子夜帰(しやき)

子夜帰(しやき)

子夜帰(しやき) 26話・27話・28話・29話・30話 あらすじ

子夜帰(しやき) 2025年 全38話 原題:子夜归

第26話あらすじ

深夜、激しい痛みに襲われた武祯は眠りから叩き起こされ、耐え難い苦痛に耐えながら妖市へ向かい治療を求める。その様子を、梅逐雨は眠ったふりをして密かに見守っていた。無字书は武祯の治療にあたり、これ以上妖力を乱用すれば命に関わると厳しく警告する。朦朧とする意識の中で、武祯は思わず梅逐雨の名を呼び、無字书の胸に静かな痛みを残した。

帰宅した武祯は、待っていた梅逐雨に如意楼へ行ったことを正直に打ち明ける。梅逐雨は窓外に潜む無字书の気配に気づき、あえて武祯に口づける。その光景を目にした無字书は怒りと嫉妬に打ち震え、幼少期から武祯と過ごした日々を思い返す。彼女が人として生きることを望んだがゆえに、どれほど想っていても自分は選ばれなかったのだと、苦い現実を噛みしめる。

翌朝、梅逐雨は師兄と共に、かつて妖気が消えた廃地を再調査し、そこが妖市の入口である可能性を強める。一方、柳太真は負傷したと聞いて梅四の元を訪ねるが、彼が元気に過ごしているのを見て憤慨する。だが屋敷で撒かれた雄黄により、柳太真と玄馗は体調を崩し、梅四も蛇に噛まれてしまう。

看病の最中、柳太真は屋敷に飾られた梅四の肖像画の数々に気づき、複雑な思いを抱く。そこへ梅父が現れ、二人の婚約を改めて進めようとするが、梅四は柳太真を縛りたくない一心で、きっぱりと婚約破棄を申し出る。柳太真を想うがゆえの決断だったが、その言葉は梅父の怒りを買い、頬を打たれる結果となった。

その夜も無字书は武祯の屋敷の外で待ち続ける。しかし武祯が現れないことを悟ると、ついに決意を固める。彼は妖市へ赴き、自身の妖丹をすべて解き放ち、武祯を完全な妖へと変え、永遠に手元に留めようとするのだった。

一方、梅逐雨は霜降との会話から、如意楼で斛珠が猫を抱えて消えた出来事を聞き出し、武祯の正体に疑念を抱き始める。真相を確かめるため、彼は三師兄を招き、玄鉴司の陣法修復を依頼する。妖が陣に立てば真の姿を現す――その時、避けられぬ真実が明らかになろうとしていた。

 

第27話あらすじ

激しい風雨の夜、武祯は珍しく静かに書を読み続けていた。その不自然な落ち着きに、梅逐雨は胸騒ぎを覚える。これまで妖に遭遇するたび、必ず武祯が傍にいたこと――かつては偶然と信じて疑わなかったが、今はすべてがあまりに出来すぎているように思えた。彼は翌日、玄鑑司まで迎えに来てほしいと武祯に告げる。

翌日、梅逐雨は人払いをした玄鑑司で一人、陣法の中央に立つ。約束通り現れた武祯が近づくにつれ、彼の決意は揺らぎ、直前で彼女を制止する。その瞬間、陣の一角の石が崩れ落ちる。武祯はすでに察し、密かに陣を破壊していたのだった。

同じ頃、長明は師弟を率いて妖市の入口を開こうとするが、罠にかかり毒煙に包まれる。この毒は天師の身に特有の臭気を残し、妖に居場所を知らしめる危険なものだった。だが梅逐雨は事態を予測し、霜降に馬車と隠れ家を用意させており、一行は辛くも退避する。

武祯は天師たちの気配を失い、急ぎ妖市へ戻るが、そこで無字书が彼女を「全妖」に変えようとしていることを知る。百年の幽閉を伴うその選択は、梅逐雨との未来を完全に断つものだった。無字书は彼女の身体が限界だと告げ、別の「器」まで用意していると冷酷に語る。妖主は人に恋をしてはならない――それが彼の論理だった。

一方、梅逐雨は何も知らぬまま、武祯のために肉を焼く。残された時間の少なさを悟る武祯は、胸を締め付けられる思いで彼を見つめる。破陣に失敗した師兄たちは、梅逐雨が妖と通じているのではないかと疑念を抱き始め、霜降は激しく反論してその場を去る。

宴の席では、梅逐雨が子どもを符で巧みに導く姿が人々を驚かせる。その温かな光景は、武祯の心を再び揺さぶった。妖として生きるのではなく、人として彼と家庭を築き、子を持ちたい――その想いが強まっていく。

武祯が全妖化を拒むと知った無字书は、怒りと嫉妬を募らせ、梅逐雨への憎悪を露わにする。彼は灰長老に命じ、天师たちの行方を徹底的に追わせるのだった。愛と選択、そして避けられぬ対立が、静かに臨界点へと近づいていく。

 

第28話あらすじ

灰長老は、長明の配下である邪修から、天師一行が郊外の荒れた屋敷に身を潜めて療養しているという情報を掴み、ただちに無字書へ報告する。灰長老が去った直後、斛珠が現れ、無字書がこの地にいる理由に疑念を抱く。無字書は即座に言い繕い、天師の行方を追うため、霜降の気配を辿ろうとしているのだと説明する。斛珠は密かに霜降を尾行し、郊外の屋敷へと辿り着く。

しかし霜降はすでに尾行に気づいており、斛珠に早く立ち去るよう促す。だがその瞬間、長明に発見され、妖を討たんと襲いかかられる。霜降は斛珠を庇って立ちはだかるが、長明の強大な法力の前に二人はまとめて崖下へと突き落とされてしまう。

その夜、梅逐雨は玄鑑司で霊火を放ち、以前から追っていた残魂を呼び出す。狙い通り残魂は姿を現すが、肝心の詭嬰は見つからない。梅逐雨は残魂を封じ、詭嬰が長安城内に潜んでいると確信する。翌日、師兄たちから霜降が狐妖を庇って崖に落ちたと聞かされる。長明は表向きは自責の念を口にするが、内心では何の痛みも感じていなかった。

一方、崖下では霜降が斛珠を救い、わずかな食糧を分け合いながら身を寄せ合って生き延びていた。梅逐雨もまた一人で崖下へ向かい、必死に二人の行方を探す。帰路につく途中、霜降は斛珠が狐妖であることから、武祯も妖ではないかという疑念を抱くが、斛珠はそれを強く否定する。

その頃、無字書は妖書閣で残魂の行方を探し、すでに梅逐雨に先を越されたことに焦りを覚える。やがて霜降と斛珠は崖下を脱出するが、傷が癒えきらない斛珠は妖の姿に戻ってしまい、人々に発見されて通報される。梅逐雨は“悪狼”捜索の名目で街を巡り、斛珠は如意楼へ逃げ込む。

如意楼には武祯と無字書も駆けつける。武祯は梅逐雨が来る前に斛珠を救おうと必死に時間を稼ぐが、そこへ梅逐雨が現れ、捜索を要求する。強引に踏み込もうとした彼は、部屋の奥に無字書の姿を見てしまい、武祯と無字書の関係を誤解し、深く傷ついて立ち去る。

斛珠は目を覚まし、霜降や梅逐雨が常曦宮の天師であること、そして自分の体内に長明の追妖符が仕込まれている可能性を告げる。案の定、長明はその気配を辿って如意楼に現れ、斛珠を捕縛。梅逐雨と霜降は救出に駆けつけるが、長明は斛珠を餌に、さらに大きな妖を誘い出そうとしていた。

深夜、武祯が如意楼に現れる。長明は彼女を大妖と疑い攻撃しようとするが、武祯は「夫を迎えに来た」と言い放ち、今日は梅逐雨の誕辰だと告げる。その正体が県主であると知り、長明はやむなく手を引くのだった。

 

第29話あらすじ

長明は捕らえた斛珠に対し、妖市の所在を吐かせようと苛烈な拷問を加え続ける。しかし斛珠は命を懸けても妖市を裏切ろうとはせず、その強い覚悟に霜降は心を痛める。長明は梅逐雨を警戒し、正面から関わろうとはせず、師弟に命じて密かに二人の動向を探らせる。

そんな中、武祯が梅逐雨のもとを訪ねてくる。尾行の気配に気づいた梅逐雨は、あえて武祯と親しげに振る舞い、追跡していた師兄に誤解を抱かせて退かせることに成功する。一方その頃、斛珠は長明を天師たちがかつて訪れた地へと案内し、潭の湖水の底に妖市の入口があると告げる。ただしそこには強力な法陣が張られているという。霜降は密かにこの情報を梅逐雨へ伝え、梅逐雨は急ぎ現地へ向かい、武祯には屋敷で待つよう言い残す。

武祯は一人院に残り、梅逐雨が自ら「排行十一」と語り、法術と武功を兼ね備えていることから、彼が常曦宮の人間であると確信する。やがて梅逐雨は荒れた屋敷に辿り着き、血痕を手がかりに妖市の入口を発見する。そこへ猫公の姿となった武祯が現れ、正体を明かす。武祯は改めて梅逐雨に問う。妖市へ足を踏み入れれば、二人の情誼は完全に断たれる、それでも進むのかと。激しい葛藤の末、梅逐雨は妖市へ入る決断を下し、武祯の制止を振り切って中へ進む。

妖市ではすでに長明らが捕らえられていた。これは武祯が如意楼で放った言葉から斛珠が真意を汲み取り、妖市側が罠を張った結果だった。武祯は妖市の実情を映し出し、小妖たちが人間界を乱すことなく、規律のもと静かに暮らしている姿を示す。彼女は、長明の真の目的が十八年前の因縁にあると見抜き、彼らを妖獄へと導く。そこには当時の惨劇の元凶が収監され、妖市にも厳格な律法が存在することが示される。

しかし長明はなおも妖市の言葉を信じず、密かに黒煙を放つ。それは詭嬰の妖丹が逃れている証であり、隙を突いて長明は武祯を襲い、邪修の力で妖力を吸い上げ始める。その術を見た柳太真は、かつて郊外で黒衣の男に襲われた記憶と重ね、犯人が長明であったことに気づく。師兄たちは、掌門が邪修を修めていたという衝撃の事実に愕然とする。

さらに武祯の体内から妖丹が現れる。詭嬰は死の間際、その妖丹を武祯に託していたのだった。長明は妖丹を奪おうとするが、梅逐雨は常曦锏を解放し、武祯を守るため立ちはだかる。邪修を正当化する長明は完全に本性を露わにするが、その瞬間、身体は突然崩壊する。かつて邪修を修めたことを師に咎められ、再び行えば非業の死を遂げると誓わされた呪いが、今になって彼を蝕んだのだった。梅逐雨は、師がその誓いを体内に刻んでいたことを悟り、長明の最期を因果応報と受け止める。

事後、灰長老は失望を露わにし、天師たちは深い恥と後悔に沈む。武祯は彼らを許す一方、二度と長安へ踏み入れぬよう厳しく警告するのだった。

 

第30話あらすじ

嵐のような一夜が明け、天師の掌門は命を落とし、梅逐雨と武祯もまた、決定的な別れを迎えることとなった。妖市から戻った天師たちは、そこで起きた出来事が現実であったのか夢であったのか判然とせず、ただ深い余韻を胸に刻むばかりだった。

武祯は徐々に傷を癒やしながら、無字书に問いかける。梅逐雨が常曦宮の人間であることを、彼は最初から知っていたのか。無字书は隠すことなく肯定し、その淡々とした態度に、武祯は彼がかつてとは別人のように変わってしまったことを感じ取る。一方、梅逐雨の屋敷では、二人が一夜戻らなかったことから家人たちが噂を立て始める。そこへ帰ってきた梅逐雨の目に飛び込んできたのは、武祯が彼の誕生日のために用意した豪華な料理の数々だった。その心遣いを前に、梅逐雨の胸には後悔と痛みが込み上げる。

梅四は、天師を妖市へ連れて行った梅逐雨を強く責め、負傷した柳太真を見舞うため妖市へ連れて行ってほしいと願い出る。しかし梅逐雨はそれを拒み、斛珠や凌霄も反対する中、梅四は必死に食い下がる。無字书は武祯を連れ戻そうとするが、柳太真に礼節を理由に制止される。

翌朝、霜降からの文により、梅逐雨は郊外で師兄たちを見送る。彼は常曦锏を二師兄に託そうとするが、師父の形見であるとして辞退される。梅逐雨は、かつて自分が危機に陥った際、密かに支えてくれたのが二師兄であったことを明かし、掌門の座にふさわしいのは彼だと告げる。斛珠もまた別れに訪れ、霜降から好物の胡餅を贈られる。互いに想いを抱きながらも、その気持ちは言葉にされないまま、霜降は去っていく。

その夜、武祯は柳太真に胸の内を明かす。すべての始まりが間違いだったのではないか――迷いと自責の念に、彼女は囚われていた。そんな折、梅四は梅逐雨の部屋で見つけた誕生日の贈り物の箱を開け、そこに入っていた二体の人形が自分と柳太真に酷似していることに気づく。次の瞬間、不可思議な力によって二人の魂は入れ替わってしまう。

混乱の中、梅四と武祯は人形の謎を探るため武祯の屋敷へ向かうが、道中で妖たちに遭遇し、恐怖に震える。ようやく屋敷へ戻ると、柳太真は必死に元の身体へ戻る方法を探し始める。

そんな中、武祯は梅逐雨のもとを訪れ、酒を酌み交わす誘いを断り、「和離」を切り出す。梅逐雨は怒りと悲しみのあまり杯を砕き、常曦宮との決別を宣言するが、武祯の決意は揺るがない。妖市の門を開いた瞬間から、二人の縁は尽きていたのだ。梅逐雨の家族を奪った過去、その罪を背負ったままでは共に生きられない――武祯はそう告げ、彼の幸せを願いながら別れを選ぶ。

最後に梅逐雨は深く口づけ、想いを取り戻そうとするが、武祯はそれ以上に強い決意で背を向ける。かくして二人は、それぞれの道を歩むため、静かに別れを迎えるのだった。

 

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