「恋狐妖伝」シリーズ第2弾。七夕の誓い~恋狐妖伝2~ 2025年 全36話 原題:淮水竹亭
第6話 引き裂かれた花婿
王権酔は兄・弘業と淮竹の仲を進展させようと、二人を雲景楼へ招き、星空を眺める機会を作る。突然の計らいに戸惑いながらも、弘業は淮竹と穏やかな時間を過ごす。彼は何度も自分こそが面具団の少侠であることを打ち明けようとするが、そのたびに言葉を飲み込み、真実を告げることができない。淮竹との関係を失うことへの不安が、彼の決断を鈍らせていた。
一方その頃、李去濁と李自在の兄弟は、流雲軒の仲買人を追跡していた。李自在が玉佩を餌にして情報を引き出した結果、流雲軒が南宮垂と御妖符の取引を行っていることが判明する。妖を支配する危険な術具が裏で流通している事実に、二人は危機感を強める。
その頃、楊家では楊雁と木小五の婚礼が盛大に行われていた。淮竹と秦蘭も花嫁の支度を手伝い、二人の幸せな未来を心から祝福していた。しかし喜びに満ちた宴は突如として崩れ去る。南宮垂が稽査司を率いて現れ、木小五が妖の初景を逃がした罪人だと糾弾したのである。
木小五は妖と結託した裏切り者だと非難され、その場で連行されそうになる。しかし弘業は毅然と立ちはだかり、証拠もないまま人を裁くことは許さないと宣言する。そして真相を突き止めるため、自ら淮竹とともに初景を捜し始める。
二人は情報を求めて如意楼を訪れ、楼主の青木媛から初景の行方を聞き出す。捜査を進めるうちに、この事件の裏には御妖符を利用した陰謀が潜んでいることが見え始めていた。
しかしその夜、思いもよらぬ悲劇が起こる。弘業が不在の隙を突き、楊家の者たちは自らの保身のために賓客へ薬を盛り、木小五を稽査司へ引き渡してしまう。花嫁衣装のまま泣き叫ぶ楊雁の願いも届かず、幸せなはずの婚礼の日は絶望の日へと変わってしまうのだった。
第7話 守りたい命
稽査司では初景が追い詰められていた。彼らは御妖符を使って初景を自害に追い込み、事件を闇に葬ろうとしていたのである。しかし間一髪のところで弘業と淮竹が駆けつけ、初景を救い出すことに成功する。
意識を取り戻した初景は、自らの過去を語り始める。彼は鉱山で働かされていた鱗鯉妖で、生まれてから一度も太陽を見たことがなかった。そんな彼に同情した木小五は危険を承知で自由を与えたのだった。その善意こそが、木小五が罪人に仕立て上げられた理由だったのである。
さらに初景は、自分が人を殺したのは本意ではなく、御妖符によって意志を操られていたためだと証言する。事件の黒幕が稽査司であることは明らかだった。
その頃、稽査司の牢では木小五が壮絶な拷問を受けていた。王権家や楊家が妖と結託していると認めるよう迫られるが、木小五は最後まで屈しない。どれほど苦しめられても、愛する楊雁や恩人たちを裏切ることはなかった。
楊雁もまた諦めていなかった。眠らされないよう自ら金簪で手を傷つけ、血を流しながら意識を保つ。そして花嫁衣装のまま稽査司へ駆けつけるが、木小五を救い出すことはできなかった。
一方、弘業は再び不吉な夢を見る。そこには黒く染まった苦情樹が立ち、世界が永遠の夜に覆われるような不穏な光景が広がっていた。その夢は、やがて訪れる大災厄を予感させるものだった。
夜が明け、弘業は決意を固める。初景を守り抜くだけでなく、木小五も必ず救うと誓ったのだ。その真摯な姿に淮竹は少しずつ彼への見方を変え始める。
しかし二人が楊家へ戻ろうとしたその時、木小五に何かが起きたとの知らせが届く。胸騒ぎを抱えながら、弘業たちは急いで現場へ向かうのだった。
第8話 雪が降る別れの日
弘業は初景を連れて稽査司へ乗り込み、事件の真相を明らかにしようとする。初景は自らの体験を語り、御妖符によって操られていたことを証言する。弘業の権威を恐れた稽査司は反論できず、ついに初景を解放する。
しかしその時にはすでに手遅れだった。木小五は拷問によって瀕死の状態に追い込まれていたのである。
淮竹は貴重な丹薬を使い、木小五にわずかな時間だけ意識を取り戻させる。木小五は涙を流す楊雁に向かって、恨みを抱えたまま生きてほしくないと静かに語る。そして愛する人の未来を願いながら、その短い命を燃やし尽くすのだった。
最愛の人を失った楊雁は絶望し、自ら髪を切って楊家との縁を断つ。家の都合によって愛する人を失った彼女は、もはや家族を信じることができなかった。
木小五への恩を忘れない初景は、最後の力を振り絞る。生涯雪を見たことがなかった木小五のために妖力を使い、一面の雪景色を作り出すのだ。静かに舞い落ちる雪の中、木小五は旅立っていく。その光景は見る者すべての胸を打った。
淮竹は怒りと悲しみに震えながら弘業を問い詰める。一気盟の盟主でありながら、なぜ稽査司や南宮家の暴走を止められなかったのかと。
弘業は必ず責任を取ると誓うが、淮竹の失望は深かった。さらに弘業が楊還舟に対し、「稽査司掌握の計画が狂った」と語る場面を偶然耳にしてしまう。淮竹はそれを冷酷な権力争いだと誤解し、弘業を激しく非難する。
「あなたとは歩む道が違う」
そう言い残し、淮竹は立ち去る。弘業は誤解を解こうとするが、言葉は届かなかった。
失意の中で弘業は南宮家への処罰を発表し、南宮垂を妖族専用の牢獄へ送る。だが彼の胸には、淮竹との絆が断たれた痛みが深く残っていた。
第9話 仮面の下の真実
神火山荘へ戻った淮竹に、金人鳳が妖の鱗で作られた装飾品を贈る。しかしその鱗が妖から無理やり剥ぎ取られたものだと知った淮竹は激怒し、その場を去ってしまう。
拒絶された金人鳳は怒りを募らせ、山中で妖の小昙を殺そうとする。だが小昙は命乞いをしながら、「もっと強くなる方法を教えられる」と囁く。その言葉は、金人鳳の心に潜む欲望を刺激していた。
そして一か月後。約束の日に弘業は再び仮面をつけて竹亭を訪れる。気まずい空気を和らげようと酒を用意した弘業に対し、淮竹は自ら作った金蘭の仮面を贈る。
その優しさに触れた弘業は、ついに決意する。彼は自ら仮面を外し、自分が王権弘業であり、同時に面具団の少侠だったことを打ち明ける。
しかし淮竹は深く傷ついていた。これまで信じてきた相手に正体を隠されていたことを受け入れられず、怒りと失望を露わにする。そして「もう二度と会わない」と告げ、その場を去ってしまう。
一方、楊家では木小五の死をきっかけに家族の絆が崩壊していた。楊一嘆は祖父・楊還舟を責める。幼い頃、自分を妖の鉱山へ放り込み、今また木小五を見捨てた祖父の非情さを許せなかったのである。
孤立した楊還舟の前に小さな黒狐が現れる。それは黒狐娘娘へと繋がる存在だった。黒狐の誘惑に飲み込まれた楊還舟は、やがて闇の駒となっていく。
その頃、弘業は御妖国を訪れ、御妖符を一気盟へ流さないよう警告していた。しかし楊還舟は黒狐の助言を受け、御妖符を利用して弘業を操ろうと企む。
彼は大妖・九惑の封印を解くため罠を仕掛けるが、弘業は最後まで屈しなかった。「妖は討つべき存在かもしれない。だが奴隷にしてはならない」という信念を貫いたのである。
その強い意志は、封印されていた九惑の心さえ動かすことになる。
第10話 二十年後の世界
大妖・九惑は黒狐娘娘の正体がかつての弟子・珈藍であることを知る。愛弟子を取り戻すため、彼は黒狐を隔離する結界を破ろうと決意する。その鍵となるのが、霊血を受け継ぐ淮竹だった。
九惑は密かに王権山荘へ現れ、淮竹を観察する。そして金蓮法陣を使い、彼女を二十年後の未来へと連れ去ってしまう。
異変を察知した弘業は急いで駆けつけるが間に合わない。愛する人を奪われた彼は李去濁に法陣の解析を命じ、自らも未来へ向かう準備を始める。
やがて弘業、王権酔、楊一嘆は二十年後の世界へ到着する。しかしそこで目にした光景は衝撃的なものだった。神火山荘は荒廃し、一気盟は滅亡していたのである。人と妖は再び憎しみ合い、世界は混乱に包まれていた。
唯一平和を保っているのが、黄泉族の大妖が築いた碧落城だった。
弘業たちは碧落城へ潜入するが、そこで思いもよらぬ人物と再会する。それは左護法として人々から敬われる淮竹だった。
しかし彼女は弘業のことをまったく覚えていない。九惑によって記憶を奪われ、妖気を植え付けられた結果、別人のようになっていたのだ。さらに淮竹は侵入者として弘業に攻撃を加え、彼を負傷させてしまう。
弘業たちはやむなく撤退するが、その胸には深い衝撃が残る。
その頃、碧落城の裏では恐ろしい陰謀が進行していた。保護されたはずの狼妖は宿屋へ送られた直後、店主によって殺され、「金晨曦」の欠片へと変えられていたのである。
偶然その光景を目撃した翠玉鳴鸞は恐怖に震えながら逃げ出す。未来世界に隠された闇は、弘業たちの想像をはるかに超えるものだった。物語は新たな局面へと突入していく。
















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