大奉打更人(だいほうだこうにん)-正義の銅鑼と王朝の闇- 2024年 全40話 原題:大奉打更人
第29話の見どころ
許七安は吏部の記録を調べるなかで、十九年前の皇宮の盗難事件と臨淵関の戦いを結びつける重要な手掛かりを発見する。一方、許新年と王思慕の恋は、家柄の違いを乗り越えようと少しずつ進展していく。しかし、京では李妙真と楚元縝が思わぬ形で衝突し、さらに監正を呼び出そうとする謎の一団まで現れる。許七安の調査は、次第に大きな秘密へと近づいていく。
第29話のあらすじ
王思慕は許新年の顔に薬を塗り、彼を気遣う。そこへ叔母がやって来て、家に代々伝わる腕輪を王思慕に贈る。それは許家の未来の嫁に渡す品だという。王思慕はうれしそうに受け取り、叔母は許新年に腕輪をつけてあげるよう促す。しかし腕輪は少し小さく、許新年は何とか彼女の手に通そうとする。二人の関係は、家族にも認められ始めていた。
一方、李妙真と楚元縝は酒を飲みながら、互いが江湖に入った理由を語り合う。話が弾んだ二人は意気投合し、義兄妹の契りを結ぶことにする。ところが、誓いの場で互いの本名を明かしたことで、相手が以前から敵対していた人物だと判明する。驚いた二人は、結局その場で戦い始めてしまう。
そのころ、許七安は蘇蘇を連れて吏部の資料を調べていた。ようやく見つかった父・蘇航の記録には、蘇航がほかの者たちとともに盗みを働き、すでに死亡したと記されていた。父が罪を犯したとは信じられない蘇蘇は、幼いころの記憶は曖昧ながらも、両親が互いを大切にし、仲むつまじく暮らしていたことを覚えていると語る。父がなぜ盗みに手を染め、家族を破滅させることになったのか、彼女には理解できなかった。
さらに許七安は、臨淵関の戦いに関する記録のなかに、ある人物の経歴だけが空白になっていることに気づく。その人物こそ、かつて許七安が臨淵関の戦いの光景で、魏淵の背後に立っていた男だった。名前も経歴も記されていないその人物は、いったい何者なのか。許七安は調査を続けることにする。
その一方、許新年は王思慕を家まで送り届ける。別れを惜しむ二人は、王思慕が許家に忘れ物をしたという口実を作り、再び一緒に戻ることにする。王貞文の部下は、娘が屋敷の前まで帰ってきたにもかかわらず、なぜか引き返してしまい、すでに七、八回も往復していると報告する。王貞文は、娘の行動を理解できず困惑する。
許七安は、経歴が空白になっている資料を見つけた者には銀十両を与えると告知する。協力者たちが集めた文書を調べるうちに、彼は重要な共通点を発見した。該当する人物は科挙で状元となり、その後も長く記録が残されていたが、臨淵関の戦いを境に突然、経歴が途絶えていたのである。しかも、蘇蘇の父親もその人物に関わったために事件へ巻き込まれ、命を落とした可能性が浮かび上がる。
そこへ王貞文が現れ、資料を勝手に調べられたことに怒りを示す。許七安が記録の不備について説明すると、王貞文も、着任した当初からこの問題に気づいていたと明かす。調査の結果、十九年前に起きた皇宮の盗難事件と関係があることまでは分かったものの、何が盗まれたのかは不明であり、自分の立場ではそれ以上踏み込めなかったという。魏淵が調べている案件でなければ、許七安にも深入りしないよう忠告するのだった。
そのころ、李妙真と楚元縝の戦いはまだ続いていた。許七安が戻る途中、打更人たちが二人を追っているのを見かける。南宮倩柔が負傷したと聞き、許七安は槍を使う人物がいることから、今回の騒ぎが李妙真たちと関係しているのではないかと考える。やがて李妙真は許七安のもとへ身を隠し、楚元縝も恒遠のもとへ逃げ込む。
許七安は二人を呼び集め、なぜこのような騒動になったのかを確かめる。そして、彼らが争った背景には、相手の情報を隠してしまう法器のようなものがあるのではないかと推測する。もし、あれほどの力を持つ人物が自分の存在を隠す必要があるのなら、なぜ神殊を自分の体内へ送り込んだのか。さらに、神殊が自分の体内には別の何かがあると示唆していたことも気にかかる。許七安は、自分の身に起きていることの背後には、まだ知られていない秘密があると感じるのだった。
一方、南宮倩柔は魏淵に、今回の騒動を受けて警備を強化すべきだと報告する。そのころ、度苦たち一行が監正との面会を求めて現れる。空には恐ろしい金剛怒目の法相が出現し、京の都を覆い始めるのだった。
第30話の見どころ
京の空に出現した金剛怒目の法相は、強い力を持つ者ほど激しい威圧を与え、都全体を恐怖に陥れる。李妙真や楚元縝、打更人たちでさえ抵抗できないなか、神殊が許七安を守るために動き出す。法相をめぐる危機に、監正と天域の者たちも対峙する。そして監正が選んだ突破役は、誰もが予想しなかった許七安だった。
第30話のあらすじ
金剛怒目の法相が現れると、李妙真と楚元縝はすぐに現場へ駆けつけ、法相を打ち破ろうとする。しかし、二人の攻撃は通用せず、逆に負傷してしまう。この法相は、相手の力が強ければ強いほど大きな威圧を与える性質を持っていた。采薇たちは立っていることさえ難しくなり、打更人の金鑼たちも必死に耐える。許七安と二叔も強烈な圧力に襲われるが、二叔は許家の男として屈するわけにはいかないと歯を食いしばる。
そのとき、許七安の体内にいる神殊が力を発揮する。すると、許七安を押さえつけていた威圧が消え、彼はようやく自由に動けるようになる。一方、度苦は皇宮へ向かうが、監正が立ちはだかり、都への侵入を阻む。許七安の家の前にも天域の人物が現れる。異変を察知した許七安は刀を構えるものの、相手はいつの間にか姿を消していた。実は監正がその人物を連れ去り、度苦と対面していたのだ。
度苦は神殊を連れ戻そうとするが、監正は拒絶する。神殊にとっては、今いる場所こそが最もふさわしい居場所なのだと主張する。度苦は、大奉国内では監正の力に及ばないとしても、もし全面戦争になれば、都の民がどれほど生き残れるか分からないと警告する。監正はひるむことなく、それならば都の民の命を賭けて勝負を決めようと応じる。両者の対立は、都全体を巻き込む重大な局面へと進んでいく。
皇帝は采薇を呼び、監正がいつ法相を破るのか尋ねる。采薇によれば、師である監正自身は手を出さないという。皇帝は、代わりに大師兄が出るのかと問うが、大師兄はまだ閉関修行中で、二師兄も最近は修行の不調に陥っていると聞かされる。予想外の返答に皇帝は戸惑うが、采薇は監正が別の適任者を選んでいると伝える。
そのころ、魏淵は許七安を呼び、李妙真がいつ京を離れるのか確認する。許七安は、状況がまだはっきりしていないため、彼女は当面ここに残るだろうと答える。魏淵は、天人の争いはいずれ避けられないとしても、今この時期に起こすわけにはいかないと念を押す。許七安は、こちらの問題が片づき次第、李妙真を送り出すと約束する。
しかし魏淵は、監正が法相を斬る役目に許七安を推薦したと告げる。許七安は愕然とし、皇帝のもとへ駆け込んで、自分を死罪にしてほしいと訴える。法相を斬らなければ死罪、斬ろうとしても命を落とす可能性が高いと考えたからだ。だが皇帝は、監正が推薦した以上、何か理由があるはずだと答え、成功すれば大きな褒美を与えると約束する。逃げ道を失った許七安は、やむなく命懸けの役目を引き受けることになる。
魏淵は許七安に、過去に出現した法相について記された資料を見せる。金剛怒目の法相が現れたのは初めてだが、ほかの法相に関する記録なら参考になるかもしれないという。二叔たちは、許七安が法相を斬ると知って心配するが、許七安は監正が自分を選んだ以上、きっと陰から助けてくれるはずだと説明し、家族を安心させようとする。
懐慶公主と監正も、許七安の今後について話し合っていた。懐慶は、今回の戦いで許七安の名声が大きく高まるだろうと考える一方、監正が思い描く道を許七安が選ばなかった場合はどうするのかと尋ねる。監正は、先のことを今から案じても仕方がないという姿勢を見せる。また、許七安は自分のもとへ相談に来ることはないだろうと予測する。実際、許七安は監正を訪ねてきたものの、神殊のことを監正が知らなかった場合、かえって自分の秘密を明かしてしまうことになると警戒し、結局、会わずに立ち去ってしまう。
その後、臨安公主は許七安を訪ね、法相を斬り終えたら皇帝に何を褒美として求めるつもりなのか尋ねる。許七安はまだ考えていなかったが、臨安公主は爵位を求めるよう勧める。爵位は単なる名誉ではなく、社会的な地位や人脈にもつながる重要なものだからだ。許七安はその助言を受け入れる。
都では、許七安が金剛怒目の法相を斬るという知らせが広まり、人々の間で大きな話題となる。そこへ楊千幻も現れ、自分も法相を斬る役目を担いたいと名乗り出る。許七安の命運を左右する戦いは、いよいよ目前に迫っていた。
第31話の見どころ
大奉の命運を左右する金剛法相の打破に挑むことになった許七安。監正が自分を選んだ理由も分からず、不安を抱えながら当日を迎える。臨安公主に励まされ、詩を口ずさみながら梯子を上る許七安を待っていたのは、人生を一から追体験させる過酷な幻境だった。過去から老後までを生き直す中で、度苦から人生の意味を問われた許七安は、自らの心と向き合うことになる。
第31話のあらすじ
金剛法相を打ち破るため、楊千幻も自分こそが適任だと主張する。しかし、司天監の弟子たちから走火入魔の状態だと指摘されても、本人は納得しない。何度も法相を斬ろうとするものの、ことごとく失敗。なおも挑戦しようとする楊千幻を監正は連れ戻し、監禁してしまう。自分の成長を妨げられたと思い込んだ楊千幻は抗議するが、監正は取り合わなかった。
一方、許七安はこれまでの手掛かりを書き出して整理するものの、なぜ監正が自分を法相打破の役目に選んだのか、答えを見つけられずにいた。
ついに法相を打ち破る日が訪れ、観星台には大勢の人々が集まる。許七安の叔母は工部尚書夫人から、席が分からないのなら一緒に座らないかと誘われる。しかし、二叔がすでに席を確保していたうえ、その場所は予想外にも前方の好位置だった。工部尚書夫人は驚きを隠せず、今度は叔母から一緒に座るよう誘われると、気まずそうに立ち去る。
二叔は魏淵を見つけて挨拶し、魏淵の引き立てがあったからこそ許七安が今の地位に就けたのだと感謝を伝える。しかし、魏淵の反応はそっけなく、二叔は早々にその場を離れることに。そんな中、卓の下に隠れていた許玲音がひょっこり顔を出すと、魏淵は幼い彼女を気に入り、自分の膝に座らせて食べ物を与える。驚くほど食欲旺盛な許玲音を見て、魏淵は武術の素質自体は悪くないものの、骨格の強さが足りず、武芸には向かないのが惜しいと評する。二叔は娘が大物の目に留まったことに不安を覚えるが、許玲月は相手も子供に腹を立てたりはしないと父をなだめる。
その隣には王大人が座っており、許新年と王思慕も並んでいた。二人の仲を進展させようと席を手配した王思慕だったが、本人は偶然だと言い張る。許新年は父が王大人に話しかけないよう願うものの、二叔は持ち前の人懐こさを発揮し、王大人に積極的に話しかけてしまう。さらには、首輔こそ将来の親戚になる人物だと口にし、許新年を青ざめさせる。
その頃、法相の前に立つ許七安は、平静を装いながらも全身が震えるほど緊張していた。そこへ臨安公主がやって来て、彼を励ます。さらに、許七安が以前に書いた詩集を取り出し、梯子を上る間も詩を朗読するよう勧める。許七安は言われたとおり詩を口ずさみながら梯子を上り、ついに法相の前へとたどり着く。
その瞬間、許七安は幻境へと引き込まれる。そこでは、現代に生きる自分の人生が再び始まっていた。警察学校への進学を目指していた許七安は、母親の病気をきっかけに夢を諦め、家計を支えるため営業職に就く。やがて一人の女性と恋に落ちるが、現実の厳しさから別れを選び、その後は結婚して家庭を築く。しかし中年になると、病気の親の世話や子供の養育、住宅ローンなど、さまざまな重圧がのしかかる。年月が流れ、老いた許七安は病床で人生の終わりを迎えようとしていた。
そこへ度苦が現れ、これまでの人生に意味はあったのかと問いかける。現実の世界では許七安が長時間動かなくなり、家族や周囲の人々は心配を募らせていた。王大人は、これは修為を競う試練ではなく、心境を問うものだと説明する。幻境を見破れなければ心が砕かれ、再起不能になる危険があるという。人生の意味を他人に問われた許七安は、結果を重んじる人もいれば、過程を大切にする人もいるのだと考え始める。果たして彼は、この幻境から抜け出すことができるのか。
第32話の見どころ
幻境の中で人生を終えようとする許七安は、度苦から人生の意味を問われても、自分の人生を評価するのは自分自身だと反論する。幾度も幻境を繰り返すうち、許七安は現代で培った知識や発想を武器に反撃の機会をつかみ、ついに亜聖の刻刀で金剛法相を打ち破る。だが、その背後には皇帝や監正、雲鹿書院が思惑を交わす、さらなる謎が隠されていた。
第32話のあらすじ
度苦から人生に意味があったのかと問われた許七安は、そもそも度苦は何者なのか、そして自分の人生に意味があるかどうかを決めるのは自分自身だと反論する。自分の人生を他人に評価される筋合いはないと告げ、命が尽きるその瞬間にも「また次に話そう」と言い残す。
許七安は幻境の中で何度も人生を繰り返し、そのたびに度苦の前に現れては、バスケットボールや動画撮影など、現代のさまざまな話題を語り続ける。理解できない話を延々と聞かされ、度苦は次第に苦しみ始める。許七安はその隙を逃さず、刀を抜いて反撃に転じた。
現実の世界では、動かなかった許七安に変化が現れ、周囲の人々は固唾をのんで見守る。亜聖の刻刀が力を発揮し、生気が集まり始めると、許七安はついに金剛法相を打ち破ることに成功。人々は歓喜するが、梯子から落下した許七安を見て、臨安公主は慌てて駆け寄ろうとする。そこへ霊龍が現れ、許七安を受け止めた。
目を覚ました許七安がいたのは、雲鹿書院だった。趙院長は、彼が持つ刻刀は誰にも奪えないため、自分が書院へ連れ帰ったのだと説明する。皇帝の使者が褒賞を伝えに来ると、許七安は自ら望む褒賞を申し出ることにした。その後、彼は趙院長に、なぜ書院と司天監がそろって自分を法相打破の役目に選んだのかと尋ねる。趙院長によれば、書院と司天監の双方と縁がある人物は許七安だったのだという。
趙院長と監正もまた、許七安が大きな気運を宿していることを理解していた。しかも、その気運は皇宮に関わるものだった。趙院長は、許七安が皇帝の目の届くところにいる以上、皇帝がその秘密に気づかないはずはないと懸念する。監正も皇帝が寛大な人物ではないことを認めるが、自分たちがいる限り、許七安を守り抜くつもりだと語った。
一方、皇帝は、複数の大儒が力を合わせて亜聖の刻刀を動かしたからこそ、許七安が法相を破れたのだという報告を受ける。監正からも同様の説明がなされ、皇帝は楚元縝にも真相を確かめる。しかし、楚元縝によれば、師は許七安に本当に大きな気運があるのなら国師にも分かるはずだと話していたという。皇帝は楚元縝を下がらせるものの、許七安に気運がないのか、それとも国師までもが自分を欺いているのか、判断できずにいた。
許七安が望んだ褒賞は子爵の爵位だった。皇帝はこれを認め、臨安公主も知らせを聞いて喜ぶ。許七安が帰宅すると、家には高価な贈り物が山のように届いていた。彼は、雲鹿書院で何日も寝込んでいた自分を誰も見舞いに来なかったと家族を責める。しかし二叔たちは、見舞いに行こうとしたものの、臨安公主が付ききりで世話をしていたため、遠慮していたのだと釈明する。許七安が目覚めた時に臨安公主がいなかった理由を尋ねると、陳貴妃が二人の関係を問題視し、臨安公主を連れ戻して謹慎させたのだという。
臨安公主自身も許七安が目覚めたと知って喜ぶが、侍女に外出を止められていた。許七安は、子爵の爵位を望んだのは自分のためだけではなく、許新年と王思慕の間にある身分の隔たりを小さくするためでもあったと明かす。ところが許新年は、二叔が王大人の前で将来の親戚だと公言したことを蒸し返し、父親が恥をさらしたと嘆く。二叔は隣に座っていた相手が王大人だったと知り、ようやく事の重大さに気づく。
そんな中、度苦たちが許家を訪れ、周囲の人々の動きを封じて許七安の精神世界へ入る。そこで神殊と対面した度苦たちは、神殊に懐かしさを覚える。度苦によれば、神殊が十分に養生を終えれば、失われた記憶も戻るという。度苦たちは監正の判断が正しかったと認め、神殊にとって許七安のもとこそが最良の居場所だと考える。そして、巫神教の霊慧師と協力関係にあることを明かし、彼らが神殊を連れ帰る代わりに、霊慧師が許七安を連れ去ろうとしていると警告する。許七安には大奉を離れないよう念を押し、度苦たちはその場を後にする。
















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