大奉打更人(だいほうだこうにん)-正義の銅鑼と王朝の闇- 2024年 全40話 原題:大奉打更人
第25話の見どころ
死の淵から戻った許七安は、自分の体内に宿る謎の存在・神殊と対面する。神殊は恒慧を操っていた断手の正体であり、許七安の考えまで読み取る不思議な力を持っていた。一方、許新年がようやく京へ戻り、許家には再びにぎやかな日常が訪れる。さらに李妙真から見せられた記憶は、北方で起きた不穏な出来事へと許七安を導いていく。
第25話のあらすじ
悪夢にうなされた許七安は、意識のなかで不思議な空間へと入り込む。そこには、以前にも出会った謎の人物がいた。男は自らを神殊と名乗り、かつて恒慧の体に宿っていた断手こそ自分の一部だったと明かす。しかし、神殊は過去の記憶をほとんど失っており、誰かによって許七安の体内へ送り込まれたことしか覚えていなかった。
許七安が試しに考えを巡らせると、神殊はその内容をすべて読み取ってしまう。自分の思考まで知られていると分かり、許七安は驚きを隠せない。神殊によれば、許七安の体内で養われている状態は非常に快適であり、彼の体を奪ったり、意識を支配したりするつもりはないという。許七安は、神殊が持つ独特の気配から、彼は天域に関係する存在なのではないかと推測する。神殊自身も、その可能性はあると認める。ただし、神殊は自分の存在をむやみに他人へ明かさないよう許七安に忠告する。
神殊の正体を知った許七安は、魏淵に相談することを考える。だが、神殊の断手は桑泊の地下に封印されていたものだ。事情を話せば、自分まで危険視され、封印されてしまうかもしれない。監正に相談することも考えるが、まだ十分に親しい間柄とはいえず、簡単には打ち明けられない。そこで許七安は、別の方法で魏淵の反応を探ることにする。
魏淵を訪ねた許七安は、臨淵関の戦いについて話を切り出し、かつて彼の背後に立っていた人物の正体を遠回しに尋ねる。しかし魏淵は、自分の背後に誰かがいたことなどないと否定し、許七安がいくら探りを入れても有益な情報は得られなかった。
その後、許七安は道端で金の入った巾着を拾う。雲州へ行ってからはまったく金を拾っていなかったため、ようやく運が戻ってきたのだと喜ぶ。落とし主の若い女性二人が近くで必死に巾着を探していることには気づかず、思わぬ収入に満足するのだった。
一方、二叔は当番の日ではないのに外出しようとしていた。叔母が不審に思って尋ねると、王妃が外出するため、護衛として巡回に出なければならないのだと説明する。その途中、二叔は以前住んでいた家の扉が開いているのを見つけ、泥棒が入ったのではないかと警戒して中へ入る。そこにいたのは、京へ戻ってきた許新年だった。
許新年は、許七安から連絡がなかったことに腹を立てていた。二叔は、許七安は何も知らせていなかったのだと弁解し、すぐに迎えに来たと説明する。しかし許新年は納得しない。手持ちの銀がなく、宿に泊まることもできず、帰ろうにも城門は閉まっている。かつての家に戻ってみれば、部屋の家具や寝台まで運び出されていた。自分だけが忘れられたと感じた許新年は、泣きながら井戸に飛び込もうとし、二叔に慌てて止められる。
許家に戻った許新年は、許七安が生きている姿を見て心から喜ぶ。しかし、二叔が「ついさっき目を覚ましたばかりだ」と説明した直後、許七安はうっかり、実は数日前から起きていたと口を滑らせてしまう。許新年は、自分が長いあいだ放置されていたことを知ってさらに不満を募らせる。しかも部屋はすでに片づけられており、寝る場所さえない。結局、許七安と同じ部屋で休むことになるが、兄が生きて戻ってきたことへの喜びは隠せなかった。
そんななか、李妙真が蘇蘇を連れて許七安を訪ねてくる。蘇蘇は魅惑の術を使って許七安を操ろうとするが、彼はすぐに見破りながら、あえて術にかかったふりをする。蘇蘇についていくことで、許七安は李妙真に関する情報を聞き出すことに成功した。その後、李妙真と対面した許七安は彼女と戦うが、彼女には相談したいことがあった。
李妙真は、京へ向かう途中で負傷した男に出会ったときの記憶を許七安に見せる。男の姿を確認した許七安は、彼が北方の人間ではないかと推測する。男の手には弓を扱った痕跡があったが、単なる弓兵が伝令役に選ばれるとは考えにくい。むしろ、騎馬と弓術に長けた北方の者である可能性が高いと判断する。さらに男が残した「血屠三千里」という言葉にも注目するが、その意味はまだ分からない。許七安は、この謎めいた言葉が北方で起きている異変につながっているのではないかと考え始める。
第26話の見どころ
「血屠三千里」という不穏な言葉を手掛かりに、許七安は北方の戦況に疑念を抱く。一方、李妙真は許新年を許七安本人だと思い込み、思わぬ騒動を引き起こしてしまう。さらに、蘇蘇の父親の行方を調べるため、許七安は吏部の資料を探ることに。臨安公主もまた、許七安が生きていると知り、京へ戻ろうとしていた。
第26話のあらすじ
許七安は魏淵のもとを訪れ、「血屠三千里」という言葉を残した人物について報告する。北方で何が起きているのかを調べる必要があると考えた魏淵は、年初に北方へ配置していた間諜を東北方面へ移していたため、現在の情勢を十分に把握できていないと明かす。もし鎮北王が意図的に情報を隠しているのなら、魏淵の耳に何も入っていないのも不自然ではない。
そのころ、朝廷では北方の兵士たちに送る兵糧をめぐり、議論が繰り広げられていた。前線から来た使者は、国境を守る将兵が食糧不足に苦しんでいると訴え、朝廷に支援を求める。兵糧の輸送には長い時間がかかり、目的地に届くころには十分な量が残らない可能性もある。そこで民衆に運搬の労役を課す案が浮上するが、首輔の王貞文は、すでに重い負担を強いられている民にこれ以上の役務を課すべきではないと反対する。
皇帝から意見を求められた魏淵は、北方の兵士が本当に深刻な食糧不足に陥っているのか、現時点では断定できないと述べる。そして許七安から聞いた「血屠三千里」の情報を伝えた。皇帝は司天監の術士を呼び、前線からの報告に偽りがないか調べさせる。術士は報告が虚偽ではないと判断するものの、魏淵はそれだけで北方の戦況すべてを把握できたわけではないと指摘し、さらなる調査を提案する。皇帝もその必要性を認め、調査を進めることにした。
一方、李妙真は許七安の家を訪ねる。ところが、許新年はちょうど入浴中で、妹の許玲月に石鹸代わりの皂角がどこにあるのか尋ねていた。李妙真は、三号が自分の二弟である許新年だと聞かされていたことを思い出し、本人に協力を求めようとする。しかし、突然浴室に踏み込まれた許新年は、衣服も身につけておらず、まずは外へ出てほしいと必死に頼む。事情が分からないまま追及された許新年は、ついに気を失ってしまう。
騒ぎを聞きつけた二叔は、倒れた許新年を医館へ運ぶ。許七安は李妙真に、許新年は本当は力になりたかったものの、自分には能力が足りないと考え、代わりに働く自分を紹介してほしいと頼み込んでいたのだと説明する。李妙真はすっかり誤解していたことに気づき、申し訳なさそうにする。そして、吏部にある官吏の記録を調べるだけなら自分たちでもできると考え、蘇蘇とともに立ち去ろうとする。
その言葉を聞いた許七安は、なぜ吏部の資料を探しているのかと尋ねる。蘇蘇は、父の蘇航が京へ赴任することになったにもかかわらず、その後消息を絶ってしまったと説明する。官吏の経歴や赴任記録は吏部に保管されているため、父の行方を知る手掛かりを求めていたのだ。事情を知った許七安は、調査に協力することを約束する。
許七安は魏淵にもこの件を相談する。魏淵は、許新年ならば力になれるはずだと考えていた。一方、医館で目を覚ました許新年は、自分が衣服も整えないまま、何本もの路地を通って運ばれたと知り、恥ずかしさのあまり再び気を失ってしまう。
そのころ、懐慶公主の部下は、臨安公主の動向を報告していた。許七安が死んだと聞いた臨安公主は急いで京へ戻ろうとしたが、近道を間違えて山賊の多い黒風林へ入り込んでしまう。部下たちは官府に山賊の討伐を依頼したものの、臨安公主はさらに砂漠へ迷い込んでしまった。彼らは懐慶の命令に背かない範囲で救出するため、商隊を装って彼女に接近することにする。
一方、許新年は誰かに合図を送るため、灯籠をともして待ち続ける。しかし、一日たっても相手は現れない。許七安に指摘され、許新年はようやく、灯籠を置いた場所が以前の家だったことに気づくのだった。
第27話の見どころ
ようやく許七安の生存を知った臨安公主は、喜びのあまり彼に抱きつく。一方、許七安は蘇蘇の父親の行方を調べるため、王思慕の協力を得ようとする。許新年と王思慕の仲も少しずつ進展するが、首輔の娘と許家の息子という身分の違いが二人の前に立ちはだかる。さらに臨安公主は母の陳貴妃と向き合い、互いの本心を確かめ合う。
第27話のあらすじ
許新年は、灯籠をともした場所を間違えていただけだと気づき、相手が自分に会いたくなかったわけではないと分かって喜ぶ。一方、京へ戻ってきた臨安公主は、許七安の家の前までやって来たものの、なかなか中へ入る勇気が出ない。許七安と許新年が大量の灯籠について話している声を耳にした臨安公主は、思い切って扉を開ける。そこには、生きている許七安の姿があった。彼が死んだと思い込んでいた臨安公主は、安堵と喜びのあまり、その胸に飛び込む。
翌朝、臨安公主は前夜の出来事を思い出して恥ずかしくなり、侍女に自分がどうして臨湖小築へ戻ってきたのか尋ねる。侍女によれば、臨安公主は途中で気を失い、許七安が送り届けてくれたという。しかし、意識を失っていても許七安の手を離そうとしなかったため、彼は侍女に臨安公主を抱きかかえさせ、ようやく帰ることができたのだった。
許七安は朝食を持って臨安公主を訪ねる。まだ帰っていないのではないかと期待した臨安公主は、彼が来たと知ると慌てて寝たふりをする。侍女も気を利かせ、まだ目を覚ましていないと告げる。許七安は、前夜の臨安公主がひどく疲れ切った様子だったことを不審に思い、何があったのか尋ねる。侍女は、臨安公主が盗賊に襲われたものの、機転を利かせて逃げ切り、偶然許七安の家へたどり着いたのだと説明する。許七安はいったん立ち去ろうとするが、再び戻ってきて様子を確かめる。侍女からまだ眠っていると聞かされ、彼は仕方なくその場を離れる。
その後、許七安たちは橋の上で王思慕と会う。王思慕は首輔・王貞文の娘で、以前から灯籠を通じて許新年と連絡を取り合っていた。二人は再会を喜ぶものの、許新年は照れ隠しから、あえて彼女に近づこうとしない。そんな弟の様子を見かねた許七安は、王思慕に頼みたいことがあると声をかける。王思慕は許七安と許新年の仲がよいことを知っており、彼との関係を深めるためにも快く協力を引き受ける。ただし、吏部は重要な役所であり、打更人であっても自由に立ち入ることはできない。許七安は、ならば許新年が王思慕と一緒に調査に行けばよいと提案する。
王思慕が先に歩き出すと、許新年は慌てて後を追う。許七安は、弟がなぜそこまで遠慮するのか分からず尋ねるが、許新年から王思慕が首輔の娘だと聞かされ、ようやく事の重大さを理解する。二人は急いで王思慕を追いかけるが、彼女はすでに先へ進んでいた。
一方、臨安公主は母の陳貴妃のもとを訪れ、これまでの行動を詫びる。陳貴妃は口では娘を叱責するものの、実際には手を上げることなく、臨安公主の好物である菓子まで用意していた。陳貴妃は、太子のために権力争いに気を取られ、臨安公主が何を好むのかさえ十分に知らずにいたと悔やむ。娘が突然姿を消したときは怒りを感じたものの、やがて平陽郡主と同じように戻ってこなくなるのではないかと恐ろしくなったのだと打ち明ける。母の本心を知った臨安公主は、複雑な思いを抱きながらも、親子の絆を確かめるのだった。
そのころ、王思慕は許新年とともに吏部の資料を調べる準備を整えていた。許新年は相変わらず彼女に対してよそよそしい態度を取るが、王思慕が転びそうになると、思わず抱きとめる。ところが、その場面を王貞文に見られてしまう。王思慕は許新年を自分の馬夫だとごまかそうとするが、王貞文は彼の正体を知っていた。許新年を軽薄な男だと決めつけ、追い返してしまう。
恥をかいた許新年は家に戻ると、許七安のせいでこんなことになったのだと責める。許七安は、弟の実力なら科挙で必ずよい成績を収められるはずだと励まし、将来は自分の力で堂々と吏部に入れるようになればよいと諭す。許新年はその言葉に、少しずつ自信を取り戻していくのだった。
第28話の見どころ
許新年と王思慕の仲を後押ししながら、許七安は蘇蘇の父親に関する手掛かりを探し続ける。そんななか、魏淵から曹国公に関わる密書を託された許七安は、弟の名誉を回復するための一計を案じる。一方、魏淵は巫神教との戦いを見据え、首輔の王貞文に協力を求める。複雑に絡み合う朝廷の権力争いが、少しずつ動き始める。
第28話のあらすじ
許新年は、許七安から励まされ、自分の実力で王思慕にふさわしい人間になろうと決意する。そんな許家に、王思慕から贈り物が届く。叔母には黄金の髪飾り一式、二叔には上等な刀、許玲月には詩集に見せかけた読み物、許玲音には大量の菓子と、それぞれの好みに合わせた品が選ばれていた。贈り物を受け取った家族は大喜びするが、許新年だけは自分が仲間外れにされたように感じ、ますます不満を募らせる。許七安がそろそろ機嫌を直すよう促しても、許新年の落ち込みは収まらない。
一方、王思慕との関係を心配する臨安公主は、侍女から、王思慕が首輔の娘であることを考えれば許家のような家柄では釣り合わないのではないかと聞かされ、複雑な気持ちになる。臨安公主は陳貴妃を訪ね、許七安に何らかの褒美を与えてほしいと頼む。母は娘の真意を察し、許七安を子爵に封じる件について、機会を見て皇帝に話してみると約束する。ただし、爵位を与えるかどうかは皇帝自身の判断であり、自分たちの思いどおりになるとは限らないと釘を刺す。
そのころ、南宮倩柔は許七安を訪ね、曹国公に関する複数の密書を手渡す。魏淵の指示によれば、これらの文書は許七安を通じて渡したほうが効果的だという。南宮倩柔は、誰もが簡単に手に入れられるものではないと説明し、密書を本物らしく見せるため、自分が許七安を殴る必要があると考えていた。だが許七安は、もっと巧妙な方法があると提案する。
許七安は密書を許新年に渡し、弟が自分のもとから命がけで密書を手に入れ、王貞文との関係を改善するために届けたという筋書きを考える。許新年には、自分を殴るか、別の方法を選ぶか決めるよう促す。許新年はこの計画に協力し、王思慕のもとへ密書を届けることにする。ただし、王思慕の前では顔を見せようとしない。彼女が無理に顔を確かめると、許新年の顔には殴られた痕が残っていた。事情を察した王思慕は、彼を気遣い、胸を痛める。
王貞文の屋敷では、曹国公への対応をめぐって話し合いが行われていた。そこへ王思慕が密書を持って現れる。内容を確認した一同は、曹国公を追及する有力な証拠を得たことに喜ぶ。曹国公は、王貞文を弾劾していたにもかかわらず、皇帝の手元に自分に不利な密書が届いていると知り、魏淵と王貞文が裏で結託したのではないかと疑う。しかし、皇帝は曹国公の言い分に耳を貸さなかった。
その後、王貞文は魏淵と会い、米価の高騰について説明を受ける。各地で戦乱が続いている以上、米の値段が上がるのは避けられないと魏淵は語る。そして、自分は巫神教への討伐を計画しているため、その間、王貞文には朝廷の要である草堂を守ってほしいと頼む。魏淵が国のために動いていることを知った王貞文は、これまで彼を疑っていたのは自分の了見が狭かったからだと認め、協力する姿勢を示す。
一方、王思慕は再び許家を訪れ、叔母から許新年の幼少期の肖像画や、子どものころの失敗談を聞かされる。許七安が帰宅すると、王思慕は調査に必要な手配が済んだことを伝える。ただし、王貞文からは、吏部の重要な資料を許七安に直接見せることはできないと言われたという。その代わり、後日、後院で文書を干す機会を設けるので、許七安自身が必要な資料を確認すればよいと説明する。許七安は、これで蘇蘇の父親や、過去の事件につながる手掛かりを見つけられるかもしれないと考えるのだった。
















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