こそが彼を滅ぼす唯一の力だったのだ。

激怒した淮竹は九惑を討とうとするが失敗する。絶体絶命の瞬間、弘業が禁制を破って駆けつける。王権家の命を削る秘術を使ったことで重傷を負っていたが、それでも淮竹を守るため戦った。

淮竹はとっさに「弘業なら翠玉鳴鸞の代わりになれる」と提案し、九惑から彼の命を救う。そして表向きは弘業を厳しく罰するふりをしながら、二人は九惑を欺く芝居を続ける。

九惑はその様子を見て淮竹を完全に信用するようになる。しかしそれこそが二人の狙いだった。

一方で木蔑と翠玉鳴鸞の距離も縮まっていた。木蔑は彼女に二つの人格が存在することを知りながらも受け入れていたのである。二人の関係にも新たな変化が訪れようとしていた。


第15話 未来から届く警告

王権酔は翠玉鳴鸞の記憶の中へ入り込み、彼女が逃亡するまでの真相を知る。

鳴鸞は弟子を探して旅をしている途中、足を怪我した村人を助けた。しかし恩人であるはずの村人たちは彼女を裏切り、眠らせたうえで金晨客桟へ売り渡してしまう。

その宿では妖たちが次々と捕らえられ、金晨曦の欠片へと精製されていた。鳴鸞もまた犠牲になるはずだったが、生き延びるために紅眼の人格が覚醒し、命からがら脱出したのである。

その頃、九惑は鳴鸞を取り逃がしたことに激怒していた。金晨曦の修復が進まなければ結界破壊計画が実行できないからだ。

淮竹は彼を欺くため、一日以内に鳴鸞が見つからなければ弘業を処刑すると提案する。これによって仲間たちは行動を起こさざるを得なくなる。

王権酔たちは鳴鸞を囮にして弘業を救出する作戦を立案し、金晨客桟で九惑との取引を行う。しかし九惑は鳴鸞自身には興味がなく、彼女の体内にある金晨曦の欠片だけを求めていた。

戦いが始まろうとしたその時、淮竹は弘業に捕らえられたふりをして仲間たちを逃がす。彼女はなおも九惑の側に残り、内部から敵を崩そうとしていた。

九惑を倒すため、弘業は黄泉族の弱点である龍血を探し始める。一方、木蔑は天眼によって恐ろしい未来を見てしまう。それは楊一嘆が自ら天眼をえぐり取り、命を落とす光景だった。

木蔑はその未来を伝えるが、楊一嘆は静かに受け入れる。自らの運命から逃げるつもりはなかったのである。

そして弘業は未来の面具団の仲間たちへ集結を呼びかける。しかし現れたのは、両足を失いながらも生き延びていた李去濁ただ一人だった。

二十年後の世界がどれほど過酷な運命をたどったのか――その現実が、彼らの前に重くのしかかるのだった。

 

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