孤高の花 ~General&I~

孤高の花 ~General&I~

孤高の花 ~General&I~ 45話・46話・47話・48話 あらすじ

孤高の花 ~General&I~ 2017年 全62話 原題:孤芳不自赏  General and I

第45話 生きていた娉婷 絶望の果てに訪れる再生の光


白娉婷の死を信じ込まされた何侠は、かつてないほど深い喪失感に包まれていた。長年抱き続けた執着と愛情、そして復讐心。そのすべての中心にいた娉婷が本当にこの世からいなくなったと思った瞬間、彼の心には大きな空洞が生まれる。何侠は冬灼に向かい、自分がここまで歩んできた道のりを振り返りながら、今後はもう過去に囚われないと語る。娉婷は完全に自分の手の届かない場所へ行ってしまった。だからこそ、これからは天下統一という大望だけを見据えると決意する。そして来年の父母と娉婷の命日には「天下を祭壇にして供える」と語り、自らの行く手を阻む者は誰であろうと容赦なく排除すると誓うのだった。

一方、大涼では楚北捷がなおも娉婷を想い続けていた。彼は典青峰近くに留まり、竹林の中で静かに笛を吹いていた。その音色には亡き妻への尽きぬ愛と後悔が込められている。陽鳳は、どれほど悲しんでも死者は戻らないと諭し、山中の寒さで体を壊せば娉婷も悲しむはずだと説得する。しかし楚北捷は、自分にはもうこれしかできないと言う。娉婷への想いを抱えながら生涯を生きることこそ、自分に課せられた罰だと考えていたのである。

晋では司馬弘の病状がさらに悪化していた。謝太尉から白娉婷の埋葬が無事に終わったとの報告を受けた司馬弘は、深い悲しみを胸に秘めながら豊年祭へ出席する。しかし弓を引く手は震え、かつて百戦錬磨の君主として君臨した面影は薄れつつあった。臣下たちの前で弱みを見せまいと弓を持ち替えさせ、なんとか一羽の鳩を射落としたものの、その直後に吐血して倒れてしまう。

宮中へ戻った司馬弘は名医・霍雨楠の診察を受ける。霍雨楠は率直に、心労を避ければ二年ほど命を保てる可能性があると告げる。しかし司馬弘には時間が残されていなかった。彼は大晋の未来を守るため、どうしても自分の手で成し遂げなければならないことがあると考えていた。

司馬弘は王后を呼び、三つの遺言ともいえる願いを託す。第一に、自分が旅先で死んだ場合は必ず大晋の地に葬ること。第二に、冷宮へ追放されている張貴妃の処遇について、自害を望むなら白絹を与え、妃として葬ること。そして第三に関しては誰にも任せられないと言い、自ら楚北捷を探しに出る決意を固める。司馬弘にとって、楚北捷こそが大晋の未来を背負う唯一の存在だったのである。

その頃、松森山脈で拉致された醉菊は、刺客・番麓によって且柔城へ連れ去られていた。番麓は彼女が白娉婷ではないことに気付いていたが、その正体には強い興味を抱いていた。一方、山中に取り残された白娉婷は、偶然通りかかった山民・阿漢夫婦に助けられていた。高熱で意識を失ったまま十日間も生死の境をさまよっていたが、献身的な看病によってようやく目を覚ます。

娉婷は自分を救ってくれた夫婦に感謝しながらも、醉菊の安否が気になって仕方がない。まだ体力も戻っていないにもかかわらず、大涼へ向かう決意を固める。阿漢夫婦はそんな彼女を案じ、妻の粗末な衣服を着せて身分を隠し、馬車まで用意して送り出すのだった。

白蘭では耀天公主が軍事改革を進めていた。貴丞相の反対を押し切り、軍専用の財政機関を設立して何侠に管理を任せる。これは軍事力強化を急ぐ耀天の強い意志の表れであり、同時に何侠への絶大な信頼の証でもあった。しかしその決断は、朝廷内の対立をさらに深めることになる。

やがて白娉婷は苦難の末に則尹と陽鳳の屋敷へたどり着く。死んだはずの人物が突然現れたことで、屋敷中は大騒ぎとなる。陽鳳と則尹は歓喜しながら彼女を迎え入れるが、娉婷の口から出た第一声は「醉菊はどこ?」だった。

しかし陽鳳も則尹も醉菊の存在を知らない。則尹は部下が松森山脈で発見した遺体について説明する。狼に食い荒らされた女性の遺体の近くには女性物の衣服と夜明玉簪が落ちていたため、誰もが白娉婷の亡骸だと信じたのだという。

その言葉を聞いた瞬間、娉婷の表情は凍り付く。玉簪は自分が醉菊に託したものだった。つまり、自分が生きている以上、死んだとされた人物は醉菊かもしれない――。

これまで懸命に生き延びてきた娉婷だったが、その衝撃に耐えきれず意識を失い、その場に崩れ落ちる。再会の喜びは一瞬にして悲劇へと変わり、第45話は新たな不安と波乱を残したまま幕を閉じる。


第45話 見どころ

● 何侠が過去との決別を宣言

娉婷の死を信じた何侠が、ついに愛と執着を断ち切ろうとする場面は大きな転機となる。

● 楚北捷の深すぎる愛

亡き妻を想いながら笛を吹き続ける姿は切なく、彼の一途な愛情が胸を打つ。

● 病に倒れる司馬弘

衰弱が進む中でも大晋の未来を守ろうとする司馬弘の覚悟が描かれる重要な回。

● 白娉婷、生還

視聴者が待ち望んだ娉婷の復活。山民夫婦に救われていた事実が明らかになる。

● 醉菊死亡説の衝撃

玉簪の真相が判明し、今度は醉菊の安否が最大の謎として浮上する。


総評

第45話は、前話で描かれた「白娉婷死亡」という絶望的な空気を一変させる重要なエピソードである。娉婷の生存が判明する一方で、今度は醉菊の身に何かが起きた可能性が浮上し、物語は新たな局面へ進む。

また、司馬弘の病状悪化と楚北捷捜索の決意は、大晋の未来を左右する大きな伏線となっている。何侠、楚北捷、司馬弘という三人の男たちが、それぞれの信念と喪失感を抱えながら進んでいく姿が印象的な回であり、終盤に向けて物語が大きく動き出す節目のエピソードとなっている。

 

第46話 死を越えて生きる決意 娉婷が選んだ新たな隠遁生活


白娉婷の死を信じたまま生きる楚北捷は、大涼の典青峰の麓に建てられた墓の前で、来る日も来る日も彼女を偲び続けていた。墓前に座る彼の姿には、かつて天下無双と称えられた名将の面影はなく、ただ最愛の妻を失った一人の男の深い悲しみだけが残されていた。

そんな楚北捷のもとを司馬弘が訪れる。病を押してはるばる典青峰までやって来た司馬弘は、墓前に佇む弟を見て胸を痛める。楚北捷は彼をかつて白娉婷と共に転落した断崖の索道へ案内する。あの時、誰もが二人の死を確信したが、奇跡的に生還した。そして今、娉婷は本当にこの世を去ったと信じている楚北捷は、あの時二人で死んでいた方が幸せだったのかもしれないと語る。

司馬弘は意を決して長年秘めてきた真実を明かす。楚北捷は楚家の血筋ではなく、自分と同じ司馬家の血を引く実の弟であること。そして自分の命が長くないことを告げ、大晋の未来を託すため王都へ戻ってほしいと懇願する。

しかし楚北捷の心は既に王位にも権力にも向いていなかった。彼にとって娉婷を失った今、天下も栄華も何の意味も持たない。司馬弘の願いを静かに断り、自分はもう戻らないと告げる。その言葉に司馬弘は深い失望を覚えながらも、弟の苦しみを理解し、重い足取りでその場を去るのだった。

一方、生き延びた白娉婷は則尹と陽鳳の屋敷で療養していた。意識を取り戻した彼女が最初に尋ねたのは、親友であり忠実な侍女である醉菊のことだった。

陽鳳は、発見された遺体を娉婷本人だと信じていたため、典青峰の美しい場所に丁重に埋葬したと説明する。そしてもう一つ、ずっと伝えるべきか迷っていた事実を話す。それは楚北捷が墓を訪れていたことだった。

陽鳳は、楚北捷が墓前で三日三晩眠ることなく娉婷を悼み続けた様子を語る。彼は心から娉婷を愛し続けており、今からでも追いかければ間に合うかもしれないと勧める。

しかし娉婷は首を横に振る。

世間では楚北捷が彼女を不幸にしたと思われているが、本当は逆だという。自分こそが楚北捷に災いをもたらし、多くの人々を巻き込み、罪のない者たちを死なせてしまった。東山別院で命を落とした将兵たち、行方不明となった醉菊、国家を揺るがした数々の争い。そのすべての中心に自分がいたことを痛感していた。

だからこそ、白娉婷という女性は松森山脈で死んだことにしたいと語る。過去を捨て、新しい人生を静かに生きたいというのが彼女の願いだった。

陽鳳はその決意を受け入れる。そして娉婷を二度と危険な目に遭わせないため、則尹と相談して屋敷の使用人たちを全員解雇し、自分たちも身を隠して暮らすことを決めたと明かす。娉婷はその友情に深く感謝するのだった。

その頃、白蘭では耀天公主が国政運営に苦心していた。軍の実権を握る何侠と、朝廷を支える貴丞相の対立が激しさを増している。丞相は自らの養女である風音を何侠の側室として送り込みたいと提案する。

耀天は複雑な思いを抱えながらも、その提案を受け入れる。国家を安定させるためには両者の不満を和らげる必要があると考えたからだ。

公主は正式な勅命として、美しく歌や舞に優れた風音を何侠のもとへ送る。だが冬灼は、公主の監視の目がますます強くなることに強い不満を抱く。何侠を取り巻く環境は、ますます複雑になっていくのだった。

一方、番麓に捕らえられている醉菊は、未だ自由を奪われたままだった。番麓は彼女に新しい衣服を着せ、山へ連れて行くと告げる。醉菊は以前の服を返してほしいと訴えるが、番麓は意にも介さない。彼が何を考え、なぜ醉菊を生かしているのかは依然として謎のままである。

そして則尹夫妻と娉婷は、新たな隠れ家へ移る準備を進める。娉婷が提案したのは、松森山脈の反対側にある小さな山村だった。豊かではないが人々は温かく、静かに暮らすには理想的な場所である。

則尹夫妻もその案に賛成し、新天地での生活を決意する。

旅立ちの日、三人は典青峰へ向かい、醉菊の墓と信じられている場所を訪れる。そこで娉婷は親友への感謝と悲しみを胸に、静かに手を合わせる。

だが皮肉にも、その墓に眠る人物の正体は誰にも分かっていない。

生者は死者を悼み、死者と思われた者は生きている――。

数々の誤解と運命のすれ違いの中で、物語は新たな局面へと進んでいくのだった。


第46話 見どころ

● 司馬弘が明かす衝撃の真実

楚北捷が司馬家の血を引く実の王弟だったという秘密が改めて描かれ、大晋の未来を左右する重要な場面となる。

● 王位よりも娉婷を選ぶ楚北捷

天下よりも愛する人を失った悲しみを優先する楚北捷の姿が胸を打つ。

● 娉婷の苦しい決断

自らを「死んだ人間」として生きる道を選ぶ娉婷。彼女の自己犠牲と後悔が色濃く描かれる。

● 陽鳳と則尹の深い友情

すべてを捨ててでも娉婷を守ろうとする二人の友情が感動的。

● 醉菊生存の伏線

娉婷たちは醉菊の死を信じているが、視聴者だけが彼女の生存を知るという切ない構成が見事。


総評

第46話は、大きな戦いや陰謀よりも登場人物たちの心情に重点が置かれた感動回である。特に楚北捷と司馬弘の対話は、大晋の未来と兄弟の絆を描く重要な場面となっている。

また、生きているにもかかわらず「死んだ人」として生きることを決意した白娉婷の選択は、本作屈指の切なさを感じさせる。さらに醉菊の生存という事実が今後どのような形で明かされるのかも大きな見どころであり、物語は新たな再会と運命の転機へ向けて静かに動き始めた一話であった。

 

第47話 隠遁の歳月 娉婷が育む平穏と迫り来る新たな戦乱


醉菊の墓前で、白娉婷と陽鳳は静かに琴を奏でながら故人を偲んでいた。長い苦難の旅路を共に歩み、命を懸けて自分を守ってくれた親友への想いは尽きることがない。演奏を終えた娉婷は、これから先も楚北捷とは二度と会わないと静かに語る。そして楚北捷との思い出が詰まった琴を自ら地面へ叩きつけた。過去への未練を断ち切ろうとするその姿には、深い悲しみと決意が込められていた。

それから数年の歳月が流れる。

娉婷は則尹と陽鳳夫婦とともに松森山脈近くの小さな村へ移り住み、平穏な日々を送っていた。かつてその村は荒れ果てた土地だったが、娉婷は豊富な知識と知恵を活かし、村人たちと協力しながら開墾を進めていく。山中から水源を探し当てて井戸を掘り、梅の木を植え、高田灌漑用の連動水車を考案した。その結果、不毛の地だった村は緑豊かな集落へと生まれ変わり、人々は安定した暮らしを手に入れることができた。

村では則尹と陽鳳の息子・則慶と、娉婷の息子・長笑が兄弟のように育っていた。則尹は二人に武芸を教え、子どもたちは毎日元気に稽古へ励む。成長した長笑の姿を見るたびに、娉婷は父親である楚北捷を思い出していた。長笑は父のことをほとんど知らないまま育ったが、その立ち居振る舞いや勇敢な性格には楚北捷の面影が確かに宿っていた。

その年、村の名物となった百里梅林が大豊作となる。村人たちは豊かな収穫に喜び、娉婷と陽鳳は利益を公平に分配する準備を進める。そんな中、長笑は幼いながらも恩義を忘れない心を持っていた。幼少期から可愛がってくれた阿漢叔父に恩返しをしたいと考え、こっそり帳簿を書き換えて分配金を増やそうとする。

もちろん娉婷はその小細工を見抜いていた。しかし息子の優しさを叱ることはせず、自分の私財から不足分を補うことで長笑の願いを叶える。人として大切な思いやりを持つ息子の成長に、母として誇らしさを感じていたのである。

娉婷の尽力によって村人たちは豊かになり、人望も厚くなった。やがて村人たちは満場一致で娉婷を狮子林の村長に推挙する。長笑は村長という役職の意味がよく分からず、則慶に尋ねる。すると則慶は「父上が言う女侠みたいなものだ」と説明し、二人は大笑いしながら部屋中を転げ回る。

その拍子に二人は床下に隠された木箱を発見する。中に納められていたのは、かつて楚北捷が愛用していた宝剣だった。懐かしい品を目にした娉婷は言葉を失う。穏やかな日々を送っていても、心の奥底では今なお楚北捷を忘れることができずにいた。彼は今どこで何をしているのか。幸せに暮らしているのか。それとも自分と同じように過去を抱えながら生きているのか。娉婷の胸には再び遠い想いが去来する。

一方その頃、天下の情勢は大きく変化していた。

白蘭では何侠が次々と戦功を重ね、かつて最弱と呼ばれた国は急速に勢力を拡大していた。この日も何侠は十の城を攻略した功績を携えて凱旋する。沿道の民衆は英雄を歓迎し、何侠は遠征先で集めた珍宝の数々を耀天公主へ献上する。

耀天は驸馬である何侠の働きを高く評価し、丞相による内政と何侠による軍事が揃えば白蘭が天下の覇権を握る日も遠くないと語る。何侠もまた公主への忠誠を示し、二人の結束はかつてないほど強固になっていた。

しかし、その裏では丞相が不満を募らせていた。

何侠は耀天を驸馬府に泊めた翌日、朝廷で公主の懿旨を読み上げる。その内容は大晋への出兵命令だった。白蘭はさらなる領土拡大へ動き出そうとしていたのである。何侠が軍事・政治の両面で影響力を増していく様子に、貴丞相は危機感を抱き始める。

その頃、則尹は村で作った酒を売るため管家とともに都へ向かっていた。立ち寄った名高い歓楽楼「嬌嬿楼」では、豪商や貴族たちによる華やかな競売が行われていた。

楼主の燕十三娘が珍しい蝉紋金鐺を競売に掛けると、価格は瞬く間に高騰する。落札者が「貂蝉」の故事になぞらえて貂の尾を贈ると、燕十三娘はその機転を称え、逆に黄金三百両を与えるという豪快な振る舞いを見せる。

その場にいた者たちは皆驚嘆し、則尹もまたこの都に新たな風雲が巻き起ころうとしていることを感じ取るのだった。


第47話 見どころ

● 数年後の平穏な暮らし

物語は大きく時間が進み、娉婷たちが築き上げた穏やかな生活が描かれる。

● 娉婷の村づくり

井戸や水車を整備し、不毛の土地を豊かな村へ変えた娉婷の才覚が光る。

● 長笑の成長

楚北捷の息子・長笑が優しく聡明な少年へ成長している姿が印象的。

● 楚北捷の形見との再会

宝剣の発見によって、娉婷の胸に封印していた想いが再びよみがえる。

● 白蘭の急成長

何侠の活躍により白蘭が大国へと変貌し、天下統一へ向けて動き出す。

● 燕十三娘の登場

新たな重要人物の登場が、今後の物語にどのような影響を与えるのか注目。


総評

第47話は、激動の逃避行と戦乱の日々を経て訪れた「束の間の平穏」が描かれるエピソードである。娉婷は村人たちに慕われる存在となり、長笑も健やかに成長している。しかし、その平和の裏では天下情勢が大きく動き始めていた。

特に何侠率いる白蘭の急速な勢力拡大は、今後の大晋との全面対決を予感させる重要な展開である。また、楚北捷の宝剣が再び登場したことで、娉婷が完全に過去を断ち切れていないことも示された。

静かな日常と迫り来る戦乱の気配が巧みに描かれた回であり、第二部とも言える新章の幕開けを感じさせる重要なエピソードとなっている。

 

第48話 嬌嬿楼の秘密 楚北捷が仕掛ける大晋再興の一手


則尹は管家の魏霆とともに、天下に名を轟かせる豪華な競売船・嬌嬿楼を訪れていた。楼内では燕十三娘が次々と希少な宝物を競売にかけ、会場は熱気に包まれている。そんな中、戦国時代の兵法書一式が出品される。魏霆は「白姑娘ならきっと喜ぶはずだ」と則尹に勧め、則尹も娉婷への土産に落札しようと決意する。

しかし、入札が始まる前に燕十三娘は侍女から耳打ちを受けると、突然競売終了を宣言し、自ら兵法書を抱えて楼上へ向かってしまう。不審に思った則尹と魏霆は密かに後を追うが、十三娘は巧みに二人を撒いてしまう。

それでも諦めなかった則尹たちは船の最上部へたどり着く。そこには美しい植物が並んでいたが、よく見るとどれも根付きが浅く枯れかけていた。頻繁に移動している証拠だと見抜いた則尹は周囲を調べ、隠された通路を発見する。

通路の先で二人が目にしたものは驚愕の光景だった。巨大な船腹の内部には秘密の倉庫が存在し、金銀財宝や貴重な物資が山のように積み上げられていたのである。これは単なる商人の財力ではない。巨大な国家すら動かせる規模の財産だった。

則尹が危険を察知した直後、嬌嬿楼の者たちに発見されてしまう。激しい追跡の末、二人は武術を駆使して辛うじて脱出することに成功するが、嬌嬿楼がただの商売の場ではないことを確信する。

一方その頃、燕十三娘は主人のもとへ報告に向かう。静かな部屋で絵筆を走らせていたその人物こそ、長年行方をくらませていた楚北捷だった。

十三娘は則尹の鋭い洞察力を高く評価し、さらに最近出会った聡明な女性について語る。楚北捷は興味を示しながら報告を聞く。そして十三娘は、大晋各地の宮廷や寺院から集められた貴重な古書や善本の目録を差し出す。嬌嬿楼は表向きこそ豪華な競売楼だが、その実態は莫大な資産と情報を蓄積する秘密組織だったのである。

さらに情報坊から緊急報告が届く。何侠がついに白蘭軍を率いて大晋侵攻を開始したという知らせだった。楚北捷は静かに目を閉じる。長年続けてきた嬌嬿楼による資金蓄積の役目は終わりを迎えようとしていた。戦う時が近づいているのである。

帰宅した則尹の様子がおかしいことに娉婷はすぐ気づく。事情を聞いた彼女は嬌嬿楼の正体に強い危機感を抱く。あれほどの財宝を秘匿している以上、国家規模の陰謀が動いている可能性がある。自分たちの平穏な暮らしも長くは続かないかもしれない。娉婷は早急に移住の準備を始めるべきだと判断する。

その頃、白蘭では何侠が出征準備を進めていた。貴氏一族の将軍たちは自分たちが外されるのではないかと不安を抱くが、何侠は貴常寧と貴炎を左右両翼の将軍に任命し、大軍を率いて大晋へ侵攻するよう命じる。

大晋国内では深刻な食糧不足が発生していた。徴発によって農民たちの口糧まで奪われ、人々は飢えに苦しむ。病に倒れた晋王・司馬弘は、何侠の軍勢がすでに国土深くまで侵攻していることを知り焦燥を募らせる。しかし朝廷には軍を率いる覚悟を持つ者がいなかった。

そんな絶望的な状況の中、一筋の光が差し込む。民間の正体不明の豪商が十万石もの食糧を無償提供すると申し出たのである。司馬弘は思わず「天はまだ晋を見捨てていない」と歓喜する。

だが、この豪商こそ楚北捷が嬌嬿楼を通じて築き上げた巨大な経済網だった。彼は莫大な財力を使い、大晋を陰から支え続けていたのである。

この情報はすぐに何侠の耳にも届く。何侠は正体不明の豪商の存在を警戒しながらも、逆にそれを利用する策を思いつく。半年以上かけて買い占めた穀物を一斉に市場へ放出し、人々の心理を操ろうと考えたのだ。

飢餓への恐怖から解放された民衆は一斉に買い占めに走る。価格が上がればさらに不安が広がり、やがて盗みや暴動が発生する。何侠は「国を乱すにはまず民の心を乱せ」と語り、戦わずして大晋を内部崩壊へ追い込もうとしていた。

一方、十三娘は楚北捷に穀物価格が異常な高騰を見せていることを報告する。しかし楚北捷は買い付けを続行するよう命じる。

「国が滅びれば、金など何の意味もない。」

その言葉には、大晋を守ろうとする強い覚悟が込められていた。

そんな中、娉婷と陽鳳も子供たちを連れて市場へやって来る。突然流通し始めた大量の米に違和感を覚えた娉婷は、自ら調査を始めていた。そして市場の動きを観察した彼女は、この一連の食糧流通が何侠による策略だと見抜く。

さらに市場の雑踏の中で、楚北捷は一瞬だけ娉婷によく似た女性の姿を目にする。しかし人波に紛れて消え去り、それが幻だったのか現実だったのか分からないまま立ち尽くすのだった。

こうして第48話は、楚北捷が長年築き上げた嬌嬿楼の真の目的が明らかになると同時に、再び近づき始めた楚北捷と娉婷の運命を予感させながら幕を閉じる。


第48話 見どころ

● 嬌嬿楼の正体がついに判明

豪華な競売楼の裏に隠されていた莫大な財宝と情報網。その真の主が楚北捷だったことが明かされる。

● 楚北捷の国家規模の布石

戦場を離れていた数年間も、大晋再建のために財力と情報を蓄えていたことが判明する重要回。

● 何侠の経済戦争

武力ではなく食糧と市場を利用して大晋を崩壊させようとする何侠の恐るべき戦略が描かれる。

● 娉婷の鋭い洞察力

市場の異変から何侠の真意を見抜く姿に、かつての軍師としての才覚が再び光る。

● すれ違う運命の二人

同じ市場にいながら再会できなかった楚北捷と娉婷。再会の瞬間は確実に近づいている。


総評

第48話は戦場ではなく「経済」と「情報」が主戦場となる異色の回である。楚北捷が築き上げた嬌嬿楼の全貌が明らかになり、彼が単なる名将ではなく国家規模の戦略家であることが示された。

一方で何侠もまた食糧市場を利用した心理戦を仕掛けており、両者の戦いは剣や軍勢だけではなく、民心と経済を巡る頭脳戦へと発展していく。

そして物語最大の見どころは、すぐ近くにいながら再会できない楚北捷と白娉婷である。運命は再び二人を引き寄せ始めており、次回以降の展開に大きな期待を抱かせるエピソードとなっている。

 

孤高の花 ~General&I~ 49話・50話・51話・52話 あらすじ

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