この結婚は社内秘で 2024年 全32話 原題:私藏浪漫
目次
第13話 ついに愛の告白――新年のキスと夫婦が本当の恋人になる夜
第13話では、紀昱恒(ジー・ユーホン)が長年胸に秘めてきた想いをついに涂筱柠(トゥー・シャオニン)へ伝えます。
契約結婚から始まった二人の関係。
すれ違いも誤解も数え切れないほどあった。
それでも少しずつ心の距離を縮めてきた二人は、新しい年を迎える瞬間に本当の夫婦、そして本当の恋人へと変わっていく。
まさに前半最大級の胸キュン回となりました。
妻の風邪が心配で仕方ない夫
転正試験を目前に控えた筱柠は少し咳をしていた。
それだけで紀昱恒はすぐに反応する。
「大丈夫か?」
周囲が見ているにもかかわらず心配を隠せない。
筱柠は慌てて「平気です」と答えるが、その様子を見ていた唐羽卉の表情は複雑だった。
紀昱恒が誰を特別に気にかけているのか。
その答えが少しずつ見え始めていたからだ。
仕事を終えた紀昱恒は、こっそり筱柠の母へ電話をかける。
「筱柠が風邪をひいた時は何を食べますか?」
そこで聞いたのが蒸しオレンジだった。
帰宅後、紀昱恒は自らキッチンに立つ。
不器用ながらも丁寧に蒸しオレンジを作る姿は、まさに理想の夫だった。
何より嬉しい手作りの優しさ
完成した蒸しオレンジを見た筱柠は思わず笑顔になる。
高価な贈り物ではない。
けれど彼が自分のために作ってくれたことが何より嬉しかった。
紀昱恒はさらに顔を近づける。
額に手を当てて熱を確認する。
距離が近すぎる。
筱柠は思わず顔を赤くする。
以前なら緊張していた二人。
しかし今はその空気さえ心地よかった。
凌惟依と齐郁、再び動き出す恋
一方その頃。
凌惟依と齐郁も順調に距離を縮めていた。
夜のサイクリング。
特別な場所ではない。
豪華なデートでもない。
それでも好きな人と過ごす時間は特別だった。
かつて別れを経験した二人。
凌惟依はもう会えないと思っていた。
しかし齐郁は再び彼女の前へ戻ってきた。
そして翌日、新年のプレゼントを渡す約束をする。
派手ではない。
けれど真っ直ぐな愛情が二人を再び結び付けていた。
試験前夜の甘いキス
翌日はついに転正試験。
家族や友人たちが次々と応援の連絡をくれる。
両親からのビデオ通話。
凌惟依からの励まし。
皆が筱柠を支えていた。
しかし凌惟依は最後に余計な一言を付け加える。
「試験も大事だけど、紀昱恒とのことも進めなさいよ。」
その瞬間。
部屋のドアが開いた。
なんと紀昱恒本人が入ってきたのである。
筱柠は真っ赤になる。
恥ずかしさのあまり寝たふりを始める。
そんな彼女を見た紀昱恒は優しく微笑み、そっとキスを落とした。
「早く寝ろ。」
短い言葉。
しかし愛情は十分すぎるほど伝わっていた。
試験当日
翌朝。
いつものように紀昱恒は筱柠を送り出す。
「頑張れ。」
その一言が心強い。
緊張していた筱柠も少し落ち着く。
こうして転正試験が始まった。
これまで積み重ねてきた努力。
紀昱恒の支え。
同僚たちの応援。
すべてを胸に、筱柠は試験へ臨む。
家族そろってのお祝いディナー
試験終了後。
紀昱恒は特別なレストランを予約していた。
値段を気にする筱柠。
しかし紀昱恒は気にするなと言う。
さらに驚くことに、筱柠が好きな料理がすでに用意されていた。
彼は彼女の好みを完璧に覚えている。
やがて両家の家族も合流する。
賑やかな食卓。
紀母は感慨深そうに語る。
「筱柠と結婚してから、この家に笑顔が戻ったの。」
その言葉に筱柠も嬉しくなる。
そして彼女は冗談交じりに話す。
「試験に受かったら対赌協議も20%達成ですね。」
その笑顔を見ながら、紀昱恒はある決意を固めていた。
何度も失敗するサプライズ
実はこの日。
紀昱恒は告白の準備をしていた。
演奏も用意した。
指輪も準備した。
ケーキの中にサプライズも考えていた。
ところが全てがうまくいかない。
隣の席では先にプロポーズが始まる。
小提琴の演奏まで流れ始める。
筱柠は思わず期待する。
「もしかして私?」
しかし違った。
さらにケーキへ指輪を隠そうとした案も、偶然耳にした会話で断念してしまう。
完璧な計画だったはずなのに。
次々とタイミングを失ってしまう。
新年の鐘と本当の告白
食事を終えた後。
紀昱恒は何度も話そうとする。
だが緊張してしまう。
結局、関係ない話ばかりしてしまった。
そして迎えた大晦日。
新年まであと数秒。
街中がカウントダウンを始める。
「10」
「9」
「8」
二人は並んで夜空を見上げる。
そして鐘が鳴り響いた。
新しい一年の始まり。
筱柠が笑顔で言う。
「新年おめでとう。」
その瞬間。
紀昱恒はようやく決心した。
「筱柠。」
「好きだ。」
長年抱き続けた想い。
十年間心の奥で育て続けた恋。
ついに口にした。
しかし筱柠はわざと聞こえないふりをする。
紀昱恒は苦笑しながら、彼女の耳元でもう一度囁く。
「好きだ。」
今度こそしっかり届いた。
そして二人は自然に唇を重ねる。
新年最初のキスだった。
十年間の想い
キスの後。
筱柠は気になっていたことを尋ねる。
「いつから好きだったの?」
紀昱恒は少し照れながら答える。
本当は今日、もっとロマンチックな演出を用意していたこと。
演奏も指輪も準備していたこと。
しかし結局、全部必要なくなったこと。
なぜなら今この瞬間。
互いの気持ちが通じ合ったからだった。
派手な演出などなくてもいい。
二人はただ抱き合う。
言葉はいらなかった。
十年間の想いがようやく報われた瞬間だった。
合格の知らせ
翌朝。
凌惟依から電話が入る。
当然話題は昨夜の告白だった。
筱柠は恥ずかしくてまともに答えられない。
その時。
試験結果が発表される。
緊張しながら画面を開く。
そして――
見事合格。
ついに正式行員への道を切り開いたのだった。
努力が報われた瞬間。
筱柠は喜びでいっぱいになる。
まだ終わらない試練
しかし喜びも束の間だった。
唐羽卉が近づいてくる。
「試験に受かっただけで終わりじゃないわ。」
「顧客開拓から融資実行まではもっと大変よ。」
相変わらずの嫌味。
せっかくの喜びに水を差してくる。
だが今の筱柠は違う。
仕事でも。
恋愛でも。
支えてくれる人がいる。
紀昱恒と想いを通わせた今、以前のように簡単には揺らがない。
新しい年。
新しい恋。
そして新しい挑戦。
二人の本当の夫婦生活は、ここからさらに加速していくのだった。
第14話 初めての担当案件――遠距離の夜に気づく夫の大きな愛
第14話では、正式採用試験に合格した涂筱柠(トゥー・シャオニン)が、いよいよ一人前の銀行員として本格的な営業案件に挑む姿が描かれます。
しかしその前には、新人である彼女を快く思わない唐羽卉(タン・ユーフイ)の存在が立ちはだかります。
仕事で初めて味わう挫折。
思うようにいかない現実。
そんな時、紀昱恒(ジー・ユーホン)が見せたのは、言葉だけではない深い愛情でした。
夫婦として、そして恋人として、二人の絆がさらに深まる心温まる回となっています。
正式採用後の新たな挑戦
正式採用試験に合格した筱柠だったが、饶静(ラオ・ジン)はすぐに現実を教える。
銀行員として本当に重要なのは試験ではない。
顧客を開拓し、案件を成立させることだった。
一方で唐羽卉は相変わらず皮肉を口にする。
新人の筱柠が順調に評価されていることが面白くないのだ。
そんな空気を察した饶静は、趙方剛(ジャオ・ファンガン)に案件を分けるよう指示する。
渋々ながらも趙方剛は自分の案件を筱柠へ引き継いだ。
筱柠もただ守られているだけではない。
自分でも顧客情報を調べ、着実に準備を進めていた。
饶静の後押しによって、筱柠は初めて本格的な案件へ挑むことになる。
二人だけの秘密基地
仕事の合間。
いつもの屋上で紀昱恒と筱柠が顔を合わせる。
正式採用試験に合格したことを祝福する紀昱恒。
筱柠は嬉しそうに笑った。
「あなたに恥をかかせたくなかったの。」
その言葉には、もう単なる契約結婚の距離感はなかった。
筱柠はそっと紀昱恒の頬へキスをする。
誰にも知られてはいけない秘密の恋。
それでも二人にとって、この屋上は安心できる特別な場所になっていた。
奥瑞白でも飲み干す理由
合格祝いとして、筱柠は部署のみんなへコーヒーを差し入れる。
ところが唐羽卉はわざと不機嫌そうな態度を見せる。
さらに紀昱恒用のコーヒーを見て言った。
「師兄はアメリカーノしか飲まないわよ。」
まるで自分の方が彼を理解していると言いたげだった。
その時だった。
紀昱恒が現れ、筱柠が持っていたコーヒーをそのまま受け取る。
それはアメリカーノではなく奥瑞白(フラットホワイト)。
それでも紀昱恒は何の迷いもなく飲み干した。
周囲の同僚たちは驚く。
「紀部長って意外と優しい。」
「彼女になった人は幸せだろうな。」
誰も知らない。
彼が飲んだ理由はただ一つ。
それが筱柠からもらったものだったからだ。
甘すぎる夫婦の夜
その夜。
筱柠が洗濯物を畳んでいると、紀昱恒が温かい牛乳を持ってきた。
勉強や仕事で疲れている妻を気遣ってのことだった。
照れた筱柠は何かを後ろへ隠そうとする。
不思議に思った紀昱恒が近づく。
そしてキスで気を逸らしながら、そっと手を回した。
するとそこには女性用の下着が。
思わぬ物を見られてしまい、筱柠は顔を真っ赤にする。
最近の二人は以前よりずっと自然に距離を縮めていた。
それでも夫婦らしい親密さにはまだ慣れていない。
そんな初々しさが微笑ましい場面だった。
初めての出張
やがて筱柠は饶静とともに西海鎮への出張を任される。
初めての大きな案件。
期待と不安が入り混じる。
出発前、紀昱恒は細かな注意事項を伝える。
「分からないことがあったらいつでも聞け。」
部長としてではない。
夫としての言葉だった。
移動中もメッセージは途切れない。
体調を気遣う言葉。
仕事のアドバイス。
そして酔い止めの準備まで。
筱柠はスマホを見るたび自然と笑顔になってしまう。
離れていても、紀昱恒の存在を近くに感じていた。
唐羽卉との顧客争奪戦
しかし現地では思わぬ問題が待っていた。
狙っていた顧客に唐羽卉も接触していたのだ。
しかも彼女は人脈を利用して先回りしている。
完全なライバル宣言だった。
筱柠は焦らなかった。
すぐに提案書を渡すことはせず、まず相手企業を詳しく調べることを選ぶ。
この提案書こそ最後の切り札だったからだ。
饶静もその判断を評価する。
だが現実は厳しい。
肝心の楊総にはなかなか会えない。
電話も切られる。
会社へ行っても会えない。
新人の壁は想像以上に高かった。
深夜のビデオ通話
出張先のホテル。
筱柠は紀昱恒へ電話をかける。
ちょうど部屋には誰もいなかった。
紀昱恒はすぐにビデオ通話を提案する。
実は筱柠。
通話の前にこっそり口紅を塗っていた。
少しでも可愛く見られたかったのだ。
その気持ちは本人も認めたくない。
仕事の報告をしながら話していると、紀昱恒が着替え始める。
シャツを脱いだ瞬間。
鍛えられた胸元が画面に映る。
筱柠は一気に顔が赤くなる。
慌てて通話を切ってしまった。
恋人同士になったばかりの二人らしい甘いひとときだった。
睡衣のプレゼント
その夜。
ホテルに突然荷物が届く。
身に覚えがない筱柠が開けてみると、中には新しいパジャマが入っていた。
送り主はもちろん紀昱恒。
出張先で困らないようにと、事前に準備していたのだ。
離れていても妻を気遣う。
その優しさに筱柠は胸が熱くなる。
紀昱恒は決して派手な愛情表現をするタイプではない。
だがその行動一つひとつには深い思いやりが込められていた。
自信を失った筱柠
翌日も状況は好転しない。
楊総に会うことはできず、案件は前進しなかった。
保安員に聞き込みをしても空振り。
必死に努力しているのに結果が出ない。
筱柠は徐々に自信を失っていく。
さらに唐羽卉は人脈を使いながら順調に進めているように見えた。
自分だけが取り残されている気がした。
ホテルへ戻った筱柠は凌惟依(リン・ウェイイー)へ電話をかける。
だが凌惟依も齊郁(チー・ユー)との時間を過ごしており、ゆっくり話せなかった。
孤独感が一気に押し寄せる。
会いたかった人
落ち込んだまま外へ出た筱柠。
すると目の前に信じられない人物が立っていた。
紀昱恒だった。
仕事が忙しいはずなのに。
わざわざ時間を作って会いに来てくれたのだ。
姿を見た瞬間、張り詰めていた気持ちが崩れる。
筱柠の目から涙が溢れた。
そして何も言わず紀昱恒へ飛び込む。
紀昱恒も静かに抱きしめた。
「よく頑張った。」
その一言だけで十分だった。
仕事で苦しくても。
自信を失っても。
自分を信じてくれる人がいる。
それがどれほど心強いことなのか。
筱柠は改めて実感する。
支え合う夫婦へ
今回の第14話は、筱柠が社会人として成長していく重要な回だった。
初めての大型案件。
ライバルとの競争。
思うようにいかない現実。
そのすべてを経験しながらも、彼女は逃げなかった。
そして何より印象的だったのは、紀昱恒の変わらぬ愛情である。
励ますだけではない。
実際に会いに来る。
支える。
寄り添う。
その行動こそが紀昱恒らしい愛し方だった。
次回、筱柠は顧客獲得という大きな壁を乗り越えられるのか。
そして唐羽卉との競争はさらに激しさを増していく。
第15話 海辺の出張で急接近――隠された夫婦の甘い夜
第15話では、西海鎮での出張が続く中、涂筱柠(トゥー・シャオニン)がついに大口顧客・楊総との契約獲得へ大きく前進します。
一方で、紀昱恒(ジー・ユーホン)は週末を利用して彼女のもとへ駆けつけ、二人の距離はさらに縮まっていきます。
仕事への情熱と恋愛感情。
その両方を大切にしながら成長していく筱柠の姿が描かれる、甘さと達成感に満ちた回となりました。
落ち込む筱柠を支える紀昱恒
週末を迎えた紀昱恒は、西海鎮まで筱柠に会いにやって来る。
久しぶりに会えたことが嬉しい筱柠だったが、心の中には大きな不安があった。
何度も楊総との面会を試みているのに、まったく会ってもらえない。
自分の実力不足なのではないか。
そんな焦りと挫折感を抱えていた。
しかし紀昱恒は責めることも慰めすぎることもせず、静かに彼女の話を聞く。
そして優しくキスをして励ますのだった。
ようやく二人だけの時間を過ごせると思ったその時、饶静から電話がかかってくる。
甘い時間はあっという間に終了。
仕事中の二人らしい現実的な展開に、思わず笑ってしまう場面だった。
楊総攻略の鍵は「釣り」
その夜、筱柠は饶静の言葉から重要なヒントを思い出す。
楊総の趣味は釣り。
会えないなら、自分から釣り場へ行けばいい。
そう考えた筱柠は、翌朝海釣りへ向かうことを決意する。
もちろん紀昱恒も同行した。
船の上で紀昱恒は釣りのコツを丁寧に教える。
魚針で指を傷つけてしまった筱柠にすぐ消毒をしてあげる姿は、まさに理想の夫そのものだった。
仕事でも頼れる。
生活力もある。
さらに釣りまで得意。
紀昱恒の万能ぶりに、筱柠は改めて惚れ直してしまう。
趙方剛、まさかの肝試し
その頃、西海鎮には趙方剛も到着していた。
饶静を追いかけながら歩いていたものの、慣れない土地で道に迷ってしまう。
気づけば人気のない場所へ入り込み、偶然一軒の家へたどり着いた。
中へ入ると目の前には墓石が二つ。
突然の光景に趙方剛は大混乱。
慌てて謝罪を繰り返していると、後ろから誰かに肩を叩かれる。
驚いて振り返ると、それは饶静だった。
実はそこは彼女の実家であり、両親のお墓だったのだ。
いつも強気な饶静の知られざる過去。
趙方剛は初めて彼女の孤独を知り、胸を痛めるのだった。
ついに楊総との直接対決
翌朝。
筱柠は釣り場でついに楊総と顔を合わせる。
これまで避けられ続けてきた相手だったが、同じ趣味を通じて自然に会話が始まった。
そして筱柠は正面から自分の提案を説明する。
高い金利だけではない。
企業の将来を見据えた長期的な融資計画。
相手企業の実情を徹底的に調べた上で作られた提案だった。
その真摯な姿勢に楊総も次第に興味を示す。
さらに釣りの腕前まで披露したことで、一気に距離が縮まった。
一方その頃、唐羽卉は契約成立を確信して待機していた。
しかし彼女はまだ知らない。
勝負の流れが完全に変わっていることを。
誰にも言えない密会
楊総との面談後、筱柠のもとへ紀昱恒から連絡が入る。
彼女は急いで部屋へ戻るふりをして、こっそり紀昱恒の宿泊先へ向かった。
久しぶりに二人きりになれた時間。
紀昱恒は優しく彼女を抱き寄せる。
筱柠も目を閉じてその温もりを感じていた。
そして彼はそっと首筋へキスを落とす。
まるで新婚夫婦らしい甘い空気に包まれる。
しかしロマンチックな雰囲気も長くは続かない。
緊張しすぎたせいか、筱柠のお腹が鳴ってしまう。
結局二人は夜食を食べに出かけることになり、思わず笑い合うのだった。
饶静と趙方剛の距離も少しずつ変化
一方、趙方剛と饶静も一緒に食事をしていた。
相変わらず口喧嘩ばかりだが、以前とはどこか違う。
趙方剛は饶静が一人で生きてきたことを知り、以前よりも優しく接するようになっていた。
海辺で酒を飲みながら語り合う二人。
酔った勢いもあり、饶静は久しぶりに大声で笑う。
そんな彼女を見て、趙方剛は嬉しそうな表情を浮かべる。
気づかないうちに、二人の関係も少しずつ変化していた。
「君だから好きなんだ」
その夜。
紀昱恒と筱柠は再び二人だけの時間を過ごす。
これまで筱柠はずっと気になっていた。
紀昱恒が自分を好きになった理由を。
すると紀昱恒は迷いなく答える。
「君だから好きなんだ。」
特別な条件などない。
優秀だからでもない。
美しいからでもない。
ただ涂筱柠だから好きだった。
その真っ直ぐな言葉に筱柠は胸を打たれる。
そして彼女も素直に打ち明ける。
「あなたは私の理想そのものなの。」
お互いの想いを確かめ合う、幸せな時間だった。
初契約成立へ
翌日。
楊総から正式に連絡が入る。
融資について詳しく話し合いたいという内容だった。
ついに努力が報われたのだ。
嬉しさのあまり筱柠は走り出し、紀昱恒に飛びつく。
彼女の笑顔を見た紀昱恒も心から喜ぶ。
そしてその後、筱柠と饶静は楊総との契約締結へ向かう。
新人だった筱柠にとって初めての大きな成果。
自分の力で掴み取った成功だった。
誰にも知られてはいけない夜
契約成立後も秘密結婚は続いている。
ホテルへ戻った筱柠は、趙方剛に紀昱恒の存在を怪しまれそうになり冷や汗をかく。
なんとか誤魔化したものの危機感は増すばかりだった。
その夜。
饶静が眠ったのを確認した筱柠は、再びこっそり部屋を抜け出す。
向かった先はもちろん紀昱恒の部屋。
再会した二人は自然と抱き合い、キスを交わす。
仕事の成功。
恋人としての幸せ。
その両方を手に入れた筱柠は、静かに紀昱恒の胸に顔を埋めた。
そして部屋の灯りが消える。
誰にも知られてはいけない夫婦の甘い夜が、静かに更けていくのだった。
第15話の見どころ
- 筱柠が楊総攻略の糸口を見つけ、ついに大型案件獲得へ前進
- 紀昱恒の頼もしさと包容力が全開
- 饶静の過去と家族への想いが明らかになる
- 趙方剛と饶静の関係が少しずつ変化
- 「君だから好きなんだ」という紀昱恒の真っ直ぐな告白
- 秘密結婚ならではのスリリングで甘い密会シーン
仕事でも恋でも大きな前進を見せた第15話。次回はいよいよ筱柠の初契約がどのような成果へ繋がるのか、そして唐羽卉との競争の行方にも注目です。
第16話 秘密を知った最初の協力者――二人だけの恋と温かな春節
第16話では、西海鎮での出張を終えた涂筱柠(トゥー・シャオニン)と紀昱恒(ジー・ユーホン)が、秘密結婚を守りながら日常へ戻っていく様子が描かれます。
しかし、ついに二人の関係を知ってしまう人物が現れる。
さらに春節(旧正月)を迎え、それぞれが大切な人と過ごす温かな時間も描かれた心温まるエピソードとなりました。
朝から怪しい二人
西海鎮での仕事を終えた朝。
ホテルの前では趙方剛がなぜか早くから待機していた。
本人は偶然を装っていたが、その服装はいつもよりずっときっちりしたスーツ姿。
明らかに誰かを待っている。
もちろん相手は饶静だった。
饶静もすぐに気付くが、趙方剛は必死に誤魔化す。
そんな二人のやり取りを偶然目撃したのが紀昱恒だった。
気まずくなった紀昱恒はその場を離れようとするが、結局見つかってしまう。
咄嗟に「今日着いたばかりだ」と説明するものの、苦しい言い訳だった。
その頃、部屋では筱柠が鏡を見つめていた。
首元には昨夜紀昱恒が残したキスマーク。
恥ずかしさと嬉しさが入り混じる中、突然「紀昱恒が来ている」という情報が飛び込んでくる。
二人は慌てて知らないふりを続けなければならなくなった。
秘密結婚ならではの緊張感が続いていた。
帰りの船でこっそりデート
帰路の船内では、紀昱恒が船酔いでぐったりしていた。
普段は完璧な彼にも苦手なものがあるらしい。
さらに趙方剛まで盛大に船酔いしてしまい、甲板は大騒ぎになる。
饶静は呆れながらも趙方剛の面倒を見る。
その隙を見て筱柠は飲み物を取りに向かう。
もちろん本当の目的は紀昱恒だった。
誰にも気付かれないように水を渡し、短い会話を交わす。
たったそれだけなのに幸せだった。
しかし周囲の目を考えれば長く一緒にはいられない。
二人は別々の席へ戻る。
恋人であり夫婦なのに、人前では他人のふりをしなければならない。
それでも二人は互いを見つめるだけで笑顔になれた。
危機一髪の帰り道
港へ到着すると、筱柠は先に帰ったふりをする。
饶静と趙方剛もタクシーで帰路についた。
全員がいなくなったことを確認してから、筱柠は再び港へ戻る。
そして紀昱恒を車に乗せて二人きりで帰ることに成功した。
ところが思わぬ危機が訪れる。
信号待ちをしていると、隣に停まったタクシーには趙方剛と饶静が乗っていたのだ。
筱柠は慌てて身を伏せる。
紀昱恒も帽子を深く被る。
あと少しで秘密が暴かれるところだった。
冷や汗をかきながらも、無事に危機を乗り越えた二人。
スリルの連続だったが、その分だけ絆は深まっていく。
齐郁、恋人の父と対面
一方、凌惟依と齐郁の関係も大きな節目を迎える。
凌惟依は齐郁を父親に紹介した。
本来は外で食事をする予定だったが、父の仕事の都合で会社のオフィスで会うことになる。
父親が最も気にしていたのは将来性だった。
今の収入や地位ではない。
努力し続ける人間かどうか。
齐郁は真剣に自分の考えを語る。
しかし父親は簡単には認めなかった。
「公務員試験に合格してから考えよう。」
厳しい言葉だった。
凌惟依は反論しようとするが、齐郁はそれを止める。
彼は実力で認めてもらう覚悟を決めていた。
少しずつ近づく饶静と趙方剛
会社へ戻った後も、趙方剛は饶静のことが気になって仕方がない。
胃の調子が悪そうな彼女を見れば心配する。
薬を届けようとする。
しかし饶静は素直になれない。
口では冷たく拒否する。
それでも心のどこかでは嬉しかった。
西海鎮で知った彼女の過去。
両親を亡くし、一人で頑張ってきた人生。
趙方剛は以前とは違う気持ちで彼女を見るようになっていた。
二人だけの秘密がついに発覚
会社では相変わらず秘密の夫婦生活が続く。
紀昱恒は仕事中もつい筱柠に触れたくなる。
誰も見ていない瞬間に指先が触れる。
そんな些細な接触だけでも幸せだった。
そしてある日の退勤後。
二人はわざと時間をずらして会社を出る。
地下駐車場まで来ると、人がいないことを確認して手を繋ぐ。
コートで隠しながら歩くその姿は、まるで高校生の秘密の恋愛のようだった。
ところがその時――
偶然そこへ現れたのが齐郁だった。
紀昱恒と筱柠。
二人が手を繋いでいる。
その瞬間、全てを理解してしまう。
ついに二人の秘密を知る人物が現れたのだった。
初めての理解者
幸いにも齐郁は信頼できる人物だった。
その後、紀昱恒と筱柠は凌惟依と齐郁を交えて食事をする。
凌惟依も事情を知り、秘密を守ることを約束する。
初めて夫婦の秘密を共有できる仲間ができた。
これまで常に隠し続けてきた二人にとって、それは大きな安心だった。
酒が進み、店内は賑やかな雰囲気に包まれる。
筱柠は酔った勢いで紀昱恒に寄り添う。
見知らぬ男性に声を掛けられた時も、紀昱恒が自然に彼女を守る。
そんな姿に筱柠はますます惹かれていくのだった。
春節、それぞれの過ごし方
やがて春節が近づいてくる。
同僚たちは家族との予定を語り合う。
趙方剛は思い切って饶静を誘うが、あっさり断られてしまう。
落ち込む趙方剛だったが、諦めるつもりはなかった。
一方、紀昱恒は家族みんなで春節を祝うため民宿を予約する。
筱柠の両親も合流し、賑やかな年越しの準備が始まる。
父親はわざわざ鶏まで持参していた。
母親の指示で年越し料理の材料を運んできたのだ。
そんなやり取りに筱柠は苦笑する。
しかし家族全員が揃う光景はどこか温かかった。
一人ではない春節
その頃、饶静は一人きりで春節を迎えようとしていた。
静かな部屋。
誰もいない食卓。
そんな時、突然チャイムが鳴る。
扉を開けると、そこには趙方剛が立っていた。
手には大量の年越し用品。
春聯や飾り付け、食材まで抱えている。
「一人で過ごすつもりか?」
そう言いながら部屋へ入り込み、勝手に飾り付けを始める。
気付けば家の中はすっかり春節らしい雰囲気になっていた。
二人で写真を撮りながら笑い合う。
孤独だったはずの饶静の春節は、思いがけず温かなものへ変わっていく。
家族の幸せな時間
一方、筱柠の家では家族総出で餃子作りが始まっていた。
母親が具材を準備し、父親が皮を包む。
紀昱恒の母親も加わり、食卓は笑い声で満たされる。
紀昱恒と筱柠も肩を並べて餃子を包む。
秘密の結婚から始まった二人。
けれど今では、こうして本当の家族として同じ時間を過ごしている。
幸せとは特別なものではない。
大切な人たちと食卓を囲むこと。
それこそが何よりの幸せなのだと感じさせる、心温まるラストだった。
第16話の見どころ
- 港で繰り広げられる秘密夫婦の危機一髪シーン
- 船酔いする紀昱恒の意外な弱点
- 齐郁がついに二人の結婚を知る
- 初めてできた秘密を共有できる仲間
- 趙方剛と饶静の距離がさらに接近
- 春節を通して描かれる家族の温かさ
- 紀昱恒と筱柠の穏やかで幸せな夫婦生活
第16話は大きな事件こそないものの、登場人物たちの絆が深まり、それぞれが「家族」や「大切な人」の存在を改めて感じる優しいエピソードとなりました。次回は春節休暇の中でさらに進展する恋模様にも注目です。
















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