悪との距離 あくとのきょり 2018年 全10話 原題:我們與惡的距離 英題: The World Between Us
第3話あらすじ
第三話 亀裂
問題と向き合う勇気
應思聰の幼稚園立てこもり事件は、ニュースで大々的に取り上げられた。姉・思悦が父とともに警察署へ行く姿も報道され、世間は精神病患者をますます冷たい目で見るようになっていた。
警察署内で、取調べを受ける思聰。弁護士・王が付き添い、刑事責任の有無に関わる精神病を患っている可能性があることを警官に伝え、記録させる。思悦たちは防犯カメラの映像を見て、思聰は子供たちと映画をとっていたことを知る。しかし、撮影の許可は取られていなかった。
無事に思聰が釈放され、帰宅する思悦。大芝が労うものの、偏った事件の報道の仕方に思悦は
憤りを感じており、これが報道なのかと八つ当たりし、自分の部屋へ戻っていった。
一方、事件を受けて、王の妻・美媚は娘の幼稚園を変えることを伝える。娘の傷心や妊娠で神経質になっており、精神病患者はみんな捕まえろと主張する美媚。しかし王は、統合失調者みんなが暴力的ではない、と反論する。
劉と宋は娘の天晴(テンチン)の担任の先生から呼び出しを受けた。どうやら、男の子に送るメッセージが度を過ぎているらしい。
王は李暁明の母に会いにいく。息子が変わった原因を見つけようと説得するものの、母親にですらわからないから、もう来ないでほしいと伝えられる。しかし、王は死刑判決が確定しただけでは、事件はまだ終わらないと話す。
宋の妹・宋喬平(ソン・チャオピン)は、天晴の問題は家庭内の問題から、と話す。解決するには母親が自分で話すべきだと言うが、結局話せずじまいに終わる。
思悦は、弟は精神異常じゃないと現実を直視できない。
たまたまSBCで王弁護士と遭遇する大芝。他人のふりをするが、王に事件の真相を知りたくないかと、兄との面会を説得できないかと相談される。
思聰の状態がさらに悪化し、被害妄想が激しくなってしまう。
第3話感想
第三話は、題名のごとく、それぞれの家庭に亀裂が入ったようでした。精神病を患っている犯人を弁護する王と、家族への被害を心配する美媚。精神に異常をきたし始めた思聡と、弟の変わりようを受け入れられない思悦。娘との距離がさらに遠のく宋と、寂しさを紛らわすように男の子に夢中な天晴。そして、家族ですら面会を拒む李暁明と、王弁護士に説得されるその家族。登場人物たちの間に入ったほんの少しの亀裂は、果たして一家を再起不能まで追い込むのか、それとも修復できるのでしょうか。それぞれの問題と向き合う勇気が、今後の展開を左右しそうな気がします。
また、思聡の事件を通して、精神病に対する家族の反応の違いも描写されていました。事件の被害者は、精神病患者全てが悪、と過剰に反応してしまう。一方で、患者家族は現実から目を逸らしてしまうという非常にリアリティのある話でした。
第4話あらすじ
第四話 病識
目を逸らす現実に向き合う
美媚は、悪人が法律に守られていることが許せないと言う。そして、死刑を免除する弁護士はもっと許せないと、小斐(シャオフェイ)を連れて家を出る。
思聡が統合失調病だと診断される。思悦は、弟が病気であることに不安を拭えない。
天晴のネット依存を見て、宋は携帯を止める。なんの相談もなかったことに怒った天晴は、天彦(テンイェン)と一緒に死ねばよかったのにと言ってしまう。
天晴を預かる喬平は、病気の自覚のない人が完治しないように、宋も自分が傷ついている自覚がないと話す。
父に、思聡のことを婚約者には伝えるなと忠告されるが、思悦は思い切って婚約者に打ち明ける。
そして、凱子(カイズー)に一緒に向き合おうと支えられ、安堵の表情を見せる。
医師から、統合失調病の原因は、遺伝、染色体の突然変異、長期間のストレスとさまざまであることを告げられる一家。薬の副作用で変わり果てた思聡の姿に、涙を堪えきれなかった。
美媚が家を出て行ったため、バーに赴く王。そこには、精神科医・林一駿(リン・イーシュン)の姿が。酒に酔い、精神異常の犯人の人権を一方的に熱弁する王だった。
実家に帰った大芝。両親の様子を見て、いっそ一家心中しないかと言ってしまう。自分一人だけが新しい人生を歩み、笑うことはできないと心境を話す。
天彦のおもちゃを捨てようとする劉を止めに入る宋。部屋に入ることができれば捨てないと言うが、部屋に入れず泣き出してしまう。目を離したすきに事件が起こってしまったことに、ずっと自責の念を感じていることを吐露する。
兄の写真を見て、事件前日の最後の会話を思い出す大芝。「今度でっかいことをやるぜ」と言う兄に、もっと踏み込んでいればと後悔しているのだった。
第4話感想
病識は、自分が病気であるという認識のことを指すらしいのですが、第四話は主に、思聡と宋の病識について描写されていました。思聡の場合、本当に「病気」の自覚がなく、本人の意思に反して薬の投与や入院となってしまいました。そして、薬の副作用で変わってしまった姿には、涙を誘われました。
一方で、宋は自分の心の傷に対して病識がないようでした。息子を失った傷だけがいつまでも癒えないだけと仕事に打ち込む姿は、逆に夫・劉や娘・天晴に関する傷は、些細なことと無視するような描写がされています。心が壊れてしまう一歩手前で、劉と事件当時の話題に触れることができたのは、彼女の傷を認知させるきっかけになるのではないかと思います。
宋の病識は、私たちにも通ずるところがあると思います。これくらい大丈夫、と自分を誤魔化しているうちに、取り返しのつかないことになると気付かされました。これは、自身の心の傷や健康状態、ひいてはいじめ問題にもつながるのではないでしょうか。私たちは、身体的病気だけでなく、心の闇も自覚すべきなのかもしれません。
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