紅き真珠の詩

紅き真珠の詩

紅き真珠の詩 36話・37話・38話・39話・40話(最終回) あらすじ

紅き真珠の詩 2024年 全40話 原題:珠帘玉幕

第36話の見どころ

久しぶりに尉遅烏主と再会し、穏やかな時間を過ごす端午と燕子京。しかし、その裏では鄭家の憎しみが再び端午へ向けられていた。琉璃作りを目前に控えた明鏡台を突然の悲劇が襲い、端午は鄭家当主に捕らえられてしまう。果たして燕子京たちは彼女を救い出せるのか。

第36話のあらすじ

燕子京を訪ねてきた尉遅烏主は、端午とも久々の再会を果たす。三人は互いの無事を喜び、近況を尋ね合う。尉遅烏主は揚州へ向かう途中、明鏡台への道を尋ねただけで、多くの人が親切に案内してくれたと語る。それほどまでに端午の名が揚州で知られていることを知り、彼女の成長を心から喜ぶ。

尉遅烏主は、天国の父母も今の端午を見ればきっと誇りに思うだろうと語り、端午に高価な贈り物を渡す。端午も、自分は今とても豊かな人生を生きているのだと笑い、尉遅烏主を杭州へ招いて一緒に旅をしようと誘う。張晋然も同行するつもりだったが、燕子京は二人の邪魔をされたくないため、張晋然には用事があると適当に理由をつけて断る。

一行が旅に出ると、端午は皆が囲碁を楽しんでいる姿に目を留める。そして、これを明鏡台の商品にも取り入れれば、遊びながら店の品を知ってもらえるのではないかと考える。越雲岫も賛成し、二人は協力して新たな盤上遊戯を彫り上げる。完成した品は市場で好評を博し、噂を聞きつけた客が次々と明鏡台を訪れるようになる。

そんな中、端午は二人のならず者が一人の女性を襲おうとしているところに遭遇する。助けに入った端午は、その女性が崔十九であることに気づく。端午は崔十九に、命を懸けて手に入れたものなら、どうか大切に扱ってほしいと告げる。

一方、鄭家当主は、息子を失ったのもすべて端午たちのせいだと憎しみを募らせていた。そこへ仮面の男が現れ、端午が自分の探しているものを持っていると告げる。端午を殺せば目的を果たせると知った鄭家当主は、復讐の機会をうかがう。

その頃、康郎君が再び明鏡台を訪れ、大きな取引を持ちかける。まず一件を注文し、三か月後に受け取りに来るという。端午は喜び、皆で記念の肖像画を描くことにする。張晋然も駆けつけるが、燕子京はまたしても二人の間に割り込む。康琚まで肖像画を見ながら自分の姿に見入るなど、店内は笑いに包まれる。

端午は来年も皆で絵を描こうと約束するが、燕子京は「来年のことは来年考えよう」と答える。体調の悪化を感じながらも、端午の前では必死に平静を装っていた。

端午は、いまだ再開していない瑧郎閣を訪れ、崔十九をあえて刺激する。すべてを手に入れたように見える端午と違い、崔十九は何を争っても最後には愛する人を失い、一人になってしまった。彼女が欲しいのは瑧郎閣でも財産でもなく、夫と父が戻ってくることだった。しかし、それはもう叶わない。

その頃、明鏡台では琉璃を焼こうとしていたが、突然秦阿翁が姿を消す。端午たちは何かがおかしいと感じ、高手が周囲を調べる。しかし、その直後、背後から襲撃を受ける。

端午をさらったのは鄭家当主だった。彼は息子の死を端午のせいだと責め、息子に詫びろと迫る。端午は、これは鄭家内部の争いが招いた結果であり、自分のせいではないと反論する。

鄭家当主は端午を棺に閉じ込め、その身につけていた血珠を奪う。さらに、それを仮面の男へ渡し、手柄を立てて自分の罪を免れようとする。

燕子京と張晋然は必死に端午を捜すが、行方は分からない。一方、崔十九は鄭五郎から贈られた簪を手に、これまで何かを手に入れようと争い続けた結果、最後には自分だけが残ったことを痛感する。そして、もう一度自分の人生を立て直そうと決意する。

棺の中では、端午が必死にもがいていた。しかし、脱出する術はなく、徐々に意識が遠のいていくのだった。

第37話の見どころ

端午が消息を絶ち、明鏡台には大きな悲しみが広がる。救出に動く燕子京と張晋然だったが、権力の壁に阻まれ、事件の背後にいる黒幕が次第に姿を現す。そして燕子京は、長年信頼してきた人物が父の仇だったという衝撃の真実を知ることになる。

第37話のあらすじ

越雲岫と桜桃は明鏡台の前で端午の帰りを待ち続けていた。しかし、いつまで経っても端午は戻ってこない。不安を感じていたところへ、開店したばかりの崔十九も異変に気づく。端午が姿を消したと知った崔十九は、すぐに鄭家の仕業だと推測する。

口では冷たい言葉を吐きながらも、崔十九は端午の身を案じていた。端午を助けるためには一刻も早く動かなければ、二人は生きて再会できなくなると考える。

張晋然も鄭家当主を捕らえ、縄で縛って連行する。しかし屋敷を出たところで、張晋然の兄が現れる。張晋然が事情を説明して犯人を連れていこうとすると、兄の部下が行く手を阻み、結局鄭家当主は逃げることを許されてしまう。

張晋然は兄を前に何もできず、苦々しい思いを抱く。かつて信頼していた兄が、もはや自分の知る人物ではないのではないかという疑念が芽生える。

張晋然は鄭家へ戻って使用人たちを問いただす。すると端午が林の中へ連れて行かれ、生き埋めにされたという情報を得る。

一方、燕子京も鄭家当主を捕らえ、端午の居場所を執拗に問い詰める。ついに林の中に埋めたことを聞き出すと、燕子京と康琚たちは馬を走らせて救出へ向かう。

一同は必死に土を掘り返す。やがて端午を閉じ込めた場所を見つけるが、そこへ仮面の男が現れ、鄭家当主を連れ去ろうとする。燕子京は黒幕への怒りを燃やし、必ず探し出して命を奪うと誓う。

郢王もまた事件を巡って各地を捜索していた。明鏡台では桜桃が、端午が一日帰らないだけでも不安で仕方がないと嘆く。崔十九も店の向かいから静かに明鏡台を見つめ、端午の無事を祈っていた。

薛娘子たちも端午のもとへ駆けつけるが、そこに彼女の姿はない。明鏡台の主を失い、誰もがこれからどうすればいいのか分からなくなってしまう。しかし端午に救われた女性たちは、今こそ力を合わせて店を守るべきだと決意する。

越雲岫も、必ず端午の代わりに明鏡台を守り、姉を失望させないと誓う。

その頃、張晋然は徐南英の罪を揚州の民に公表する。これによって徐南英の兄は窮地に追い込まれ、仮面の男も焦りを見せる。張晋然の兄は、骊龍盗を利用して徐林を引きずり出し、その背後に隠された秘密を暴こうと考えていた。

一方、徐之衡は刑の執行が迫ったことを知り、牢の中で必死に叫ぶ。しかし誰も彼の声に耳を貸さない。断頭台へ向かう途中、突然仮面の男が現れて徐之衡を奪い去る。

燕子京は逃走した仮面の男を追い、ついにその正体を知る。それは尉遅古意だった。長年、自分のそばにいた人物が、実は父を殺した仇だったのだ。

驚愕する燕子京は康琚に尉遅古意を殺すよう命じる。しかし康琚は解毒薬を得ることを優先し、決定的な機会を逃してしまう。

張晋然は混乱に乗じて複数の間者を捕らえる。雳魁も失敗を重ね、郢王は疑念を抱きながらも、人材が必要な今は追及できずにいた。雳魁自身も、自分が郢王にとって使い捨ての駒にすぎないことを悟り始める。

一方、崔十九は鄭家の一族が騒ぎを起こしているところへ現れ、弱々しい女性を装って同情を引く。そして鄭五郎の令牌を利用して鄭家へ入り込み、密かに部下へ屋敷を調べさせるのだった。

第38話の見どころ

鄭五郎の死後、崔十九はその遺志を果たすため、敵だった鄭家の内部へ乗り込む。一方、仮死を装って生き延びた端午は、燕子京たちとともに黒幕を追う。鄭家の不正を暴く帳簿が人々の怒りを呼び、ついに敵味方の境界が大きく揺らぎ始める。

第38話のあらすじ

鄭家の族長たちは、鄭家当主のやり方に強い不満を抱いていた。実の息子を敵の手に葬り、さらには一族から追放するという非情な態度に、さすがに疑問を抱き始める。

崔十九は一族の前で悲しみに暮れる妻を演じ、夫を鄭家の墓に入れてほしいと訴える。さらにその機会を利用して、玉小娘を鄭家から出す許可を得る。

崔十九は、鄭五郎が最後に託した母親を必ず守り、二人で生きていくことで彼の願いをかなえようと決意していた。玉小娘のもとへ向かうと、彼女が首を吊ろうとしているところに遭遇する。

崔十九は動揺しながらも、あえて玉小娘を刺激する。息子を奪った者たちへの憎しみを持ち続ければ、生きて復讐できると語り、生きる理由を与えようとする。

玉小娘は、息子が死んだのはすべて崔十九のせいだと恨み、彼女を決して許さないと告げる。しかし崔十九はもう、玉小娘にどう思われるかを気にしていなかった。ただ鄭五郎が最後に託した願いを果たしたかった。

その頃、鄭家当主は赤い血珠を手にして一族の復興を確信する。しかし、端午がその珠を砕いてしまい、周囲は騒然となる。

実は端午は燕子京たちによって救出されていた。三人は事件の背後にさらに大きな黒幕が存在することを察知し、端午を一度「死んだ」ことにして、黒幕を油断させる作戦を立てていたのだ。

端午は人々の前で、鄭家当主が自分の琉璃を奪おうとし、自分と秦阿翁を縛り上げ、誰にも知られないよう埋めようとしたことを暴露する。

しかし周囲の人々は、鄭家当主に逆らうことを恐れて積極的に動こうとしない。そこで端午は、彼らが毎年納めている高額な税金に話を向ける。鄭家当主がその金を横領し、賄賂として利用していたことを記した帳簿を示すと、人々の怒りが一気に爆発する。

そこへ崔十九が現れ、その帳簿を自分が端午へ渡したと明かす。以前の自分は家族のために生きていたが、今は鄭家が民から搾取する行為を許せないと宣言する。

一方、郢王は自分の身内を救い出そうとするが、弟に欺かれ、敵対されていたことを知る。張晋然も郢王の前で、今日を境に兄弟としての縁を断つと宣言する。

端午は、これまで多くの罪を犯した崔十九をなぜ信じられるのかと問われる。端午は、崔十九はこれまで家族のため、そして嫁いだ先の家族のために生きてきたのだと語る。そして今こそ、初めて自分自身のために生きようとしているのだと考え、彼女を信じることにする。

その夜、酒に酔った端午を見た燕子京は、長生粥を作って彼女に飲ませる。端午が味わった後、今度は燕子京にも飲ませる。燕子京は、これからも長く生き、世間のしがらみに縛られずに暮らしてほしいという願いを込めていた。

端午は複雑な表情で粥を手にしたまま、その場を離れる。

鄭家当主は最後まで罪を認めず、張晋然は彼を追い詰めるため、あえて餌を見せて黒幕を引きずり出そうとする。

崔十九は状況を分析するうちに、鄭世元自身が誰かに利用され、今では黒幕をおびき出すための餌にされていることに気づく。さらに屏風の後ろに玉小娘が隠れていることを発見する。

雳魁も、自分が利用価値を失えば郢王に捨てられると悟り、必死に周囲へ合図を送っていた。

やがて玉小娘は密かに夫を殺そうとするが、鄭家当主にはかなわず、逆に突き飛ばされて命を落とす。駆けつけた崔十九は間に合わず、怒りのまま鄭家当主に襲いかかるが、力及ばず倒されてしまう。

第39話の見どころ

鄭世元を巡る最後の攻防で、端午は燕子京から教わった方法を使い、崔十九と力を合わせて敵を討つ。しかし事件の全貌が明らかになる一方、燕子京の命は刻一刻と失われていた。端午に隠された真実を、燕子京は最後まで明かさずにいようとする。

第39話のあらすじ

極限まで追い詰められた鄭世元は、自分が死ぬくらいなら息子の妻である崔十九まで道連れにしようとする。燕子京が手を出そうとした瞬間、端午は慌てて彼を止める。

崔十九はもともと死を覚悟しており、鄭世元を法の裁きにかけようとしていた。燕子京は自分に考えがあると伝え、かつて端午に教えた方法で敵を射抜くつもりだと告げる。

端午の意図を理解した崔十九は、さりげなく身体を動かす。その瞬間、端午の放った矢が鄭世元を射抜く。駆けつけた張晋然が目にした時には、鄭世元はすでに息絶えていた。

一方、燕子京は鄭家から押収した帳簿を調べる。そこには鄭世元、郢王、雳魁の間で行われていた密かな取引が詳細に記されていた。

三人は手を組んでいたものの、それぞれが自分の利益を得るために利用し合っていた。鄭世元も単なる利用された人物ではなく、裏側で数々の悪事を働いていた黒幕の一人だった。

そして事件の中心にいたのが郢王だった。郢王は長年、国内の珠宝を国外へ密かに流し、それを資金に換えて自分の手元へ戻していた。その資金を使って兵力を蓄え、自らの野望を実現しようとしていたのである。

事件の全貌が明らかになる一方、端午は最近の燕子京の言動に違和感を抱いていた。雳魁について尋ねても、燕子京は曖昧な返答しかしない。端午は聡明なだけに、彼が何か重大なことを隠していると感じ取っていた。

その頃、雳魁は自分の利用価値が失われつつあることを悟り、警戒を強めていた。しかし、郢王はすでに彼を切り捨てる準備をしていた。雳魁が身体に力が入らないことに気づいた時には、香に毒が仕込まれていた。

雳魁は刀を手にして郢王を殺そうとするが、郢王にはすべて見抜かれていた。

一方、燕子京の身体も日に日に弱っていた。康琚は雳魁の首をつかみ、解毒薬のありかを吐かせようと必死になる。張晋然は異変に気づき、そこで初めて燕子京が猛毒に侵されており、解毒薬がなければ長く生きられないことを知る。

雳魁は狂気の中で、命を助けてくれるなら解毒薬を渡すと取引を持ちかける。張晋然は親しい友を救うため、迷いを見せる。

しかし燕子京は彼を止める。自分一人の命と引き換えに、罪深い人物を生かして再び民を苦しめることなどできない。自分の命を犠牲にしてでも、人々の平穏を守ることを選ぶ。

そして端午には、自分の病状を決して知らせないでほしいと頼む。残された時間を少しでも端午と過ごしたいと願っていた。

康琚は苦しみながらも、その願いを受け入れる。端午も二人の様子を見て、すでに何かがおかしいことに気づいていた。

郢王は自分の計画が崩れたことを悟り、酒に溺れながら何もせず時を過ごしていた。張晋然はそんな郢王を見ても、もはや同情する気持ちすら残っていなかった。

やがて張晋然は事件に関わった者たちを次々と捕らえ、ついに燕氏の冤罪を晴らす道筋をつける。

その知らせを聞いた端午は大喜びし、皆と喜びを分かち合おうと爆竹を鳴らす。燕子京も嬉しそうに見守っていたが、突然体に異変を感じ、端午から離れる。

端午は異変に気づき追いかけようとするが、そこへ崔十九が現れ、長生粥を一杯求める。二人は語り合い、これからは店を大きくして、いつか国外へも商売を広げようと未来を思い描く。

その会話を、部屋の中にいる燕子京は静かに聞いていた。端午の夢の中には自分もいる。しかし、自分は彼女と永遠に歩き続けることができないと悟っていた。

それでも燕子京は残された時間でやり残したことを終わらせようとする。秦阿翁はついに七彩琉璃を完成させ、皆が喜びに包まれる。

端午は燕子京のために新しい服を仕立てる。なぜ新しい服を作ったのかと尋ねる燕子京に、端午は「新年には新しい兆しが必要だから」と微笑むのだった。

第40話(最終回)の見どころ

燕子京の命が残りわずかだと知りながら、端午はあえて真実に触れず、二人で過ごせる時間を大切にする。燕氏の冤罪が晴れ、長年の因縁にも決着が近づく中、端午は自らの夢を貫く道を選ぶ。最後に二人が選ぶ未来とは――。

第40話のあらすじ

康琚は毎日、食べることで悲しみを紛らわせながら、皆の前では明るく振る舞っていた。しかし心の中では、親友の燕子京が間もなくこの世を去ることを受け入れられずにいる。

一方の燕子京は、自分が旅立つ日が近いことを少しずつ受け入れようとしていた。端午が仕立てた新しい服を着せると、以前より身体がずいぶん痩せていることに彼女は気づく。

燕子京は、完成した七彩琉璃を使って太平尺を作れば、すべてを測る尺度となり、天下の平和にもつながるのではないかと考える。しかし端午には別の考えがあった。

端午は競争に勝つことよりも、燕子京と二人で旅をし、山や川を巡りながら穏やかに過ごしたいと願っていた。残された時間が長くないことを、端午もまた感じ取っていたのだ。

燕子京の身体は日に日に弱り、咳も増えていく。端午はその変化に気づいているものの、あえて尋ねようとはしない。彼に余計な負担をかけたくないからだ。

康琚と越雲岫も、二人が残された時間を大切に過ごせるよう願っていた。燕子京自身も、端午を心から愛し、本当なら一緒に年を重ねたいと願っている。しかし、自分の命が尽きようとしていることを知っている。

ようやく周囲の問題を解決し、これから端午と穏やかな人生を送れると思った矢先に、残された時間がほとんどない。その現実が、燕子京を苦しめていた。

そんな中、張晋然はついに事件の全容を皇帝へ報告し、燕氏の冤罪が正式に晴らされる。燕子京は張晋然に感謝する。

張晋然は端午に真実を話せず、燕子京と二人で何かを隠そうとする。しかし端午はすでに二人が自分に隠し事をしていることに気づいていた。それでも何も知らないふりをする。

張晋然が言葉を濁していると、燕子京はもう遠慮せず話してほしいと促す。張晋然は、自分には解毒薬を見つける力がなく、親友を救えなかったと悔しさをにじませる。

さらに張晋然は、端午もすでに燕子京の毒が治っていないことを知っていると明かす。端午は彼を救うため、関係者を追及して解毒薬の行方を探すよう張晋然に託していた。しかし、結局解毒薬を見つけることはできなかった。

燕子京はそこで、端午がこれまで自分に投げかけていた言葉の意味を悟る。彼女はずっと真実に気づきながら、自分を気遣ってくれていたのだ。

燕子京は、自分の人生で端午に出会えたことだけで十分幸せだったと感じる。そして残された時間は、悲しみではなく端午とともに過ごすことを選ぶ。

二人は互いの病について、それ以上語らない。初めて出会った頃のことを振り返り、あの二人がここまで一緒に歩いてきたことが信じられないと感じる。

燕子京が重い話をしようとしても、端午はわざと話をそらす。そして、できるならこのままずっと自分のそばにいてほしいと願う。

燕子京は心の中で強く揺れながらも、最後まで端午のそばに残ることはできないと考えていた。自分が彼女の目の前で死ねば、端午は一生その悲しみを背負うことになる。だからこそ、彼女から離れる覚悟を決める。

一方、張晋然が主催する賽宝会には、各地の目利きや商人たちが集まる。端午も明鏡台を代表して参加するが、もはや勝利そのものには執着していなかった。

明鏡台の太平尺が見事に第一位に選ばれると、端午は越雲岫に代わって賞を受け取るよう促す。崔十九も会場で端午の品を称え、誰もが明鏡台の優勝は当然だと認める。

端午には、かつての小虾米の姿が重なって見えていた。小さな夢から始まった明鏡台は、今では大きな店へと成長している。

しかし端午には、自分だけの新たな夢があった。彼女は第一位の栄誉を、自分よりもふさわしいと考えた崔十九へ譲る。

そして端午は、明鏡台に留まり続けるのではなく、自ら商隊を率いて各地を巡り、商売を続ける道を選ぶ。広大な砂漠を一人の商人として行き交いながら、彼女は自分自身の人生を歩み始めるのだった。

 

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