大奉打更人(だいほうだこうにん)-正義の銅鑼と王朝の闇- 2024年 全40話 原題:大奉打更人
第13話の見どころ
天諦会の六号を逃がした許七安は、思わぬところから仲間の信頼を集めていく。一方、臨安公主は許七安を懐慶側から引き離そうと策を巡らせるが、すべて裏目に出てしまう。さらに二人の金鑼が一人の銅鑼を巡って争う異例の事態が発生。許七安自身の希望が思わぬ形で受け止められ、新たな上司が決まる。
第13話のあらすじ
許七安たちが外へ出ると、ちょうど六号が姿を消そうとしていた。宋廷風は六号の服装や歩き方に違和感を覚え、衣服のサイズも合っていないことから怪しむ。しかし許七安が緊張する中、宋廷風は「きっと教坊司へ女を探しに行くのだろう」と勝手に結論づける。その言葉に許七安はようやく胸をなで下ろす。
その頃、臨安公主は許七安を懐慶から引き離そうと、街中で懐慶の悪評を広める者たちを仕向けていた。ところが許七安は彼らの訴えを鵜呑みにせず、逆に「懐慶を悪く言い、名誉を傷つけている」として全員を捕らえてしまう。しかも書院の人間から「問心」を受けたことで、彼らは隠していた事情をすべて白状する。臨安は真相を知りながら、自分が仕組んだことを明かすわけにもいかず、彼らに一人二十両を与えて慰めるしかない。懐慶への失望を植え付けるはずが、完全に裏目に出てしまったのだ。
一方、陶満は姜金鑼が許七安を欲しがっているとして、李玉春に引き渡しを求める。しかし李玉春はきっぱりと拒否する。さらに南宮倩柔も楊砚に許七安を自分の側へ移すよう迫っていた。二人の金鑼が一人の銅鑼を巡って争っていると知った李玉春は楊砚へ報告。二人は規則に従って許七安の所属を決めることになる。
やがて「二人の金鑼が一人の銅鑼を奪い合っている」という噂が広まり、演武場には大勢の打更人が集まった。何も知らない許七安も野次馬として駆けつけるが、そこで争われている銅鑼が自分自身だと知って驚く。しかも自分の評価が「甲上」だったことまで明らかになり、宋廷風たちも驚きを隠せない。
魏淵に呼ばれた許七安は、どちらの金鑼を選ぶのか問われる。戻ってきた許七安に宋廷風たちが尋ねると、許七安は「どちらを選んでも間違いになるので、魏淵に決めてもらう」と話したという。さらに自分が書いた詩についても、単なる取り入りではなく、自分には自分なりの理想があることを魏淵に知ってもらうためだったと説明する。宋廷風たちは、許七安についていけば自分たちも出世できるかもしれないと喜ぶ。
ところが李玉春から呼び出された許七安は、いよいよ異動かと身構える。彼は「春風堂で一日過ごせば、永遠にここは自分の居場所だ」と、李玉春への忠誠を示す。感動した李玉春は、許七安が自分を選んでくれたことを喜び、これからも春風堂で一緒に働こうと告げる。まさかの展開に許七安は言葉を失う。
魏淵は、自由奔放な許七安には規律を重んじる李玉春のような上司が必要だと判断し、三年間の異動禁止を命じていたのだ。落胆する許七安を李玉春は教坊司へ連れ出し、「今日は兄弟として、公務抜きで酒を飲もう」と励ますのだった。
第14話の見どころ
天諦会では六号の身辺に不審な動きが起こり、許七安は魏淵の細やかな配慮に気づく。一方、京城では奇妙な事件の捜査に駆り出され、望気術を使う采薇とともに真相へ迫ることに。そんな中、桑泊の祭祀で異変が発生し、許七安は臨安公主を危機から救う。彼女の許七安への思いは、いよいよ抑えきれないものになっていく。
第14話のあらすじ
玉石の小鏡の中で、六号は最近、自分のいる場所が突然修繕され始めたことを不審に思っていた。そこにはすでに忘れ去られた老吏しかおらず、わざわざ修繕する理由などないからだ。一号も許七安も事情を知らなかったが、実は魏淵が南宮倩柔に命じ、六号の身辺をそれとなく整えさせていたのだった。
許七安は李玉春たちに魏淵について語り、穏やかに見える一方で、実は強い正義感を持つ人物だと感じていると話す。李玉春は十九年前の戦いについて語り、当時の魏淵は総帥として妖魁の連合軍をわずか数か月で退けたという。しかしその後、魏淵は打更人を組織したものの、ほどなくして自ら武功を廃したという。なぜそんな決断をしたのか、李玉春にも詳しい事情は分からなかった。
そんな中、采薇から呼び出された許七安は、京兆府の事件捜査に協力することになる。以前、許七安が話していた「効率よく仕事をする方法」に感銘を受けた采薇が京兆府尹に提案したところ、採用されたのだ。采薇は望気術を使い、容疑者が嘘をついているかを見抜く役目を担っていたが、対象者が多すぎて疲労困憊していた。
許七安は事件の資料を読み、容疑者の不自然な姿勢に注目する。相手に対して必要以上に恭敬な態度を取っていることから、単なる知人ではなく、自分が逆らえない立場の人物、つまり上司ではないかと推測した。そこでその上司を呼び出し、最近、京城で何か異変がなかったか、持ち込まれてはいけない物が運び込まれていないかを尋ねる。采薇が密かに望気術で確認すると、相手は嘘をついていなかった。しかも捜査対象はまだ百八十人以上残っており、逃げようとする許七安を采薇は決して離してくれない。
その後、許七安たちは桑泊の祭祀に立ち会う。宋廷風によれば、ここは開国皇帝が宝剣を得た場所であり、前朝を倒す戦いの出発点となった大奉の聖地。歴代皇帝もここで祭祀を行ってきたという。
その最中、許七安は湖から助けを求める声を聞く。しかし周囲の誰にも聞こえていない。やがて祭祀の場で突然大きな異変が起こり、臨安公主が危機にさらされる。許七安はとっさに駆けつけ、臨安を守る。恐怖に震えた臨安は思わず許七安の胸に身を寄せるが、侍女に促されて慌てて離れる。
魏淵は警備上の責任を認め、皇帝からも厳しい言葉を受ける。しかし皇帝が現場を確認した後、異変は収まり、祭祀はそのまま続けられることになる。
宮へ戻った臨安は、許七安に助けられたうえ、大勢の前で「長公主」と呼ばれたことに動揺する。懐慶にも聞かれてしまったのではないか、周囲から二人の関係を探られるのではないかと心配する臨安。侍女は、許七安がいなくなっても別の人間を探せばいいと慰めるが、臨安はそれを拒む。どうしても許七安を手放したくない彼女に、侍女は「それなら面首にしてしまえばいい」と大胆な策を提案するのだった。
第15話の見どころ
許七安の正義感が、ついに大きな代償を伴う事件を引き起こす。抄家の現場で女眷を救うため朱成鋳に立ち向かった許七安は、圧倒的な力で相手を倒すが、結果は「腰斬」という厳罰だった。仲間たちは必死に助命を願い、最後には李玉春が官服を脱いで魏淵の前へ。春風堂を揺るがす決断が下される。
第15話のあらすじ
臨安公主は侍女から「面首」という言葉を聞かされるものの、その意味が分からず首をかしげる。一方、許七安は朝から家族のために食事を作り、家の仕事まで一手に引き受けていた。あまりに熱心に働く姿を見た叔母は不思議がるが、二叔は許七安が修行によって力を得たのだと察し、自分もそんなふうに眠らず働ける体になりたいと羨ましがる。
そんな許七安のもとへ宋廷風たちが訪ねてくる。今日は抄家の仕事があり、面白い仕事だから一緒に来ないかと誘われたのだ。没収品はすべて登録されるものの、実際には記録から漏れる品もある。もしかすると価値のあるものが見つかるかもしれないと聞き、許七安も興味を示して同行する。
現場に到着すると、朱成鋳から遅刻したことを厳しく責められる。宋廷風が反論すると殴られ、許七安も怒りを露わにするが、朱広孝が必死に止める。さらに物品を運び出す段階になっても、朱成鋳は許七安たちを中へ入れようとしない。ところが屋敷の奥から女性の助けを求める声が聞こえてくる。
周囲の制止を振り切り、許七安は屋敷の中へ飛び込む。そこで朱成鋳が女眷を辱めようとしている場面を目撃し、彼女を守ろうと立ちはだかる。朱成鋳は許七安を執拗に挑発し、自分を止められるものなら止めてみろと嘲笑する。許七安は怒りを抑え、「一度だけだ」と自分に言い聞かせながら刀を抜く。
次の瞬間、許七安の一撃が朱成鋳を吹き飛ばす。あまりの威力に朱成鋳の身につけていた銀鑼まで真っ二つに砕ける。事態の重大さを悟った宋廷風は急いでその場を離れ、李玉春へ報告する。そして朱広孝には、決して許七安を朱成鋳側の人間に引き渡さないよう言い残す。
許七安が上官を傷つけたことは、打更人の規則では重罪に当たる。朱広孝は許七安を衙門へ連れて行き、まず正式な手続きに乗せることで彼を守ろうとする。しかしその頃、重傷を負った朱成鋳は屋敷へ運び戻され、父親である朱金鑼が待ち構えていた。朱金鑼は息子を傷つけた許七安をその場で殺そうとするが、朱広孝が許七安を連れて逃げようとする。
朱金鑼は朱広孝を攻撃して負傷させるが、そこへ楊砚が駆けつけて止めに入る。二人が激しくぶつかり合う中、南宮倩柔が現れ、魏淵が双方を呼んでいると告げる。
魏淵の前で朱金鑼は、許七安が理由もなく息子を傷つけたと主張する。しかし周囲の証言では、朱成鋳が女眷を辱めようとし、許七安を挑発したことが明らかになる。複数の銅鑼が証言したことで、魏淵は事実関係を確認し、朱成鋳を罷免し、二度と官職に就けないと決定する。
しかし、許七安にも処罰が下る。上官への暴力という規則違反は見逃せず、七日後に腰斬に処すというのだ。
あまりにも厳しい判決に許七安は失望し、魏淵に以前語った言葉は本心だったのかと問いかける。魏淵は「もちろん本心だ」と答える。すると許七安も、自分が以前書いた言葉もまた、自分自身の本心だったと告げる。
知らせを受けた宋廷風たちは許家へ向かい、叔母は必死に助命の道を探す。ある人物に助けを求めると夫に口添えしてくれることになったものの、その代わりに叔母の嫁入り道具である腕輪を要求される。李玉春たちも奔走するが、親しい銀鑼たちは誰もこの件に関わることを恐れ、金鑼にも簡単には会えない。
それでも李玉春たちは魏淵に直接願い出ることを決意する。朱金鑼を除く打更人たちが次々と集まり、南宮倩柔も自分だけが加わらないわけにはいかないと、許七安の助命を求める。
そして李玉春はついに官服を脱ぐ。打更人として十七年間、真面目に職務を果たし、賄賂も受け取らず、民を虐げたこともない。しかし抄家の現場で、同僚たちが不正を働き、百姓を苦しめ、犯官の女眷を好き勝手に辱める姿を何度も見てきた。もう我慢できない――そう訴えた李玉春は、自ら辞官すると宣言する。そして魏淵に対しても、「許七安とともに自分も斬ればいい」と言い放つのだった。
第16話の見どころ
腰斬の刑を待つ許七安のもとへ、弟・許新年が駆けつける。家族や仲間たちが救出に奔走する中、事件の真相を知った臨安公主も皇帝に直訴。ついに許七安には「戴罪立功」の機会が与えられる。さらに、魏淵の密かな後押しを知った許七安は、改めて自分を支える人々の思いを実感する。
第16話のあらすじ
許七安が収監されている牢へ、許新年が訪れる。妹から夜中に知らせを受け、急いで戻ってきたものの、内城門が閉じていたため、ようやく今になって面会できたのだ。数日間、懸命に修行を続けていた許七安は、すでに七品の境地へと昇っていた。
許七安は許新年に金を渡し、牢番に頼んで玉石の小鏡を取り戻してもらうよう頼む。そして鏡を通じて一号に「三号が危機に陥り、打更人大牢にいる」と伝え、助けを求めるよう指示する。許新年は了承すると、さらに自分で用意した書状を持って長公主・懐慶を訪ねることにする。許七安のために何とか力を貸してもらおうと、張慎と李慕白がしたためた手紙も持参していた。
懐慶に許七安の事情をすべて説明すると、彼女は救出に力を尽くすと約束する。ただし打更人は皇帝直属の組織であり、自分がどこまで介入できるかは分からないという。許新年は懐慶の言葉を聞きながらも、来年の春闈では必ず合格し、自分自身の力をつけなければならないと決意する。
その頃、皇帝は永鎮山河廟爆破事件を魏淵に任せ、半月以内に犯人を捕らえるよう命じていた。魏淵は懐慶と太子に会い、事件は容易ではないとして協力を求める。懐慶は許七安を捜査に加えるよう進言しようとするが、そこへ臨安公主が現れ、先に自分がこの事件を太子に任せるよう皇帝に進言すると言い出す。皇帝もこれを認める。
ところが臨安は、許七安がすでに死刑を言い渡されていることを知らなかった。侍女から事情を聞いた臨安は驚き、すぐさま皇帝のもとへ向かう。そして許七安を助けるため、自分の「面首」だと主張する。陳貴妃らも駆けつけ、臨安が泣きながら「面首とは客卿の一番偉い人のことだと思っていた」と訴える姿に、周囲は単なる誤解だと判断する。
臨安はさらに、許七安には事件を解決する能力があり、捜査に参加させるべきだと進言する。太子も許七安が書いた事件記録を見たことがあり、その推理力は確かなものだと認める。皇帝はついに許七安に戴罪立功の機会を与える。ただし半月以内に事件を解決できなければ、その場で処刑するという厳しい条件付きだった。
勅命が下り、魏淵は楊砚に李玉春を連れ戻し、官職へ復帰させるよう命じる。しかも許七安のために、できるだけ盛大に行うよう指示する。宋廷風たちが牢へやって来て、許七安が釈放されることを告げる。そこで初めて許七安は、魏淵が裏で動いていたことを知る。
一方、許平志は許七安を救うため牢破りまで企てていた。ところが途中で「腹が痛くなった」「ただ通りかかっただけだ」と言い訳を繰り返し、ついには姜金鑼に捕らえられてしまう。釈放された許七安はその姿を見かけるが、顔を確認できなかったため二叔だとは気づかない。むしろ怪しい人物だと考え、厳しく取り調べるよう提案してしまう。
ようやく家へ戻った許七安を、許新年や許玲月たちは大喜びで迎える。叔母も内心では心配していたものの、「誰があなたなんか心配したの」と強がるばかり。さらに許平志は、以前叔母が助命のために手放した腕輪を取り戻していた。牢に入れられた時でさえ守った嫁入り道具を、今回も失わせるわけにはいかない――そう考えて取り戻したのだという。しかし当の許平志は、まだどこへ行ったのか誰も知らないのだった。
















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