女医明妃伝~雪の日の誓い~ 2016年 全50話 原題:女医・明妃傳
第46話 太后を救う決意 女医制度への挑戦
允賢は宮女たちの励ましを受け、かつての郕王だった祁鈺と今の皇帝である祁鈺は別人であることを受け入れ始める。表面上は皇帝との関係を修復するものの、その心はすでに以前のような純粋な愛情では満たされていなかった。それでも彼女は皇帝に寄り添いながら、南宮に幽閉された祁鎮と銭皇后を陰ながら支え続ける。
そんな中、允賢は仁寿宮で病に伏す孫太后の診察を依頼される。診察を進めるうち、病状の背後に不審な点を見つけた允賢は、玉香から汪美麟による陰謀の真相を知らされる。かつて自分を苦しめた太后であっても、医師として見捨てることはできない。允賢は密かに治療を開始する。
さらに御薬房では女性医療の充実を目指し、医女の育成を進める允賢。しかし保守的な朝臣たちは女性が医術を学ぶことを快く思わず、汪国公の扇動も加わって激しい反発が巻き起こる。朝廷では女医制度への批判が相次ぎ、祁鈺も政治的圧力から御薬房の縮小を命じてしまう。
追い詰められた允賢は自ら朝堂へ赴き、女性医療の必要性を堂々と訴える。だが群臣の非難は収まらず、ついには命を懸けて信念を証明しようとする。その危機を救ったのは、南宮に囚われた祁鎮から届けられた書状だった。すべての責任を自ら負い、允賢を守ろうとする祁鎮の深い思いやりに、允賢の胸は大きく揺さぶられるのだった。
第47話 疫病との戦い 深まる絆
朝廷での騒動の後、允賢は万安宮への謹慎を命じられる。祁鈺への信頼は大きく損なわれ、二人の間には深い溝が生まれていた。
その頃、京城では恐ろしい疫病が流行し始める。患者は次々と倒れ、街は混乱に包まれる。しかし権力争いに翻弄された官吏たちは十分な対策を取らず、被害は拡大の一途をたどった。
感染を恐れた祁鈺は宮中から離れることを考え、允賢も避難させようとする。だが汪美麟の策略により、允賢を乗せた舟は事故を起こし、彼女は湖へ転落してしまう。幸い命は助かったものの、允賢はこの事件が偶然ではないと悟る。
避難を断念した允賢は、疫病と戦う民衆のもとへ向かう。瓦剌で学んだ蒙古医学の知識を活用し、新たな治療法を提案すると、その効果は予想以上だった。人々は希望を取り戻し、「生き観音」と称えて彼女を慕うようになる。
さらに祁鎮も南宮を抜け出して救援活動に加わる。命の危険を顧みず民を救う姿に、允賢はかつての皇帝としての器の大きさを改めて感じる。二人は協力して疫病を鎮め、京城はようやく平穏を取り戻した。
その後、允賢の体調に異変が現れる。診察の結果、彼女が身ごもっていることが判明する。突然の吉報に祁鈺は歓喜し、初めて父となる喜びに包まれるのだった。
第48話 皇貴妃冊封 揺れる皇帝の心
懐妊を知った祁鈺は、允賢を皇貴妃へと昇格させる。さらにこれまでの過ちを認め、彼女への信頼を取り戻そうと努める。
しかしこの知らせは皇后・汪美麟にとって耐え難いものだった。皇后の地位は守られていても、皇子誕生の可能性は自らの立場を脅かす。彼女は父・汪国公と共に新たな陰謀を巡らせ始める。
一方、瓦剌では也先が可汗となり、大明との和平を望んでいた。両国の会盟が決まり、朝廷では誰が出席するかが議論となる。祁鈺は危険を恐れて消極的な態度を見せるが、祁鎮が自ら名乗り出たことで事態は動き出す。
会盟の場で祁鎮は堂々と振る舞い、也先との友好的な関係を築くことに成功する。両国の和平は実現し、朝廷でも祁鎮への評価が再び高まる。
その報告を受けた祁鈺は、自分と兄との器の違いを痛感する。そして権力への執着が多くの過ちを生んだことに気付き始めるのだった。彼は過去の誤りを正し、兄との関係を修復しようと決意する。
第49話 皇后誕生 命尽きる時
祁鈺は允賢に心から謝罪し、二人は久しぶりに穏やかな時間を取り戻す。未来への希望も見え始めた矢先、祁鈺が突然激しい腹痛と吐血に襲われる。
当初は重い胃病と診断されるが、症状は悪化の一途をたどる。調査の結果、原因は金剛石の粉末を混ぜた毒である可能性が浮上する。そしてその毒は、汪美麟が允賢を害するために用意したものだった。
真実を知った汪美麟は絶望する。愛する皇帝を傷つけてしまったことに耐えられず、允賢にすべてを打ち明けて助けを求める。しかしその告白を祁鈺自身も耳にしていた。
死を目前にした祁鈺はもはや権力に執着していなかった。彼は汪美麟を廃后とし、允賢を新たな皇后に冊立することを決意する。
允賢は懸命に治療法を探し続け、太医や医女たちも総力を挙げて救命に当たる。何とか容体は一時的に安定するが、身体の衰弱は止められなかった。
最期を悟った祁鈺は祁鎮に謝罪し、皇位を本来の持ち主へ返す決断を下す。兄弟は涙を流しながら抱き合い、失われた年月を取り戻すかのように和解するのだった。
第50話(最終話) 新たな未来へ
除夜の日、祁鈺と允賢、太后たちが集まり最後の団らんを迎える。しかし祁鈺の病はすでに限界に達していた。
雪が降る夜、允賢は宮殿の外で静かに空を見上げる。そこへ祁鎮が現れ、かつて共に過ごした思い出を語りながら別れを告げる。二人は互いの人生を尊重し、それぞれの道を歩む覚悟を胸に秘めていた。
その夜更け、祁鈺は大量の吐血を起こし、允賢の必死の治療も及ばず息を引き取る。愛する人を失った悲しみの中、允賢は流産というさらなる悲劇にも見舞われる。
一方、孫太后と静慈師太は祁鎮の復位を実現させる。太后は長年の誤解を解き、母子の確執もついに終わりを迎える。
復位した祁鎮は殉葬制度を廃止し、さらに允賢が生涯を懸けて守ろうとした女医制度を正式に整備する。女性たちは安心して治療を受けられるようになり、多くの命が救われるようになった。
しかし允賢は宮廷に留まることを選ばなかった。祁鈺と亡き我が子への想いを抱えたまま、宮廷の争いから離れ、各地を巡りながら人々を治療する道を歩み始める。
やがて『女医雑言』を書き上げ、女性医療の発展に大きな足跡を残した允賢。英宗もまた太子へ皇位を託した後、彼女を探す旅へ出る。
こうして一人の女性医師の信念は時代を動かし、多くの女性たちの未来を切り開いた。允賢が願い続けた「誰もが平等に医療を受けられる世の中」は、確かに実を結び始めていたのである。
















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