入青雲

入青雲

入青雲 9話・10話・11話・12話 あらすじ

入青雲 2025年 全36話 原題:入青雲

第9話の見どころ

章台に隠された悲しい真実が明らかとなり、明意は命懸けで親友を救う決意を固めます。紀伯宰も危険を承知で彼女を支え、二人の信頼はさらに深まっていきます。一方、司徒嶺の「姉」と呼ぶ一言に嫉妬した紀伯宰が、「義兄」として振る舞う場面は思わず頬が緩む名シーン。さらに、章台救出のため偽りの結婚式を計画する明意と紀伯宰の姿が、恋と復讐を大きく動かしていきます。仲間への想いと愛情、そして復讐劇が交差する見応え十分の一話です。

第9話のあらすじ

明意が神都へやって来たばかりの頃、幼い頃から男として育てられてきた彼女は、花月夜で必要とされる舞や礼儀をまったく身につけていませんでした。何百回練習しても踊りはぎこちないままで、浮月の厳しい叱責を受ける日々が続きます。

ある日、ついに浮月が明意へ手を上げようとした瞬間、章台が迷うことなく前へ飛び出し、彼女をかばいました。その出来事をきっかけに二人は固い友情で結ばれ、章台は明意にとってかけがえのない姉妹のような存在となったのです。

しかし現在、その章台は突然結婚したという知らせだけを残し、明意には何も伝えていませんでした。不自然さを感じた明意が再会すると、目の前の章台は表情も反応も鈍く、まるで別人のようになっていました。

紀伯宰が首筋を調べると、そこには傀儡の印が刻まれていました。目の前にいる章台は魂の抜け殻にすぎず、本当の三魂七魄はすでに奪われています。このまま十五日が過ぎれば、章台は完全に命を失ってしまうと告げられます。

花月夜の仲間たちは涙ながらに明意へ助けを求めます。かつて自分を守ってくれた章台の姿を思い出した明意は、何としても彼女を救うと決意し、紀伯宰にも力を貸してほしいと頼み込みます。

紀伯宰は、相手は極星淵でも屈指の危険な狐妖・勲名であり、自分でも守り切れる保証はないと忠告します。それでも明意の決意は揺らぐことなく、友情のためなら命を懸ける覚悟を示します。

二人は勲名の住む登仙洞を訪れますが、勲名は章台へ近づくことを許しません。そこで紀伯宰と明意は空腹を理由に洞窟へ居座り、食事をするふりをして時間を稼ぎます。

やがて紀伯宰は密かに妖火を放って騒ぎを起こし、勲名を洞窟の外へ誘い出します。その隙に秘術を使い、明意の魂だけを幻境へ送り込みました。

明意は幻境の中で章台と再会します。章台は、勲名が結婚後も何度も狐族の婚礼を再現させ、自分を「沐心柳」と呼ばせていたことを打ち明けます。従うことを拒んだ途端、魂を奪われ、この幻境へ閉じ込められてしまったのでした。

さらに周囲からは女性たちの悲痛な叫び声が響き渡ります。章台は、過去に勲名へ嫁いだ妻たちも皆同じ運命をたどり、魂まで消し去られたのではないかと語ります。

明意は章台の手を強く握り、「必ず助けに来る」と約束します。しかし導魂香の効力が尽きる寸前となり、紀伯宰は危険を察知して明意を現実へ引き戻します。

何事もなかったように食事を終えた二人は洞窟を後にし、勲名へ疑われることなく脱出に成功します。

章台の話を手掛かりに、明意と紀伯宰は司判堂へ忍び込み、王族の系譜を調べ始めます。しかし、その最中に司徒嶺が帰ってきたため、明意は慌てて紀伯宰を物陰へ隠し、一人で応対します。

司徒嶺は何も疑わず資料探しを手伝い、「沐心柳」という女性の記録を見つけ出します。その人物は沐斉柏の妹であり、かつて勲名へ嫁いだ後に亡くなっていたことが判明します。

これにより、勲名が最も執着している記憶は沐心柳との結婚式であり、その思い出こそが幻境攻略の鍵だと明意たちは確信します。

その時、司徒嶺が親しみを込めて明意を「姉上」と呼びます。その言葉を陰で聞いていた紀伯宰は我慢できなくなり、姿を現して明意を抱き寄せます。

そして司徒嶺へ向かって、「本当に家族になりたいなら、私を義兄と呼ぶべきだ」と言い放ち、自分こそ明意の伴侶だと堂々と宣言します。

思いがけない紀伯宰の嫉妬に、明意は戸惑いながらもどこか嬉しさを隠せませんでした。

一方、司徒嶺は浮月が密かに明献を調べていたことを知り、珍しく激しい口調で叱責します。その態度に浮月は深く傷つき、胸の内へ秘めていた想いをますます募らせていきます。

その後も明意は紀伯宰の機嫌を直そうと努力し、自ら結婚を申し込みます。本来は章台を救うため、勲名と沐心柳の婚礼を再現する芝居として行う偽りの結婚式でした。

明意は「終われば二度とあなたを困らせない」と約束しますが、その言葉は紀伯宰の胸を締めつけます。それでも彼は静かに婚礼を受け入れ、二人は落笙林で式を挙げる準備を進めるのでした。

落笙林は勲名と沐心柳が愛を誓った特別な場所です。二人がそこで結婚式を行うという知らせを聞いた勲名は激しく怒り、必ず阻止すると誓います。

一方、沐斉柏はそれが紀伯宰による巧妙な罠だと見抜き、勲名へ「感情に流されるな」と忠告します。しかし復讐心に燃える勲名は忠告を聞き入れず、運命の婚礼へ向かおうとしていました。

 

第10話の見どころ

明意と紀伯宰が偽りの結婚式を挙げる一方で、勲名と亡き妻・沐心柳の切なく悲しい過去が明かされます。幻境で紀伯宰が師への想いを利用される場面や、明意の口づけによって彼を正気へ引き戻すシーンは、本作屈指の名場面です。さらに、勲名の復讐心の根源と沐心柳の壮絶な人生が描かれ、敵でありながらも胸を打たれる展開が続きます。愛と執着、復讐が交錯し、物語は新たな局面へ突入します。

第10話のあらすじ

沐心柳は幼い頃から兄・沐斉柏の思惑に翻弄され、自らの意思とは無関係に政略の駒として生きてきました。屋敷へ閉じ込められた彼女は、琴や舞を身につけ、権力者たちをもてなすためだけに育てられます。華やかな笑顔の裏では自由を奪われ、誰にも本心を打ち明けられない孤独な日々を送っていました。

そんな彼女の運命を変えたのが勲名との出会いでした。一目で心を奪われた勲名は沐心柳を深く愛し、冷え切っていた彼女の心にも少しずつ温かな感情が芽生えていきます。

時は現在へ戻り、明意と紀伯宰の結婚式がいよいよ執り行われます。この婚礼は章台を救うための作戦であり、式場の飾り付けから衣装、儀式の進行まで、かつて勲名と沐心柳が結ばれた婚礼を忠実に再現していました。

紀伯宰は勲名だけを招き、静かに計画を進めるつもりでしたが、孟陽秋が招待状を目にしたことで話は一変します。彼が嬉しそうに周囲へ知らせたため、極星淵中の仙人たちが次々と集まり、式は思いがけず盛大な催しとなってしまいます。

さらに天璣公主まで現れ、この婚礼を止めようとします。しかし紀伯宰は一歩も引かず、明意は両者の間へ立って必死に仲裁します。

最終的に天璣公主は条件として、紀伯宰が明意と心印を結び、神識を共有しないことを求めます。明意は驚きますが、紀伯宰は迷うことなくその条件を受け入れ、婚礼は予定どおり執り行われます。

式には勲名も傀儡となった章台を伴って姿を見せ、静かに二人を見守ります。

儀式が終わると紀伯宰は参列者を花月夜の宴へ案内し、勲名だけをその場へ残します。しかし勲名は最初からこの計画を見抜いていました。

彼にとって本当に大切なのは婚礼そのものではなく、紀伯宰を幻境へ引き込み、「黄粱夢」の秘密を吐かせることでした。

幻境へ閉じ込められた紀伯宰の前に、亡き師・博語嵐が現れます。長年追い続けた恩師との再会に紀伯宰は激しく動揺し、思わず黄粱夢の秘密を口にしそうになります。

しかし次の瞬間、恩師のわずかな違和感に気付きます。目の前にいた博語嵐は勲名が化けた偽物でした。

怒りに燃えた紀伯宰は剣で斬りつけますが、勲名は姿を変え続け、幻影を操りながら紀伯宰の精神を少しずつ追い詰めていきます。

終わりの見えない戦いの中で紀伯宰は疲弊し、次第に意識まで奪われかけていました。

外から幻境へ飛び込んだ明意は必死に結界を破り、紀伯宰のもとへ駆け寄ります。しかし彼は幻術に支配され、逆に明意へ剣を向けてしまいます。

その瞬間、明意は章台が話していた勲名の口癖を思い出します。

「たとえ君の想いが偽りでも、私の心には君しかいない。」

明意はその言葉を紀伯宰の耳元で繰り返し囁き、ためらうことなく彼へ口づけます。

すると紀伯宰は徐々に正気を取り戻し、自らの記憶の奥深くへ潜り込みます。そして勲名が最も大切にしていた記憶へたどり着くのでした。

その瞬間、勲名は二人へ自らの過去を見せることを決意します。

かつて勲名は沐心柳を自由にするため、自ら進んで沐斉柏の命令に従い、危険な妖獣の調教役となりました。命を削る過酷な役目でしたが、愛する女性のためなら命さえ惜しくありませんでした。

一方の沐心柳もまた、妖獣の反動に苦しむ勲名を救うため、自ら手首を傷つけ、毎日その血を薬の材料として差し出し続けます。

互いを想う二人でしたが、悲劇は突然訪れます。妖獣が暴走し、沐心柳は命を落としてしまいます。

最愛の人を守れなかった勲名は絶望の底へ突き落とされ、その日を境に深い執着と狂気へ囚われていったのでした。

過去の記憶から戻った明意と紀伯宰は、沐心柳が最後まで自由を得られず、誰よりも悲しい人生を歩んできたことを痛感します。

そこへ勲名本人が現れ、激しい怒りとともに紀伯宰へ襲い掛かります。

幻境では紀伯宰の力は大きく制限されており、圧倒的な実力差の前に次第に追い詰められていきます。

明意は必死に紀伯宰を支えながら、「なぜ沐心柳を永遠に縛り続けるのか」と勲名へ問いかけます。

その言葉は勲名の心の傷を深くえぐり、怒りをさらに増幅させました。

そして勲名は最後の手段として、自らの魂を紀伯宰の体へ憑依させます。

紀伯宰の身体は完全に勲名の支配下へ置かれ、明意は愛する人を敵として相対するという、これまでで最も過酷な試練に直面するのでした。

 

第11話の見どころ

勲名との因縁に決着がつく一方で、明意と紀伯宰の絆が大きく深まる感動回です。明意が命を懸けて紀伯宰を救い出す場面は圧巻で、二人が互いを守ろうとする強い想いに胸を打たれます。また、沐心柳と勲名の悲恋に隠されていた衝撃の真実も明らかになり、復讐の連鎖が新たな局面を迎えます。そして誤解が解けた明意と紀伯宰は本音を語り合い、偽りだった関係は本物の愛へと変わり始めます。

第11話のあらすじ

勲名は最愛の沐心柳の墓前で悲しみに暮れていました。しかし彼女が本当に自分を愛していたのかと問われると、怒りと悲しみが爆発し、理性を失ってしまいます。

幻境では勲名が紀伯宰の身体を支配し、その力で明意の首を締め上げます。苦しむ明意へ向かって「お前も章台も生かすことはできる。ただし選ぶのはお前だ」と告げると、彼女の手へ一本の短剣を握らせます。

勲名は妖術によって明意の身体を操り、自らの手で紀伯宰を殺させようとしていました。

明意は必死に抵抗しますが、身体は思うように動かず、短剣はゆっくりと紀伯宰の胸へ向かっていきます。

その瞬間、明意は最後の力を振り絞り、自ら刃を素手で握り締めました。鋭い刃が手のひらを深く切り裂き、鮮血があふれ出しますが、それでも彼女は決して短剣を離しません。

その命懸けの行動は紀伯宰の心へ届き、彼は自らの意識を取り戻します。

紀伯宰は全身の力で勲名の魂を体外へ追い出し、ついに身体の支配権を奪い返すことに成功します。

傷ついた明意を見て胸を痛めながらも、紀伯宰は今こそ真実を知るべきだと勲名へ持ちかけます。

勲名の記憶には封印された部分があり、そこには沐心柳の死の真相が隠されている可能性があると伝えます。その代わりとして、真実を知ることができたなら章台を解放してほしいと取引を持ちかけます。

勲名は答えを求め、その条件を受け入れます。

しかし封印が解かれた先に待っていた真実は、あまりにも残酷なものでした。

沐心柳は最後まで勲名を愛してはいませんでした。勲名が愛情の証だと思い込んでいた数々の出来事は、すべて彼自身の思い込みだったのです。

彼女の腕に残る傷跡も、勲名のために血を薬へ使った証ではなく、自らを傷つけ続けた苦しみの痕でした。

さらに沐心柳は、勲名が兄・沐斉柏のため妖獣を操っていることを憎み、彼の薬へ毒を混ぜて弱らせようとしていました。

妖獣では勲名を殺せないと知った彼女は、自ら短剣を握り勲名を刺します。しかし直後に妖獣の反撃を受け、その命を落としてしまったのでした。

愛されていると信じ続けた人生が幻想だったと知った勲名は絶望します。

長年支え続けてきた執念は憎悪へ変わり、紀伯宰と明意を道連れに幻境ごと滅ぼそうと暴走します。

紀伯宰は全力で幻境へ裂け目を作り、脱出路を切り開きます。

二人は出口へ向かいますが、明意は章台の魂を見捨てることができませんでした。

迷わず引き返した明意は勲名に捕らえられてしまいます。

すでに安全圏までたどり着いていた紀伯宰も、彼女を見捨てることなく再び戦場へ戻ります。

彼は命懸けで章台の魂を奪い返し、それを明意へ託します。しかし隙を突かれて勲名の攻撃を受け、その場で倒れてしまいます。

幻境は崩壊寸前となり、明意は最後の手段として離恨花の花びらを一枚自ら散らし、命を削って幻境を破壊します。

駆け付けた司徒嶺は、倒れている二人を発見します。

診察した彼は明意が離恨天の毒に侵されていることを知りますが、彼女の正体を明かすことはできず、静かに立ち去るのでした。

一方、勲名は怒りを抱えたまま沐斉柏のもとへ向かいます。しかし利用価値を失った勲名を沐斉柏は冷酷に切り捨て、妖獣の力を使ってその命を奪います。

勲名という駒を失った沐斉柏は、新たな標的を紀伯宰へ定めます。

彼を破滅させるには、まず青雲大会最強の闘者という名声を奪わなければならないと考え、新たな陰謀を巡らせ始めます。

その頃、無帰海では明意が眠る紀伯宰を献身的に看病していました。

その優しさに心を開いた紀伯宰は、これまで胸に秘めていた想いを少しずつ語り始めます。

そして彼は、明献へ毒を盛ったのは自分ではないと真実を打ち明けます。

長く二人を隔ててきた誤解はようやく解け、明意もまた、明献は敗北こそしたものの、紀伯宰の正々堂々とした戦いぶりを心から尊敬していると伝えます。

互いへのわだかまりが消えたことで、二人の距離はさらに近づいていきます。

そこへ司徒嶺が無帰海を訪ねてきたとの知らせが入ります。

この夜は名目上とはいえ二人の初夜にあたるため、明意は周囲の目を欺くため本物の夫婦を演じようと提案します。

軽い芝居のつもりだった二人ですが、見つめ合い、触れ合ううちに偽りの演技は次第に本物の想いへ変わっていきます。

紀伯宰は明意をそっと抱き寄せ、愛を告げようとしますが、言葉は途中で途切れます。

それでも互いの瞳に映る想いだけで十分でした。

二人はついに偽りではない本当の愛を確かめ合い、新たな未来へ向かって歩み始めるのでした。

 

第12話の見どころ

司徒嶺が明意への秘めた想いをついに自覚し、「黄粱夢」を諦めてでも彼女を救うと決意する切ない展開が描かれます。一方、紀伯宰も偽りだったはずの結婚を本物にしたいと告白し、二人の恋は大きく前進。しかし明意は任務との狭間で返事を返せず揺れ動きます。さらに、沐心柳が遺した証言から沐斉柏の陰謀が明らかとなり、物語は恋愛だけでなく極星淵全体を揺るがす権力闘争へと発展。甘い新婚生活の裏で、それぞれの思惑が交錯する見逃せない一話です。


第12話のあらすじ

司徒嶺は自らの洞府へ戻ると、待ち受けていた浮月から明意が紀伯宰と結婚したことを知らされなかった理由を問いただします。浮月は、司徒嶺が深く傷つくことを恐れて黙っていたと打ち明けますが、司徒嶺の胸中はすでに決まっていました。たとえ長年探し続けてきた万能の解毒薬「黄粱夢」を諦めることになっても、明意に刻まれた「離恨天」の毒を解きたい――その一心だったのです。幼い頃、自分を認め救ってくれた明献への憧れは、いつしか一人の女性・明意を守りたいという深い愛情へと変わっていました。その想いを知った浮月は、自分の恋が叶わぬものであることを悟り、涙ながらに司徒嶺の心が恩義ではなく恋心へと変わっていることを告げます。

一方、新婚生活を送り始めた紀伯宰は、昼過ぎまで眠り続けていました。その様子を見た荀婆婆は微笑みながら「新婚なのだから当然」と冗談を口にし、精のつく料理を用意します。不休は二人の結婚は便宜上のものだと気軽に話しますが、荀婆婆は明意が紀伯宰へ向ける想いは本物だと見抜き、彼にも真剣に人生を考えるよう優しく諭します。その言葉は紀伯宰の胸に深く刻まれ、彼は改めて自分自身の気持ちと向き合うようになります。

その夜、紀伯宰は明意を連れて神都の街へ出かけます。美しい衣装や宝飾品を次々と買い与え、葱油餅まで用意するなど、これまでの冷徹な姿からは想像もつかないほど自然に彼女を気遣うようになっていました。しかし荷物を抱えきれなくなった明意から「少しは持ってほしい」と呆れられ、ようやく自分の不器用さに気づきます。和やかな空気の中、明意は乾坤袋や刺姫簪を作ってほしいと頼み、紀伯宰は快く引き受けます。

やがて品物を完成させた紀伯宰は、意を決して自らの本心を打ち明けます。最初は互いの利益のために始まった結婚だったものの、今ではこれから先も明意と共に歩んでいきたいと願うようになっていました。そして「この結婚を本当の夫婦として続けたい」と静かに告白します。突然の真剣な言葉に明意は驚き、返事をすることができません。沈黙が続く中、紀伯宰は照れ隠しのようにその場を立ち去りますが、明意の心もまた大きく揺れ始めていました。

そんな頃、明意の師・佘天麟は弟子が結婚したと聞き、怒り心頭で無帰海を訪れます。明意から黄粱夢を探すための偽装結婚だったと説明を受けると一応は納得しますが、命を削る花びらを二度と失わないよう厳しく言い聞かせます。そこへ紀伯宰が焼きたての葱油餅を届けに現れますが、部屋に誰もいないと思い、そのまま帰っていきます。物陰からその様子を見ていた佘天麟は、紀伯宰の明意への気遣いが芝居ではなく本心だと悟ります。弟子を奪われたような複雑な思いを抱えながらも、今は黄粱夢を見つけることが先決だと自らを納得させるのでした。

その後、明意は章台と共に沐心柳の墓を訪れます。そこで偶然、沐心柳が最期に残した神識の証言を発見します。その中には、沐斉柏が太古の妖獣を密かに飼い慣らし、無実の人々を罪人に仕立てて沈淵へ送り、「離恨天」の材料として命を奪っていたこと、さらに上三境と結託して反乱を企てているという衝撃の真実が記されていました。しかし証言には尭光山の名も含まれていたため、明意は紀伯宰が尭光山まで敵視する事態を避けようと考え、まず佘天麟に内容を託して山の名を伏せるよう依頼します。

細工を施した証言を受け取った紀伯宰は、それを利用すれば沐斉柏を一気に追い詰められると確信し、新たな反撃の策を練り始めます。一方、花月夜を離れた章台は明意の助けを受け、市井で簪を売りながら新たな人生を歩み始めます。その店を偶然訪れた天璣公主は、章台や明意と穏やかに言葉を交わし、これまで対立してきた関係にも少しずつ変化が生まれます。しかしその裏では、父・神君への面会を阻まれた天璣と、沐斉柏に忠誠を誓う言笑との対立がさらに激化。そして夜、更なる報せを受けた沐斉柏は、姿を消した明献の行方を追うため、白猫の捜索に乗り出します。恋と陰謀、そして復讐が複雑に絡み合い、それぞれの思惑は新たな局面へと動き始めるのでした。

 

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