暗河伝

暗河伝

暗河伝 9話・10話・11話・12話 あらすじ

暗河伝 2025年 全38話 原題:暗河傳

目次

第9話 託された眠龍剣――大家長が遺す最後の試練

見どころ

大家長が隠していた“本物の眠龍剣”の秘密がついに明かされます。蘇暮雨と蘇昌河、それぞれが思い描く暗河の未来が激しく交錯する中、大家長は二人に最後の選択を託します。


第9話では、暗河の未来を左右する重大な秘密が明らかになります。

眠龍剣を巡る争奪戦が激化する中、大家長は長年胸の内に秘めていた真実を蘇暮雨と白鶴淮に語り始めます。そして蘇暮雨と蘇昌河という、まったく異なる理想を持つ二人が、暗河の未来について真正面から向き合うことになります。

さらに、唐憐月と慕雨墨の微妙な関係にも新たな変化が訪れ、物語は大きな転換点を迎えます。


本物の眠龍剣が明かされる

蘇暮雨と白鶴淮は大家長のもとへ戻ります。

しかし、そこで二人は思いもよらぬ光景を目にします。

大家長の手元に、もう一本の眠龍剣があったのです。

慕家や謝家が血を流してまで奪い合っていたはずの眠龍剣が、なぜここにも存在するのか――。

二人は驚きを隠せません。

そんな二人に向かい、大家長は静かに真実を語り始めます。

実は眠龍剣は一振りではなく、対となる二振りの剣だったのです。

そして現在大家長が持っている剣こそが、本物の眠龍剣でした。


大家長が仕掛けた壮大な試験

さらに大家長は、自らの真意を打ち明けます。

蘇暮雨に渡した眠龍剣は、単なる剣ではありませんでした。

それは暗河全体を試すための仕掛けだったのです。

もし蘇燼灰がその剣を利用して暗河を統一できる器であれば、本物の眠龍剣も託すつもりでした。

しかし、そうでなければ偽りの眠龍剣を巡って三大家族が争い合うことになります。

大家長はその混乱さえも計算していました。

長年権力にしがみついてきた古い勢力が争いの中で弱体化すれば、新しい世代が表舞台に立てる。

そうすることで暗河は生まれ変われると考えていたのです。

それは大家長なりの未来への投資でした。


慕雨墨の勘違い

一方その頃、慕雨墨は唐憐月から持ち出した暗器を眺めていました。

実は彼女は、唐憐月が眠っている間にその暗器をこっそり持ち出していたのです。

しかし彼女は都合よく解釈します。

唐憐月ほどの達人なら、暗器がなくなったことに気付かないはずがない。

それなのに何も言わないということは、自分への贈り物なのではないか。

そんな淡い期待を抱いていたのです。

そこへ唐憐月が食事を持って現れます。

彼は慕雨墨の傷がすでに癒えていることを見抜いていました。

それでも何も言わず、これまでと変わらぬ態度で彼女を世話し続けます。

唐憐月の不器用な優しさが垣間見える場面でした。


蘇昌河、ついに蘇家家主となる

その頃、蘇昌河は蘇家へ戻っていました。

彼が訪ねた相手は蘇家家主・蘇燼灰です。

蘇燼灰もまた、蘇昌河が来ることを予想していました。

蘇昌河の要求はただ一つ。

蘇家家主の座です。

眠龍剣を手にできず、慕詞陵にも敗北した蘇燼灰は求心力を失っていました。

しかし当然ながら、簡単に家主の座を譲るつもりはありません。

ところが蘇昌河は、もはや以前の彼ではありませんでした。

圧倒的な実力を身につけた彼は、たった一招で蘇燼灰を打ち破ります。

その光景を見た蘇家の者たちは言葉を失います。

こうして蘇昌河は正式に蘇家家主となったのです。


蘇暮雨と蘇昌河、それぞれの理想

家主となった蘇昌河は、すぐに蘇暮雨のもとへ向かいます。

彼はすでに、蘇暮雨が持っていた眠龍剣に秘密があることを察していました。

久しぶりに向き合った二人。

かつて共に未来を語り合った親友同士でしたが、今では目指す方向が異なっています。

蘇暮雨は暗河を解散させ、人々を自由にしたい。

蘇昌河は暗河を改革し、新しい組織へ生まれ変わらせたい。

どちらも暗河を変えたいという思いは同じです。

しかし方法が違います。

蘇暮雨は静かに語ります。

たとえ二人の約束が実現し、一人が大家長、一人が家主になったとしても、多くの者は従わないだろう。

争いは続き、命を落とす者も出る。

だからこそ無理に支配するべきではない。

しかし蘇昌河は首を横に振ります。


命を懸けても変革を望む蘇昌河

蘇昌河は覚悟を決めていました。

たとえ自分が命を落としたとしても構わない。

暗河を変える可能性が少しでもあるなら、その道を進みたい。

長年腐敗し続けた暗河に、新しい時代をもたらしたい。

それが彼の願いでした。

その強い信念は、もはや誰にも止められません。

蘇暮雨もまた、その覚悟の重さを理解していました。

だからこそ簡単には否定できなかったのです。


雪月剣仙・李寒衣の判断

そして蘇昌河は、自らの切り札を明かします。

彼の背後には雪月城最強の剣士、李寒衣がいたのです。

李寒衣の存在は大きな衝撃でした。

しかし話を聞いた李寒衣は意外な反応を見せます。

蘇昌河の改革案ではなく、蘇暮雨の「暗河解散」という考えに理解を示したのです。

彼女は長年江湖を見続けてきた人物です。

だからこそ、力による支配の限界を知っていました。

その言葉は蘇昌河にも少なからず影響を与えるのでした。


唐憐月、ついに大家長と対面する

そんな中、屋敷の中で突然戦闘が発生します。

李寒衣はすぐに察します。

唐憐月がやって来たのだと。

かつて大家長との因縁を持つ唐憐月。

二叔の仇討ちのために現れた可能性がありました。

蘇暮雨と蘇昌河は急いで屋敷へ戻ります。

しかしそこでは意外な光景が待っていました。

唐憐月はすでに剣を収めていたのです。

彼は大家長の様子を見て悟っていました。

この老人の命が長くないことを。

復讐を果たす意味さえ失われつつあることを。


大家長が託した最後の遺志

やがて大家長は蘇暮雨と蘇昌河だけを呼びます。

そして最後の問いを投げかけます。

暗河をどうするのか。

解散するのか。

存続させるのか。

その答えは二人に委ねられました。

さらに大家長は本物の眠龍剣を二人へ託します。

そして衝撃の事実を明かします。

暗河の背後には、さらに巨大な存在がいるというのです。

その秘密は、自室の地下にある密道に隠されている。

そう語った大家長は、二人に未来を託しました。


新たな敵の出現

大家長から眠龍剣を受け取った蘇暮雨と蘇昌河。

二人は剣を見つめながら、それぞれの未来を考えます。

蘇昌河はなおも蘇暮雨に大家長になるよう説得します。

しかし結論は出ません。

その時でした。

突如として水官と慕詞陵が現れます。

ようやく訪れた束の間の静寂は破られました。

暗河の未来を巡る戦いは、まだ終わっていなかったのです。


第9話の見どころ

  • 本物の眠龍剣が存在したという衝撃の真実
  • 大家長が仕掛けていた壮大な後継者試験
  • 蘇昌河が蘇家家主の座を奪取
  • 蘇暮雨と蘇昌河の理想の違いが鮮明に描かれる
  • 李寒衣が暗河解散論を支持
  • 唐憐月と大家長の静かな対面
  • 大家長が二人に未来を託す感動の場面
  • 水官と慕詞陵の登場で新たな戦いが始まる

次回は、大家長が遺した「暗河最大の秘密」がいよいよ明かされることになります。蘇暮雨と蘇昌河は同じ未来を見られるのか、それとも別々の道を歩むのか――。暗河の運命を決める戦いが、さらに激しさを増していきます。

 

第10話 新たな大家長――蘇昌河と蘇暮雨の決断

見どころ

蘇暮雨と蘇昌河が最強の敵・慕詞陵に挑む迫力の共闘が実現。さらに暗河の未来を左右する重大な決断が下され、新たな体制が誕生します。二人の友情と信頼が胸を打つ重要回です。


第10話では、大家長から託された眠龍剣を巡る戦いが続く中、蘇暮雨と蘇昌河が再び肩を並べて戦います。

かつて暗河の未来を変えると誓い合った二人。理想の違いから別々の道を歩みかけていた彼らですが、この戦いを通して改めて互いの存在の大きさを実感することになります。

そして物語の終盤では、暗河の未来を大きく変える衝撃の決断が下されるのでした。


最強の敵・慕詞陵との激突

水官と慕詞陵が現れたことで、束の間の平穏は一瞬にして消え去ります。

慕詞陵は眠龍剣を狙い、圧倒的な威圧感を放ちながら蘇暮雨たちの前に立ちはだかります。

それに対し蘇暮雨は静かに剣を構えました。

そして口を開きます。

「言っていることは半分も理解できないが、一つだけ同意できることがある」

それは、

「俺と蘇昌河が手を組んで負けたことはない」

という言葉でした。

その瞬間、蘇暮雨は十八剣陣を展開します。

無数の剣気が空間を埋め尽くし、まるで嵐のような攻撃が慕詞陵へ襲いかかります。


武痴・慕詞陵の歓喜

しかし慕詞陵は怯むどころか歓喜していました。

彼は根っからの武術狂なのです。

かねてより蘇家の秘技である十八剣陣の噂を耳にしており、一度は戦ってみたいと願っていました。

その願いがついに叶ったのです。

慕詞陵は笑みを浮かべながら剣陣へ飛び込みます。

凄まじい剣気と掌力が激突し、周囲の大地は次々と砕け散ります。

蘇暮雨も全力で応戦しますが、それでも慕詞陵の実力は想像以上でした。

戦況は徐々に不利になっていきます。


蘇昌河、命を削る力を使う

そこへ蘇昌河が参戦します。

彼は迷うことなく慕詞陵の秘技である閻魔掌を放ちます。

本来ならば他家の秘伝であり、容易に習得できる技ではありません。

しかもこの掌法は極めて危険で、使う者自身の命を削る代償を伴います。

蘇暮雨は驚きを隠せません。

それでも二人は息の合った連携を見せます。

長年共に死線を潜り抜けてきた二人だからこそ可能な連携でした。

激闘の末、ようやく慕詞陵を退けることに成功します。

しかし二人とも無傷では済みませんでした。

全身に傷を負いながらも、なんとか勝利を掴み取ったのです。


夢のためなら命も惜しくない

戦いが終わると、蘇暮雨はすぐに蘇昌河の傷を確認します。

そして閻魔掌の危険性について忠告しました。

このまま使い続ければ、いずれ大きな代償を払うことになる。

しかし蘇昌河は微笑みながら答えます。

自分には叶えたい夢がある。

そのためなら命を失っても構わない。

暗河を変えるためなら、どんな犠牲も受け入れる。

その覚悟は本物でした。

蘇暮雨もまた、その決意の重さを理解していました。


二人が再び選んだ道

蘇昌河は静かに言います。

蘇暮雨はいつか暗河を離れる人間だ。

だからもう引き留めない。

自分一人で理想を実現してみせる。

さらに蘇暮雨に対して、

追われる心配はない。

提魂殿は自分が潰す。

自由になりたい者は連れて行けばいい。

住む場所も資金も用意する。

そう語ります。

まるで友人を送り出そうとしているようでした。

しかし蘇暮雨は首を横に振ります。

彼は誰よりも蘇昌河を知っています。

昔から蘇昌河は才能に溢れていましたが、その反面、突っ走る癖もありました。

何度も無茶をして危険な状況を招いたこともあります。

だからこそ放っておけなかったのです。


大家長と家主の座を交換する

そして蘇暮雨は意外な提案を口にします。

当初の約束では、

蘇暮雨が大家長

蘇昌河が蘇家家主

になるはずでした。

しかし今は違う。

蘇暮雨は大家長の座を蘇昌河へ譲り、自分が蘇家を率いると言い出したのです。

その言葉を聞いた蘇昌河は驚きを隠せません。

けれどすぐに笑顔を見せます。

なぜなら、それは再び二人で未来を切り開くという意味だったからです。

かつて夢見た理想に向かって、再び肩を並べて進める。

蘇昌河にとって、それ以上に嬉しいことはありませんでした。


謝家と慕家の決着

一方その頃、謝家と慕家の戦いも最終局面を迎えていました。

昼から続いた戦闘は夜まで続き、多くの犠牲者を出します。

謝家家主・謝霸は瀕死の状態となり、慕子蟄は戦場から離脱。

残された者たちは次々と降伏していきます。

そして謝七刀は冷静な表情のまま、自らの手で謝霸にとどめを刺しました。

謝霸は最後まで現実を受け入れられないまま息絶えます。

こうして長年暗河を支えてきた謝家も、大きな転換期を迎えるのでした。


新たな大家長の誕生

その後、慕雪微らが蘇暮雨たちのもとへ到着します。

そこで蘇昌河は眠龍剣を掲げ、高らかに宣言しました。

自分が新たな大家長であると。

長年続いた暗河の支配体制は終わり、新たな時代が始まろうとしていました。

その場にいた者たちも、その瞬間を静かに見守ります。

誰もが歴史の転換点に立ち会っていることを理解していたのです。


唐憐月を探す慕雨墨

慕雨墨もまた目を覚ましていました。

しかし目覚めた彼女が最初に探したのは唐憐月でした。

これまでずっと看病してくれた彼の姿が見当たりません。

そのことに慕雨墨は思いがけない寂しさを覚えます。

本人もまだ気付いていませんが、唐憐月への想いは確実に大きくなっていました。


易卜が動き始める

一方、大皇子・蕭永のもとでは、影宗の易卜が囲碁を打ちながら暗河の情勢を分析していました。

蘇暮雨と蘇昌河が暗河を掌握したという報告を受けた易卜は驚きを見せます。

二人の若者がここまで大きく局面を動かすとは予想していなかったのです。

しかし彼はすぐに考えを改めます。

若く優秀な二人なら利用価値がある。

そう判断した易卜は、密かに接触の機会をうかがい始めるのでした。


白鶴淮と蘇暮雨の穏やかな日々

その頃、白鶴淮と蘇暮雨は束の間の平穏を楽しんでいました。

白鶴淮は患者を診察し、蘇暮雨はその手伝いをしています。

ところが診療所を訪れる患者の多くは若い女性たちでした。

しかも彼女たちの目的は治療ではなく、蘇暮雨を見ること。

その様子に白鶴淮は複雑な表情を浮かべます。

戦い続きだった二人にとって、それは久しぶりの穏やかな時間でした。


眠龍剣に隠された秘密

そして蘇昌河は大家長となった後も、眠龍剣の研究を続けていました。

昼夜を問わず調べ続けた結果、ついにある異変に気付きます。

剣の柄の部分に巧妙に隠された仕掛けがあったのです。

そこには大家長が残した最後の秘密が眠っているようでした。

蘇昌河は静かにその機関へ手を伸ばします。

暗河の真実へと繋がる扉が、今まさに開かれようとしていたのでした。


第10話の見どころ

  • 蘇暮雨と蘇昌河による最強タッグ復活
  • 十八剣陣と慕詞陵の壮絶な激突
  • 命を削る閻魔掌を使う蘇昌河の覚悟
  • 大家長と家主の座を交換する衝撃の決断
  • 謝家と慕家の抗争がついに決着
  • 蘇昌河が正式に新大家長へ就任
  • 白鶴淮と蘇暮雨の微笑ましい日常
  • 眠龍剣に隠された秘密の発見

暗河の新時代が始まりました。しかし大家長が遺した秘密はまだ解き明かされていません。眠龍剣の中に眠る真実とは何なのか。そして蘇昌河が進もうとする改革の道は成功するのか。新たな暗河の物語が、ここから本格的に動き出します。

 

第11話 黄泉当舗に眠る鍵

見どころ

暗河を継いだ後の穏やかな日常が描かれる一方で、蘇暮雨と白鶴淮の距離がさらに縮まる注目回。李寒衣や謝宣も登場し、それぞれの思惑が交錯する中、眠龍剣に隠された秘密を巡る新たな冒険が幕を開ける。


第11話では――

大家長の座を巡る激しい争いが終わり、暗河の新体制が動き始める中、蘇暮雨は束の間の平穏な日々を過ごしていた。しかし、その穏やかな時間の裏では、眠龍剣に隠された秘密が少しずつ姿を現そうとしていた。


妙手回春館の日常

妙手回春館では、白鶴淮がいつものように診療を続けていた。

薬の香りが漂う館内で患者の相手をしていると、蘇暮雨が姿を現す。白鶴淮は何気ない様子を装いながらも、彼のことが気になって仕方がない。

蘇暮雨が最近ずっと自分を助けてくれていることを思い出し、白鶴淮は思い切って食事を作ろうと申し出る。しかし言葉にした瞬間、自分でも恥ずかしくなり顔を赤らめてしまう。

一方の蘇暮雨は、料理の腕を上げようと努力していた。

ところが彼の料理は驚くほど評判が悪かった。

白鶴淮は何とか食べ続けていたものの、とうとう限界を迎える。遠回しに「もう料理はしなくていい」と伝えるが、蘇暮雨は真面目な性格ゆえにまったく諦めない。

「剣も最初から上手かったわけではない。努力すれば必ず上達する」

そう信じる蘇暮雨に対し、白鶴淮は呆れながらも微笑むしかなかった。

結局、彼女は蘇暮雨を厨房へ連れて行き、自ら料理を教えることになる。

普段は医術しか頭にないように見える白鶴淮が慣れた手つきで料理を作る姿に、蘇暮雨は純粋に驚く。

殺しと陰謀の世界で生きてきた彼にとって、こうした何気ない日常こそが最も新鮮なものだった。


白鶴淮の嫉妬

妙手回春館は再開後も繁盛していた。

ところが訪れる患者の中には、診察よりも蘇暮雨を見ることを目的としている若い女性たちが少なくない。

整った容姿と穏やかな物腰を持つ蘇暮雨は、街でも人気者になりつつあった。

白鶴淮は表面上は平静を装うものの、内心では面白くない。

そんな中、一人の書生風の男が館を訪れる。

白鶴淮はいつものように「本日の診察は終了です」と追い返そうとするが、蘇暮雨はその人物を見るなり立ち上がった。

現れたのは儒剣仙・謝宣だった。


儒剣仙・謝宣との再会

謝宣は江湖でも名高い存在であり、その学識と人格で多くの人々から敬われている人物である。

彼の正体を知った瞬間、白鶴淮の態度は一変した。

先ほどまで追い返そうとしていた相手に駆け寄り、目を輝かせながら話しかける。

さらに自分が薬王谷の名医・辛百草の師叔にあたる存在だと話すと、謝宣は驚きを隠せない。

見た目は若い少女でしかない白鶴淮だが、その医術の系譜は極めて高貴なものだった。

蘇暮雨は珍しく笑顔を見せながら謝宣を食事に誘う。

しかし実際には謝宣自身が料理を作ることになり、蘇暮雨は横で真剣に学ぶだけだった。

そんな微笑ましい光景に、館内には久しぶりに穏やかな空気が流れる。


雪月剣仙・李寒衣の来訪

しかし平穏は長く続かない。

雪月城の剣仙・李寒衣が妙手回春館を訪れる。

彼女は暗河の人間である蘇暮雨が街にいることを警戒していた。

李寒衣は顔を合わせるなり戦意を見せる。

もし蘇暮雨が再び暗河の名の下に人々を傷つけるなら、自らの剣で止める覚悟だった。

だが白鶴淮は慌てて二人の間に割って入り、「皆仲間なのだから」と場を和ませようとする。

酒を振る舞い、その場を宴席へと変えてしまった。

酒を口にした李寒衣は、ふと遠い過去を思い出したような表情を見せる。

その姿には、かつて失った大切な存在への想いが滲んでいた。


蘇昌河への評価

やがて話題は暗河へと移る。

李寒衣は率直に語った。

自分は蘇暮雨が新たな大家長になると思っていた。

だが実際にその座に就いたのは蘇昌河だった。

謝宣からも聞いているが、蘇昌河は決して善人ではない。

むしろ危険な人物だと考えている。

そこへ当の本人である蘇昌河が現れる。

自分の悪口を耳にした彼は苦笑しながら席に加わった。

李寒衣ははっきりと言う。

もし蘇昌河が暗河を誤った方向へ導くなら、自分は必ず彼を討つ。

蘇昌河は冗談めかして不満を漏らす。

「どうして皆、俺ばかりを危険視するんだ?」

その場は軽口で済まされたものの、李寒衣の警告は本気だった。


眠龍剣に隠された秘密

その後、蘇昌河は重要な話を切り出す。

大家長から受け継いだ眠龍剣を調べた結果、剣の内部に秘密の鍵が隠されていることを突き止めたのだ。

さらに、その鍵は暗河創設以来隠され続けてきた巨大な秘密へと繋がっているらしい。

蘇昌河は蘇暮雨に同行を求める。

危険が待ち受けていることは明白だった。

しかし蘇暮雨は迷わなかった。

平穏な生活は大切だ。

それでも、自分たちが背負ってきた運命から完全に逃げることはできない。

彼はその夜のうちに出発する決意を固める。

白鶴淮は強く引き留めたい気持ちを必死に押し殺していた。

ようやく手に入れた穏やかな日常。

だが蘇暮雨が再び危険な場所へ向かうことを止める資格は自分にはない。

彼女はただ静かに二人を見送るしかなかった。


黄泉当舗へ

紅嬰の案内で、蘇暮雨と蘇昌河は黄泉当舗へと向かう。

そこは世間から隔絶された不気味な場所だった。

建物の中では怪しげな者たちが幽霊や妖怪を装い、人々を惑わせている。

しかし二人は暗河の中でも特に異色の存在である。

執傘鬼・蘇暮雨。

送葬師・蘇昌河。

死と隣り合わせの世界を生きてきた彼らにとって、その程度の演出は滑稽にしか映らない。

蘇昌河は思わず笑い出し、蘇暮雨も呆れた表情を浮かべる。

その頃、店の奥では王掌櫃が帳簿と格闘していた。

しばらく計算を続けていたが、突然激怒し、手にしていた算盤を床へ叩きつける。

そして周囲の部下たちへ怒鳴った。

「その二人を殺せ!」

だがその口調にはどこか芝居がかったものがあった。

まるで最初から蘇暮雨と蘇昌河が来ることを知っていたかのように――。

黄泉当舗に隠された秘密とは何なのか。

眠龍剣の鍵が導く先には何が待っているのか。

そして暗河創設以来封印されてきた真実が、ついに動き始めようとしていた。


第11話の見どころ

 

  • 妙手回春館で描かれる蘇暮雨と白鶴淮の穏やかな日常
  • 白鶴淮が見せる可愛らしい嫉妬心
  • 儒剣仙・謝宣と雪月剣仙・李寒衣の登場
  • 李寒衣による蘇昌河への厳しい警告
  • 眠龍剣に隠された鍵の秘密が明らかに
  • 蘇暮雨と蘇昌河が再び危険な旅へ出発
  • 黄泉当舗で始まる新たな謎と陰謀
  • 暗河の真実へ迫る新章の幕開け

第12話 天啓城への招待

見どころ

眠龍剣の鍵が導く黄泉当舗の地下で、暗河の歴史に隠された巨大な秘密が明らかになる。さらに蘇暮雨が再び天啓城へ足を踏み入れ、朝廷と江湖を巻き込む陰謀の渦へと引き寄せられていく重要回。


第12話では――

眠龍剣に隠された鍵の謎を追う蘇暮雨と蘇昌河。

二人が訪れた黄泉当舗には、暗河の長い歴史と密接に関わる秘密が眠っていた。そしてその先には、江湖だけではなく北離王朝そのものを揺るがす巨大な陰謀が待ち受けていたのである。


黄泉当舗の地下に隠された秘密

黄泉当舗の主人・王掌櫃は、蘇暮雨と蘇昌河を前にしても余裕の態度を崩さなかった。

彼の目には、若くして暗河を率いることになった二人の姿は、単なる幸運な後継者にしか映っていないようだった。

王掌櫃は部下たちに乱暴な指示を飛ばしながらも、ようやく二人へ視線を向ける。

しかし蘇暮雨は動じない。

自分たちがここへ来たのは偶然でも幸運でもない。

眠龍剣に隠された秘密を知るためであり、そのために命を懸ける覚悟もできていた。

そんな蘇暮雨の態度に、王掌櫃は興味を抱く。

かつて「傀」と呼ばれた男らしい胆力だと感心しながら、二人を地下へ案内することを決める。


黄金と兵器の宝庫

鍵を受け取った王掌櫃は、巨大な地下倉庫への扉を開く。

まず現れたのは、山のように積み上げられた黄金だった。

その量は国家の財政を揺るがしかねないほど莫大であり、もし存在が知られれば江湖全体が争いに巻き込まれるほどの価値を持っている。

続いて案内された第二の宝庫には、江湖に名を轟かせた名剣や神兵が並んでいた。

どれも伝説級の武器ばかりであり、一振りでも世に出れば多くの血が流れることは間違いない。

だが蘇暮雨も蘇昌河も目を輝かせることはなかった。

彼らは長年暗河で生き抜いてきた。

金や武器の恐ろしさを誰よりも知っているからである。


暗河を支えてきた影の存在

さらに地下には大量の火薬庫や猛毒を持つ巨大な毒蛇まで保管されていた。

王掌櫃は二人の反応を観察していた。

普通の人間ならば欲望を隠せなくなるはずだ。

だが二人の表情は終始変わらない。

そんな様子を見た王掌櫃は満足そうに頷く。

そして意外な事実を明かした。

これまで暗河が請け負ってきた数多くの任務の半分近くは、実は黄泉当舗を経由して依頼されていたというのだ。

つまり黄泉当舗は単なる質屋ではなく、暗河を裏から支配してきた巨大な情報拠点だったのである。


三官の来訪

その時、地下倉庫へ提魂殿の三官が姿を現す。

地官は蘇昌河を見るなり敵意を隠さず、一触即発の空気が流れる。

しかし王掌櫃は即座に怒鳴り声を上げた。

黄泉当舗での私闘は許されない。

その一言で場は静まり返る。

そこで地官は一枚の令牌を取り出した。

王掌櫃はようやく全ての仕組みを説明する。

地下の宝を持ち出すには、大家長の鍵だけでは足りない。

三官が持つ令牌も必要であり、さらに三官の許可がなければならないというのだ。

つまり、暗河と提魂殿は長年にわたり複雑な関係で結び付いていたのである。


天啓城への招待状

その後、三官は蘇暮雨と蘇昌河に招待状を差し出す。

ある人物に会えば、暗河の全ての真実が分かるという。

しかし蘇暮雨は簡単には信用しない。

どう考えても罠の匂いがするからだ。

それでも真実を知るためには進むしかない。

熟考の末、彼は単身で天啓城へ向かうことを決断する。


蘇暮雨、再び天啓城へ

久しぶりに訪れた天啓城は相変わらず賑やかだった。

街角では子供が父親に糖葫蘆をねだっている。

その微笑ましい光景を見た蘇暮雨は、幼い頃に父とともに天啓城を訪れた記憶を思い出す。

暗殺者として生きる今では忘れかけていた温かな記憶だった。

だが感傷に浸る暇はない。

天啓城へ入った瞬間から、彼の行動はすでに監視されていた。


国師・斉天塵とのすれ違い

蘇暮雨は北離の国師・斉天塵のもとを訪れる。

だが斉天塵は直接会おうとはしなかった。

代わりに一文字だけ書かれた紙を渡す。

そこに記されていたのは「請」。

一見すると歓迎の意味にも見えるが、蘇暮雨はその真意を即座に理解する。

国師は今、自分と関わるつもりがない。

それを悟った蘇暮雨は余計なことを言わず、その場を後にする。


易卜の思惑

その頃、易卜もまた蘇暮雨の動向を注視していた。

配下の烏鴉に命じ、蘇暮雨の実力を探らせる。

烏鴉は試しに勝負を挑むが、蘇暮雨との実力差を痛感することになる。

報告を受けた易卜はさらに興味を深める。

彼にとって蘇暮雨は利用価値の高い駒だった。


琅琊王暗殺計画

やがて蘇暮雨は易卜と対面する。

豪華な食事が並ぶ席で、易卜は本題を切り出した。

暗河の力を使い、琅琊王を暗殺してほしいというのである。

だが蘇暮雨はすぐにその真意を見抜く。

もし琅琊王を殺せば、暗河は天下の敵になる。

その時には朝廷に頼るしかなくなり、完全に支配下へ置かれてしまう。

つまり易卜は暗河を利用しようとしているのだ。


真っ向から対峙する蘇暮雨

易卜は不敵な笑みを浮かべる。

自分が本気になれば暗河などいつでも潰せると豪語した。

だが蘇暮雨は一歩も引かない。

静かな口調ながら、その言葉には揺るぎない覚悟が込められていた。

「それならば、暗河が名を轟かせる最初の場所を天啓城にしても構わない」

もし追い詰められるなら、こちらも遠慮はしない。

天啓城そのものを暗河の戦場に変えてやる。

その言葉に、易卜でさえ一瞬言葉を失う。

かつての暗河ならば朝廷を恐れたかもしれない。

しかし今の暗河を率いるのは蘇暮雨と蘇昌河。

常識では測れない二人だった。


新たな陰謀の幕開け

黄泉当舗で明かされた秘密。

提魂殿と暗河の複雑な関係。

そして琅琊王暗殺計画。

蘇暮雨は知らぬ間に、江湖の争いを超えた巨大な権力闘争の中心へと足を踏み入れていた。

天啓城の闇は想像以上に深い。

その先に待つ真実は、暗河の未来だけでなく北離全土の運命をも左右しようとしていた。


第12話の見どころ

  • 黄泉当舗地下に眠る莫大な財宝と秘密の数々
  • 暗河と提魂殿を結ぶ意外な関係の判明
  • 蘇暮雨の天啓城再訪と幼少期の回想
  • 国師・斉天塵との静かな駆け引き
  • 易卜による琅琊王暗殺計画の提案
  • 利用されることを拒む蘇暮雨の強い意志
  • 朝廷と江湖の対立が本格化する重要な転換点
  • 暗河を巡る巨大な陰謀の全貌が動き始める展開

暗河伝 13話・14話・15話・16話 あらすじ

暗河伝 各話あらすじ キャスト・相関図

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