女医明妃伝~雪の日の誓い~ 2016年 全50話 原題:女医・明妃傳
目次
第26話 英宗、郕王と允賢の婚姻を認めるも新たな障害が立ちはだかる
允賢の励ましによって立ち直った英宗は、再び帝としての誇りを取り戻し、孫太后との対決を決意する。そして長年想い合ってきた郕王・祁鈺と允賢の結婚を認めようとするが、そこへ孫太后と呉太妃が現れ、先帝の遺詔を持ち出して婚姻の決定権を奪い返してしまう。追い詰められた祁鈺は「生涯、允賢ただ一人を妻とする」と皆の前で誓いを立てる。
一方、瓦剌との戦況は悪化の一途をたどっていた。前線からは敗戦の報が相次ぎ、杭綱までもが通敵の疑いをかけられて投獄される。杭家一門は罪人として扱われ、允賢もまた牢へ送られてしまう。祁鈺は愛する女性を救うため奔走するが、頼みの綱だった汪国公は冷たく彼を突き放した。
その頃、王振は英宗に「御駕親征」を進言する。皇帝自ら軍を率いて出征すれば威信を示せると説くが、その裏には危険な思惑が隠されていた。王振はさらに牢の允賢へ接触し、英宗を親征へ導くよう取引を持ち掛ける。しかし允賢は国家と皇帝の安全を優先し、その提案をきっぱり拒絶する。
太后が允賢の処罰を進めるなか、祁鈺はついに苦渋の決断を下す。允賢を救う条件として、汪国公の娘・汪美麟との結婚を受け入れたのだ。こうして婚礼の日取りが決まり、允賢も釈放される。再会した二人は涙ながらに抱き合うが、祁鈺は自らの犠牲を語ることができない。ただ「何があっても自分を信じてほしい」と繰り返すのだった。
第27話 祁鈺の政略結婚、允賢は絶望の淵へ
祁鈺と英宗は、允賢を傷つけまいとして真実を隠し続ける。しかし結婚の事実はついに允賢の耳にも届く。信じられない思いで王府へ駆けつけた彼女が目にしたのは、華やかに飾られた婚礼の光景だった。
深い絶望に沈んだ允賢は、かつて祁鈺と愛を誓った湖畔へ向かう。そこで幸せだった日々を思い返しながら、衝動的に湖へ身を投げてしまう。だが彼女を救ったのは英宗だった。雨の降る夜、英宗はただ友として寄り添い、允賢の悲しみと苦しみを静かに受け止める。
一方、結婚を果たした汪美麟は表面上こそ理想的な王妃を演じるが、心の中では允賢への嫉妬と憎悪を燃やしていた。祁鈺が允賢を側室ではなく正式な妃として迎えたいと考えていることを知り、その怒りはさらに強まる。しかし祁鈺自身も決して幸福ではなかった。愛する女性を失い、政略結婚を強いられた彼は苦悩を抱え続ける。
やがて祁鈺は、一連の出来事の背後に汪国公父娘の陰謀があると疑い始める。そして密かに調査を開始するのだった。
宮中へ戻った允賢は再び医務に励むが、そこへ汪美麟が現れる。表向きの優雅さを捨てた彼女は允賢を激しく侮辱し、さらには家族や友人へ危害を加えると脅迫する。ほどなく允賢の愛猫が惨殺され、皇后までも危険な目に遭う。汪美麟の執念は、ますます恐ろしいものへと変わっていく。
第28話 太原陥落、允賢は死を偽って従軍する
瓦剌の太師・也先は太原守将の不正を利用し、ほとんど抵抗を受けることなく太原城を陥落させる。この報せは朝廷を震撼させ、英宗はついに親征を決断する。
しかし多くの重臣たちは不安を抱いていた。補給不足、経験不足、そして軍の実権を握る王振の存在。どれを取っても勝利を約束できる状況ではない。それでも英宗は自信に満ちあふれ、出征準備を進める。
その頃、允賢は汪美麟からさらなる脅迫を受けていた。家族を守るため、自ら命を絶つことまで考えるが、丁香と皇后の助けによって救われる。皇后は允賢に「死を偽装して宮中から姿を消す」という大胆な策を授けた。
こうして允賢は表向き死亡したことになり、祁鈺もまた恋人の死を信じ込む。深い悲しみに打ちひしがれた彼は吐血して倒れてしまう。
だが実際には、允賢は身分を隠して親征軍へ加わっていた。再会した英宗は彼女の無事を喜び、軍中でも変わらぬ信頼を寄せる。允賢は兵士たちの治療に尽力し、多くの将兵から慕われる存在となる。
やがて明軍は瓦剌軍と対峙する。瓦剌の猛将・勃顔帖木児の勇猛さに英宗は刺激され、自ら戦場へ出ようとする。周囲は必死に止めるが、若き皇帝の闘志は高まるばかりだった。
第29話 土木堡への道、英宗が敵の罠にはまる
戦場で英宗は思いがけず勝利を収める。勃顔帖木児を退けたことで軍の士気は高まり、王振はさらに英宗を持ち上げる。続く戦でも勝利を重ね、皇帝自身も自らの才能を信じ始めていた。
しかし、その勝利こそが也先の仕掛けた巨大な罠だった。瓦剌軍はわざと敗走する姿を見せ、英宗を油断させていたのである。本隊は密かに別の作戦を進め、明軍を疲弊させながら北京への道を開こうとしていた。
允賢と樊忠は戦況に不自然さを感じ警告するが、英宗は耳を貸さない。やがて兵糧庫が炎上し、瓦剌軍の挑発文が発見される。激怒した英宗は冷静さを失い、敵を追撃するよう命じてしまう。
その結果、明軍は補給も体力も失ったまま各地を転戦することとなる。しかも王振は自らの利益のため誤った進路を選ばせ、軍を危険地帯へ導いていた。
戦いが続く中、負傷兵は増え続ける。薬品不足の原因が王振の横領にあることも発覚するが、もはや取り返しはつかなかった。そして敵の包囲網が完成し、明軍は完全に追い詰められる。
忠臣・樊忠は皇帝を守るため壮絶な最期を遂げる。絶望した英宗は自害を図ろうとするが、允賢の一喝によって思いとどまる。しかしその直後、也先を追った英宗は待ち伏せに遭い、ついに捕虜となってしまう。允賢もまた彼と共に敵の手へ落ちるのだった。
第30話 英宗捕虜となり、祁鈺が皇帝に即位する
土木堡の大敗によって、英宗は瓦剌軍の捕虜となる。十万を超える将兵を失わせた自責の念に苦しみ、絶食によって抵抗を試みるが状況は変わらない。
そこへ現れたのが、生き延びていた程十三だった。瓦剌側の参謀として暗躍する彼は、英宗を激しく嘲笑い、自らの復讐心をむき出しにする。かつて天下を治めた皇帝は、今や宿敵の前で屈辱に耐えるしかなかった。
一方、允賢は兵士として扱われたことで身元を隠し通し、負傷兵たちとともに移送される。英宗と離れ離れになりながらも、生き延びる道を探していた。
北京では皇帝救出のため巨額の身代金が集められる。皇后までもが私財を差し出して協力するが、瓦剌側はさらに高額な要求を突き付ける。もはや支払いは不可能だった。
この国家存亡の危機の中、孫太后は祁鈺を新たな皇帝に擁立する案を提案する。祁鈺は兄への忠義から強く拒否するが、朝廷は国を守るためには新たな君主が必要だと主張する。
于東陽をはじめとする忠臣たちまでが即位を勧める中、祁鈺はついに重圧に屈し、皇位を受け入れる。こうして郕王は新皇帝として即位することになる。
新たな皇帝となった祁鈺は、兄を救い出し皇位を返す意思を失ってはいなかった。しかし玉座に座った瞬間、彼は権力というものの大きさと甘美さを初めて知る。後の運命を大きく変える転機が、静かに訪れようとしていた。
















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