向日葵を追いかける太陽 2023年 全24話 原題:当我飞奔向你
目次
第9話 揺れる恋心と特別な旅――少しずつ近づく二人の距離
文化祭を終え、張陸譲(ジャン・ルーラン)と蘇在在(スー・ザイザイ)の関係は以前よりもずっと自然なものになっていた。
一緒に勉強し、一緒に帰り、休日には水族館へ出掛ける。
周囲から見れば恋人同士のように見える二人だったが、当人たちはまだその関係に名前を付けられずにいた。
そんな中、二人には新たな思い出となる特別な出来事が待っていた。
水族館デートの続きとなるこの日、在在と陸譲は館内で迷子になっている小さな男の子・豆豆を見つける。
泣きそうな顔で立ち尽くす豆豆を見て、在在はすぐに駆け寄った。
「大丈夫だよ、お姉ちゃんたちが先生を探してあげるからね」
持ち前の明るさで優しく声をかける在在。
その隣では陸譲も静かに寄り添い、豆豆が安心できるよう見守っていた。
二人は力を合わせて先生を探し回り、無事に豆豆を引き渡すことに成功する。
先生は感謝の気持ちとして、二人にお揃いの記念ストラップをプレゼントした。
在在は嬉しそうにその一つを陸譲へ渡す。
陸譲は相変わらず大きな反応は見せない。
しかし、そのストラップを大切そうに受け取る姿からは、彼がどれほど嬉しく思っているかが伝わってきた。
在在にとっても、そのストラップは特別な意味を持っていた。
校服以外で初めて持つ“お揃いの物”。
それだけで胸がいっぱいになる。
二人だけの秘密の宝物が増えたような気がしたのだ。
数日後、学校ではある噂が広まっていた。
それは「世界が終わる日が来る」という終末論だった。
教室では生徒たちがその話題で盛り上がっている。
本気で信じている生徒もいれば、笑い飛ばしている生徒もいる。
そんな中、数学教師の張先生は呆れ顔だった。
近々開催される数学コンテストを前に、余計なことを考えず勉強へ集中するよう生徒たちへ注意する。
放課後。
図書館で勉強していた在在と陸譲も、その話題について語り合っていた。
「もし本当に世界が終わるなら、何をする?」
在在の質問に、陸譲は少し考える。
二人は真面目な話から冗談まで語り合い、気付けば勉強そっちのけで笑い合っていた。
どんな話題でも自然に会話が続く。
そんな関係が二人にとって心地よかった。
そして迎えた数学コンテスト当日。
今回は他校の生徒も集まる宿泊型の大会だった。
在在は興奮して荷物の準備を進める。
大会そのものも楽しみだったが、何より嬉しいのは陸譲と同じ場所で過ごせることだった。
彼女にとっては初めての“小さな旅行”でもある。
一方の姜佳(ジャン・ジア)は少し元気がない。
憧れの沈謙宇が今回参加しないことを知り、少し寂しさを感じていたのだ。
当日の朝。
ところが在在と姜佳は大失敗をしてしまう。
なんと寝坊したのである。
集合時間を過ぎていることに気付き、二人は大慌てで飛び起きる。
その頃、出発地点では陸譲が落ち着かない様子を見せていた。
在在から連絡がない。
電話を掛けてもなかなか繋がらない。
心配でたまらない陸譲だったが、それを素直に口にすることはできない。
「ちょっと飯食いに行く。」
そう言い訳をして外へ出ようとする。
しかし親友の顧然(グー・ラン)はすぐに見抜いていた。
「在在を迎えに行くんだろ?」
図星を突かれた陸譲は返す言葉がない。
結局、顧然も一緒について行くことになる。
そして夜になり、ようやく到着した在在と姜佳。
二人の姿を見た陸譲はようやく安心した表情を見せるのだった。
宿泊先ではそれぞれ部屋割りが発表される。
在在の同室になったのは夏寧(シア・ニン)という女子生徒だった。
明るく話しやすい性格の夏寧だったが、会話の途中で陸譲の名前が出てくる。
しかも彼女は陸譲の中学時代の同級生だという。
在在の胸はざわついた。
自分の知らない陸譲を知っている人。
それだけで気になってしまう。
夜。
在在は我慢できず陸譲へメッセージを送る。
「夏寧のこと覚えてる?」
陸譲は少し考えた後、
「たぶん覚えてる。」
と返事をする。
その何気ない一言に、在在はなぜか落ち込んでしまう。
翌日にはさらに追い打ちがかかる。
夏寧が陸譲の愛犬・酥酥(スースー)の名前まで知っていたのだ。
在在が最近ようやく知った情報を、夏寧はずっと前から知っている。
それだけで心の中がモヤモヤしてしまう。
恋をすると、些細なことでも気になってしまう。
在在は初めて味わう感情に戸惑っていた。
そして試験当日。
緊張しながら問題へ向き合った在在は、なんとか無事に試験を終える。
会場の外へ出ると、そこには陸譲の姿があった。
彼はずっと出口で待っていたのだ。
その姿を見ただけで在在の心は温かくなる。
しかしそこへ夏寧も現れる。
夏寧は自然に陸譲へ声を掛け、小吃街へ行こうと誘う。
その光景を見た在在は思わず肩を落としてしまう。
面白くない。
理由は分かっている。
嫉妬だった。
そんな在在の様子を陸譲は見逃していなかった。
しばらくして彼は在在の前へやって来る。
手には果凍(ゼリー)が握られていた。
「これ。」
それだけを言って差し出す。
陸譲は知っていた。
在在が落ち込んでいる時、ゼリーを食べると元気になることを。
その優しさに在在の心は一瞬で晴れていく。
やっぱり陸譲は特別だった。
その後、二人は一緒に観光を楽しむ。
街を歩き、美味しいものを食べ、索道(ロープウェイ)にも乗った。
眼下に広がる景色を見ながら、在在は幸せを噛み締める。
「陸譲と一緒なら、それだけで楽しい」
そんな気持ちがどんどん大きくなっていく。
夜になり、在在は姜佳へ嬉しそうにその日の出来事を報告する。
ロープウェイに乗ったこと。
たくさん話をしたこと。
どれも忘れたくない思い出だった。
その後、在在は再び陸譲を探しに行く。
すると偶然、陸譲と夏寧が話している場面を目撃してしまう。
気まずくなった在在はそのまま立ち去ろうとする。
しかし陸譲はすぐに彼女へ気付いた。
「蘇在在。」
呼び止められた在在は驚く。
そして陸譲は用意していたお土産を彼女へ渡す。
それだけで在在の心はまた嬉しさで満たされる。
後日、夏寧は在在が身に付けているストラップを見て驚く。
それは陸譲とお揃いの物だった。
「もしかして付き合ってるの?」
思わず尋ねる夏寧。
しかし在在は慌てて否定する。
まだ恋人ではない。
少なくとも今は。
そんな在在を見て夏寧は優しく微笑む。
そして意味深な言葉を残す。
「張陸譲が誰かに近付くのって、本当に勇気がいることなんだよ。」
陸譲の過去を知る彼女だからこそ分かることだった。
人との距離を縮めるのが苦手な彼。
傷付くことを恐れ、自分の殻へ閉じこもってしまう彼。
そんな陸譲が在在へ歩み寄っていること自体、とても大きな意味を持っていた。
さらに夏寧は続ける。
「もし彼がまだ一歩踏み出せないなら、あなたから近付いてあげて。」
その言葉は在在の心へ深く残る。
これまで追いかけているつもりだった。
でも本当は、陸譲も少しずつ自分へ近付いてくれていたのかもしれない。
在在は改めて彼との時間を思い返す。
そして、自分の恋が確実に前へ進んでいることを感じるのだった。
【第9話の見どころ】
今回の見どころは、数学コンテストを通じて描かれる二人の“小旅行”のような時間。
迷子の豆豆を助けたことで手に入れたお揃いのストラップは、二人の絆を象徴する特別なアイテムとなった。
また、夏寧の登場によって在在が初めて本格的な嫉妬を経験する姿も注目ポイント。好きな人の過去を知る存在への複雑な感情が、恋する少女らしく繊細に描かれている。
そして陸譲が在在の気持ちを察し、そっとゼリーを差し出すシーンは胸キュン必至。言葉は少なくても、彼の優しさがしっかり伝わる名場面となっている。
【次回への期待】
夏寧から語られた「張陸譲は勇気を振り絞って蘇在在へ近付いている」という言葉。
その意味を知った在在は、これまでとは違う視点で陸譲を見るようになる。
一方で、陸譲自身も在在への想いを少しずつ隠し切れなくなってきていた。
お揃いのストラップ、嫉妬、優しい気遣い――。
積み重なっていく小さな出来事が、二人の恋を大きく動かし始めている。
果たして次はどちらが先に一歩踏み出すのか。
不器用ながらも優しい少年と、太陽のように明るい少女が紡ぐ青春純愛ストーリーは、ますます甘く切ない展開へと進んでいく。次回も見逃せない。
第10話 世界が終わるその前に――初雪が結ぶ二人の約束
数学コンテストを終えた蘇在在(スー・ザイザイ)たちは、それぞれ大切な思い出を胸に帰路についていた。
張陸譲(ジャン・ルーラン)との距離が少しずつ縮まり、恋心を自覚し始めている在在。そんな彼女にとって、帰りのバスで過ごす時間さえも特別な宝物のように感じられていた。
しかしその頃、生徒たちの間ではある話題が持ちきりになっていた。
それは「明日、世界が終わる」という終末予言だった。
もちろん根拠のない噂ではあったが、高校生たちにとっては格好の話題である。
バスの中では誰もがその話を口にしていた。
「もし本当に世界が終わるなら何をする?」
「最後に食べたいものは?」
「好きな人に告白するかも。」
冗談交じりに話しながらも、どこか本気で想像している様子の生徒たち。
そんな会話を楽しんでいるうちに、次第に疲れが出始め、車内は静かになっていく。
やがてみんな眠りについた。
在在はふと隣を見る。
そこには眠っている陸譲の姿があった。
穏やかな寝顔。
いつもはクールで感情を表に出さない彼が、無防備な表情を見せている。
その姿が愛おしくてたまらない。
在在はこっそりDVカメラを取り出し、誰にも気付かれないよう撮影を始める。
すると突然、陸譲が目を開けた。
思わず慌てる在在。
しかし陸譲は怒るどころか、彼女の慌てた様子を見て小さく笑う。
その優しい笑顔に在在の胸は高鳴る。
一方その頃、後ろの席では姜佳(ジャン・ジア)が眠ったまま顧然(グー・ラン)の肩にもたれ掛かっていた。
突然肩へ伝わる重みに驚く顧然。
だが振り払うことはしなかった。
むしろ嬉しそうな表情を浮かべる。
普段は口喧嘩ばかりの二人だったが、少しずつ特別な感情が芽生え始めていた。
やがてバスは目的地へ近付いていく。
その時、関放(グアン・ファン)が時計を見て声を上げる。
「世界が終わるまであと五分!」
その一言で車内は再び盛り上がる。
在在はすぐにDVカメラを構えた。
「じゃあ最後のメッセージを残そう!」
こうして即席の“世界終末インタビュー”が始まる。
生徒たちはそれぞれ未来への願いや夢を語る。
大学へ進学したい。
家族ともっと過ごしたい。
好きな人と一緒にいたい。
そんな率直な思いが次々と語られていく。
そして順番は陸譲へ回ってくる。
みんなが注目する中、陸譲は少し考えた後でこう言った。
「俺の時間は蘇在在に譲る。」
予想外の言葉に在在は驚く。
恥ずかしさと嬉しさが入り混じり、何を話したのか自分でもよく覚えていない。
やがて運命のカウントダウンが始まる。
十秒前。
九秒前。
全員で声を合わせて数える。
そしてゼロ。
しかし当然ながら何も起こらなかった。
世界は終わらない。
窓の外にはいつも通りの景色が広がっている。
一瞬の静寂の後、車内は大きな笑い声と歓声に包まれた。
「生きてる!」
「やった!」
誰もが嬉しそうだった。
その時、陸譲は静かにイヤホンを在在の耳へ差し出す。
録音機から流れてくる音楽。
二人だけで共有する小さな時間。
在在は思わず笑顔になる。
世界は終わらなかった。
だからこそ、こうして彼と過ごせる時間が何より大切に思えた。
学校へ戻った後も、穏やかな日々が続いていく。
そんな中、今回スポットが当たるのは関放だった。
ある日、放課後にみんなで帰ろうとしていた時のこと。
クラスメイトから掃除を頼まれた関放は迷わず引き受ける。
その様子を見た顧然は呆れてしまう。
「お前、頼まれたら何でもやるな。」
関放は昔から人と争うことを避ける性格だった。
しかし、その優しさには誰も知らない理由が隠されていた。
後日、一行は関放の祖母が営むスイーツ店を訪れる。
すると店内でトラブルが起きる。
若者二人が代金を払わず、逆に店へ金を要求していたのだ。
関放は穏やかに対応し、自分が弁償するとまで言い出す。
その様子を見た顧然は心配になる。
だが次の瞬間、関放の表情が変わる。
穏やかな笑顔が消え、相手を圧倒する鋭い眼差しになる。
実は関放は決して弱い人間ではなかった。
顧然は慌てて前へ出て彼を守ろうとする。
しかし当の本人は平然としていた。
結果的に相手は逃げ出し、騒動は収束する。
後から駆け付けた陸譲や在在たちは、すっかり顧然が追い払ったと思い込み、本人も調子に乗って英雄気取りになる。
そんな様子にみんなは大笑いするのだった。
しかし数日後、その出来事が再び波紋を呼ぶ。
以前の若者たちが仲間を連れて学校へやって来たのである。
彼らの狙いは関放だった。
当初は我慢していた関放だったが、相手が祖母を脅し始めた瞬間、彼の中の何かが切れる。
祖母だけは傷付けさせない。
その一心で関放は立ち向かう。
圧倒的な強さで相手たちを制圧する関放。
そこへ駆け付けた陸譲たちも加わり、騒動は無事に終息する。
その夜、関放は自身の過去を仲間たちへ語る。
中学生の頃の自分は荒れていた。
喧嘩ばかりしていた。
しかし問題を起こすたびに謝り、後始末をしてくれたのは祖母だった。
気付けば祖母は少しずつ年老いていた。
自分のせいで苦労をかけていることを知り、関放は変わろうと決意したのだ。
だから今の彼は優しい。
争いを避ける。
それは弱さではなく、大切な人を守るための強さだった。
在在たちはそんな関放の人生に感動する。
そして友情の絆はさらに深まっていく。
季節は冬へと移り変わる。
期末試験も近付き、生徒たちは必死に勉強へ励んでいた。
廊下には暗記カードを持った生徒たちの姿が並ぶ。
もちろん在在も例外ではない。
試験前日。
在在は陸譲へ笑顔で声を掛ける。
「頑張ってね!」
陸譲も静かにうなずく。
言葉は少ないが、その一言だけで十分だった。
そして試験が終わった日の放課後。
冷たい風が吹く帰り道で、陸譲は突然手袋を差し出した。
「寒いだろ。」
在在は驚く。
それは陸譲が普段使っている手袋だった。
彼の温もりが残る手袋。
在在は宝物を受け取るように大切に両手で包み込む。
「ありがとう。」
その笑顔を見て陸譲も少しだけ微笑んだ。
やがて冬休みが始まる。
二人は約一か月間、離れて過ごさなければならない。
在在にとっては耐え難いことだった。
「毎日メッセージ送るからね!」
寂しさを隠すように明るく言う在在。
すると陸譲は迷うことなく答える。
「全部返す。」
短い言葉だった。
しかしその約束は在在にとって何より嬉しかった。
そしてその瞬間――。
空から静かに白い雪が舞い始める。
二人にとって初めて一緒に見る雪。
今年最初の初雪だった。
白く降り積もる雪の中で見つめ合う二人。
まるで青春そのもののように、美しく温かな光景だった。
【第10話の見どころ】
今回最大の見どころは、「世界が終わるまであと五分」という青春らしいイベントの中で描かれた二組の恋模様。
在在のために自分の時間を譲る陸譲の優しさや、肩にもたれ掛かる姜佳を嬉しそうに見守る顧然の姿は胸キュン必至のシーンとなっている。
また、普段は穏やかな関放の意外な過去が明かされるエピソードも感動的。祖母への深い愛情と成長の物語は、友情ドラマとしても大きな見どころとなっている。
【次回への期待】
冬休みが始まり、これまで毎日のように会っていた在在と陸譲は離れ離れの生活を送ることになる。
しかし二人の心の距離は確実に縮まっていた。
「送ったメッセージには全部返事をする」
陸譲が交わした約束には、これまで以上の特別な想いが込められているようにも感じられる。
そして初雪の中で始まる冬休み。
離れていても募り続ける恋心は、二人をさらに成長させていくはずだ。
不器用ながらも優しい少年と、太陽のように明るい少女。
青春純愛ストーリーは新たな季節を迎え、さらに甘く切ない展開へと進んでいく。次回も胸が高鳴る物語が待っている。
第11話 新年に重なる想い――離れていても繋がる二人の心
冬休みに入り、蘇在在(スー・ザイザイ)と張陸譲(ジャン・ルーラン)はしばらく学校で会えない日々を過ごしていた。
しかし、二人の距離は決して離れてはいなかった。
毎日のメッセージ。
何気ない報告。
短い会話。
それらはすでに二人の日常になっていた。
そして迎えた旧正月。
街には新年を迎える華やかな空気が漂い始めていた。
在在の家でも年越しの準備が進んでいる。
父親は窓に縁起の良い切り絵を貼り付け、母親は料理や買い出しに忙しく動き回っていた。
そんな中、在在は母親を見るなり「新しい靴が欲しい」とおねだりを始める。
相変わらず自由奔放な娘の姿に家族は苦笑いするばかりだった。
その後も在在は、今日あった出来事を次々と陸譲へ送る。
何を食べたのか。
家で何をしているのか。
どんなことで笑ったのか。
どれも特別な内容ではない。
それでも陸譲にとっては大切な時間だった。
一方の陸譲は、自宅で家族と過ごしていた。
しかし彼の表情はどこか寂しげだった。
母親は弟の張路礼(ジャン・ルーリー)ばかりを気に掛けている。
楽しそうに会話する母と弟。
その輪の中へ入ることができない陸譲。
まるで自分だけが家族の外側にいるような感覚だった。
幼い頃から抱えてきた孤独。
それは今も消えていない。
だからこそ彼の心の拠り所は愛犬の酥酥(スースー)だった。
そして今はもう一人いる。
どんな時でも明るく話しかけてくれる蘇在在。
気付けば彼女とのやり取りが、陸譲にとってかけがえのない時間になっていた。
そんなある日。
在在の父親が突然言い出す。
「今年は田舎へ帰って正月を過ごすぞ。」
その言葉を聞いた在在は一瞬嫌そうな顔をする。
せっかくの休みなのに遠出は面倒だ。
ところが次の瞬間、彼女の態度は百八十度変わる。
帰省先が陸譲の故郷と同じ場所だと知ったからだった。
「本当に!?」
さっきまで嫌がっていたとは思えないほどの勢いで荷造りを始める在在。
その様子に家族も呆れるしかない。
そして在在はすぐに陸譲へ電話を掛ける。
「私も同じところに行くんだよ!」
興奮気味に話す在在。
陸譲は落ち着いた声で返事をするが、電話の向こうでは思わず口元が緩んでいた。
彼もまた嬉しかったのだ。
やがて帰省先へ到着した在在。
その頃、陸譲の家では相変わらず母親が弟中心に行動していた。
図書館へ行く弟の面倒を見るよう頼まれる陸譲だったが、今回は断る。
誰かの期待に応えることより、自分の時間を大切にしたかった。
部屋へ戻り勉強を始めたその時。
在在から「到着したよ!」というメッセージが届く。
それを見た陸譲は自然と笑顔になる。
在在の存在は、彼の心に少しずつ温かさを与えていた。
翌日、在在は母親から弟を連れて買い物へ行くよう命じられる。
本当は面倒だった。
だが逆らえず渋々スーパーへ向かう。
するとそこでは年末恒例の大セールが開催されていた。
目を輝かせる在在。
次の瞬間には他の主婦たちに混じり、商品争奪戦へ飛び込んでいた。
夢中になって商品を奪い合う在在。
ところがその姿を陸譲に見られてしまう。
在在は恥ずかしさで顔を真っ赤にする。
なんとか挽回しようと可愛らしく振る舞おうとするが、隣にいる弟が次々と余計なことを暴露してしまう。
完全に台無しだった。
そんな在在を見て、陸譲は珍しく楽しそうに笑う。
さらに弟へ向かって、
「お姉ちゃんは英語がすごく得意なんだよ」
と自然に褒める。
その一言だけで在在の気分は一気に回復するのだった。
ところが三人で歩いている姿を近所の親戚たちが目撃する。
「あの男の子は誰?」
「あら、彼氏じゃない?」
噂はあっという間に広がり、ついには在在の両親の耳にも届いてしまう。
娘に恋人ができたのではないか。
両親は大騒ぎになる。
そして後日、陸譲が在在を家まで送った時のこと。
父親は警戒心むき出しで外へ飛び出してくる。
手にはなんと棒まで握られていた。
しかし陸譲が娘の勉強を見てくれている優等生だと知るや否や、その態度は急変する。
「いつも娘がお世話になっています!」
先ほどまでの険しい表情はどこへやら。
今度は大歓迎で家へ招き入れる。
その変わり身の早さに在在は呆れながらも笑ってしまう。
家族と一緒に食卓を囲む陸譲。
賑やかな会話。
温かな空気。
彼にとっては少し新鮮な時間だった。
食事の後、母親は在在へ陸譲を送っていくよう言う。
二人は夜道を並んで歩く。
そこで在在は何気なく尋ねる。
「家では何を話してるの?」
陸譲は少し考えて答える。
「ほとんど話さない。」
その言葉には長年抱えてきた寂しさが滲んでいた。
そんな彼へ在在は明るく言う。
「でもね、私の中では張陸譲が一番なんだよ。」
「メッセージが来たら絶対最初に見る。」
何気ない一言。
しかし陸譲にとっては誰よりも嬉しい言葉だった。
自分を一番に考えてくれる人がいる。
それだけで胸が温かくなる。
一方その頃。
顧然(グー・ラン)は家族と一緒に春節特番を見ていた。
しかし医師である母親は急患対応で病院へ向かい、父親も仕事の電話で席を外してしまう。
賑やかなはずの年越しもどこか寂しい。
そんな時、姜佳(ジャン・ジア)から新年のメッセージが届く。
顧然は思わず笑顔になる。
その後、二人は電話で会話を始める。
いつも通り軽口を叩き合いながらも、どこか楽しそうだった。
そして新年のカウントダウン。
在在は真っ先に陸譲へ電話を掛ける。
「新年おめでとう!」
受話器越しに聞こえるお互いの声。
会えなくても気持ちは繋がっている。
二人にとって、それだけで十分幸せだった。
同じ頃、姜佳は顧然へ親戚回りの愚痴をこぼしていた。
すると顧然はいつものようにからかい始める。
「不満なら俺を殴りに来れば?」
そんな冗談を言った直後だった。
突然インターホンが鳴る。
玄関を開けた顧然は思わず固まる。
そこに立っていたのは――姜佳だった。
なんと父親に連れられ、顧然の家へ新年の挨拶に来ていたのである。
電話越しではなく、まさかの本人登場。
驚く顧然と照れくさそうな姜佳。
新年早々、二人の関係にも新たな変化の予感が漂い始めるのだった。
【第11話の見どころ】
今回は春節を舞台に、それぞれの家族との関係や心の居場所が丁寧に描かれたエピソード。
特に陸譲が感じている家族との距離感と、その寂しさを埋めるように在在とのやり取りを大切にしている姿は胸を打つ。
また、スーパーでの大奮闘を見られてしまう在在のコミカルな場面や、恋人疑惑に慌てる両親の姿など、笑いどころも満載。
そして「張陸譲は私の第一優先」という在在の言葉は、二人の関係が大きく進展していることを感じさせる名シーンとなっている。
【次回への期待】
離れて過ごす冬休みの中でも、お互いを思い続ける在在と陸譲。
少しずつ積み重なっていく信頼と特別な感情は、もはや友情だけでは説明できないほど大きくなっている。
一方で、顧然と姜佳にも急接近の兆しが見え始めた。
新年を迎えたことで、それぞれの恋はどのように動き出していくのだろうか。
不器用ながらも優しい少年と、太陽のように明るい少女が織りなす青春純愛ドラマは、いよいよ新たな局面へ。
新学期を前に、二人の心の距離がどこまで縮まるのか期待が高まる。次回も甘酸っぱく心温まる展開から目が離せない。
第12話 君がいてくれたから――孤独な心を照らす優しさ
新しい年を迎えた蘇在在(スー・ザイザイ)たち。
冬休みも終わりに近づき、それぞれが新学期への準備を進めていた。
そんな中、思いがけない縁が姜佳(ジャン・ジア)と顧然(グー・ラン)をさらに近づけることになる。
春節の挨拶で顧然の家を訪れた姜佳は、そこで両家の親同士が昔からの知り合いだったことを知る。
まさかの事実に二人とも驚きを隠せない。
さらに姜佳は、普段学校では見られない顧然のラフな髪型を見て大笑いし、その姿をこっそり写真に収める。
「その写真消せよ!」
慌てる顧然だったが、姜佳は面白がるばかりだった。
その後、両親たちは気を利かせて「若い者同士で話してきなさい」と二人を顧然の部屋へ向かわせる。
しかし扉を開けた瞬間、姜佳は思わず絶句した。
部屋中に散らかった本や服、ゲーム機。
想像以上の惨状だったのである。
顧然は顔を真っ赤にしながら慌てて片付けを始める。
そんな様子を見た姜佳はさらに笑いが止まらない。
やがて彼女は顧然のパソコンに興味を示し、画面を覗き込もうとする。
その瞬間、顧然の背筋に冷や汗が流れた。
実はパソコンには、以前撮った姜佳との写真が表示されたままだったのだ。
慌てた顧然は咄嗟に姜佳の目を手で覆い、その隙に写真を閉じてゲーム画面へ切り替える。
何とか危機を回避したものの、事情を知らない姜佳は妙な勘違いをする。
「もしかして変な動画見てたの?」
思わぬ疑いを掛けられた顧然は大慌て。
好きな相手との写真を隠したかっただけなのに、ますます怪しい状況になってしまうのだった。
一方、居間では両家の親たちが昔話に花を咲かせていた。
楽しそうな笑い声が響く中、今度は部屋の中から聞こえてくる二人の騒がしい声が気になり始める。
顧然の母親は思わず微笑みながら、
「果物でも持って行こうかしら」
と様子を見に行く。
大人たちの目には、二人のやり取りがとても微笑ましく映っていた。
そして冬休みが終わり、新学期が始まる。
久しぶりの学校。
クラスメイトたちは再会を喜びながら、それぞれの日常へ戻っていった。
しかしその頃、街ではインフルエンザが猛威を振るっていた。
医師である顧然の両親は医療支援へ向かうことを決意する。
その話を聞いた顧然は驚きながらも反対はしなかった。
本当は寂しい。
本当は行かないでほしい。
だが、誰よりも両親の仕事に誇りを持っている彼には止めることができなかった。
「気を付けてな。」
そう笑顔で送り出す。
けれど荷物をまとめる両親の背中を見ながら、彼の胸にはぽっかりと穴が空いていた。
出発の日。
顧然は誰にも見られないように両親の荷物へ風邪薬を忍ばせる。
少しでも無事でいてほしい。
それが息子としての精一杯の願いだった。
学校では相変わらず明るく振る舞う顧然。
しかし家へ帰ると静寂だけが待っている。
夜、一人でカップラーメンを食べながらスマートフォンを眺める。
姜佳へ何を送ろうか。
どんな話をしようか。
そんなことを考えている時、母親から電話が掛かってくる。
「ちゃんとご飯食べてる?」
「もちろん。」
顧然は笑って答える。
本当は寂しくて仕方ないのに。
本当は一人でいることが辛いのに。
両親を心配させたくなくて、彼は何でもないふりを続けていた。
そんな顧然を気に掛けていた人物がいた。
関放(グアン・ファン)の祖母である。
顧然が一人暮らし状態になったことを知った祖母は、関放へ声を掛ける。
「様子を見てきてあげなさい。」
優しい祖母らしい気遣いだった。
関放は顧然の住所を聞くため姜佳へ連絡する。
すると姜佳もまた、顧然のことが気になっていた。
何度電話しても繋がらない。
嫌な予感がする。
そして二人は顧然の家へ向かった。
玄関のドアを開けた顧然は、どこかぼんやりしていた。
顔色も悪い。
部屋へ入るなりベッドへ倒れ込む。
異変に気付いた姜佳は慌てて額へ手を当てた。
熱い。
明らかに高熱だった。
すぐに関放へ連絡し、二人で看病を始める。
普段は憎まれ口ばかり叩く顧然。
しかし弱っている姿を見ると放っておけない。
姜佳は氷枕を用意し、濡れタオルを取り替え、水を飲ませる。
まるで家族のように世話を焼く。
そんな彼女の姿を見ていると、顧然への気持ちが少しずつ変わり始めていることが伝わってくる。
夜が更ける。
ようやく熱が下がり始めた頃、姜佳は安心してベッドの横で眠ってしまう。
目を覚ました顧然は、真っ先にその姿を見つけた。
自分のためにずっと看病してくれていた姜佳。
頭には冷却タオル。
テーブルには薬と水。
その全てから優しさが伝わってくる。
顧然の胸は温かい気持ちで満たされていった。
やがて姜佳も目を覚ます。
安心したように笑う彼女。
そして立ち上がろうとした瞬間、足を滑らせてしまう。
そのまま顧然の胸へ倒れ込む姜佳。
突然の出来事に二人とも固まってしまう。
顔を真っ赤にする姜佳。
顧然も思わず息を飲む。
いつもの軽口も出てこない。
二人の間に流れる空気は、これまでとは明らかに違っていた。
その後、関放も到着し、顧然の荷物をまとめ始める。
「しばらくうちに来いよ。」
祖母も待っている。
一人でいるよりずっといい。
顧然も素直にその提案を受け入れた。
こうして彼は関放の家でしばらく過ごすことになる。
夜、再び母親から電話が掛かってくる。
しかし顧然は熱を出したことを話さなかった。
遠くで働く両親に余計な心配を掛けたくなかったからだ。
その後、姜佳と二人きりになった時、顧然はぽつりと本音を漏らす。
「小さい頃から、親はずっと仕事だった。」
「本当は一緒にいてほしかったんだけどな。」
普段は絶対に見せない弱さだった。
姜佳は何も言わず静かに耳を傾ける。
その優しさが顧然には何より嬉しかった。
一方その頃――。
張陸譲(ジャン・ルーラン)は朝起きてスマートフォンを確認していた。
すると蘇在在のSNSに風邪をひいたという投稿を見つける。
すぐに家を飛び出す陸譲。
そして薬を持って在在の家へ向かった。
「たまたま近くを通ったから。」
そう言って薬を差し出す。
もちろん嘘だった。
在在のことが心配で来たのだ。
しかし素直になれないのが陸譲らしい。
それでも在在は十分嬉しかった。
自分を気に掛けてくれている。
その事実だけで心が温かくなる。
その後、陸譲も関放の家へ向かう。
病み上がりの顧然は二人を見るなり甘え始めた。
「今日は一緒に寝ろ。」
半ば強引に二人を布団へ引き込む。
「俺、五歳の頃からずっと一人で寝てたんだぞ。」
冗談交じりに話す顧然。
しかしその言葉には少しだけ本音も混じっていた。
関放は苦笑しながら二人へ布団を掛ける。
狭い部屋の中。
友情に包まれた温かな夜が静かに更けていくのだった。
【第12話の見どころ】
今回は顧然を中心に描かれる、友情と家族愛のエピソード。
両親への寂しさを隠しながら明るく振る舞う顧然の姿は切なくも心を打つ。
そして病気になった彼を献身的に看病する姜佳との関係は大きく前進。ベッドサイドで寄り添う場面や思わぬハプニングで抱き合うシーンは胸キュン必至だ。
また、在在の体調不良を知るやすぐに薬を届ける陸譲の不器用な優しさも見逃せない。
【次回への期待】
顧然と姜佳は、お互いの弱い部分を知ったことでこれまで以上に特別な存在になりつつある。
一方、陸譲と在在も自然に支え合う関係へと成長していた。
友情も恋も、少しずつ形を変えながら深まっていく高校生活。
果たして次はどんな出来事が二人の距離を縮めるのだろうか。
不器用ながらも優しい少年と、太陽のように明るい少女が織りなす青春純愛ドラマは、ますます温かく、そして甘酸っぱい展開へと進んでいく。次回も心ときめく物語に期待が高まる。
向日葵を追いかける太陽 13話・14話・15話・16話 あらすじ
















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