朝雪録〈あさゆきろく〉2025年 全38話 原題:朝雪录 朝雪録〜女医復讐記〜
第6話「紫竹林の死体」
宋柔殺害事件が解決し、秦莞はようやく燕遅から正式な信頼を得る。さらに燕遅は「いずれ京城へ戻る時、自分が力になる」と告げ、復讐のため都へ帰りたい秦莞は密かに喜びを隠せなかった。
その頃、秦家では長男・秦琛の妻で妊娠七か月の姚心蘭が体調を崩していた。秦莞は治療を行うが、姚心蘭は夫が別の女性へ心を移したのではないかと不安を漏らす。秦莞は夫婦関係の裏に何か隠された事情があると感じ始める。
そんな中、次男・秦隶が屋敷内で侍女・蓮葉の死体を発見する。蓮葉は既に死亡から時間が経過しており、首には絞殺痕が残されていた。さらに衣の中から紫竹の破片が見つかり、秦莞は紫竹林が犯行現場だと推測する。
しかし管家・劉春はなぜか通報を避けようとし、事件を揉み消そうとする。秦莞は不審を抱きながらも調査を続行。さらに秦隶から、自分が梅毒(楊梅瘡)を患っていると打ち明けられる。秦莞は治療を引き受けるが、その病が秦家内部で広がっている可能性に気づく。
薬庫を調べた秦莞は、八姨娘の薬にも同じ病の治療薬が含まれていることを知る。つまり秦家の誰かと八姨娘の間に密接な関係があったのだ。
そして六娘子・秦霜が誤って古井戸へ落ち、「井の底に人骨を見た」と叫ぶ。だが林氏と劉春は必死に否定する。秦莞は、秦家が長年隠してきた恐ろしい秘密が井戸の底に眠っていると直感するのだった。
第7話「八姨娘殺し」
燕遅は新たに刑部提刑按察使へ任命され、本格的に事件捜査へ乗り出す。同時に、秦莞が京城で活動できるよう、安陽侯・岳瓊へ彼女の後ろ盾作りを依頼した。
その矢先、秦家で八姨娘が殺害される。現場を検分した秦莞と燕遅は、死体が一度移動されていることを見抜く。さらに発見した侍女たちが証言を偽っていることも判明した。
追及された秦老夫人は、八姨娘が夜中に男と密会していた事実を隠すため、遺体を花棚から部屋へ移動させたと認める。秦家は“醜聞”を恐れ、事件そのものを隠蔽しようとしていたのだ。
検死の結果、八姨娘には梅毒症状が見られた。燕遅は「情夫こそ犯人かもしれない」と考え、秦家の男たち全員の身体検査を決定する。
一方、姚心蘭の病状は悪化。秦莞は薬に麝香が混入されていたことを発見する。麝香は妊婦に危険な薬材であり、誰かが意図的に流産を狙っていたのだった。
この回では、単なる殺人事件ではなく、“秦家全体が腐敗と秘密に満ちている”ことが次第に明らかになっていく。誰もが何かを隠し、誰もが嘘をついている状況の中、秦莞は一歩ずつ真相へ迫っていく。
そして秦琛は秦莞へ「もし危険なことがあれば必ず知らせてほしい」と意味深に忠告する。
その言葉には、彼自身もまた秦家の闇を恐れている様子がにじんでいた。
第8話「封じられた井戸」
八姨娘殺害の影響で、秦家当主・秦安は極度の動揺を見せる。梅毒も悪化し、精神状態は不安定になっていた。
そんな中、紫竹林で“鬼火”が目撃される。燕遅はこれを利用して林の捜索を開始し、封印された古井戸を発見する。さらに封印用の「鎮妖石」が動かされていたことから、誰かが意図的に彼らをここへ誘導したと考える。
井戸の中から見つかったのは、失踪していた劉春の死体だった。死因は八姨娘と同じく背後からの絞殺。つまり同一犯による連続殺人である可能性が濃厚になる。
さらに井戸を掘り進めると、頭骨と大量の遺骨が発見される。秦老夫人は「八年前に投身自殺した楊姨娘のもの」と説明するが、秦莞は遺骨の状態から違和感を抱く。
彼女は燕遅と共に骨格を復元し、楊氏が高所から落下して死亡したこと、さらに出産経験があったことを突き止める。つまり単純な自殺ではなく、暴力や隠蔽が絡んでいた可能性が高いのだ。
また白楓の調査で、かつて楊氏に仕えていた下人たちが全員処分されていたことも判明。秦老夫人は何か重大な秘密を隠すため、証人を消していた可能性が浮上する。
鬼火、封印された井戸、消えた女たち――。
秦家に渦巻く過去の惨劇が、少しずつその姿を現し始める。
第9話「井戸の亡霊たち」
燕遅と霍懐信は林氏を尋問し、楊氏がかつて子を産んでいたことを突き止める。しかし秦琛は、なぜか井戸調査の続行を止めようとする。秦家の者たちは皆、この井戸に異常な恐怖を抱いていた。
一方、秦莞は遺骨整理中に余分な掌骨を発見。井戸には楊氏以外にも複数の遺体が埋められていると確信する。
燕遅は封印された井戸を再び掘り返し、その結果、次々と少女たちの遺骨が見つかる。総数は十数体にも及び、秦老夫人は激しく動揺する。
秦莞の検視によれば、少女たちの骨には繰り返し暴行を受けた痕跡が残されていた。彼女たちは長期間虐待された末に命を落としたのだ。
さらに秦隶は、「父・秦安には少女を囲う秘密の院があった」と告白する。やがて少女たちは突然姿を消したという。
この証言により、秦家の真の闇が明らかになる。
秦安は裏で若い少女たちを買い集め、虐待していた可能性が高かったのだ。
これまでの殺人事件は単なる愛憎劇ではなく、“長年積み重なった怨念への復讐”だった可能性が濃厚になる。
井戸の底に埋められていたのは遺骨だけではない。
秦家が長年築いてきた虚飾と権威、そのすべてだった。
第10話「復讐の娘」
秦安の病状は急激に悪化し、秦莞は毒が盛られていることを突き止める。誰かが口封じのため、真実を知る秦安を消そうとしていた。
燕遅と秦莞は十三体もの遺骨を調査し、失踪少女の記録を追跡。その過程で、かつて火災で家族を失った楊氏と、その二人の娘の存在へたどり着く。
二人は推理する。
楊氏の娘こそ、現在の連続殺人の実行犯、あるいは黒幕ではないか――。
さらに秦莞は、巨大な鎮妖石が竹を使えば少人数でも動かせると見抜き、「女性には不可能」という従来の推理を覆す。
追及を受けた秦安は、慶源典当行を通じて少女を密かに買っていたと自白。燕遅は直ちに典当行を封鎖し、楊氏の娘の行方を追う。
その頃、秦莞は秦隶から驚くべき話を聞く。
長男・秦琛が、老夫人付き侍女の采荷と密かに関係を持っていたというのだ。
さらに燕遅は「楊氏の夫が色盲だった」という情報から、采荷の正体に気づく。采荷こそ楊氏の娘であり、母と虐待された少女たちの復讐を実行していたのである。
秦莞は秦琛へ、采荷が姚心蘭への毒殺未遂を含め数々の復讐を行っていたと告げる。愛していた女性が復讐者だったと知り、秦琛は激しく動揺する。
その頃、采荷は姚心蘭を仏堂へ連れ出していた。
復讐の連鎖はついに最終局面へ突入し、秦家を飲み込もうとしていた。
















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