朝雪録〈あさゆきろく〉2025年 全38話 原題:朝雪录 朝雪録〜女医復讐記〜
第16話「豫州への道」
百草園での惨劇を乗り越えた秦莞たちは、次なる目的地・豫州へ向かう。燕遅は、忠勇侯が自らの姪を裕王の側室として送り込み、王族との結びつきを強めようとしていることを知る。彼はその動きを阻止するため、自らも豫州へ赴く決意を固めた。
出発前、燕遅は秦莞へ「必ず守る」と約束する。その言葉に秦莞は心を揺らされるが、復讐を抱える彼女は素直になれない。
豫州へ到着した一行は、豪商・龐輔良の屋敷へ迎え入れられる。しかし息子・龐宜文は下品な視線で秦莞たちを見つめ、不快感を与える。華やかな大邸宅の裏には、どこか不穏な空気が漂っていた。
一方、燕遅は義王世子・燕離に連れられて妓楼「天香楼」へ。燕離は舞姫たちを並べて燕遅をからかうが、燕遅は興味を示さず、逆に「お前が踊れ」と返して燕離を狼狽させる。
さらに燕離は、燕遅に想い人がいるのか問いかける。燕遅は迷うことなく秦莞の名を口にし、「彼女に手を出すな」と真顔で警告するのだった。
その後、燕離から裕王寿宴の招待客名簿を見せられた燕遅は衝撃を受ける。そこには李牧雲の名があった。彼こそ沈毅を告発し、現在は大理寺卿となった男である。燕遅は、秦莞が彼と再会すれば感情を抑えきれないのではと危惧する。
さらに裏では、龐輔良と運送使・劉仁励が「十方客桟」という謎の存在について密談していた。そこでは“清璃”という人物が危険な存在として語られ、すでに新たな事件の火種が動き始めていた。
夜、燕遅は密かに秦莞を訪ねる。しかし秦莞は「本当に妓楼へ行ったの?」と問い詰め、燕遅は慌てて弁解。事件の緊張感の中にも、二人の微妙な恋模様が描かれる回となった。
第17話「寿宴の矢」
裕王府で盛大な寿宴が開かれ、各地の有力者たちが集結する。秦莞はついに李牧雲と対面。父・沈毅を陥れた人物を目の前にし、彼女は激しい怒りを押し隠す。
一方、李牧雲も秦莞へ意味深な視線を向けるが、酒を理由に早々に退席。燕遅はそんな彼へ露骨な敵意を見せる。
宴では人気劇団「双清班」が『目連救母』を上演。しかし舞台の最中、主演の清璃が突然矢で射抜かれ絶命する。鬼王役の楊英が放った矢による事故に見えたが、秦莞は即座に違和感を覚える。
現場を封鎖した燕遅と秦莞は検視を開始。通常の舞台用矢は木製だが、清璃を射た矢だけは純鉄製だった。つまり何者かが事前に矢をすり替え、演出を利用して暗殺したのである。
さらに犯人は、清璃が舞台上で無防備になる瞬間と立ち位置を正確に把握していた。双清班の内部事情に精通する者でなければ不可能な犯行だった。
知州・汪懐宇は楊英へ拷問を行い強引に自白させようとするが、秦莞が阻止。燕遅も正式な再捜査を命じる。
一方その頃、燕離と岳凝は酔った勢いで「いっそ結婚しよう」と妙な約束を交わしていた。緊迫した事件の裏で、思わぬ恋愛騒動も進展していく。
この事件では、“舞台上での公開殺人”という大胆なトリックが展開される。
観客全員の目の前で起きた殺人――だが真犯人は、観衆の視線そのものを利用していたのだった。
第18話「清晖園の秘密」
秦莞は清晖園で、龐宜文が異母弟・龐嘉言を虐待している場面を目撃する。龐家内部には深刻な家庭問題があり、表面上の豪華さとは裏腹に歪んだ空気が支配していた。
その頃、燕遅は龐輔良と劉仁励が共に定州出身であることに注目。二人の過去を追う中で、かつて双清班を率いていた清筠――現在の覃夫人との複雑な関係が浮かび上がる。
しかし直後、その覃夫人が自殺したとの知らせが入る。だが燕遅は即座に他殺を疑う。秦莞の検視により、覃夫人は死の前に曼陀羅入りの酒を飲まされ、意識を失っていたことが判明。自殺に見せかけた殺人だった。
さらに白楓は、龐輔良の書房近くで覃夫人の衣服と同じ布切れを発見。燕遅は龐輔良への疑いを強める。
一方、劉仁励は恐怖に追い詰められていた。彼は官服と官印を整え、逃亡を決意する。つまり彼自身も、近づく“復讐”を恐れていたのである。
そんな中、龐宜文は再び秦莞へ横柄な態度を取るが、岳凝と燕離に阻止される。秦莞も毅然と彼を拒絶し、龐宜文は逆恨みを深めていく。
事件の背後には、十年前の“黄金強奪事件”があることが徐々に判明。
現在起きている連続殺人は、過去に黄金を奪った者たちへの報復である可能性が浮上する。
第19話「黄金の亡霊」
燕離は秦莞への嫌がらせに腹を立て、龐宜文を密かに痛めつける。だが龐宜文は逆に秦莞へ治療を求め、秦莞は鍼治療を利用して容赦なく仕返しする。
その一方で、秦莞は龐夫人の身体に虐待の痕を発見する。龐輔良は家族に対しても暴力的であり、龐夫人は子どもたちのため耐え続けていた。
燕遅は調査を進める中で、清筠・龐輔良・劉仁励が十年前の黄金強奪事件に関わっていたと推測。現在の殺人は、その罪に対する復讐劇だと考える。
さらに秦莞と岳凝は、突然発作を起こした龐嘉韻を助けるが、彼女が『目連救母』を歌えることに気づく。以前から屋敷内で聞こえていた謎の歌声は、龐嘉韻によるものだった。
そして事件は急展開を迎える。
秦莞が書房へ入ると、龐輔良は胸を長剣で貫かれ絶命していた。さらに遺体には桐油がかけられ、直後に火矢が撃ち込まれる。屋敷は炎に包まれ、秦莞も危機に陥るが燕遅が救出する。
検視の結果、龐輔良らの死に方は、十年前に黄金輸送を担当した張将軍一家が殺された方法と酷似していた。
つまり真犯人は、十年前の事件を完全に再現しながら復讐を行っていたのである。
やがて燕遅と秦莞は、双清班の清曦の弟子・清嬛――現在の侍女「晴娘」こそ復讐者だと推理する。
長年隠されてきた黄金事件の血塗られた真実が、ついに姿を現そうとしていた。
第20話「京城連続殺人」
龐家事件を終えた秦莞たちは、ついに京城へ到着する。しかし都ではすでに新たな連続殺人事件が発生していた。
若い女性ばかりが残虐に殺される異常事件に、東宮では太子・燕徹が頭を抱えていた。忠勇侯・秦述は「地方で数々の難事件を解決した優秀な仵作がいる」と進言し、その人物として秦莞を推薦する。
だが秦述には別の思惑もあった。
彼は太子妃候補である娘・秦朝羽に加え、秦莞までも利用し、東宮との繋がりを強化しようとしていたのである。
一方、成王・燕麒は忠勇侯府の動きを警戒し、秦莞の捜査参加を妨害しようと画策する。
秦莞は男装して義庄へ潜入し、被害女性三人の検視を開始。遺体には共通点があり、同一犯による連続殺人だと断定する。
さらに彼女は遺体の縫製痕や傷口の特徴から、「犯人は裁縫技術を持つ人物ではないか」と推測。つまり犯人は布や針仕事に精通した職人、あるいは仕立て屋の可能性が高かった。
だが解剖直前、燕麒が現れて秦莞の行動を妨害する。正体露見の危機だったが、燕遅が駆けつけ彼女を守る。
その後、燕遅は京城地図を用いて犯人の行動範囲を分析。被害現場の位置関係から、容疑者が潜む区域を絞り込み、京兆府へ大規模捜索を命じる。
ついに舞台は京城へ移り、秦莞は父を陥れた陰謀の中心地へ戻ってきた。
だが彼女を待っていたのは、さらに巨大で危険な連続殺人事件だった。
















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